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「セイヴァー!どこに行ったの?セイヴァー!?」
「しょ、所長落ち着いて下さい!」
「そうですよ!ロマンの説明が聞けないですよ!」
レイシフトした直後、オルガマリーは自身のサーヴァントであるセイヴァーが近くにいない事に気が付いた。
彼女が絶大の信頼を置いていたレフ・ライノールが裏切ってから空いてしまった隙間を埋めるようにセイヴァーが存在している。
今までは、無意識であったがセイヴァーの姿が消えた今、それが行動に浮き出てしまった。
セイヴァーを探そうと声をあげながら、動き出そうとするオルガマリーを立香とマシュの二人掛かりで押さえる。
『マリー落ち着くんだ。君は、カルデアのトップ。セイヴァーのマスターだろう!
それなら彼を信じて合流できるのを待つんだ。幸い、セイヴァーの霊基は確認できてる』
ロマンは一つの隠し事をする。
確認したセイヴァーの霊基のすぐ近くに強大な竜種の霊基が存在している事を。
『だから急いで……霊脈を……すんだ……出来れば…セイヴァーの…捜索が……こちらも…出来る…』
通信が途絶える。
本来であればもう少しの猶予はあった。だが、一手先を打っていたことの原因であるレフが通信の妨害も起こしていた。
「所長今は、セイヴァーさんを信じて霊脈を探しましょう。
それが今、私達に出来る最善です」
「……分かったわ。マシュ、立香情けない姿を見せました。
これより、目的である霊脈の探索と特異点の原因を調査します」
マシュの言葉に気を取り戻したオルガマリーが二人に指示を出す。
しかし、彼女の内心は大して変わっていない。マシュも今は周囲の警戒に当たっているランサーも立香のサーヴァントであって自身のサーヴァントでは無い。何かが起きた時、彼等が真っ先に守るのは立香だ。
自身を守ってくれる者はいない。
勿論、マシュ達を信用していない訳ではない。だが、それが当たり前なのだ。
オルガマリーが死んだとしても、戦闘の面では彼等に何の影響も与えない。
だからこそ、セイヴァーがいないのは不安なのだ。
「オルガマリーさん。敵はオレ達がしっかり排除します。
だから、安心してください」
立香はオルガマリーが感じている不安を何となく察して声をかける。
確証なんて無かった。ただ、そう言うのが正解だと自身の内の何かが告げた。
立香の言葉がオルガマリーを本当の意味で落ち着かせる。
オルガマリーは不思議と、安心した。彼が言うのならと無意識でそう思った。
「セイヴァーが合流するまで頼みますね立香、マシュ」
「「はい!」」
セイヴァーがいないのが幸か不幸か、三人の距離が少し縮まった。
「ゴホッ!如何にか撒いたか」
セイヴァーはファヴニールの目を重点的に狙い、視界が悪くなった直後に気配を断ち近くの町に逃げた。
だが、蓄積したダメージはセイヴァーの行動力を奪った。
「マスターと合流したいが、現在地が分からない」
セイヴァーには二つの選択肢がある。
一つはこの町に留まり、オルガマリー達が来るのを待つ。
体力も回復でき、ある程度の傷も癒えせる。
しかし、オルガマリー達がこの町を訪れるのか分からない。それに、敵のサーヴァントが探知して此処に来る可能性もある。
二つ目は、ある程度動ける様になったら気配を断ち、森などを拠点に動く事だ。
利点は敵のサーヴァントが来ても地形を利用し逃げる事が出来るし、自らが動くので令呪によりオルガマリー達に近づけばすぐに分かる。
しかし、体力が完全に回復した訳ではないので、サーヴァントとの直接戦闘は出来ない。
「…チッ、敵の方が上手か」
逃げて来る際に仕掛けた簡易的な結界にサーヴァントの反応が確認できた。
恐らくこの町に向かって来ている。数は、二騎のサーヴァント。
「ウワァァ!ワイバーンの群れだ!?」
町の人間が悲鳴を上げながら逃げ始める。
セイヴァーも上を見上げ確認すると、三十ぐらいのワイバーンが町の空を覆っている。
「厄日か。今日は」
近くにあった家の屋根に飛び乗り、弓矢でワイバーンを落として行く。
だが、最初の一撃以降まともに矢が当たらない。
疲労した身体では、動き回るワイバーンを的確には狙えない。
「た、助けてくれぇ!」
転んだ町の男がワイバーンに襲われる。
セイヴァーは魔力剣を構え、ワイバーンの真上から頭を貫く。
男にワイバーンの血がかかるが、この際は許してほしい。
「急いで逃げろ!流石に何度も庇えんぞ!」
「は、はい!」
男が走って逃げる。
ワイバーンは大して倒せていない。町のあちらこちらで火の手が上がる。
「まだ、私達に抗うサーヴァントがいたとは!」
ギョロ目の青紫色の服を来ている本を持ったサーヴァント。
「僕の探している人では無かった 」
白髪に黒い服を来ている気怠そうなサーヴァント。
「ワイバーンも倒すことすら儘ならぬと言うのに、二騎のサーヴァントを相手にするのか…」
狂化され、理性が薄くなっていてもサーヴァントはサーヴァント。
冬木で戦った紛い物とは違う。
「貴方が龍殺しと言うわけでは無さそうですねぇ。
ですが、我らが聖処女の邪魔をする存在であれば遠慮は必要ありませんね」
龍殺し。
ギョロ目のサーヴァントが言った言葉がセイヴァーにこの町と状況を全て悟らせる。
町の名はリヨン。そして、自身の推測が正しければあのサーヴァントが此処にいる。
「
その声と共に残っていたワイバーン全てが消える。
「遅れてすまない。名も知らぬサーヴァント」
「いや、助かった。感謝するジークフリート」
邪龍ファヴニールを殺した英雄ジークフリート。
此処を襲撃した二騎のサーヴァントの目的が彼にあった。
「ジークフリート。そうですか。貴方が殺したいと言った理由が分かりましたよキャスター。
相手も二騎。しかも、此方とは違い完全に戦闘に特化したサーヴァントに見えますが、如何するつもりですか?」
「私がイレギュラーを想定していないと思いますか?
やりなさいバーサーカー!」
「Aーrrrr!」
黒い靄と共に姿をあらわすバーサーカー。
「これで3対2です。しかも、相手の一騎はファヴニールとの戦闘で疲労している。
だいぶ有利ですよこの戦い」
キャスターと呼ばれたサーヴァントが勝ち誇る。
状況は確実にセイヴァー側が不利だ。
「あのバーサーカー。理性が無くても相当の手練れだ」
「俺がキャスターとアサシンを担当する。バーサーカーを頼めるか?」
「了解した。終わり次第、其方を手伝おう」
二本の槍を握るセイヴァー。
赤い槍と黄色の槍だ。
ゲイ・ジャルグとゲイ・ボウ。ディルムッドオディナが持ったとされる槍だ。
既にバーサーカーとジークフリートは激しい戦いを始めている。
「さぁ、来るがいい。青髭と処刑人よ」
自身の真名に繋がる事を戦いもせずに当てたサーヴァントに驚きが隠せない二騎のサーヴァント。
だが、即座に意識を取り戻し、キャスターは気色の悪い海魔を召喚しアサシンは剣を構える。
「死ねぇ!」
キャスターのその言葉と共に海魔が押し寄せる。
二本の槍を器用に使い、海魔を斬り伏せて行くセイヴァー。
「首がガラ空きだ」
気配遮断スキルにより、セイヴァーの背後に回り込んだアサシン。
「そこを狙うと確信していた!」
狙いを看破していたセイヴァーは首に振り下ろされる剣を避け、ゲイ・ボウでアサシンの左手の腱を斬る。
そのまま、海魔を踏み台がわりにしてアサシンとの距離を取る。
「この程度の傷」
セイヴァーに斬られた左手を治そうと自身のスキルを使うが、傷は塞がらずに血が流れる。
「如何言う事だ?」
「この槍で傷付けた傷は、槍が破壊されない限り塞がることはない。
残念だったな処刑人。探し人に出会ってもその手では首は切れまい」
「貴様!」
アサシンは気怠そうな空気を一変、殺気を放出する。
だが、これはセイヴァーが狙ったことだった。
ただでさえ、狂化が付与され理性的でないに関わらず、怒れば如何なるだろうか?
より理性がなくなり、攻撃が単調になる。歴戦の戦士ならともかく、唯の処刑人が理性を無くせば攻撃は避けやすくなる。
現にアサシンは怒りから周りが見えず、海魔まで切り始めている。
「落ち着きなさいアサシン!此れでは勝てるものも!?」
言葉の途中で喋るのをやめる。
セイヴァーが投げた赤い槍がキャスターの持つ本を貫いたからだ。
直後に海魔が霧散して行く。
「あああああ!我が友に貰ったものを!貴様ぁぁ!」
「知るか。これは戦いだ。貴様の事情など俺の知った事ではない」
キャスターにトドメを刺そうとした直後、凄まじい数のワイバーンがリヨンを襲撃した。
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