ホグワーツにやって来ると、私達は宴の席で憂鬱になった。
それはダンブルドアが恐ろしい事を言ったからだ。
「アズカバンからシリウス・ブラックが脱獄した」
アズカバン、シリウスブラック、脱獄、ファッジ、私の中でパズルのピースが繋がる。
しまった、最近新聞読んでなかったから分からなかった。
そう後悔しても遅かった。
だが、それは憂鬱の原因ではない。
「魔法省は今年度、ホグワーツにアズカバンの看守である吸魂鬼を設置することに決めた。これは諸君らの安全を考えたことであり、同意の上でのことじゃ」
なんと、ダンブルドアはあの吸魂鬼をホグワーツの周りにうろつかせるなんて事を言ったのだ。
何人かの生徒は不格好な笑顔を浮かべているが、そんな痩せ我慢が出るくらい異常事態であった。
正直、この学校の誰もが顔を顰める不快な存在の話だからだ。
「ダンブルドアは何を考えているんだ」
「でもドラコのお父さんが決めたんじゃ無いの?」
「僕のパパがそんなこと許可するわけが無い」
誰かとドラコが喋ってる内容に耳を傾けて見るとみんなおかしいと思っているようだった。
いや、たぶん私が一番の原因なんだろう。
因みに、その時の私は聞こえないふりをして黙々とパイを食べていた。
「あのハグリッドが授業をするらしいぞ」
「リーマス・ルーピンはスネイプと仲が悪い」
「占い学は楽単って聞いたよ」
色々な雑音が耳に入ってくる中、私は誰とも会話すること無く食事を終えた。
ホグワーツに来て、最初の授業は占い学であった。
ふやけた茶色い物がいっぱいと言った感想が出てくる授業だが、正直取る意味を感じない。
なぜなら、すごく曖昧な学問で先生もユニークすぎてぶっ飛んでる先生だからだ。
まさか、初日にお前は死ぬぞみたいな予言を言われるとは思わなかった。
先生の実力は優秀なんだと思う。
実際に前情報なしに私が黒い犬を見たことをピタッと当てたからだ。
惜しむらくはその犬が死神犬だからお前は死ぬぞとかトチ狂った事を言ったことか。
グリムなんてのはゲームの知識ぐらいしかないけど、実在しているらしい。
もっとも、アレは墓場にいるから不吉だなと思われてるだけで因果関係は確認されていないらしいけど。
次の授業はグリフィンドールと合同の魔法生物飼育学だった。
あの、怪物的な怪物の本を読むように書いたハグリッドの授業である。
お前、教員免許持ってんのとかツッコミを入れてはいけない。
彼は中退したけど、生物の飼育に関してはスペシャリストだから。
「はぁい、調子はどう?」
「うん、何が?」
突然、気疲れしたような充実したような顔のハーマイオニーが心配してきた。
それに対して首を傾げていると、ハーマイオニーは一人で納得した様子を見せる。
「占い学散々だって聞いたわ。ちなみに私はまだよ。話は変るけど、闇の魔術に対する防衛術の授業で貴方もびっくりすると思うわ」
「あぁ、なるほど。君は戻ってくる前のハーマイオニーなんだ」
「そうよ。占い学はこの後かしらね」
ややこしいが、つまりは一緒に受けていたハーマイオニーは未来ハーマイオニーで、このハーマイオニーは逆転時計を使う前だと言うことだ。
でもって、ハーマイオニーが言うには闇の魔術に対する防衛術の授業では、まね妖怪を使うらしくてびっくりするらしい。
確かにびっくりだわ、結構ギリギリの難易度だからだ。
「いいな、グリフィンドールの方が先に授業して」
「数日したらスリザリンもやるでしょ」
「いいなぁ」
二つの集団から離れた所で私達が喋っていると、授業がいつの間にか開始する。
ハグリッドは待たせたなと胸を張ってすごい動物を連れてきた。
私達がハグリッドに言われて近づいた牧場に、それはいた。
鳥のような頭を持った馬のような胴体、間違いないグリフォンだ。
「すごい、あれってグリ」
「ヒッポグリフね」
「えっ、あっ、うん、だよね知ってた!」
「うん?」
違った、ヒッポグリフだった。
危うく恥を晒す所だったが何とか誤魔化せた。
ハーマイオニーが不審がってたけどセーフだと思う。
ハグリッドは連れてきたヒッポグリフを誇らしげに解説する。
「ヒッポグリフだ。美しかろう、えっ?コイツらはとても誇り高い生き物なんだ。賢く気高い、まずは御辞儀だ。御辞儀をしろ、返してくれたら近づく許可をくれたことになる。くれぐれも侮辱なんてするんじゃないぞ」
そんな畜生が侮辱されたくらいで理解できるのかと思ったが、賢いし魔法生物だし言葉が理解できるのだろうと判断する。
最初に近づくのは誰だとハグリッドが言う。
勿論、私とハーマイオニーが手を挙げた。
「よしよし、じゃあハリエットからやろう。ハーマイオニーは簡単に出来ちまいそうだから後にしよう」
言われたとおりゆっくり近づき御辞儀をする。
その際、相手の視線に会わせる。
すると、ヒッポグリフは膝を曲げて御辞儀を返してくれた。
すごい、賢い、可愛い!
「よくやった、さぁ嘴を撫でてやれ」
「おぉ、おぉ、すごいわね!」
「そうだろうそうだろう。さぁ、他の生徒もやってみろ」
機嫌を良くしたハグリッドが他の生徒達にもやらせようとする。
あぁ、と名残惜しいが私はヒッポグリフから離れて授業を見守っていた。
そんな授業で、トラブルが起きた。
「死んじゃう!」
その声は、ドラコの物だった。
突然の声になんだと思ったらヒッポグリフが目の色を変えて暴れていたのだ。
それは誰が見ても怒っていると分かった。
「バックビーク!」
「ごめんなさい、ステューピファイ!」
これ以上は危ないと思った私は、杖から赤い閃光を出した。
それはヒッポグリフに当たり、身体を麻痺させる。
良かった、どうやら掠り傷ぐらいで怪我は大したことはなさそうだ。
「おい、侮辱したなマルフォイ!スリザリンは10点減点だ!ハリエット、助かった。だから、スリザリンには5点やろう」
「大丈夫かしら」
「あぁ、心配ない」
トラブルはあった物の最初の授業はハグリッドの満足のいく物だった。
実際に、生徒達の評判もスリザリン以外は好評らしい。
度胸試し的な要素が大好きなグリフィンドールとプライド高いスリザリンらしい分かれ方をした授業の感想だった。
数日後、待ちにまった授業がやって来た。
あのハグリッドの授業から数日が経過し、やっと闇の魔術に対する防衛術の授業がやってきたのだ。
次の授業はハーマイオニーが言っていたびっくりする授業だ。
グリフィンドールが先にやったとはいえスリザリンでは、噂だけで戦々恐々と入った雰囲気が広がっていた。
「さぁみんな、実践だぞ。因みに噂で聞いてると思うが、まね妖怪ボカートがこの箪笥にいる。因みにボガートを倒す呪文は簡単だ。しかしこれは精神力がいる、こいつをやっつけるのは『笑い』なんだ。君達はボガートに、君達が滑稽だと思える姿を取らせる必要がある。さて、まずは杖なしで練習しようか。私の後に続いて言ってごらん……リディクラス! 馬鹿馬鹿しい!」
「リディクラス、馬鹿馬鹿しい!」」
みんなで呪文の練習をして、その様子にルーピンが満足そうに頷く。
まね妖怪は自分の怖い物が姿になると説明され、それを可笑しくするのがこの呪文らしい。
私の怖いことか、きっと名前を書き忘れたテスト用紙になるに違いない。
もしくはセーブデータの消えたゲーム画面とか、思い出したら、うっ頭が……。
「だ、大丈夫かいハリエット?」
「大丈夫です先生、過剰なストレスにダメージを受けただけです」
「お、おう。それじゃあ、君からやって貰おうかな」
そう言ってルーピンが箪笥を開けた。
心構えをした私は箪笥から出てくる黒い影を見て固まった。
ど、どうしてコイツが校内にいるんだ!外にいるんじゃなかったのか。
思考のフリーズ、それは目の前に吸魂鬼が出たからだ。
「あ、あわわわ」
「ハリエット、アレは真似妖怪だ!さぁ、呪文を……ハリエット?」
「うぅ……」
気付けば私の意識は遠のいていた。
先生、これは予想外です。
ハリエット「おい、パイ食わねぇか?」
トレローニー「お前はもう死んでいる」
ヒッポグリフ「御辞儀だ、御辞儀をするのだ!」
ドラコ「人間より優れた動物はいねぇ!」
ヒッポグリフ「お前は俺を怒らせた!」
ルーピン「ブツブツ入ってるけど、ハリエット心配だなぁ」
ハリエット「きゅー><」
ルーピン「コイツ、立ったまま気絶してるッ!?」
真似妖怪「箪笥でスタンバってました」
※後書きが本編が関係ない説明が、最近ネタ切れしてきた。本編と後書きは関係ないよ。
変更点
恥ずかしいのでマルフォイ、掠り傷を大袈裟に演出しない。
真似妖怪、倒せない。
ヒッポグリフ、死亡フラグを折る。