ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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生き残った子と賢者の石

遂にこの日が来たとハリエットポッターである私は思った。

何かしたのか、魔法省からの呼び出しによってダンブルドアがいなくなったのだ。

聞けば不敵な笑みを浮かべ、クィレルは偽の手紙を出したのですと自慢げに言う。

正直なところ、その姿は酷く似合っていない物だった。

 

「どこに行こうと言うんだい、ポッター?」

「ドラコ?」

 

夜、透明マントを持ち出した私を呼び止める声が聞こえた。

その声を発した男の子、ドラコはどこか決意した顔つきでらしくない態度を取っていた。

まるで、敵対するかのように呼び方まで変えてだ。

 

「私、行かなきゃ。セブルスとの約束があるの」

「嘘だね。今日はスネイプ先生の補習の日じゃない」

「……明日の間違いね。でも、そうよ、クィレル先生に呼ばれてるの」

「はぁ……君、嘘を吐くとき前髪を触る癖を直した方が良い」

「えっそんな癖が!でも、触ってないわよ……あっ」

 

そう言って、ハッとする。

確かに触ってないし、そんな癖があることも知らなかった。

というか、そんな癖は存在していなくてドラコのブラフだったのだ。

嵌められた、とドラコを睨み付ける。

 

「私を嵌めたのね!」

「ブフッ……」

 

顔を赤くして、ちょっと挙動不審なドラコに首を傾げる。

でも、それよりも何で邪魔をするのか気になった。

なので、私は咳き込むドラコの事を考慮せずに杖を向けた。

 

「ど、どうして私にそんなことをしたのか言いなさい!」

「ちょっと、君は言動に注意をした方が良い、絶対に絶対にだ」

「あっ、うん……ってそうじゃなくて!」

「君が夜に抜け出すのは、あー……スリザリンがトップだから問題なんだ。ほら、減点されると良くないだろ」

「でも、行かなきゃいけないのよ」

 

ダンブルドアの思惑に従うことになるが、それでもこれが一番ベストな方法であるのは確かである。

20世紀で最も偉大な魔法使いであるダンブルドアの策略だ。

例えそれが、私を英雄に祭り上げる為の布石の一つだとしても止まれない。

止まることは許されない、何故なら……。

 

「貴方達の為なのよ、ドラコ」

「君が何をしようとしているのかは関係ない。僕は、君が悲しむ結果になりそうなのは享受出来ない、それだけだ。さぁ、御辞儀をしろポッター!」

「ドラコ、本気なのね」

 

私の前で御辞儀をするドラコ、これは前に聞いた決闘の作法だ。

純血を気にする家は魔法界で言うところの貴族、貴族にとって決闘とは譲れない物を賭ける戦いだ。

その本気で阻止するという所作に生唾を飲み込みながら私も御辞儀をした。

 

「イモビラス!」

「サルビオヘクシア!」

 

背中を向け、西部劇のガンマンのように距離を取って私達はお互いに呪文を唱える。

私が唱えたのは動きを止めるイモビラス、対するドラコはそれを読んで妨害呪文で魔法を逸らした。

拙い、ドラコが学年で習うことがないような魔法を使えるなんて思ってなかった。

 

「サーペンソーティア!」

「蛇?それは悪手だったわね!『彼を縛り上げて!』」

「まさか、パーセルタング!?君はパーセルマウスだったのか」

 

蛇は我が意を得たりと鎌首を縦に振り、そのまま反転してドラコに巻き付く。

このまま変身呪文で縄に変えれば……可哀想かしら?

 

「考え事とは余裕だな!ヴィペラ・イヴァネスカ!」

「反対呪文ね」

「出し方を知ってるのに消し方を知らない訳がないだろう」

 

ドラコはそのまま杖を構えたまま此方の様子を窺う。

なんで攻めてこない、何を考えているの?

そう思っていたら階段を下りる音がした。

人、そうか時間稼ぎが目的か!

 

「僕一人じゃ、石にでもされてしまうからね」

「また私を、エンゴージオ!」

「キャァァァ!?私、デブになっちゃう!」

 

杖先から肥大呪文が飛び立ち、階段から目を擦った状態で下りてきたダフネに当たる。

服のサイズが9から23になるくらい、つまりはトドみたいな自分じゃ歩けないようなデブになってしまった。

 

「何の、キャァァァ!?」

「パンジー、見てないで助けて!」

「君って凄いけどおっかないね」

 

ドラコにちょっと引かれたけど、構わず呪文を唱える。

 

「ステューピファイ!」

「うっ!?」

「ごめんなさい。でも、私を嵌めようとして狡猾な方法を取った貴方が悪いのよ。ダフネをデブにした罪は貴方が被って頂戴、失礼」

 

私の杖から赤い閃光が飛び出し、ドラコを見事に麻痺させた。

そのまま倒れるドラコを余所に、私はクィレルの元に向かった。

 

 

 

3階の廊下に行き、ドアを開けるとそこにはスヤスヤ寝た三頭犬がいた。

これが怪物、ハーマイオニー達が見たケルベロス。

 

「お、お待ちしてましたよ。さぁ、い、行きましょう」

「はい先生」

 

待っていたクィレルと一緒に隠し扉を開けて中に入る。

中には植物が敷き詰められており、私達はズボッと嵌まってしまった。

 

「これは、悪魔の罠ですね」

『クィレル、エバネスコで消せ』

「先生の手を煩わせる程ではありません。ここは私が、ルーマス・ソレム」

 

杖先からルーモスのように強い光が出る。

これは日光を生み出す魔法、調べたところ熱を孕み、赤外線、紫外線を含んだ光でルーモスの様に光だけではないということ。

恐らく、ルーモスを元に発展した魔法だと思われる。

 

「す、素晴らしい。悪魔の罠について博識、スリザリンに5点」

「先生、授業じゃないです」

「そ、そうでしたな、ははは」

 

次の仕掛けは鍵が飛ぶという意味の分からない部屋だった。

恐らく変身術の類いであろう物で、侵入者は鍵を捕まえなくてはいけない。

 

『血を使い、鍵を作れ』

 

クィレルが指示通り鍵を作ったことで難なくドアを開ける事が出来た。

奴は、ダンブルドアにしてはお粗末だと文句を垂れる始末。

ヴォルデモートの言うとおり、これは子供でも突破できる仕掛けなのだろう。

 

次の部屋はチェスの部屋だった。

駒が配置されており、クィレルが杖で粉々に砕こうと動き出す。

 

『待て、呪文を仕込んでおる。砕こうとすれば反撃を喰らうようだ。だが、俺様の指示に従って動かせ』

 

それからヴォルデモートの意外な特技により、チェスに勝利。

なお、部屋を出る途中に駒は元通りになっていて、魔法って凄いと思った。

最後の試練を通り抜け、私達はみぞの鏡の前にいた。

 

『クィレル、どうだ?』

「ダメです。ホグワーツの校長になった私が映っています」

『ポッターを使え』

 

いよいよ私がという場面になる。

鏡の前に立ち、そこに映った物を見る。

倒れたクィレル、その横でみんなと抱き合う私。

 

「すみません、無理でした」

『嘘を吐くな!』

「嘘じゃないです、本当ですよ」

 

私は振り返り、杖を構える。

その姿にクィレルが何のつもりだと身構えた。

 

「ハリエット!どうして、君が……」

「誰だ!」

 

今か、と思った瞬間だった。

声が入り口からした為、私達は視線を向ける。

すると、そこにはボロボロになった彼がいた。

 

「どうして貴方が……どうしているのネビル!」

「僕達、スネイプを止めようと……でも違った。貴方だったんですね、クィレル先生!」

「な、何だね君は!」

 

クィレルが動転しながらも杖を構える。

いけない、と私はクィレルに向かって呪文を唱えた。

 

「エクスペリアームス!」

『甘い、甘いぞ小娘!』

 

死角から放った私の呪文を、クィレルが杖を振ることで弾く。

呪文はなく、ただ杖を振っただけだ。

そして、私の方を油断なく睨んだ。

 

「ネビル、逃げなさい!」

『その小娘を黙らせろ!』

「ペトリフィカス・トタルス!」

 

ネビルに気を取られていた私はその呪文を受けて倒れてしまう。

目は開いたまま、石になったように固まる。

 

「ハリエット!」

『小僧、鏡の前に立つのだ!安心しろ、立つだけで良い』

「…………」

 

ダメだ、と私は口を動かそうとするが動かない。

どうして、多くの呪文を学んだし使えるようにしたっていうのに……。

不甲斐ない気持ちに苛まれる。

賢者の石が手に渡る、私は勝てるんじゃなかったのか、私の考えはダンブルドアの思惑は予想に過ぎなかったのか。

頭の中がグチャグチャと思考を続ける。

 

『何が見える』

「ママとパパに友達を紹介している」

『嘘だ!捕まえろ、クィレル!』

「お前に賢者の石は渡さない!ヴォ、ヴォルデモート!」

 

クィレルがネビルに近づこうとする。

このままじゃ、ネビルが……ダメよ!

 

「思い出したぞ。劣等生の、ネビルロングボトム!君のような子供が戦う気かい?」

「確かに僕は何も出来ないさ、でも友達を信じる事くらい出来る!」

 

ネビルの杖が私に向けられる。

その様子に、クィレルはギョッとした。

 

『ロングボトム?いかん、奴を止めろ!』

「フィニート・インカンターテム!うわぁ!?」

 

ネビルが吹き飛びながら呪文を唱えた。

呪文は杖から放たれ、私に着弾する。

すると、私の身体に力が入るようになる。

 

「おのれ、アバダ――」

「うあぁぁぁぁぁぁ!」

「なっ、あがぁぁぁぁ!?なんだこの魔法は!?」

 

気付けば、私の身体はクィレルにタックルしていた。

もう呪文とか使っている余裕もない無我夢中な行動のせいだった。

だが、それが意外な結果を生み出す。

クィレルの身体は触れたところから焼け爛れたのだ。

 

『貴様ぁぁぁ!』

 

皮膚が焼け落ち、砂のように崩れていくクィレルの身体からヴォルデモートが飛び出した。

霞のような姿で、それは私の身体に乗り移ろうとする。

私は無駄だと分かっていながら拒絶するために手を押し出す。

 

『うあぁぁぁぁ!』

 

顔を掴んだ私の中でヴォルデモートが叫び声を上げながら霧散した。

……勝ったの?

 

「ハリー!」

「……ネビル?」

 

霞んでいく視界の中、心配そうに此方を見るネビルが映るのだった。

 




ドラコ「御辞儀だ、御辞儀をするのだ!」
ドラコ「ダフネが大変な事に、しまった!?」
ドラコ「失礼って……白か」
御辞儀「チェスは得意だ。俺様は頭がいいのだ」
クィレル「本当は二代目闇の帝王になってる自分が見える、出世してぇ……」
ネビル「そんなハリエットが黒幕!?いや、違うか」
御辞儀「ロングボトムって闇払いじゃね?」
ネビル「やった、初めて成功したぞ!」
ダンブルドア「鏡の裏でスタンバってました」

※いつからハリエットが主人公だと思った?そう、錯覚だ。
(本編と後書きは関係ないので嘘です)

変更点
ドラコ御辞儀する。
ダフネデブになる。
ネビル、ハーマイオニー、ロンが動く。
ネビル、グリフィンドール生としての自信がちょっと付く。


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