自炊楽しい。
疲労と眠気を無視して書きました。
楽しんでくだされば幸いです。
『レーダーにオルレアンを捉えたよ!
街の入り口に巨大な竜種の反応。そして、複数のサーヴァント反応だ』
可能な限りの強行進軍の最中、ロマンが声をあげる。
因みにサーヴァントの速度に合わせるために、オルガマリーはセイヴァーが立香はマシュがお姫様抱っこをして進んでいる。
運ばれている二人の頬は少し紅い。
そして、全員の視界に黒い竜。ファヴニールが映る。
『グァァァァァア!!!!!』
それはファヴニールも同様で、その声で大気を震わす。
「マスター。降ろしますよ」
「良いわよ。立香、後は任せたわね」
オルガマリーを大切にしかし、早く降ろしたセイヴァーがバルムンクを構え、ジークフリートと共にファヴニールへと急接近する。
ファヴニールが口に溜め込んだ炎を放出する。
それをギリギリまで、避けずにあたる直前で左右にずれる二人。
そのまま、接近しセイヴァーが左足を、ジークフリートが右足を斬りつけた。
『ガァ!?』
「死なないで下さいよ!オルガマリーさん。セイヴァー、ジークフリート!」
怯んだファヴニールの隙間を立香達が駆け抜ける。
自らの足下を通過していく立香達には目もくれず、セイヴァーに噛みつきにいく。
バックステップでかわし、一度距離をとる。
「そこまで俺を狙うのか。だが、今回はお前の天敵もいるんだぞ?」
「その通りだファヴニール」
セイヴァーがニヤリと笑う。
その直後にジークフリートがファヴニールの胸を斬りつける。
斬りつけられた所から、大量の血が噴き出す。
『ガァ!?』
「随分と柔らかくなったな」
ジークフリートがファヴニールを斬り裂いた感覚に、思わず驚く。
それを確認しセイヴァーは仮説が正しい事を悟る。
「マスター、援護を頼みます」
「勿論よセイヴァー。ジークフリートもね」
「感謝するオルガマリー」
相変わらずセイヴァーを睨みつけるファヴニールに対し、オルガマリーを守る様に立つセイヴァーとジークフリート。
邪龍討伐が始まった。
オルレアンの入り口にて、ファヴニールの足下を駆け抜けた立香達。
オルレアンの城からちょうど、半分の地点。
「殺す。お前らは此処で死ね」
「貴女が此処にいるということは、そうか彼は死んだんだね」
バーサークアーチャ、バーサークセイバーが立香達の前に立ちふさがる。
一瞬遅れてマリー・アントワネットとアマデウス、ゲオルギウスが飛び出し二騎を立香達から距離を離す。
「此処は私達に任せて先に!」
気合がかった顔で、バーサークセイバーへと戦いを挑むマリー・アントワネット。
「うわぁ、怖い顔。まぁ、僕も少しはやらないとね」
指揮棒を取り出し、バーサークアーチャーに光弾を飛ばすアマデウス。
「手伝おうアマデウス」
光弾に合わして斬りかかるゲオルギウス。
マリー・アントワネットはサンソンによって繋がった命を活かすために。
アマデウスは、そんな王妃を手助けする為に。
戦場に立つ者ではない、二人を戦場に立たせている。
「死ね。皆、此処で死ね」
「私もそろそろ限界です王妃。
先に無礼を詫びておきます」
矢をつがえ、サーベルを構え襲いかかるバーサークアーチャーとバーサークセイバー。
狂気に支配された英霊との戦闘が始まった。
マリー・アントワネット達が戦闘を始めた頃、立香達は城門に来ていた。
但しそこにはヴラド三世が立ち塞がる。
「おう。俺の出番だな」
クー・フーリンが首を鳴らしながら前に出る。
ヴラド三世もそれを見て、口角をあげる。
「漸く来たか。さぁ、戦士よ始めようぞ」
「言われなくてもその気だぜ。マスター、此奴は俺がやる。先に行きな」
クー・フーリンの言葉に無言で頷き、立香達が中に入る。
「良いのかよすんなりと入れて」
「余は既にマスターに興味など無い。
此度の生に興味があるのは、貴様との殺し合いのみ」
ヴラド三世とクー・フーリンが同時に獰猛な笑みを浮かべる。
直後に二人の持つ槍が激しく衝突した。
王と戦士の一戦が始まった。
場内を進んでいく立香達。
ジャンヌの案内で玉座に着く最後の広間で、バーサークアサシンが行く手を阻む。
「くっ。あと少しで到着というのに…」
ジャンヌが苦虫を噛み潰したような表情で呟く。
「期待されていないのでしょうけど、サーヴァントとしての役目ぐらい果たさないとね」
バーサークアサシンが杖を構える。
立香達も早々に倒して進むべく戦闘態勢をとる。
その時だった。
『レーダーに反応!?そこの窓から来るよ!』
ロマンが叫んだのと同時に、窓ガラスが割れて何かが突っ込んで来る。
「むぎゃ!……痛い。なんで私がこんな目に…」
窓ガラスをぶち破って飛んで来たのは、清姫に無視されていた紅いサーヴァント。
真名はエリザベート・バートリー。
「……なんで私がいるのよ」
「いたた…げっ、私じゃない」
バーサークアサシン。
真名はカーミラ。彼女はエリザベート・バートリーの未来の姿だ。
そして、この二人は互いに嫌っている。
エリザベートはカーミラを狂った己の末路と認めたくなく、カーミラは忌むべき過去として。
互いを嫌っている。
「あんたが藤丸立香って奴?」
エリザベートが振り返り、立香に話しかける。
その顔に敵意はない。
「あ、うん。オレの事だと思うよ」
突然の登場に驚きながら立香が答える。
立香を値踏みするように見つめるエリザベート。
「及第点ってところね。先に行きなさい。
アレは私が引き受けるわ」
マイクスタンドの様な槍を構えるエリザベート。
既に立香達を見ていない。
「…頼んだ!行くよマシュ、ジャンヌ!」
一瞬迷った後、エリザベートにこの場を任せる事を決断した立香。
その判断に嬉しそうに口角をあげるエリザベート。
マシュとジャンヌも遅れて走り出す。
「行かせー」
「させると思う?私」
立香達を妨害しようとしたカーミラに槍を振り下ろすエリザベート。
カーミラは攻撃を中断し、杖で槍を防ぐ。
その隙に立香達は玉座へと入っていった。
『ガァァァアア!』
「ちっ、やはり一筋縄では倒せないか」
最初は僅かに優勢に戦っていたものの、ファヴニールの猛攻に押され始めるセイヴァーとジークフリート。
ファヴニールも馬鹿ではなく、初めはセイヴァーに固執していたがジークフリートを脅威と認めたのか行動に回避する様子を見せ始めた。
オルガマリーも全力で支援するが、あまり効果はない。
「やはり、俺が勝てたのは数ある敗北の中から勝利を引き出せたからか」
「なら、それをもう一度頼む」
「すまない。どうも俺が知っているのと違う」
振るわれた尻尾をジャンプで避け、矢を数発放つセイヴァー。
当たる直前で内包した神秘を自壊させる。
殆どファヴニールにダメージは無い。
だが、僅かに怯んだファヴニールから距離を取り態勢を立て直す。
「さて、このままじゃイタチごっこだな」
正確に言えば、押し切られる。
ファヴニールは未だに健在。対して、セイヴァーとジークフリートは所々に傷がある。
オルガマリーも肩で息をしているところを見ると限界が近い。
セイヴァーは戦闘スタイルの所為で、マスターから魔力をかなり食う。
「……マスター。キツイですか耐えてください」
「え?」
「…ギルガメッシュ。財宝を借りる」
ボソッとセイヴァーが呟く。
オルガマリーもジークフリートも聞き取れなかった。
セイヴァーの背後に、黄金の波紋が現れる。
波紋の中から武器が現れる。
直後にオルガマリーから大量の魔力が抜かれる。
「これらは全て竜殺しの武器だ。
その原点なら貴様も、只では済むまい」
セイヴァーが手を振り下ろすと同時に波紋から武器が射出される。
『ガァァァアア!?』
撃ち出された武器はファヴニールの鱗を貫く。
苦悶の叫びを上げる。
「セイヴァー……魔力を食い過ぎよ…」
若干血色の悪い顔をしているオルガマリー。
かなりの魔力が持っていかれた様だ。
「凄いな…一つ一つの武器がかなりの神秘を秘めている」
『グルァァア!』
セイヴァーの攻撃にファヴニールが猛り狂う。
離れていたオルガマリーに被害は無いが、セイヴァーとジークフリートに災害が襲う。
「くっ!」
ジークフリートは飛び上がり避ける。
しかしセイヴァーに動きが無い。
よく見ると膝が震えている。英雄王の力を使った時に、オルガマリーが消費した魔力は二割程度。
残りの八割はセイヴァーが自身の魔力で賄った。
呪いが解除されてもそれ以前に消費した魔力が戻りきる訳ではない。
「力が入らない…」
膝をついたセイヴァーにファヴニールの爪が迫る。
その時だった。
「『
青い炎の様な蛇に近い竜がファヴニールの爪と衝突し振り下ろされる地点をずらす。
セイヴァーが砂埃に目を閉じて、開けるとそこには清姫が立っていた。
「なっ!?」
セイヴァーが驚愕する。
何故なら彼は意図的に、彼女に会う選択肢を選ばなかった。
理由は彼女であれば、必ず自身に気付くからだ。
だから避けた。カルデア一行を急かす様に扇動したり、本来なら消える英霊を救った。
だというのに彼女は現れた。確定とも取れる言葉と共に。
「指切りげんまんの約束。忘れた訳ではありませんよね?ますたぁ」
そう言ってセイヴァーの小指と自身の小指を絡める。
頬を赤く染め、愛している人に会えたという優しい顔を浮かべる清姫。
「……どうして……いるんだ……清姫…」
その顔に言葉を詰まらせ、苦悶の表情を浮かべるセイヴァー。
「わたくしは、貴方がどの様な道を選んでも貴方を支える。
そう決めたんですよ。それを貴方が望んでいなくても。だって、バーサーカーですもの」
「俺はあの時に、お前の信頼を愛情を裏切ったんだぞ!
如何して……なんで、俺にオレなんかに関わろうとするんだ!」
激しく感情を露わにするセイヴァー。
目には僅かに涙が浮かんでいる。
「わたくしはますたぁを愛しています。
理由なんてそれだけですよ。まだ、お話をしたいのですが先ずはアレを倒しましょう?ますたぁ」
絡めていた小指を離し、セイヴァーに手を差し出す清姫。
その姿に何かを感じたのかセイヴァーは一度目を閉じて清姫の手を取る。
「…ああ。やろう清姫」
「それでこそますたぁですわ」
セイヴァーと肩を並べる様に立つ清姫。
「ところでエリザベートは?」
「道中でワイバーンを見つけましたので、脅して城に届けましたわ」
「扱いが酷いな。まぁ、良いか」
バルムンクを取り出し構える。
その横で清姫を扇子を広げ、口元を隠す。
「すまない。空気も読まずに発言する。
フルパワーで宝具を撃てば、倒せる可能性がある。だが、それには」
「魔力を溜める必要があるんだな。了解した、俺と清姫で時間を稼ぐ」
「すまない。助かる」
ジークフリートの言葉に無言で頷く二人。
その後互いに一瞬視線を交えると、清姫が僅かに後ろに下がりセイヴァーが駆ける。
限界を迎えた身体を、魔術で無理矢理回復させ動かす。
突如として現れた清姫を警戒していたファヴニールも、動き出したセイヴァーを向かい撃つように足を上げ振り下ろす。
しかし、避けるそぶりも見せずに走るセイヴァー。
直後に清姫が炎を扇子から打ち出し、ファヴニールの目を焼く。
『ガァ!?』
「わたくしも竜種の端くれですの」
全身に鱗が出現している清姫。
変化のスキルで半竜化した様だ。
「ふん!」
怯んだ所を狙い、右足の健を切り裂く。
その場に留まらず、飛び上がり左翼を連続で切り裂き、ボロボロにする。
しかし着地時にバランスを崩す。
そこを噛み付こうとしたファヴニールに再び炎が襲いかかる。
「させませんよ?」
『ガァァァアアア!』
鬱陶しいと言わんばかりに、尻尾を清姫に振るうファヴニール。
だが、今度はセイヴァーが下から顎を勢いよく蹴り上げ斬りつける。
阿吽の呼吸。
一切の指示なしでセイヴァーと清姫は連携している。
合図と思えるのは、ほんの一瞬のアイコンタクトのみ。
それだけで、互いをサポートしている。
「なんだろう…胸の奥がモヤモヤする…」
そんな二人を見て、オルガマリーは自身の胸に芽生えた感覚に疑問を感じる。
どう見ても嫉妬に近いものであるが、彼女は気づかない。
そんな時にジークフリートの魔力が溜まった。
「セイヴァー!緑のサーヴァント!宝具を撃つ」
剣を上段に構えるジークフリート。
それを確認し、セイヴァーは右目に。清姫は左目に矢と炎を放ち離れる。
両目に攻撃を受けたファヴニールは動きを止める。
それは大きな隙だった。
「『
ジークフリートが振り下ろすと同時に、剣からオーラが放出されファヴニールを飲み込む。
『ガァアアアアアアアアアアア!?ァア…』
それはファヴニールを粒子に変換していく。
邪竜は再び英雄に殺された。
感想・批判お待ちしています。
やっとやられてくれたよファヴニール……
土方さんの「新撰組だぁ!」が耳から離れないのは私だけでしょうか?