昼間戦にて大破した睦月を退避させ、艦隊は追撃夜戦に突入する。
《夜戦では、旗艦から攻撃を行い敵味方交互に撃ち合うぞ、また大破した艦は夜戦で行動できないから注意しろ。》
「さっき、大破した睦月を退避させたのは正解だったのね。」
《ああ、だが中には探照灯装備艦を囮にして夜戦を切り抜ける者も居るらしい。所詮は兵器…と言ったところか。》
探照灯は夜戦ではかなり重宝するが、集中砲火を浴びるリスクもある。二水戦司令部が全滅したコロンバンガラ島沖海戦の神通や第三次ソロモン海戦の暁が探照灯を照射し連合国艦の餌食になった。
「貴様らの指揮官は無能だなぁ!」
木曾が罵声を浴びせながら敵に突っ込んでいく。それと同時に主砲と魚雷を一斉に発射する。夜間特殊攻撃と呼ばれる攻撃だ。ただでさえ強力な夜戦攻撃が更に強化される。
敵は回避する術も無く夜の海に消えた。戦闘終了だ、結果は言うまでもなく地上側の勝利だ。
それから約15分ご、鎮守府に帰還した。傷だらけの睦月を支えながらドックに向かう。
「ふえーん…私としたことがぁ…、情けないのですぅ。」
「他も念のために入渠しておいて。」
「しかたねぇ、出てやるかぁ。」
「少しお休みをいただきますね。」
入渠をさせて提督室に戻る。コウスケが待っていた。
「応、暁お疲れ。」
「そっちも、無線でのサポート、ありがとね。」
疲れが取れるように休憩をする。暫くするとコウスケが話しかけてきた。
「そうそう、暁。あんたに見せたい物があるんだ。究極の対空機関砲だよ。」
「対空機関砲、私が出てる間に造ってたのね。」
「そうだ、ちょうど今出来てるはずだ、来てくれ。」
副指令と共に工廠に向かう。到着すると、少し懐かしい物があった。
「これは…。」
「そう、おれが無茶を言って開発させた、『25mm三連装機銃、対空無反動砲搭載改造タイプ零式』だ。」
「名前、長っ!」
陸軍の対空機関砲をもとに改造された25mm対空機銃のようだ、その名の通り銃身の上に無反動砲のようなものが付いている、何とも使いにくそうな代物だ。
「俺も艦隊戦に参加したいと思ってこれを造らせたんだがどうだ。」
彼なりの意思表示のようだ。スタッフが会話に混じってきた。20代前半のイケメンスタッフだ。
「いやいやいや、こんなのどう使えと。本当に無茶しか言わないからこの人は。」
「お疲れ様、この人の無茶を聞いてさらに実現してくれて。」
「そう言ってもらえるなんて恐縮です。では。」
スタッフが工廠に戻っていった。
「ひどい言われようだったな。」
「まぁ、そうよね、でもあんたそうしたいならすればいい。私の手助けにもなるし。」
「ああ、そうさせてもらいたいが…。」
現在、司令船にこれを搭載するスペースは無い。改装する必要がある。
「わかった、資源と相談しながら大型化してみる。」
「頼んだぞ暁、全部お前にかかってるからな。」