ハリエット・ポッター物語   作:nyasu

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フローリシュ・アンド・ブロッツ書店

フローリシュ・アンド・ブロッツ書店、そこが私の目的地である本屋だった。

そこには本がずらりと並べられており、マグルと違うのは表紙の絵が動くことだろうか。

どうでも良いことだが、落書きをすると嫌がる反応をしてくれたり抗議してくるので魔法界の本は面白い。

そんな場所では、誰かハリウッドスターでもいてパパラッチが出待ちしているのかと思えるような人集りが出来ていた。

 

うんざりしていると、そんな人集りの中に知り合いの姿がある。

それは、本を片手にやたらキラキラとした目で順番待ちするハーマイオニーだった。

 

「ハーイ、ハーマイオニー」

「まっ、ハリエットじゃない!丁度良かった、はいこれもって」

「なんなの、まるで出待ちしてるファンみたい」

「やったね、その通り!ギルデロイ・ロックハートのファンよ!」

 

貴方ってそんなキャラだったけ、と思うばかりの変貌振りに正直引く。

なお、ハーマイオニーはそこからイエーイとハイタッチする始末だ。

……顔か。

 

「やぁ、二人とも」

「あら、ロンもいたのね。っていうか、当たり前よね」

「うん、ママがファンなんだ」

「ごめん、その当たり前じゃなくて教科書を買うならここよねって意味」

「そっか、てっきりファンかどうかの話かと思った」

 

うんざりした顔でロンが本を持っていた。

なるほど、同じようにサインを貰いに行く訳だ。

つまり、ロンママとハーマイオニーはサインされた本を二冊持つ訳である。

観賞用と保存用かな?

そんな出待ちをしている最中、やれ最近どうとか手紙が届かないとか他愛もない話をしているとギルデロイ・ロックハート氏がやってきたぞという声が店内に響いた。

 

「やぁやぁ、ありがとうありがとう。大丈夫ですよ、皆さんの偉大なる英雄ギルデロイ・ロックハートはここにいますよ」

「彼って頭のネジが何本か飛んでるんじゃないの?」

「飛んでても問題ないよ」

「あら、そうかしら?」

「だって中身がないから、固定したところで意味がないからね」

 

自尊感情というか自己顕示欲というか、取りあえず自己主張の激しい御仁に辟易していると、記者が失礼マダムとか言いながら割って入ってくる。

並んでるんだから、そういうのってちょっとないんじゃないと思ってたら、何故かギルデロイ・ロックハートと目が合った。

 

「ワーオ、悪いニュースだ。聞きたい?」

「奇遇ね、嫌な予感がするわ」

 

ロンが横でうんざりするような顔をしていたら、大きな声が店内に響いた。

 

「もしやハリエット・ポッターでは?やや、これは素晴らしい!失礼マダム、おっとありがとう。あぁ、握手ですね、はいありがとう」

 

気付いたらすぐ傍までやって来るギルデロイ・ロックハート氏。

その視線を釘付けにする彼に釣られて視線は私に移る。

勿論、それはファンからの嫉妬の視線だ。

 

「さぁさぁ、此方ににっこりして……皆さん何と記念すべき瞬間でしょうか!ハリエットさんが、いやハリーちゃんがフローリッシュ・アンド・ブロッツに私の自伝『私はマジックだ』を買いに立ち寄ってくれました。はい、拍手!」

「ちょ、ちょ、良いです」

「遠慮しないで、さぁもっと寄って。おっと、失礼腰に手を当てても?」

「ダメに決まってるでしょ、馬鹿じゃないの!?」

「ハハハ、照れてらっしゃる」

 

指示通り、ファン達から拍手が巻き起こった。

注目されることに横の馬鹿は喜んでいるが、私にとっては堪った物じゃない。

思わず赤面して、この場から逃げ出したいくらいだ。

ただし、腰の手が私を拘束していなかったらの話である。

 

「ついでながらこの本は日刊予言者新聞ベストセラーで27週連続1位を飾ってるわけでありますが、なんと彼女は思いがけずその本だけではなく私の全作品を手にするのです。そう、無料で差し上げます。因みにホグワーツの教科書でもありますよ」

「嘘のようだろ、ホントだよ。君ってラッキーだね」

「じゃあ、ロン交代しましょう」

「それは遠慮しとくよ」

「素晴らしい、こりゃ一面だ!」

 

ぎこちない笑顔でいる私とギルデロイ・ロックハートとのツーショットを記者が写真に撮りながらそんなことを言った。

心の中で、教科書代が浮いて良かったと思う反面、いらないと思ったのだった。

 

 

 

嵐のような展開に、疲れたなぁと休んでいると今度はまた騒ぎが起きていた。

何だろ、誰か喧嘩でもしてるのかと思ってハーマイオニーの方に行く。

ハーマイオニーはオロオロした様子で店先の方を見ていた。

 

「ごめん、今の状況は?」

「ウィーズリーとマルフォイが喧嘩してるわ、どうしましょう?」

「あぁ、いつもの奴ね」

 

人混みを掻き分けて、ロンとドラコを止めようと思い顔を覗かせて私は固まった。

何故なら、目の前に中年二人の取っ組み合いの喧嘩が起こっていたからだ。

 

「ちょっと規模がデカかったわ」

「ハリエット!小っちゃい方も始まった!」

「嘘でしょ、これってもう遺伝とか伝統ってレベルな訳?」

 

今度こそと、いつもの二人の元に仲裁に入りに行く。

なお、大人の方はロンママが動いているらしい。

 

「ドラコ!ロン!何してるの!やめなさい!」

 

目の前で喧嘩している二人を止めるべく叱りつける。

因みに、ロンの方が優勢でドラコはボロボロであった。

マウントを取られていたドラコからロンを無理矢理引っ張って距離を取らせる。

まったく、何が理由で喧嘩したのか呆れて物も言えないわ。

 

大丈夫かしら、と倒れるドラコを助け起こしながらやり過ぎよと妹に止められているロンを睨み付ける。

すると、ロンは何で僕ばっかりと言いたげな表情で悪態を吐いた。

 

「ケッ、よかったなマルフォイ。同じスリザリンのハリエットが助けてくれてラッキーだったな」

「うるさい!」

 

ドラコは私の手を振り払うと立ち上がって、ロンに向かって怒鳴りつける。

 

「黙れ!魔法使いの面汚しが、碌な本も買えないお下がりばかりのウィーズリー」

「口だけは達者だな、後は身体を鍛えた方が良いんじゃないか?女の子に助けられて、どっちが面汚しだよ」

「貴様!こんな汚らしい『穢れた血』の助けなんか僕には必要ない!」

 

私は目を瞬かせて言葉を飲み込む。

……穢れた血、穢れた血ですって?

 

「結構よ!もう邪魔しないわ、勝手にして頂戴。そうそうマルフォイ、父親に喧嘩の仕方でも習ったらどうかしら?失礼!」

 

踵を返し、二人のいた場所を後にする。

ハーマイオニーが近づいて何やら話し掛けてきたが、どうでも良かった。

今は一人になりたい、そんな気分だったのだ。

そんな私の前に立ち塞がったのは、見たくもないブロンドの髪に青白い肌のドラコによく似た男だった。

 

「あぁ、ミスポッター。ルシウス・マルフォイですお見知りおきを……失礼」

 

そう言って伸びてくる手を、私は振り払いながら睨み付ける。

 

「触るな!レディーに気安く触れるなんて、親子揃って礼儀を知らないようね」

「何だと!小娘が、調子に――」

 

私は杖を向けられる前に取り出した杖で威嚇する。

やるならやってやると、煮え滾るような感情を面に出すように毅然とした態度でだ。

 

「誰でもいい気分なんだ……別にお前でも」

「ッ!行くぞドラコ、目的は果たした」

 

逃げるように背を向けるルシウス・マルフォイから杖を下ろし、他の魔法使い達のように駅に向かって人混みに消えるのだった。

他の魔法使い達が壁に向かって突っ込むという毎年恒例の光景を横目に、私も続くようにカートを動かした。

そして、そのまま壁に向かって進んでいき……。

 

「うっ!?」

「お、おい!どうしたんだ!?」

「す、すいません。カートが言うことを聞かなくて」

 

壁に激突して呆然としていた。

嘘、どうなってるの?

 

「ドビー、お前もか!」

 




ハーマイオニー「うはwwwキタコレwww」
ハリエット「アイツは話を聞かない奴だったよ」
ドラコ「そんなお下がりで大丈夫か?」
ロン「一番良い教科書を頼む」
ドラコ「あっ……」
ロン「何てことをナメクジ喰らえ!」
ルシウス「この私が……ガンだけで……私が圧倒されるなど」

※後書きはフィクション、つまり関係ないです

変更点
からかわれる対象がハリーではなくロン、喧嘩になる。
ハリエットを一目見ようと店内に喧嘩になる、親同士の喧嘩になる。
傷、触らせない。
壁、通らせない。
車、飛ばない。
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