「そうだ。君にこれを渡しておくよ」
発見された特異点にレイシフトする前日、セイヴァーはダヴィンチちゃんに呼ばれ、ダヴィンチちゃんの私室に来ていた。
「これは?」
「冬木の戦いを見ていたけど、君の魔力消費は激しすぎる。
所長だから耐えられたものの、並みの魔術師なら魔力が枯渇していてもおかしくない消費量だったよ。
だから、私が作ったこの魔力剣を持っていくと良い。黒鍵の様に君の魔力を通せば英霊以外となら戦える代物さ!」
少し、興奮しながら説明するダヴィンチちゃん。
それに若干引きながら魔力剣を受け取るセイヴァー。
英霊以外と戦える武器なら多少でもマスターの負担を減らせると思うセイヴァー。
「ありがたく受け取っておく」
「君の戦い方はどうも変だね。普通の英霊なら生前の武器を取り出すのに、あそこ迄魔力を消費しない。
何故なら、使い慣れもはや体の一部とも呼べるものだからね。だと、いうのに君は別空間から取り出している様に消費量が多い。
どういう訳か私に教えてくれるかな?」
ダヴィンチちゃんの言葉に黙り込むセイヴァー。
何を話せば、自分の秘密を隠し通せる?そもそも、この万能の天才に隠し通すことなど出来るのか?などとセイヴァー考える。
実際、ダヴィンチちゃんから隠し通すのは無理があるだろう。
彼?彼女?は天才でもあり、感も鋭い。
そして何より、セイヴァーは嘘を吐くのがとても下手だ。
「……例え、貴方だったとしても俺に関する事は話しません」
「そうか。君に関して知る権利があるのは、所長だけという訳だね。
まぁ、分かっていたから良いけどね。それに、あれこれと予測を立てるのも面白い」
そう言って笑うダヴィンチちゃん。
セイヴァーはその言葉をとてもありがたいと思う。少なくとも、目的を達成するまでは真名に繋がる要因は話したくない。
何故なら真名がバレれば、このカルデアの人達は自分を英霊の一人として見れない。それは、セイヴァーの望むことではない。
「…感謝する。レオナルド・ダヴィンチ」
「私が楽しめる様に頼むよ?その魔力剣の使い心地もどんどん言ってね〜」
「失礼する」
そう言って部屋から出ていくセイヴァー。
魔力剣をちゃんと腰に帯剣して行った。
「さて、彼はどの様な物語を見せてくれるかな?」
レイシフト当日。
管制室には現、カルデアの人員全てが集まっていた。
「私達の目的を再度説明するわ。
特異点にレイシフトし、乱れの中心となる聖杯を探索。これを回収し特異点の原因の排除よ」
オルガマリーが全員の前に立ち、説明する。
彼女の後ろには当たり前の様にセイヴァーが立っている。
「特異点ではまず、拠点となる霊脈を見つけマシュの盾を触媒に召喚サークルを設置するわ。
これによって、カルデアのバックアップを受けることができます」
「目的となる場所は此方で指示を出すよ。でも、サークルが設置されないと長い事指示は出せないからね」
ロマニがオルガマリーの説明を補足する。
「今回は、ちゃんと専用のコフィンを用意してあるから意味消失に関しては心配しないでくれ」
「それでは作戦を開始します。全員、コフィンに入って」
立香、マシュ、ランサー、オルガマリー、セイヴァーの順番でコフィンに入る。
『アンサモンプログラムスタート。
霊子変換を開始します。レイシフト開始まで3、2、1。
全行程クリア。グランドオーダー実証を開始します』
全員のレイシフトが始まった瞬間、ロマニがある異常を感知する。
「あれ?セイヴァーの位置が大きくズレてってる!?
今からレイシフトを止めるのは、危険すぎる。
各員に通達!セイヴァーのズレを可能な限り、修正するんだ!」
「「「了解です!」」」
カルデアの人員が一斉に修正を開始する。
しかし、ズレの要因は大きく殆ど修正は出来なかった。
「セイヴァー…」
ロマニは自身の不甲斐なさにイラつき、机を思いっきり叩いた。
「…さて、どうしたものか?」
『グギャァァァア!!!!』
セイヴァーがレイシフトした地点には黒い巨大な龍。
通称ーーファヴニール。
ジークフリートが殺した邪龍だ。存在するだけでも、強大な威圧を放っている。
『ふむ。ようやく来たかねオルガのサーヴァント』
ファヴニールが動きを止め、セイヴァーの目の前に魔力で作られたレフの姿が現れる。
『私は多忙でね。ここでやるべき事は終わらせた。
だが、貴様を生かすわけにはいかない。ここで死ね』
「俺を此処に連れて来たのはお前か。レフ・ライノール」
セイヴァーがレフを睨みつける。
『貴様が絶望する顔が見れないのが残念だが、やれファヴニール』
レフの姿が消えると同時にファヴニールが襲いかかってくる。
即座に距離を取り、龍殺しの矢を用意し放つ。
カキンッ!そんな金属音と共に矢が弾かれた。
『グァァァア!』
「冗談だろ!?龍殺しの概念がある矢だぞ!」
セイヴァーの驚きは最もだろう。
龍殺しが龍に弾かれる。ファヴニールが伝承に伝わる本物なら無理矢理にでも納得しよう。
だが、あのファヴニールは英霊と同じ概念に近い存在だ。それが、天敵である龍殺しを弾くなどあり得ない。
「それならばこれならどうだ」
セイヴァーが握った剣はファヴニールを殺した武器、バルムンク。
ファヴニールのブレスを躱し、脚を斬りつけようとするが再び弾かれる。
「ここまでくると何かレフがファヴニールに仕掛けたか」
脚による踏み潰しを避け、セイヴァーは思考する。
「逃げてマスターと合流が最適解か」
まぁ、素直に逃がしてはくれないだろうと思うセイヴァー。
思いもよらぬ一戦が始まった。
ちなみにセイヴァーが近くにいないとわかった時のオルガマリーの反応はこんな感じだった。
「セイヴァー!セイヴァーは何処!?ねぇ、セイヴァー!」
自分の周囲を青ざめた表情でセイヴァーを探していた。
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