瀧くんと再会してから初めての休日! のはずやったんやけど、
『ごめん、三葉。今日はお得意様との会議と食事が入ってしまったんだ。それで今日一日……必ず今度埋め合わせするから』
「仕方ないじゃない。彼まだひよっこなんだから」
「わかってます。瀧くんにはどうしようもないくらいは」
せっかくの休日がおじゃんになってしまった私はミキに電話をしていた。
「それなら、今日他の娘らも誘って飲みにいかない?」
「それでは、鉄の女三葉に恋人ができたことを祝して」
「「「「かんぱーい!!」」」」「ええ!? 私の!?」
勢いよくお酒を消費していく三葉。
「ちょっと三葉。その辺にしないと」
「いいの! うぅ……瀧くんのバカー!!」
今まで三葉と飲む機会が少なかったから知らなかったけど、三葉ったらアルコールに弱いのね。
ん? 瀧くん?
とりあえず三葉を抑えないと。
「ん……おトイレ」
三葉が覚束ない足取りでお手洗いへ向かう。
不安なので三葉を介抱しについていく。
お手洗いから席戻ろうとしたとき
「あれ? 三葉?」
頭がつんつんとしたスーツの似合わない男性が声をかけてきた。
瀧くんだった。とりあえず三葉を起こしたほうがいいわね。
「三葉。三葉起きなさい」
「んゅ? あ、瀧くんだ~~」
そう言って瀧くんにふらふらの足で抱きつく。
例の三葉の恋人君は瀧くんだったんだ。
「ねえ、瀧くん?」
「え? 奥寺先輩? どうして?」
「私は三葉の会社の同僚よ。君って会社で食事に行かないといけなくなったと聞いているけど」
「あ、三葉から。はい、ここで先方と食事というか飲みに来ていたんですよ。それで、三葉は」
「ああ、この娘せっかくの休日がだめになったからって嘆いていたから私が女子会に誘ったのよ。それでお酒をどんどん飲んで」
「そうでしたか。おい、三葉、大丈夫か?」
「んゅ? 瀧くんのにおい~~」
「だめみたいね。瀧くん、三葉を連れて帰ってもらえるかしら」
「それはいいですけど、俺はまだ向こうで」
「おや、立花君、どうしたのかね」
「おやっさん、いや、偶然彼女がここで飲んでいたのですが、ご覧の通り酔いつぶれてしまって」
「そうか。それなら立花君。君は彼女を家まで介抱してあげなさい」
「え? でも先方とは」
「構わんよ。先方の社長と私は古い馴染みだからね。さあ、行ってあげなさい」
「ありがとうございます。おやっさん」
どうやらこのまま三葉を送っていってくれるみたい。
「それじゃあよろしくお願いね。瀧くん」
「はい。ありがとうございました」
彼は三葉を横抱きにして奥へ行くと、荷物を肩から提げて三葉を背負った状態で出てきた。
「お先に失礼します」
かつての暗かった、何かを失ったようだった様子はもうなくて、真っ直ぐで初な瀧くんだった。
「瀧くんも三葉ももう大丈夫かな」
二人なら幸せになれるだろう、そう思った。
何より彼に抱きついた三葉の顔がそれを物語っていた。
翌日、瀧の部屋で目を覚ました三葉は『今日は瀧くんか』と寝ぼけてかつての入れ替わりと勘違いしたり、自分の身体が三葉のものであると気づいた時には『まさか朝チュン?』と慌てたりてんやわんやだった。
あと、今さらだけど、同僚のミキが奥寺先輩だったと瀧くんに言われて気付いた。同い年だったんだね。名字が違ったからわからなかった。