ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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ダンブルドアの思惑

独特の香りのする授業、今はこの香りが死臭を隠すための物だと理解する。

視線の先にはターバンをしたクィレルが立っている。

奴を止めなくてはいけないが、犠牲は出してはいけない。

今も奴の中にはヴォルデモートがいるはずなのだ、だからどうにかしないといけない。

なのに、ダンブルドアもセブルスも奴を捕まえようとしていない。

きっと、無理に捕まえようとすると犠牲が出るからだ。

 

「奴の目的は何?」

 

奴は、恐らく自身の復活の為に賢者の石を求めている。

つまり、賢者の石が手に入らない限り捕まるわけにはいかない。

ならば、奴は騒がれるような事は出来ない。

仮に私を、自分を瀕死にまで追い詰めた相手を処理するつもりなら二人きりの時だ。

 

「ダメだわ、私じゃ勝てるわけがない。数を揃える、でも巻き込むわけには……」

 

自分の力不足に悔しさを覚える。

もっと力があれば、教師すら圧倒できるくらいに闇の魔術に造詣が深ければ良かった。

だが、闇の魔術は誰も教えてくれない。

 

「おいおい、どうしたんだいハリエット。ハッ、鼻でもひん曲がったのかい?」

「ごめんなさい、今は話したくないの」

「随分と機嫌が悪いじゃないか」

 

ドラコとの話はそれっきりに、どうしたらいいか考える。

まず犠牲を出さないために、二人きりが望ましい。

でも、それだと殺されてしまうくらいに実力不足の私では手も足も出ない。

ダンブルドアはどう動く、そもそもどうやって賢者の石を守っているの?

何かが引っ掛かる、ダンブルドアは何もしていない訳がない。

いやそうか、あの場所で彼はずっと何かしていた。

 

「鏡だわ」

「鏡?」

「そうよ、鏡よ」

 

みぞの鏡だ。

アレにきっと隠したんだ、だからアレを移すって言ったんだわ。

アレは心の奥底にある願いを映す鏡、だったら復活を望むヴォルデモートは復活した姿が映るだけで……そういうことか。

 

「賢者の石を使うことが目的の者の前に、賢者の石は映らない。手に入れるのが映ることを条件としているなら、クィレルでも手を出せない」

 

でも、ならクィレルも手に入らないことは知っているはずだ。

じゃあクィレルは知らない?そもそも、鏡と怪物だけが守っているの?

他にも、たぶん仕掛けがあるんだ。

 

「それを突破してもやっぱり手に入らない」

 

だから、ダンブルドアは彼を放置している。

でもどうして彼を放置しているのかしら、アズカバンにでも送れば良いのにだ。

いや、きっとタイミングを待っているんだ。

彼が一人になる、生徒の近くに居ない時……結構あるわね。

じゃあ、別のタイミング?ダンブルドアは何を待っているの?

 

「ダメだわ、全然分からない」

「おい、ハリエット終わったぞ。さっきからブツブツ、悩み事か?次の授業に遅れるぞ」

「あぁ、うん。分かった」

 

クィレルになったつもりで、逆に考えるんだ。

まず本当に仕掛けを知らないのかしら?

ダンブルドアと同じくらい強大な魔法使いであるヴォルデモートなら自分が物を守る方法を考える。

そして、たぶんみぞの鏡に隠すくらいは思いつくはずだ。

だから、手に入れるには賢者の石だけを求める人が必要だ。

事情を知っている教師はダメ、なら生徒?

でも、生徒じゃ仕掛けを突破できない。

連れ出す、これもダメだ。

生徒が居なくなったらダンブルドアが動くはず、ならダンブルドアが居ない時に動くのかしら?

そもそも、賢者の石を手に入れろと脅迫した場合助かった自分しか映らない。

だから、脅迫は使えない。

服従の呪文、いや心までは操れないのかもしれない。

 

「クィレルが手に入れるには、仕掛けを突破できて脅迫されてない自発的に賢者の石を必要とする生徒が必要」

 

優秀な生徒が好ましい。

ハーマイオニー?いや、奴ならどう考える。

自分こそが偉大だと思っている奴のことだから、自分を瀕死に追い込んだ者が凡俗だとは認められないはずだ。

 

「奴は、私がもっとも優秀だと思っている?」

 

つまり、賢者の石攻略には私が自発的に賢者の石を求めるように仕向ける必要がある。

誰かを疑うとかそういう状況において自発的に動くように……誰かに不信感を抱かせる。

今の、私のようにだ。

 

「あの夢は、奴の罠?こうやって私が賢者の石を守らないといけないと思わせることが目的?」

 

そして、賢者の石を守る試練を、仕掛けを突破して、最後にみぞの鏡から賢者の石を取り出させる。

私が動かないことが、ダンブルドアの思惑。

でも、それではクィレルが捕まらない。

クィレルだって、私が来ないと思っていたら手に入らないと確信したら動かないはずだ。

 

「ダンブルドアは何を考えてるの、悪辣にもほどがあるわ」

 

本当に動かないことを望んでる?

不信感を抱かせて、まるで動くことを望むように振る舞っているのに?

もし私が動いて、私が死んでヴォルデモートが復活することを望むのか。

馬鹿な、あり得ないわ。

じゃあ、私が動いても復活しない自信があるんだ。

私はヴォルデモートと戦っても、奴に勝てると確信させる何かを持っている?

 

「そう、そういうことね」

 

きっと、それはダンブルドアが持ってなくて私だけが持っている何かだ。

それを使うことでヴォルデモートを倒せるんだわ。

ダンブルドアじゃ、それが使えなくてヴォルデモートを倒せないんだ。

そもそもヴォルデモートは私にどうやって倒されたのかしら?奴は死の呪文を用いて暗黒の時代を作り上げたのだから、きっと私にも死の呪文を掛けたはずだ。

私には死の呪文が効かない?効かないだけじゃなくて、掛けた者にダメージを与える?

いや、もしかしたら反射したり跳ね返したりしたのかもしれない。

 

「奴はアバダケダブラを喰らっても死なない?」

 

そんな奴を倒すことはダンブルドアには出来ないというの?

でも、私には出来るかもしれない。

だから、私に奴を始末させようと私を利用して、賭けに出ようとしている。

私が奴を倒す、倒せなくても弱らせる、そういう筋書きを考えている。

 

「これも計画のうちって訳ね。まるでやり方はスリザリンだわ」

 

目的のためなら生徒すら利用するって訳ね。

良いわ、なら私が動こうじゃない。

私が動かない場合、奴が何をするつもりか分からない。

どの道、私は動くしかないのだ。

そして、私から自発的に動く確信を持っているからダンブルドアは動かない。

いいわ、貴方が私を利用するなら貴方の計画すら利用してみせる。

 

「ごめんドラコ、忘れ物したみたい」

「えっ、またか。分かった、先行ってるよ」

 

ドラコと分かれて、トンボ帰りするように教室へと戻る。

教室には後片付けをしているクィレルの姿があった。

ドアを開け、中に入ってきた私の姿にクィレルは驚いた様子で、そして隠しているつもりだろうが小さく笑みを作っていた。

 

「こ、これはポッター・ハリエット、わ、わわ忘れ物ですかな?」

「先生、この間の続きを、闇の魔術を教えて貰えませんか?」

「きゅ、急に、どどどうしたんですか?まぁ、よろしいですけど」

「私、偉大になりたいんです。そう、かつての――」

 

喰いつけと、私は心の中で罠を張る。

奴を、奴を心酔するであろうコイツを利用する為にだ。

 

「――ヴォルデモート卿みたい」

「ハリエット!そ、その名は、言ってはいけない」

「何故ですか?彼は偉大な魔法使いです。純血主義の為に、戦った偉大な思想家ですよ」

「君は、本気で……そのようなことを?」

 

喰いついた、と私は確信した。

何故なら、クィレルの顔つきが変わったのだ。

 

「大事を成す為には手段は選んでいられません。それに、私はあの方が復活すると確信しています」

「なんと、なんと恐ろしい……」

「隠さなくてもいいですよ先生、ダンブルドアから聞いてますから」

「な、何を……」

 

私は笑いながら、先生に告げた。

その姿に、クィレルが身構える。

だが、そんなことは気にせず続けた。

 

「賢者の石、欲しいんですよね?」

「なっ!?」

「闇の魔術を教えてください。そして、一緒にあの方に仕えましょう。例の、あの人に」

 

最後に目的を達成するのは、ダンブルドアでもヴォルデモートでもない。

この私、ハリエット・ポッターだ!

 




ドラコ「そっとしておこう」
クィレル「嘘、私の正体バレすぎっ!」
ハリエット「主人公になることを、強いられてるんだ!」
御辞儀「モテ期の予感がする……エンッ!」

※この後書きはフィクションです。本編の人物や団体などとは関係ありません。

変更点
女の子だから成長が早い(偏見)によって頭が良くなる。
頭が良くなったためダンブルドアの計画に気付いた。
スリザリンだから母の愛すら無自覚に利用するようになった。
ダンブルドアのヘイトが上がった。
御辞儀様の好感度が嫌な奴から割と好きに変わった。
クィレルが仲間にしたそうに見ている。仲間にしますか? →はい いいえ

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