うん。疲れた。もうテンションが可笑しくなるレベルで疲れた。
でも、書きたい事はまだ先、そして四月までにオルレアンを終わらせようとペースアップしたい。
だからといって質を落としたくない。そんな二重苦に苦しめられてます。
『計測器に反応!所長、立香君起きて!』
セイヴァーとジャンヌが敵の接近に気付く少し前にロマニが観測していたデータにサーヴァント反応を捉える。
それを即座に現地の二人に伝える。
「了解です」
オルガマリーは即座に起きて、カルデアから送られてきたテントから飛び出る。
そして、セイヴァーに念話を送る。
「セイヴァー敵よ。今、何処にいるの?」
『キャンプ地から少し離れた所です。
此方も確認しました。ジャンヌと其方に向かいます』
「分かったわ。急いで」
念話を終了させる。
魔術回路を喚起させ、いつでも使える様にする。
オルガマリーがそこまで準備を終わらせたと同時にテントから立香が出てくる。
「早く準備しなさい」
立香を見ずに指示を出すオルガマリー。
彼女は周囲の警戒に意識を割いているため、立香に向ける余裕がない。
そんなオルガマリーを怒っていると思った立香は慌てて準備する。
その時、森の奥から一人の女性サーヴァントが姿を現わす。
「……こんにちわ、皆様。寂しい夜ね」
杖を持った女性サーヴァントだ。
服装は前側の守りはいらないのか薄く、身体のラインがしっかりと出ている。
しかし、杖を握っている手には彼女には不相応の金属製の籠手が装備されている。
「杖…でも、キャスターのクラスのサーヴァントには見えないわね」
「ええ。私は魔術を使うものではありませんからね。
必要とあれば祈るぐらいはしますが」
オルガマリーが呟いた事に丁寧に答えるサーヴァント。
「その口ぶりからして聖職者か何かしら?」
「…今は、そうだったと言うのが正しいでしょうね。
壊れた聖女に狂化をかけられているのですから」
何処か悲しげに顔を俯くサーヴァント。
しかし、この場の全員が戦闘態勢を解くことはない。
それは悲しげにしていても感じるサーヴァントから発せられる殺気が原因だ。
「あの聖女は究極の竜種に騎乗する災厄の結晶。
私如きを倒す事が出来なければ、彼女を倒す事など出来はしない。
我が真名はマルタ!さぁ、出番よ。大鉄甲竜タラスク!」
女性サーヴァントーーマルタが真名を明らかにすると同時に彼女の真後ろに巨大な亀の様な竜が現れる。
タラスク。聖女マルタの祈りにより退散させられたという竜。
しかし、この様子だと退散ではなく従えたと言うのが正しい様な気がする。
「…マシュとマリーさんとアマデウスでマルタと戦って!クー・フーリンはタラスクをお願いできる?」
「任せとけ坊主!化け物の相手は専門外というわけじゃねぇ」
立香の指示に即座にクー・フーリンが反応し、タラスクに攻撃を仕掛ける。
一瞬の間を置いてマシュ達がマルタへと攻撃を開始する。
「…随分と手慣れたわね立香」
「そうですか?オレはオレのやれる事を全力でやると決めたんです。
オルガマリーさん、セイヴァーとジャンヌはどれ位で合流できそうですか?」
「此処から少し離れた所と言っていたから……そうね。五分から十分と言ったところかしら」
「分かりました。では、目標はそこまで持ちこたえる事ですね」
立香が戦ってるサーヴァント達に視線を戻す。
マシュ達は苦戦している。
理由は三人共戦闘向きのサーヴァントでは無い。
それに対して、マルタはマシュの盾攻撃を拳で受け止めたり、マリー・アントワネットが撃つ光弾を杖から撃ち出す光弾で打ち消し、アマデウスはまるで相手にされていない。
彼女はかなりの戦闘センスを発揮しているからだろう。
「固っ!こいつは張り合いがあるぜ」
「ガァ!」
クー・フーリンとタラスクは殆ど拮抗している。
槍の攻撃はタラスクの硬さを前に殆ど通っている様子は無く、大したダメージにはなっていない。
対してタラスクの攻撃はその殆どが大振りである為素早く動くクー・フーリンを捉えていない。
「…マシュ達はそのまま攻撃を続けて。防がれても宝具を使わせる暇を与えないで!
クー・フーリンは狙いづらいかもしれないけど、甲羅の隙間を狙って!さっきからそこを攻撃されるのを嫌がってる」
立香の指示が戦場に伝わる。
その指示でマシュ達は攻撃する密度を上げていく。
「この程度!」
ステップを踏む様に左右に動き、マリー・アントワネットの光弾を避けその勢いでマシュの盾を勢いよく殴る。
ガァッン!と拳と金属が衝突したとは思えない重低音な音が響く。
マシュも一瞬、身体を突き抜ける衝撃に動きを止められた。
その隙を逃さず、指揮棒を振るって細かな光弾を撃ってきていたアマデウスへとマルタが迫る。
「僕を甘く見ないでくれるかな!」
指揮棒の先が眩く光る。
急な光でマルタは目を閉じた。
その隙に遠くへと離れるアマデウス。
「珍しく格好つけたと思ったら逃げるだけなの?」
「君も良く知っているだろうマリア。僕に戦闘を期待しないでくれ」
「……こんな簡単な目くらましに引っかかるなんて」
聞こえてきた会話に少し気分が下がるマルタ。
それでもマシュ達が体勢を整えたのを見ると嬉しそうに口角を上げる。
「ちっ、甲羅の隙間が狙い目だと分かっても竜殺しの武器じゃねぇからちとキツイなぁ」
そうは言うものの嬉しそうに笑っている所を見た限りまだ余裕はありそうだ。
「グルゥゥ」
タラスクは喉を鳴らし素早いクー・フーリンをどう仕留めるか考える。
野生の本能と竜種としての知性がこの男を舐めてかかれば狩られるのは自分と教えている。
今の距離は互いに攻撃する手段を持たない距離。
タラスクが火を吐けば攻撃できる距離だが、今までの戦いでクー・フーリンには当たらないと悟る。
「はっ!」
掛け声とともにタラスクに急接近するクー・フーリン。
自らの攻撃範囲に入ってきたクー・フーリンに対して鋭い爪を振り下ろすタラスク。
しかし、その攻撃はかわされる。甲羅の隙間目掛けて槍を放つクー・フーリン。
しかし、タラスクが高速で回転した為弾かれる。
長い尻尾による振り払いを飛び避け頭に槍を振り下ろすがタラスクが頭をずらしツノと衝突する。
弾かれたクー・フーリンを喰らおうと牙を向けるが逆に口内を槍で切られる。
だがほんの僅かな為タラスクにあまり害はない。
地面に着地し、槍を構えなおしたその時だった。
「ジャンヌ!」
「セイヴァー!」
立香とオルガマリーが同時に声を上げる。
すると、彼等の後ろからジャンヌとセイヴァーが現れる。
ジャンヌは飛び出した勢いを利用し、マルタに旗を振り下ろす。
セイヴァーは弓矢を取り出し、竜殺しの概念を付与しタラスクに向けて放つ。
「すいません遅れました皆さんご無事ですか?」
「…よく持ちこたえてくれた藤丸立香」
振り下ろされた旗を杖で弾くマルタ。
自らに向かってくる弓矢の危機をいち早く理解し高速回転し弾くタラスク。
「セイヴァーはクー・フーリンの援護に回りなさい!」
「了解ですマスター」
オルガマリーの指示に従い、次の矢を番えるセイヴァー。
「ジャンヌを主軸にマルタを攻撃して!」
「「「「了解マスター!」」」」
立香の指示に従い、陣形を組み直すマシュ達。
「ふふっ。これは戦いがいがあるわね。タラスク?」
楽しげに笑みを浮かべるマルタに若干、引きながら頷くタラスク。
彼もまた英雄との命の取り合いを楽しんでいた。
「今の俺は近接戦をやるほど余力が無い。頼んだぞクー・フーリン」
「任せとけ。俺もあいつを直接倒せねぇと気がすまねぇからよ」
クー・フーリンと並び立ち会話するセイヴァー。
それを警戒しながらタラスクが見つめていた。
セイヴァーが番えていた矢を放つ。
タラスクは先ほど同じ様に高速回転して弾く。しかし、回転が止まった時にタラスクの視界にクー・フーリンはいなかった。
何処だと探して、上からの殺気に反応する。
「ハァァァ!」
先ほどより気合の入れた突き攻撃。
それをツノで再び弾こうとする。だが、その時にタラスクの右目に弓矢が刺さった。
「ガァァァア!?」
残った左目で確認すると矢を放った直後のセイヴァーを捉える。
怒りの赴くままセイヴァーに攻撃しようとした時に、頭に痛みが走る。
「硬いやつだな!?結構、全力の突きだぞ」
頭に槍を突き立てたクー・フーリンの一撃だ。
だが、タラスクの硬さを前に槍の先端が刺さっただけに終わった。
頭を激しく揺らし、クー・フーリンを振り落とすタラスク。
「滅茶苦茶硬い野郎だぜ」
「俺があいつをひっくり返す。その時に腹を貫けるか?」
「出来るだろうが、お前があいつをひっくり返せるのか?」
「少し、考えがある」
痛みが僅かに収まったタラスクが残った左目で二騎を捉える。
その目からは怒りが感じ取れる。
セイヴァーは捻れた剣を弓に番える。現在の魔力の大半を込めて。
「来い。タラスク」
その言葉を理解したタラスクが駆け出す。
自らの右目を奪った敵を喰らうために。
迎え撃つ様にタラスクに向かって駆け出すセイヴァー。
その行動にクー・フーリンが驚く。
タラスクの攻撃をギリギリまで引きつけ、横に飛び退きながらタラスクの真下に捻れた剣を放つ。
「
その言葉をセイヴァーが呟いた瞬間、凄まじい爆発が起きる。
その勢いでタラスクはダメージを受けながらひっくり返った。
「今だ!クー・フーリン」
「了解だ!」
飛び上がりながら振り下ろした槍はタラスクの心臓を貫いた。
「ガァァア……」
最期に僅かな声を上げてタラスクは消滅した。
「…どうやらタラスクが消えたようね」
タラスクが消えた時、此方の戦いも終止符を打とうとしていた。
流石のマルタといえど、四騎の英霊を前に凌ぎきれず全身に傷を負っている。
「ジャンヌ・ダルク。貴女、なかなか良い腕してるじゃない」
「憧れのマルタ様に言われて嬉しいです」
マルタの攻撃である光弾は全てマリー・アントワネットとアマデウスによって撃ち落とされ、拳による攻撃は幾度もマシュの盾と衝突を繰り返した事により限界を迎えていた。
杖も所々ヒビが入り始め限界が近い。
「まぁでも諦める気なんて更々ないけどね!」
最後の気力と言わんばかりにマシュに殴りかかるマルタ。
その一撃によりマシュは手が痺れ盾を掴む力が緩む。
次いでと言わんばかりに振るわれた蹴りがマシュを盾ごと吹き飛ばす。
「マシュ!」
立香が心配して声を上げる。
「だ、大丈夫です…マスター」
立ち上がり盾を持とうとして手が痺れて力が入らない事に気付く。
マルタは次に光弾を放つマリー・アントワネット達に狙いをつけ、杖から大量の光弾を放ち接近する。
しかし、その間にジャンヌが割り込み接近は中断される。
光弾は全て打ち消されず、マリー・アントワネット達の近くに落ちる。
「今の私に貴女の攻撃を防ぐ手段は無いわね」
ヒビが入っていた杖は役目を果たしたと言わんばかりに光弾を放った後砕け散った。
拳も最後にマシュを攻撃した時に骨が砕け、もう握ることすらままならない。
「次は貴女と共に戦える事を祈っています。マルタ様」
「ええ。私も楽しみにしてるわ。ジャンヌ」
ジャンヌがふるった旗はマルタの霊核を砕いた。
聖女マルタとの決着が着いた。
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