願いを込めて   作:マスターBT

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前書きのネタが尽きた…


竜殺し

森のキャンプ地で一夜を過ごした一行は聖女マルタからの情報を整理していた。

 

「リヨンという町は俺がこの特異点に来た時に一番最初に立ち寄った町ですマスター」

 

その中でマルタが言っていた竜殺しのサーヴァントがいる町にセイヴァーが訪れていた事が判明した。

その横には、少しセイヴァーを気遣う様な表情をしているオルガマリーが座っている。

 

「竜殺しにはあったのですか?」

 

「はい。竜殺しの真名はジークフリート。ファヴニールを殺すにはうってつけの英霊です。

ただ、俺が訪れていた時もワイバーンの群れと敵サーヴァントが襲撃していましたので、現在どうなっているかは分かりません」

 

セイヴァーは頭に力を貸してくれた弓兵を思い浮かべる。

彼と共に共闘していれば無事だろう。

だが、バーサーカーも相当の手練れだった。

無事でいてくれれば良いが。

 

「それなら先ず、リヨンに関しての情報を集めますか?

私達は余り戦闘が得意ではないから」

 

「俺はあの吸血鬼と戦えればどっちでもかまわねぇぜ」

 

マリー・アントワネットとクー・フーリンから意見が出る。

意見と言ってもクー・フーリンのは戦いたいという欲求だが。

 

「町の状態が分からないなら、情報収集をした方が良いんじゃないの?」

 

立香が手を上げて質問する。

セイヴァーと合流するまで、ジャンヌと一緒に情報収集をしていた経験からの質問だ。

 

「情報収集も大切ですが、今の私達はそれなりの数が揃ってる。

この状況でぞろぞろ移動もまた、難しいのよ立香」

 

オルガマリーが立香の質問に答える。

現在の人数は英霊も含め、八人。

この数が纏まって動いていると嫌でも目につく。

霊体化をすれば英霊達は見えなくなるが、急な攻撃に弱くなる。

更に相手の黒ジャンヌは索敵能力が高い。

その索敵に引っかかりやすくなるのも事実だ。

 

「ロマンに観測を任せるにしても限界があるでしょうし…」

 

『任せて!と言いたいところなんだけど、どうやら敵側の方が一枚上手でね。

此方の索敵外からでもみんなを捉えられるみたいなんだ』

 

通信でロマンから説明が入る。

黒ジャンヌは此方にいるジャンヌと違い、ルーラーとしての能力が何一つとして欠落していない。

クラスの恩恵を最大限に受けているのだ。

 

「私としてはセイヴァーさんの呪いを解除する為に、もう一人の聖人を見つけたいところです」

 

ジャンヌがもう一つの問題を上げる。

現状、セイヴァーは原因不明の呪いにかかり全力を出せない。

それどころか現界を続けるのも不安定になりつつある。

 

「……問題の身でありながら提案するのもあれですが、俺とマスター、ジャンヌが聖人探しに。

残りが竜殺し探しをすると言うのはどうでしょうか?」

 

セイヴァーの提案は人員を分断する事。

どちらも重要な案件なので二つのチームに分けて探すという作戦だ。

 

「まぁ、それなら私は其方に行きたいわ。

折角ジャンヌとお友達になったのだもの。まだ、色々とお話ししたいわ」

 

「ふむ。それなら僕は立香達と動く事になるね。マリア、危なくなったら逃げる様にね」

 

「ええ、勿論。だから、帰ったら久し振りに貴方のピアノを聴かせて頂戴!」

 

「…ああ。約束だ」

 

僅か、本当に僅かにアマデウスの表情が悲しい表情になった。

でも、それも誰かが瞬きをする間には何時もの感情を読めない表情に戻っていた。

 

「リヨンは此処から近いの?」

 

「俺が馬で来れる距離だ。そう遠くはない」

 

「歩くの割と疲れたなぁ〜」

 

立香がふとそんな事を口にする。

 

「馬鹿を言え。この程度で根をあげる様な鍛え方はしてないぞ」

 

セイヴァーが目を細め立香に言う。

他の人から見れば怒っている様にも見える。

 

「あ、あの先輩!疲れたら私が背負いましょうか?」

 

そんなセイヴァーに反応したのかマシュが顔を赤らめながら、立香に詰め寄った。

立香とセイヴァーを除いた全員が、この子分かりやすいと思った。

例外の一人セイヴァーは、少し呆れた様に肩をすくめていた。

 

「い、いや、申し出は嬉しいけど自分で歩くよマシュ。ありがとね」

 

もう一人は嬉しさを隠しきれない様子で答えた。

今度は全員が嬉しさが隠れてないぞと思う。

 

「そうですか…分かりました。先輩の頑張りを応援します!」

 

あ、騙されるんだと全員が思う。

 

「ゴホンッ。先に俺たちが出る。

目的地はリヨンを通り過ぎてマルセイユへと向かう」

 

「理由は?そこに聖人がいるのですか?」

 

ジャンヌの質問は尤もだ。

聖人を探さなければならないのに、目的地が決まってるのはおかしいからだ。

 

「ああ、それは、ちょうど戻ってきた様だ」

 

セイヴァーが顔を上げるのに釣られ、全員が顔を上げる。

すると、小鳥が此方に向かって来ておりセイヴァーの肩に止まった。

 

「昨日、こっそりと小鳥を使い魔にして飛ばしておいた。

視覚共有で調べた所、マルセイユの町を守っているサーヴァントがいた。

雰囲気がジャンヌに似ていたから、聖人と判断した」

 

「ほー、お前さんが雰囲気とは不確定なものを基準に選んだな」

 

「…俺もそういうのを頼る時もある」

「らしくねぇと思っただけだ。そう怖い顔すんなよセイヴァー」

 

笑いながらセイヴァーの視線を受け流すクー・フーリン。

彼はセイヴァーが何かを隠している事も、マシュを避けている事も知っていた。

それも知った上でセイヴァーにとやかく言うのをやめている。

彼は彼なりにセイヴァーを信用して行く末を見る事にしている。それは、冬木の特異点でキャスターのクー・フーリンが思った事と奇しくも重なっていた。

 

「俺たちが出た後、適度に時間を置いて藤丸立香達が出発してくれ」

 

「時間を置く理由は?」

 

「一つは同時に出ては、分けた意味が無いからだ。

もう一つは、分けて行動すれば敵も分断出来るかもしれないからだ」

 

セイヴァーの説明に全員が無言で頷く。

 

「そうだ。一つ言い忘れていた。

ファヴニールに会った時は、戦おうとするな。どんな状況であれ逃げろ。

この場にいる全員が束になってもアレに傷をつける事は出来ない」

 

「それ、一番重要じゃないの!?」

 

さらっと落とされた爆弾に立香が大声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

立香SIDE

 

「セイヴァー達が出発して一時間。

もう良いかな?」

 

『周囲にサーヴァント反応なし。敵性生物の反応もないよ』

 

「よしっ。じゃあ行こう」

 

オレの指示にサーヴァント達が頷く。

このチームの指揮はオレが執る事になった。

セイヴァー曰く、この先も分断しなければならない状況があるかもしれないから慣れろという事らしい。

出来ればそんな事起きて欲しくないけど、きっと起こるんだろうなぁ。

たわいもない雑談をしながらリヨンに到着した。

 

「激しい戦闘が有った様だね」

 

リヨンの町は意図的に壊されたのでは無く、戦闘により壊れた事がわかる。

町の入り口近くは目も当てられない状態だが、入り口から離れたところはほとんど無傷。

 

「サーヴァント反応は?」

 

『確認できるよ。一つ妙な反応があるけど』

 

「妙な反応?」

 

『なんて言ったら良いだ?サーヴァントの様なでも、消えかかってる半端な反応があるんだ』

 

通信越しでもロマンが、迷いながら伝えてくる事が分かる。

 

「て、消えかかってるのが竜殺しだったらやばいじゃん!?」

 

「おい!待てよマスター!」

 

慌てて走り出したオレを追う様に、クー・フーリン達が走り出す。

町に入って一番先に目に入ったのは、紅い外套の内側から突き出している剣だった。

 

「これは……」

 

『それが消えかかってるサーヴァント反応だね』

 

「マスター!あん?これは、あの野郎の…」

 

クー・フーリンが紅い外套を見て、不機嫌な感じで眉をひそめる。

何か知っているのか?

 

「けっ、気にくわねぇ野郎だが死力を尽くした相手に文句を言うのは礼儀じゃねぇよな」

 

何処か寂しげのクー・フーリンを見てられなくてオレは視線を別の方向に向けた。

すると、此処から離れた所に剣を持って此方にどう話しかけようかと思案顔の英霊を見つけた。

クー・フーリンにバレない様に、マシュとアマデウスにジェスチャーして其方に向かう。

 

「えーと、君は?」

 

「すまない。すぐに話し掛けれず、気を使わせた様だ。

俺はジークフリート。竜を殺す事しか能のないサーヴァントだ」

 

すっごい腰低いけどこの人が竜殺しの英霊だ。

 

「オレ達に力を貸して欲しい。貴方の力が必要です」

 

頭をしっかりと下げて、ジークフリートに頼む。

相手の腰が低いからってこっちが雑に頼って良いわけじゃない。

寧ろ、しっかりとした態度で協力を申し出る方が良い。

少なくともオレはそう思ってる。

 

「顔を上げてくれ。こんな俺で良ければ力を貸そう。

名も知れぬ英霊に礼も言いたいしな」

 

「名も知れぬ英霊?」

 

「ボロボロだったが、ワイバーン達からこの町の人を守り、そこで剣群となった褐色の英霊がああなるまで助力する英霊だ。

助けてもらった人達を代表して礼が言いたい」

 

「…多分、その英霊オレ達の仲間だよ」

 

オレは頭にセイヴァーがよぎった。

この町に来ていたと言っていたし、多分そうだろう。

 

「そうか。ますます、協力する理由が出来た」

 

「よろしくジークフリート」

 

こうしてオレ達は竜殺しを見つけた。

向こうも無事に聖人を見つけていれば良いけど。

 

『仲良くなってる所悪いね!所長達が向かったマルセイユにファヴニールが現れた。

急いで向かってくれ!』

 

焦りに焦ったロマンの声が状況の危険さを教えていた。

 




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