艦これ改二 ~我、復讐に身を投ず!~   作:源 楓

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mission7 新たなる仲間?

 呉鎮守府の工廠ドックから作業音が響いている。司令船を改装している、大人数のスタッフや妖精と言われる生命体、それとつい先日、第一種電気工事士の国家資格を取得した副司令長門コウスケが作業中だ。

 

「ふぅ、あっつい。これだけの索敵用電子機器をよく造って運んでこれたなぁ。」

 

 コウスケが大粒の汗を流しながら、電子機器にコードを繋げていく。この改装は船体を大きくするだけでなく、艦娘の索敵を補助するために司令船自体にレーダーやソナーを敵に見つからないように搭載していくかなり大掛かりな工事だ。

 

「そろそろ休憩しません?もうすぐ昼ご飯の時間ですし。」

 

 作業をしていた工作艦明石がコウスケに話しかける。彼女も汗だくになっていた。

 

「そうだな、ずっとやってても効率が逆に悪くなる。妖精さん、君たちも休もうぜ。」

 

 ダクトの穴に向かってコウスケが言う、ダクト内の細かい作業は妖精をたよればいいためかなり楽に進めることができる。

 

「はーい、暗いし熱いしで本当に地獄だったよ~。」

 

 コードが張り巡らされたダクトから妖精が出てくる。見た目は頼りなさそうだが、技術力は人間を上回るほどもある。このオーバーテクノロジーとも言える技術力に助けられているから艦娘は安心して敵と交戦できるのだ。艦娘本体やその装備などはこの妖精の技術を用いて開発される。

 

「どう?作業は進んでる?」

 

 この鎮守府の提督、暁レイが様子を見に来た。軽空母鳳翔や給糧艦間宮と共に差し入れの弁当を作って持ってきていた。

 

「お、弁当作ってくれたのか。」

「ええ、一応料理はできるし、この二人もいたからスタッフ全員分作って持ってきたわ。」

「ああ、サンキュな♪」

 

 笑顔でお礼を言ってくれた。恋をしているわけではないが、コウスケの笑顔はとてもかっこよく思う。椅子に腰かけて、食べ始める。

 

「それにしても、無茶な注文しちゃってごめんね。」

「いいんだよ、俺たちをもっと頼ってくれよ。」

「無茶なのはこの人の注文ですから心配なさらないでくださいな。」

 

 信じられない改造をした機銃を見せられた時のスタッフが入ってきた。無茶とか言いながら実現させるこの技術力なら軍事以外でも通用しそうだ。

 

「でも、これで資源をかなり使ったわ、輸送船をこっちも送っておくかな。」

 

 前任の提督が遺していた資源で改造はできたものの燃料や鉄鋼が残り2000まで減ってしまった、これから戦艦や空母などの大型艦娘を扱うことになるから燃料はせめて4000欲しいところだ。

 

「ふーむ、確かに本部からの支給だけではまともに動けないからな、こっちも独自に輸送船を送りたいな。」

「…でもまだ許可が下りていない。何か短期間で戦果を上げることはできないかな。」

 

 輸送船を扱うには相応の実力がないといけない。高い戦果を上げている一部の者しか輸送船団を持っていないため提督たちはまずこのラインを目指して戦っている。

 

「ごちそうさまでした、さてとちょっと外歩いてくるわ。」

「ええ、行ってらっしゃい。」

 

 食べ終えた副指令が散歩に向かった、午後の作業開始まで時間を潰しに行くようだ。レイたちも弁当を食べ始める。

 

「にしても、こんな綺麗な海を奪い合うなんて俺たちも自分勝手だよな、『海は皆の物だから大切にしろ。』とか親に言われて育ったけど…。」

 

 瀬戸内海を見ながら呟く、教えられたことを出来ているのかどうなのか分からない、深海勢力に奪われた制海権を奪還するための戦争だがそれでも海は汚れていく。皮肉なものだ。

 そう思ってた時、何かが浜辺に打ちあがっているのが見えた、人のような形をした何かだ。

 

「だれだぁ?浜辺でぶっ倒れているのは~。」

 

 何かに接近する、距離が3mくらいのところに来てそれの正体が分かった。

 

「お、お前は!」

 

 思わず身構える、なんと戦艦棲姫が倒れていたのだ、彼女も目を覚ますと驚いて身構える。

 

「ア、アナタハ!」

「え、えと、とりあえず敵意は無いことを伝えないとな…。」

 

 工具を砂浜に置いて両手を挙げて近寄る。彼女も驚いてるだけで攻撃はしそうにない。

 

「なぁ、大丈夫かい?どっか怪我していないか?」

「右足ガ、痛イワ。」

 

 怖がりながら右足を見せてくる、驚くほど白い脚が骨折している。おまけに艤装が大破していて使えそうにない。

 

「ちょっと待ってろ、応急処置をしてやるからな。」

「エ、私敵ナノヨ?イイノ?」

「敵も味方も怪我人なら別だ、ちょっと痛いかもしれんが我慢してくれよ。」

「ハ、ハイ…。」

 

 常備しているメディカルキットからあて木と包帯を取り出して脚を固定した。これで少しはましになるだろう。

 

「よし、応急処置完了。」

「アリガトウ。」

 

 笑顔でお礼をしてくれた、敵ながら可愛らしい。

 

「なぁ、なんでここにいたのか聞かせてくれるか。」

「ウン、ワタシハ確カミッドウェー基地の防衛ヲ任サレテイテ。」

「ほう、いいとこの戦艦なんだな。」

「ホメラレタノハハジメテダナ、ソレデチョウド偵察に来た艦娘部隊ト交戦シテ、ソノ時ワタシ大破シテ。ソレカラ…。」

「そこからは覚えてないか?」

「ウン、気付イタラココデアナタト会ッテ。」

「そうかそうか。話してくれてありがとうな。…そうだ俺たちの鎮守府で暮らさないか?」

 

 コウスケがかなり危険な提案をする、漂流者とはいえ敵に属している者が鎮守府を内側から破壊しかねない。仮にそのようなことはしないと約束しても深海棲艦を憎んでいる提督がそれを許してくれるかもわからない。

 

「エッ、ソレッテイイノ?私ガ敵ノ基地デ暮ラシテモ、トッ…トリアエズ敵意はナイケド…。」

「良いよ、いざというときは俺にまかせてくれば良い。あ、そういえば自己紹介まだだったな、俺は長門コウスケ。呉で副指令をしている。よろしく。」

「エット、私ノ事ハ『ユウキ』ッテ呼ンデ。」

「ほう、名前を提案してくれるとは。それじゃよろしくなユウキ。」

 

 簡単な自己紹介をするとコウスケは戦艦棲姫…ではなくユウキの手をとって半ば無理矢理連れて呉鎮守府まで走る。ユウキも痛がりながら付いてきてくれた。

 帰ってきたらレイが出迎えてくれたが、すぐに険しい表情になる。

 

「そいつは…?」

 

 ものすごく怖いほどの表情で睨んでくる、敵性戦艦を前に警戒心丸出しにしている、なにせ戦場海域ならまだしもここは本拠地なのだから当然の反応だ。

 

「こ、こいつは…その、浜辺でぶっ倒れていたから助けてやったんだ。もとはMI周辺所属みたいなんだが、戦闘中に大破してここまで来たみたいで。」

「そう、まぁいいわ『戦争捕虜』として『優しく』接してあげるわ。」

 

 そのあとにレイは「でも」と付け加え、素早く軍刀を鞘から抜いてユウキに刃を向けて続けた。刀がギラリと輝く。

 

「なにか妙なことをしたら容赦なく殺すからそのつもりでいなさい。」

 

 レイは軍刀を納めて去って行った。ユウキはさっきのことで硬直している。後ろからコウスケが声を掛ける。

 

「こ、怖かったろ?いくら深海を恨んでいても、あれはやりすぎだろ…。」

「ウーン、ナンダカ申シ訳ナイネ。」

「とりあえず、独房に入ってもらうぜ、戦争捕虜扱いだからな。上手く行けば、うちの艦娘たちと暮らせるだろうが…あんまり期待しないほうがいいかもな…。」

「ワカッタ。アノ人モイイ人ダト思ウカラ、素直ニ捕マッテオクヨ。」

 

 話終えるとコウスケは工廠へ去って行った。ユウキは警備兵に地下の独房へと連れて行かれた。

 

 その頃レイは提督室で考え込んでいた。捕らえた深海棲艦のことだった。

 

「深海棲艦の姫クラスの大型戦艦か…。」

「司令官さん、お茶淹れて来たのです。」

 

 駆逐艦電がお茶を淹れてくれた。ありがたく受け取った。

 

「ありがと、あれほどの艤装なら相当重要な基地施設を任されていたはず、利用しない手はない。」

「司令官さん?」

「ん?どうしたの?」

「いえ、何でもないのです。」

「そう…これは少しコウスケやリュウジ、それに大本営とも相談が必要ね。」

 

 どれだけ頭が悪くても、敵の兵員を捕らえたことはとても大きな戦果でもある。さらに情報を引き出せれば上出来である。だが、拷問だけはしたくなかった。敵とはいえ捕虜虐待は人間としてしたくはなかったしなにより拷問で吐いても信用できる情報でもないからだ。

 

「拷問せずに情報を引き出すには…やはり仲良くなるしかないか、こっちが心を開かないと向こうも開かないだろうし。…上手くやれば深海元帥の情報も…。」

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