【艦これ】私立相談役と元ブラック鎮守府   作:泉井 暁人

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 漫画『ジパング』より、イージス艦みらい登場です!


第8話 あの子と新たな問題

 

 工廠の中に全員が入り、腰を抜かしている夕張さんと唖然とした表情でいる明石さんがいた。

 「何があった!?」

 長門さんが明石さんに声をかける。彼女は唖然としたままある方向に指を指して「あ、あれ……」と言った。

 皆がその指先を見る。

 そこには身長が170cmくらいの少女がいた。白のジャケットを羽織り、中は青のベストと白のブラウス。下は青のミニスカート、そして桜の形を象ったボタン。しかし、彼女の毛先は白く、目は赤色だ。

 ようやく、ようやく彼女に会えた。

 「みらい……、じゃと?」

 「皆さん、初めまして!()()()()()()()()()()()()3()()()()()()()()()()()です!宜しくお願いします!!」

 爺さんは驚き、他の人はやっぱり唖然としている中、自分は一歩歩きだし、彼女に手を差し出す。

 「初めまして、自分は明斗。君の活躍を期待するよ」

 彼女は、少し戸惑いながらも自分の手を握った。

 

 「明斗、何故あの子が建造されたんじゃ?」

 あの後、自分と爺さんは二人だけで歩き、みらいの話になった。

 「自分が建造依頼した。でも、自分は知りたかったんだ。例え別人でも何であの時、母さんを助けないで、自分を助けて死ぬのを覚悟で守ってくれたのか……」

 「想いを……、知りたいのか……」

 自分の想いを爺さんに伝えると爺さんはそれ以上何も言わずに、肩に手を乗せた。

 「なら、絶対にあの子を、幸せにするんじゃぞ?」

 「うん……」

 潮の匂いが鼻孔を通り、少しだけ、母さんとの思い出を思い出させてくれる。

 「ってか、それよりも自分が提督って可笑しいでしょ?」

 自分はふと、爺さんに言い忘れていた事があったので言うと、

 「実はな…、ここの前任が解体処分、もしくは轟沈報告した艦娘の一部が今も何処かで囚われているとの情報を得た」

 そう言って自分に書類を渡す爺さん。自分はじっくりゆっくりと読む。

 「その上、放火事件の際に前任の部下が数人の艦娘も捕らえた情報もあって、海軍も大本営としても助け出したいのが現状じゃが……」

 「一部の艦娘反対派や奴隷の様に扱うブラック提督の為に動けないと…?」

 「そんな所じゃ…。しかし、羽柴から明斗がここの艦娘のカウンセラーとして行く事を聞いての、書類の一部を変更してわしが提督職にしたんじゃ」

 自分は頭を掻きながらこの国の行く末が分かった気がしながら、

 「解った。だったら、提督と名乗るのは今は止しておくけど、その行方不明の艦娘達は自分が捜す。それと、別館の再建の工事とこの鎮守府に所属する艦娘の給料の支払い。頼むよ」

 自分は爺さん頼むと「解った、帰ったらすぐにでも手配しよう」と言ってくれた。しかし、爺さんはまだ伝えたいことがあるらしく……。

 「もう一つ、頼んでも良いか?」

 「内容による」

 そう言って茶封筒を自分に渡す。封を開けて中身を読む。

 「演習?」

 「あぁ、舞鶴鎮守府所属、『第10鎮守府』との演習試合。そこの提督が」

 「ブラック提督……。解った、引き受けるよ」

 理想の為にまずはブラック提督を潰すのが先決だな……。自分はそう想い、爺さんの頼みに了承する。

 「すまないな……。一週間後に横須賀鎮守府の演習場で行う」

 「それで、話は終わり?」

 「終わりじゃ」

 爺さんとの話が終わり、爺さんに「じゃあ、早く帰ったら?今頃秘書艦の初春さんが書類に追われているよ?」と言う。

 爺さんは呵々と笑いながら「安心せい、その心配は無用じゃ」と言った。

 本当に大丈夫なのか……?

 

 深い深い暗闇の中に私はいた。

 あぁ、そうだ。私は沈んだんだ。だからこんな場所にいるんだ……。

 でも、突然誰かに引っ張られる感覚に襲われると光に包まれた。

 

 「うぎゃあああああああ!!!」

 奇声にも似たその叫び声に私は驚いてビクッとした。

 そして、私は不思議な感覚に襲われて動かしてみる。腕が動いた。いや、それよりも、腕があった。足もある。

 「嘘……」

 そう、私は人間に生まれ変わったみたいだ。

 イマイチ状況が掴めていない中で入口から見知らぬ人達が入り、私を見て腰を抜かしている二人に駆け寄る黒髪の人、ピンク髪の人が私を指さす。

 「みらい……、じゃと?」

 老人の方が「ありえない」ばかりの表情で呟いた。私は元気な声で、

 「皆さん、初めまして!横須賀基地所属ゆきなみ型3番艦護衛艦『みらい』です!宜しくお願いします!!」

 敬礼をして、自己紹介をしたけど……。皆唖然としている…。でも、茶髪の人が一歩歩きだして、私の傍まで寄ると、手を差し出してくれた。

 「初めまして、自分は明斗。君の活躍を期待するよ」

 私は、この人が新しい人なのかなって想いながら手を握った。

 

 「成程、つまり私は艦娘と呼ばれる存在になった訳ですね?」

 「概ね、その通りだ」

 あの後、明斗指令と別れて他の皆さんと案内も兼ねて諸々の事情を聞いた。深海棲艦によって領海権が奪われ、シーレーンも失った日本……。

 ふと、長門さんが私に「一つ聞いても良いか?」と言った。

 「何でしょうか?」

 私は長門さんに言うと、長門さんは悲哀の表情で言った。

 「前に、ある資料で見たんだ。()()()()()()()()()()()()

 その言葉の意味が解らなかった。でも、他の人は理解したらしい……。

 「つまりだ。我々は史実で言えば第2次世界大戦で活躍した。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 突きつけられた事実。私は落胆し、自信が持てなくなった。

 「お~い、皆に話があるから来てくれ~」

 遠くから明斗指令の声が聞こえた。

 


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