打てば響くというかのようにセブルスは質問には誠実に答えてくれた。
ホグワーツがどんなところかと言われれば四つの寮がある学校で、階段や絵が動いたりする場所などだ。
聞かなくても注意すべきことなどを教えてくれたりもした、例えば純血主義とかだ。
だが、父と両親を殺した人間の話だけは頑なに話したがらなかった。
「セブルス、いつか分かることよ。だから、教えて」
「必要ない」
「もう、セブルスの分からず屋!そんなにお父さんの事が嫌いなの!」
「何故それを……まさか開心術を」
「聞かなくたって分かるわ、あと開心術って何?」
言いにくそうにしていたが、あの男はとかアイツはとか嫌いだって本心が漏れ出ていれば嫌でも分かるというものだ。
その割にはお母さんのことは饒舌に話すので、実は好きだったりと思ったりもする。
いや、ないな。セブルスがくれた恋愛小説の影響でそんなラブコメな想像をしてしまっただけだ。
「じゃあ、例のあの人について教えてよ。私、知ってるんだから。だって本に書いてあったわ」
「むっ、そんな所から」
「私が生き残った女の子って書いてあったわ。その人が私の両親を殺したこともね」
気を使ってか、口を噤んでいるようだがいつか分かる話だ。
それに、その人と私はいつか争うはずである。
少なくとも、セブルスの口振りでは叔母さん達を襲う相手だ。
本には死んだとか行方がわからないと書いてあるが、一日で骨折が治る世界だ。
大怪我から復帰するくらいあり得ない話ではない筈だ。
「魔法界では話さない方がいい人物だ。マグル学でいうなら、ヒトラーのような存在だ」
「うっ、それは相当不味いわ」
「例のあの人が恐れられたのは多くの者を死の呪文で殺害したからだ。唯一の例外、君を除いてだ。さて、話は終わりだ。明日は駅まで行かなくてはいけない、今日は寝なさい」
そう言ってセブルスは戸惑いながら私の頭を撫でると、ベッドに入るように言った。
戸惑うなら撫でなければいいのにと思うが、嫌ではないので言わないでおく。
明日はホグワーツ行きの列車に乗るからと早く寝るのだった。
翌日、普通にマグルの駅であるキングス・クロス駅に来ていた。
入学許可証とともに渡されたチケットには9と3/4番線と書かれており、そこに行くには9番線と10番線のプラットホームにある煉瓦の柱を通り抜けなければならない。
マグルに見られちゃうといえば、魔法で大丈夫とのことだった。
魔法で大丈夫、万能な理由であった。
「壁に突っ込むの、分かっていても怖いわ」
「大丈夫だ、吾輩が付いている」
「着いたら言って、目を開けるから」
目を瞑ったままセブルスと壁に突っ込む。
しばらくすれば、終わったぞと言われて目を開ける。
すると、目の前には汽車という前時代的な物が見えた。
「おぉ、魔法界には遅れながら蒸気機関が発明されたのね」
「驚くところはそこなのか。ハリエット一人で行けるかね、なんだったら一緒にホグワーツに飛ぶことも出来るが」
「もうセブルス、手順は何度も聞いたわ。前から思ってたけど、ちょっと過保護過ぎない?案内役にしては、面倒を見すぎな気もするんだけど」
「……吾輩は君をホグワーツに届ける義務があるからだ」
嘘っぽいなと思いながら、言及せずに汽車に乗り込む。
一人で出来ると思ってもらわなければ困るからだ。
「それじゃあ、また後で」
「う、うむ。忘れ物はないだろうな?」
「大丈夫って言ってるでしょ、もう」
私を子ども扱いしすぎではないかと思いながらも、心配されるのが新鮮でちょっと嬉しかったりした。
セブルスと別れてコンパートメントの一室で教科書を読んでいると、誰かが入ってきた。
ここ空いてると、どうやら場所を探していたらしい。
私に似た赤毛の素朴そうな少年だった。
「ごめん、どこも開いてなくて。女の子だから断られるかと思ったよ」
「それって偏見だわ。別に気にしないもの」
「僕は気にするんだ。あっ、僕はロナルド・ウィーズリー、ロンって呼ばれているんだ」
「ハリエット・ポッターよ。あっ、叫ばないで、いい」
思わず叫びそうな少年の口に手を当てて忠告する。
危なかったのか本人もコクコクと気まずそうに頷いた。
「わお、君って本当にハリエット・ポッター?じゃあ、アレもあるの」
「アレって?」
「その、傷だよ、あるんだろ?」
「ロン、これでも女の子なの。その話はやめて、ちょっとデリカシーに欠けるわよ」
「うっ、ごめん……よく妹にも言われる、デリカシーがなかった」
本人も自覚している訳だったがしてしまったようで、私の中でロンはしょうがない奴という認定をした。
ロンと話そうとすると、男の子だからかあんまり魔法の話は通じなかった。
というか、勉強の話はやめようよといった感じだ。
もっぱらクィディッチというスポーツの話で、勉強よりスポーツの話とはやっぱり男の子だなという感じだ。
しばらく教科書を読みながら、クィディッチってどういうスポーツなのか聞いていたら女の子がやってきた。
何の用だとか聞こうとする前に喋りだす。
「ねえ、ヒキガエルを見なかった?ネビルのがいなくなったの」
「見てないけど……貴方の?」
「私はネビルじゃないわ、誤解しないで。私の名前はハーマイオニー、ハーマイオニー・グレンジャーで両親はマグルよ。仕事は歯医者で、あぁそんなのはどうでもいいの。ネビルって男の子のカエル、名前はトレバーっていうんだけど逃げちゃったの」
「良く喋るのね」
彼女のマシンガントークにビックリである。
ただ、そのネビルというこのペットが逃げたってことは分かった。
私も良く物を失くすから、こういう時はどうすればいいかセブルスに習った魔法がある。
「私にいい考えがある」
「僕知ってる、それってマグルの世界でフラグってやつだ」
「私も嫌な予感がするわ」
何をする気だろうと不安そうに見つめる二人に、杖を取り出しながら大丈夫大丈夫と言う。
何度もやってるし、失敗することはないのだ。
「アクシオ、カエル!」
「……何にも起きないね」
「そんな筈は……」
もう一度、唱えようと杖を掲げた瞬間何かが飛んできた。
茶色い、カエル?
「うぎゃ!?」
「カエルチョコだ!」
女の子があげていい声じゃない物が出たのはカエルチョコが自分の顔に当たると同時だった。
ハーマイオニーが悲鳴を上げながらどこかに逃げ、ロンが慌てだす。
私は顔に張り付いたカエルチョコを叩き落して目の前の光景を見た。
それは、大量のカエルチョコの群れだ。
「ちょ!?」
「うわぁぁぁぁ!」
「待って、助けて!チョコで溺れる!」
白状にもロンはコンパートメントから出る始末、私はどこからかやってきたカエルチョコに埋もれてしまう。
魔法界のチョコは動くんだな、すごいや。
「びっくりしたわ、カエルがいっぱい。そう、カエルを呼ぶ呪文ね」
「君、ヒキガエルじゃなくてカエルを呼んじゃったよ」
「うぅ、こんなはずじゃ……」
でもチョコの中にヒキガエルのトレバーらしき物がいたので結果的には大成功だと思いたい。
着替えるし、汚れても大丈夫、うん問題ない。
「取りあえず、ネビル君とやらにこれを渡してあげて」
「貴方、ドジって言われない?」
「……よく言われる」
次からはアクシオヒキガエルにしようと思ったのだった。
まぁ、こんな失敗もあったりするよ。
「ちょっと、商品の買い方が荒いんじゃないかしら?」
「あっ、車内販売のおばちゃんだ」
「すみません、弁償します。いくらですか?」
この時ばかりは、たくさん貯金を残してくれた両親に感謝するのだった。
セブルス「スリザリンに入ったらどうしよ、でも一緒の寮もありだ」
セブルス「怖がるのも可愛い」
セブルス「怒ってても可愛い」
※本編との因果関係はないので注意
変更点
性別が変わったことでちょっと理知的になり本を読むようになる。
叫ばないからマルフォイとのフラグがなくなる。
ネビルと遭遇する。