どうやら司波達也に憑依したみたいだが……   作:さすおに

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プロローグ

「お目覚めかの?」

突如、声をかけられ閉じていた意識が覚醒する。目を開けると真っ白い空間で覆われていた。

「……ここは?」

はじめてみる光景に疑問が湧き目の前の声の主人に問いかけた。

「次元の狭間と呼ばれる迷い込んだ魂が行き着く最果ての空間じゃよ」

「……た、魂!?な、何だこれは!?」

手をかざしても何も映らないばかりか感覚すらなく想像して顔の辺りを触れてみるも何もない。

「……俺は死んだのか?」

「違うんじゃが。まぁ、概ね間違ってはおらん」

「どういう事か詳しく説明してもらえないか?」

俺の懇願が響いたか目の前の存在に届き語りはじめた。

「そうじゃの。あれは……」

 

そこから語られる事実に吐き気を催した。

営業職として働いていた俺はいつもの様にスーパーで惣菜を買い帰路に向かって歩いていた。

そこでたまたま遭遇したのは誘拐をしようしていた集団と誘拐されそうな女性だった。

何の正義感なのか咄嗟に声を出し誘拐しようとしていた集団に注意を促した。

だが、それは逆効果だった。

彼らは俺に攻撃を加え俺ごと誘拐した。

人の吐息と女性の泣き声で覚醒したが身体が固定されて身動きが取れなかった。

覚醒した俺を見たその集団は何が面白いのか皮膚の皮を剥ぎ出し、俺は絶叫した。

何度も何度もグチャグチャに裂かれた身体。

皮膚は剥がされ、目玉はくり抜かれ、両足両手を切断されていた。

それでも辛うじて生きていたのは運が良かったんだろうか。

いや、死んでないから運が悪かったんだろう。

やり過ぎた結果が誘拐時の記憶の壊れに魂の離脱だった。

その魂が偶然に次元の狭間に辿り着いたという事だ。

 

 

「とまぁ、こんな所じゃ」

「記憶が壊されて良かったと思えるくらい酷いな」

「ワシもそれが不憫に思って、今回限りだがもう一度人生を歩ませてやろうかと思って意識を覚醒してやった訳じゃ」

そう言って僅かに跳ねた声音は心底嬉しそうだった。

「でも、もう一度人生をやり直しとか嫌だな」

「……なら高校生くらいからどうじゃ?」

「高校生か。ならそれでいいや」

「それとオマケとして特典をつけてやろうかな」

「……特典!?」

「まぁ、次の人生で少しは楽に歩めるようにと、細やかなギフトって奴じゃ」

「何が貰えるか教えて貰えるんだろうか?」

「ん〜それをしちゃうとつまらんじゃろ?じゃから、次に目覚めた時の楽しみにしておこうかの」

「なら転生頼むよ」

 

「ほんじゃ、行くかの」

 

目の前の存在から溢れ出た圧倒的な力が俺の魂に纏わり付くように包み込んだ。

自我が消え入りそうなのを何とか堪え、耐えきった。

そして俺の魂が何処かに消え失せた。

 

そう感じた。俺は転生したんだと。

 

 

 

 

 

 

♢♢♢♢

 

魔法。それが伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術になったのは何時のことだったのだろうか。

それを詳しく特定できる出来事があまりにも膨大であり、一つに絞ることができなかった。

ある国が自国が始まりの魔法師と名乗ったり、ある民族がこの世界の歴史の始まりは私らであると声高に叫ぶのもいた。

そんな戯言も一蹴されないのも一重に魔法という超常現象が存在するからである。

これがファンタジーや空想の世界ならどれだけこの世界の有り様が変わっただろうか?

それはもう知る術は一人しか知らない。

 

国立魔法大学付属第一高校。

毎年、優秀な魔法師を育成している教育機関である。

徹底した才能主義。

残額なまでの実力主義。

それが魔法師の世界。

 

この学校に入学する事が出来たこと自体が一般人と違い特別であり、入学の時点で優等生と劣等生が存在していた。

同じ新入生であっても平等にはなり得ない。

例え、血を分けた兄妹であっても。

 

 

例え、転生者であっても。

 

 

 

 

♢♢♢♢

 

どうやら転生したらしい。現代日本っぽいから異世界ではないんだろう。

でもここは未来だと俺は知っている。

何か、自動運転が標準されてるんだわ。

今日もよく分からない自動運転の車に乗ってきて高校の入学式に向かっている。

隣を歩くのは大和撫子の美少女、司波深雪。

ロングの黒髪が映えてめっちゃ可愛いんだわ。

その子と一緒に登校中。

俺の名前は司波達也。この子の兄であった。

妹をヒロインにしたいんだが大丈夫だよな?

俺の魂は司波達也ではないし、いいと思う。

 

そう言えば特典が何か判明した。ら

本来の司波達也のサイオン量の100倍。

再成魔法が痛覚遮断に加え、過去を何処までも遡って使用できる。

達也が苦手だった基本魔法が全て最速演算で使用可能。

これが魔法に関しての特典。

 

次は魔法と別の能力。

固有能力ーー錬成。小石一つ分の何かを用意すれば想像できるものを何にでも錬成できる。

性豪ーー性欲が無限。

 

これはハーレムを作れというお告げだと思う。

あ、でも俺が憑依したのは家を出た直後だから司波達也は二科生だったりする。

憑依前に試験受けてたら余裕で主席取れてたけどまぁ、可愛い妹が主席だし良しとするか。

 

 

「納得出来ません」

「何で?」

「え?」

「ん?」

首を傾げた深雪が疑問符を付けながら問いかけてきた。

「お兄様ですよね?」

「他に誰だと思うの?」

「で、でも、何か変です」

「それより何が納得出来ないの?」

「……ごっほん。お兄様が補欠な事です。入試の成績はトップだったではありませんか!本来ならば私ではなく、お兄様が新入生総代を務めるべきですのに!」

顔を真っ赤に染めて如何にも興奮して俺の事で怒っていた。

「まぁな。俺が本気出せば総代だろうが、世界だろうがトップはただ一人司波達也だよな?深雪」

「さすがです、お兄様!やっと本来の力をご自覚なさいましたか。深雪は嬉しいです」

嬉しそうに笑う我が妹、深雪。

「それより深雪、新入生総代をおめでとう」

「……はい。ありが」

そう言い切る前に深雪の桜色の唇にキスを落とした。

「な、なにゅを!なさいますか!」

頬を紅潮させて呂律が回ってない。

「お前の事を愛してる気持ちを込めてキスをしただけだよ」

「お、お兄様。私、司波深雪はお兄様に恥じないように新入生総代を勤めてまいります」

「あぁ、行ってきな。特等席で見ていてあげる」

はい、ではと会釈して講堂に消えた少女を見送って少年は『チョイロナ』とニヤついていた。

 

 

 

♢♢♢♢

 

講堂の裏にあるベンチに達也は腰掛けてスマホを取り出してあるサイトを見ていた。

 

ーーあの子、ウィードじゃない?

 

ーーこんなに早くから……補欠なのに、張り切っちゃって

 

ーー所詮、スペアなのにな

 

少年少女の達也を揶揄する声が聞こえる。

 

「ねぇ、君たち。そんな離れてコソコソ言わなくてもいいよ。俺の前に来て直接言いに来なよ」

「なに!?」

返答がないと思っていた相手からの突然誘いに驚くがそのままそそくさと離れて行った。

 

 

「新入生ですね。開場の時間近くになりましたよ」

八枚花弁のエンブレムは一科生の証。を胸元に付け、個人所有のCADを腕につけていた。

特権階級の生徒会か風紀員辺りだな。

豊かな胸に童顔の少女。タイプだ。

「サンキュー。もうすぐ読み終えるからそれからして行くわ」

そう返事をして上げた顔をまたスクリーンに落とした。

「感心ですね。スクリーン型ですか」

「まぁね。仮装型は読書に向いてないしね」

「何読んでるんですか?」

隣の空いてる場所に座りスクリーンを覗き込み顔を真っ赤にした。

「な、何を読んでいらっしゃるんですか!」

「ん?エロ漫画ですけど?」

「貴方ね、ここは学び舎です。そういう風紀の乱れは許しません」

「……そうですか。すいません」

スクリーン型の端末の電源を落とし軽く頭を下げて謝罪した。

「分かればいいんです」

そう行って満面の笑みを浮かべた少女。

「あ、名乗っていませんでしたね。私は第一高校の生徒会長をしております、七草真由美と申します」

「へぇ〜数字付きですか、可愛い子も七草にいたんですね」

「か、可愛いですって!?」

「えぇ、会長は俺のタイプですよ」

「それは光栄ですね。あなたのお名前は?」

「司波達也です。入試はトップだったけど二科生でーす!」

満面な笑みでピースしてやった。

「前代未聞の高得点が貴方みたいな生徒だとは驚愕しました」

 

それから当たり障りのない事を話してたらあーちゃんが会長を呼びに来て話が終わった。

あのロリもええな。この世界は可愛い子いすぎだろ。

 

 

♢♢♢♢

 

深雪の答辞も終わり、たまたま隣に座って来た柴田美月と千葉エリカと友達になった。

正直、メガネ属性のない俺は美月よりエリカに視線が入っていた。

勝気で元気溢れるオレンジショートの女の子。

 

「そう言えば司波くんは何組?」

「E組」

「やったわー。美月と私と司波くんは同じクラスよ」

 

「あー、すまん。妹と待ち合わせあるからこれからは付き合えない」

「もしかして新入生総代の司波深雪さん?」

「そう。深雪が俺の愛すべきマイシスター」

「司波くん、ちょっとキモいわよ」

ボソッとエリカが呟いた。

 

 

「お待たせしましたお兄様」

人垣から抜け出して来た深雪が俺に軽く頭を下げた。

「構わないよ深雪」

そう言って深雪の唇にキスをした。

 

「キャーーー」

周りを見ていた生徒たちが恥ずかしそうに悲鳴をあげていたが無視を決め込みもう一度唇に蓋をした。

 

「お、お兄様。今日は何か変です。深雪は深雪は嬉しいですけど」

「兄貴が好きな子にキスしていけないかい?深雪」

「もう、仕方ないですね」

 

 

「ちょーーっと待った!!!」

「何ですか?七草会長?」

「あのね、達也くんたちは兄妹よね?」

「そうですけど何か?」

「それはいけません」

そう断言した七草真由美の頬はリンゴのように真っ赤に染まっており恥ずかしい事が伺えた。

 

「仕方ありませんね」

前へ踏み出した俺は七草会長の顎を掴み舌を入れるキスを強行した。

 

「……ふぇ!?ええけええええええ?」

突然のキスに驚き慌てる会長に苦笑していたら隣から圧倒的な冷気が発生した。

 

「お兄様!……早速、浮気ですか?」

「そんな訳ないだろ!本気だ!深雪も愛してるし七草会長も好きになった!」

「いけません!お兄様は私の物です!もう今日は帰りますからね。よろしいですよね?」

目の圧力に仕方なく屈した俺は深雪に腕を組まれて自宅に帰った。

 




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