目の前で撃たれた。自分はそれに驚き、横を見る。黒ずくめの人物が銃を持っていた。
「死ね」
自分は呟くと同時にホルスターから愛銃、『ベレッタM9A1』を抜き、素早く標準を構えて引き金を絞る。
人物の首に被弾した為に血が飛び散り、男は痙攣しながら、死んだ。
図ったかのようにぞろぞろと連中が出てくる。
「貴君には死んでいただきたい」
「でしたら、自分を狙えよ」
怒り心頭状態になった自分は口調も砕けて、目を細めていった。
「悪は断罪する。それが犯罪相談役、『黄泉』の役目だ」
相手が先制攻撃を仕掛ける。
サバイバルナイフを外側になるように持って自分の首筋を狙って払う。しかし、ナイフが首筋に当たる前に相手の手首を掴んでベレッタでこめかみに一瞬で標準を構えて引き金を絞る。
弾丸は頭部に入ると弾丸は脳内を掻き混ぜながら後頭部から飛び出る。
「まずは一人目」
すると、全員が自分に襲いかかるがしゃがみ、攻撃を避ける。そしてベレッタを空に向けて敵の顎を撃ち抜く。
吹き出る血を気にもせずに死体をどかして瑞鳳のそばまで駆け寄ると腹部に被弾した銃弾をピンセットで摘出すると彼女を抱き抱えて工廠まで走る。
「妖精!」
自分の声で妖精は目を覚ましてこっちを見る。
「頼む!瑞鳳の入渠を頼む!」
血まみれの自分に驚く上に瀕死の瑞鳳で妖精はすぐに入渠場に案内してくれた。
「入渠って浴室なの……」
一人呟いた自分は瑞鳳には悪かったけど服を破いて彼女を浴槽に浸らせる。すると、壁に時間が表示され、後は妖精がしてくれるので自分はその場を後にして、死体の処理をしないとだ。
「さて、あんたらの存在はなかったことになる。残念だったな」
呟いた自分は穴の中にマッチを入れて死体と共に燃え盛る炎を見つめていた。罪を重ねるのも、汚れるのも自分だけで十分だ。理想の為に、悪を撲滅する為に、命を賭けて世界に喧嘩を売る。あの日の復讐は終わらない。
夜が明けた頃に、自分は執務室に戻るとそこにあの子は居らず、眠気覚ましに珈琲を淹れる。
「あ、提督。おはようございます」
「おはよう、高雄さん。それと、提督じゃないよ?」
高雄さんがいつの間にか縫い直された制服で執務室に来た。
「あ、失礼しました!」
「別に良いよ。それよりも、朝ご飯の用意してもらっても良いかな?」
「了解です」
そう言って高雄さんは昨日鍋を行った場所に走っていった。
「さて、これをお願いしに行くかな……」
一枚の紙を持って自分は工廠の方に歩いて行った。
「お~い、明石さんと夕張さん居る~?」
「あ!明斗さん!!」
自分は中に入ると丁度明石さんと夕張さんが居た。が、瑞鳳もいた。
「えっと、色々とごめんね……」
「いえ、こちらこそ助けて頂いたので……」
少し気まずい雰囲気の最中、二人が自分を遠くに連れて行き、
「瑞鳳に何をしたんですか?」
「まさか……、襲ったんですか!?」
「違うから。断じて」
自分は昨日の件を話した。勿論襲撃者の事は言わないで。
「成程、それでですか……」
「そうだよ。まぁ、彼女の事は自分が話を聞くけど、代わりに、これを建造して欲しいんだ」
そう言って渡した書面を見た明石が驚いた表情で自分を見た。
「本当に、建造するんですか?」
「あぁ、頼む」
自分は真剣な表情で明石に言った。
「ってな訳で瑞鳳さんが加わりました!」
朝食時に自分は彼女を連れて皆の前で言う。瑞鳳さんは「ま、待ってよ!?まだ私は提督反対なのよ!?」と言った。
「いや、自分提督じゃないから。君達は提督反対な訳で別に民間人は良いんでしょ?」
自分は首を傾げな言う。自分の返答に瑞鳳はしばし悩み、唸りながら最終的には……。
「本当に、貴方に任せて大丈夫なの……」
「勿論。心の悩みから鎮守府の復興までこの私立相談役の材原明斗にお任せあれ」
自分は瑞鳳にそう言った。瑞鳳は微笑み改めて、
「祥鳳型2番艦軽空母『瑞鳳』、改めて宜しく。明斗」
「あぁ」
自分は瑞鳳の手を握ったと同時に正門から黒塗の外車が数台鎮守府内に入ってきた。
自分は身構えて皆もそれぞれ戦闘態勢をとる。
そして、車内から出て来た白髪交じりの老人を見た自分は、すぐに構えを解除して、言った。
「来たってことは説明して貰えるよね?爺さん?」
「おぉ、明斗。久しいな……」
自分と爺さんの会話に全員が唖然としていた。
「えっと、明斗。この御方は?」
長門が自分に説明を求めてきたので自分は爺さんの自己紹介をした。
「あぁ、紹介するよ。自分の祖父で大本営大元帥の音針源蔵だよ」
「「「「「「ええええええええ!!!?」」」」」」
まぁ、全員が驚くのは仕方ないだろう。だって祖父が大元帥だって言ってないし。
「横浜鎮守府の皆、孫の明斗が世話になっている。及びに今回の件は本当に済まなかった!」
そう言って頭を下げた爺さん。これには流石の護衛も驚き「だ、大元帥!?貴方が頭を下げたら」と途中まで言ったところで、
「馬鹿者!!わしらの落ち度でこの様な事態になったのだ!せめてもの謝罪としてこうして頭を下げているのだ!」
爺さんはそう言った。すると、見かねた加賀さんが、
「頭を上げてください大元帥。確かに私達は辛い思いや悲しみに暮れました。しかし、明斗が来てくれたことで少しばかり改善はされています」
その言葉に爺さんは顔を上げて、
「すまない、本当にすまない!」
自分も流石に爺さんに「まだ、一部の人は自分が来たことに不安とか抱えているけど、自分もそれなりに頑張るから」
「明斗……」
その時、工廠の方から『うぎゃあああああああ!!!』ととても女性の叫び声に聞こえない声が聞こえてきた。
「行きましょう!」
瑞鶴が先に走り出して皆で追いかけ始めた。
もしかして、完成したのか?
あの子に、もう一度あの子に会えるのか……。