願いを込めて   作:マスターBT

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寝る時間を捨ててみました。
うん無理。死んじゃう。
今回でオルレアン終わろうかなぁと思ってたんですけど分けます。
それと考えましたけど、ご都合展開があるかもしれません。許して下さい。

あ、後書きでアンケート連絡があるますので。


ジャンヌ・オルタ

熱気が空間を支配する。

不思議な事に、玉座の間を焼いている炎はこの空間より先は焼かない。

藤丸立香の首が、突きつけられた剣により薄く切れる。

マシュやジャンヌは勿論のこと、遅れて来たオルガマリー達でさえ、状況の異常さに動けなかった。

セイヴァーと清姫を除いて。

 

「清姫!」

 

「『転身火生三昧』」

 

憎悪の炎を、愛憎の炎が駆け抜ける。

宝具と宝具の衝突により、威力が減衰された為ジャンヌ・オルタを焼き尽くす事は無い。

だが、立香から距離を取らせることはできた。

 

「ボサッとするな!藤丸立香!」

 

腰を抜かした様子の立香をセイヴァーが、首根っこを掴みマシュのいる方向に投げ飛ばす。

 

「えっちょ、私も動けないんですよー!?」

 

マシュの悲痛な叫びは無視され、飛んでくる立香。

驚きながらも踏ん張りどうにか、受け止める。

 

「……へぇ。やっぱり来たのねあんた達」

 

ジャンヌ・オルタがセイヴァーと清姫を見る。

清姫に関しては、知らないがセイヴァーは知っている。

自分に色々と言ってきたオルガマリーのサーヴァントなのだから。

 

「私に散々言っておいて、貴方のマスターは傍観するだけかしら?」

 

「……ああ。なるほど、お前の覚醒が早いのはマスターのせいか。

貴様など指示を出さずとも余裕という訳じゃないか?贋作」

 

少し小声で呟いた後、ジャンヌ・オルタを挑発するセイヴァー。

その顔には分かり易く、馬鹿にしているという表情で。

 

「何が言いたいのかしら?」

 

「理解出来ないか?貴様は俺一人で十分という訳だ」

 

ジャンヌ・オルタに青筋が浮かぶ。

それを見てニヤリと笑みを浮かべるセイヴァー。

相変わらずの短気で助かった。

そういえばと思い、セイヴァーが視線を巡らせると視界の端にバーサークキャスター。

真名ジル・ド・レェが倒れてるのが見えた。

 

「そこで倒れている貴様の副官は?」

 

「副官?ああ、ジルのことね。

この炎が燃え上がったら、一緒に燃えたわよ?」

 

……ああ。この炎にはジル・ド・レェは敵認識なんだなと納得するセイヴァー。

ジャンヌ・オルタをしっかりと観察する。

彼女の霊核から異常に高い魔力を感知する。

恐らく、彼処に聖杯がある。だが、見た所完全にジャンヌ・オルタとの一体化を果たしているようだと気付くセイヴァー。

 

「(さて、挑発して俺一人で十分だとか言ったが、聖杯のバックアップを全開で受けてる奴なんて無理だぞ?

藤丸立香とマシュの復帰までは時間がかかる。残りの面子も、それぞれが消耗している。

俺が持ち得る手段での倒し方は………無理だ。俺以外の力がいる)……マスター」

 

「ッツ!?何かしら?セイヴァー?」

 

漸くと言っても、此処まで一分程度の時間しか経過していない。

オルガマリーが驚きから復活する。

 

「令呪の使用を。今の俺は圧倒的な魔力不足ですから」

 

「そうか。呪いが解除されたから令呪を使っても大丈夫なのね。

でも、私と貴方の契約は…」

 

「使わなくて負けるよりはマシです。マスター」

 

「でも!」

 

セイヴァーの言葉にオルガマリーが食ってかかる。

彼と彼女の契約は直接契約。

立香の様に、カルデアを介してでは無い。

その為、令呪は三回。それが二人の契約限界だ。

令呪の使用を渋っているオルガマリーに近づくセイヴァー。

そして、令呪が浮かんでいる右手を掴み、オルガマリーと視線を合わせる。

 

「俺は貴女のサーヴァントです。それは、どの様な事になっても変わりません。

俺のあんな姿を見たのは、マスター。後にも先にも貴女だけです。

ですので、俺は弱みを見せるほど、貴女を信頼していますよ」

 

告げられた言葉はセイヴァーが向けるオルガマリーへの信頼。

その言葉とセイヴァーの目を見て、無言で頷くオルガマリー。

 

「分かりました。セイヴァー、令呪をもって命じます。

ジャンヌ・オルタを倒しなさい!そして、必ず私の元に戻って来て!」

 

オルガマリーの令呪が一画消える。

それと同時に何処から朧げとしていたセイヴァーから魔力が溢れ出る。

手を開いたり握ったりして力を確認するセイヴァー。

そして、干将・莫耶を取り出し構える。

 

「安っぽい劇は終わったかしら?」

 

「待たせたな。さて、お前の憎悪。その全てを捌ききってみせよう」

 

紅蓮の焔がセイヴァーに襲いかかる。

セイヴァーは言葉にならない言葉を紡ぎ、魔法陣を展開。

そこから放出された水が、焔を打ち消す。

水蒸気で一瞬視界が塞がったのを、利用し距離を詰め斬りかかるセイヴァー。

しかし、二刀による攻撃はジャンヌ・オルタが持つ剣に防がれる。

 

「ーーー」

 

再び言葉にならない言葉を紡ぐ。

今度はレーザーの様に光線が、ジャンヌ・オルタを襲う。

 

「くっ!」

 

僅かに掠るが、避けられ距離を取られる。

令呪により魔力に余裕がある数多の英霊の力を扱えるセイヴァーと、聖杯のバックアップを全開で受けているが元が旗持ちであるジャンヌ・オルタの戦いは僅かな所で拮抗していた。

押し切れる訳では無いが、だからと言って押し切られる程の差はない。

現状の二人を述べるにはこれが適切だろう。

 

「私の相手なんて余裕じゃなかったのかしら?」

 

剣を交えながら、ジャンヌ・オルタが挑発してくる。

 

「そう言うお前も、聖杯の力を貰ってる割に俺の様な弱小英霊を仕留められないとはな。

それで一体何に復讐する気だ?」

 

だが、涼しい顔でそれを受け流し、皮肉るセイヴァー。

ジャンヌ・オルタに再び青筋が浮かぶ。

 

「うざったいわね!」

 

ジャンヌ・オルタの握る剣が焔を纏う。

直後に触れていた干将・莫耶が高温により溶ける。

溶けた剣を投げ捨て、距離を取るセイヴァー。

 

「剣を溶かすほどの高温を持ちながら、自分は焼かないか。

敵として認識したものしか焼かない様だな。その焔は」

 

セイヴァーは思考する。

生半可な剣では、あの焔に溶かされる。

確かに焔如きで溶けない剣を知っている。

だが、余りにも有名すぎる。自身が持っている事に違和感しか感じさないだろう。

しかし、それしか策は無い。ああ言った手前、手を貸してくれなど言えない。

はぁ、と溜息を一つつきセイヴァーは口を開く。

 

「ならば、太陽の剣なら焔如きで溶かされまい。

借りるぞ。ガウェイン」

 

セイヴァーの手に一振りの剣が現れる。

西洋の剣の特徴でもある切るよりは叩き潰す事に向いている刀身。

その剣は、忠義の騎士と言われたガウェインが持った聖剣。

『ガラティーン』その物だった。

 

「やはり重いな。これが聖剣か」

 

ガラティーンの剣先を自身の後ろに向ける様に腰だめで構える。

もはや観客の様になっているカルデア一行の中で、クー・フーリンがセイヴァーの握る剣の正体に勘づき、マシュが妙な違和感を覚える。

その剣はセイヴァーが持っていては可笑しいと、理屈なしで思う。

立香は何かに引き込まれる様にセイヴァーの動きを注視していた。

 

「ふん。剣が変わったぐらいで」

 

「それはどうかな?」

 

ガラティーンに魔力を流し込み、焔を噴出。

擬似的な魔力放出でジャンヌ・オルタに一瞬で近づき下から勢いよく切り上げる。

その行動に驚きながらも、自身の剣で防ごうとする。

カァッン!甲高い金属音を上げて、ジャンヌ・オルタの手から剣が離れる。

 

「なっ!?」

 

驚いているジャンヌ・オルタの片足を払い、その場に膝付かせる。

そして、先ほど立香がやられていた様に首筋に剣を当てる。

 

「チェックメイトだ」

 

「どうして……私は漸く目的が出来たのに……」

 

完全に戦意を消失した顔で言うジャンヌ・オルタ。

 

「そこのお姫様と、文句をつけてきた女に言われて…考えて答えを出せたのに…私は…」

 

彼女のクラスチェンジは、マリー・アントワネットとオルガマリーに言われた事が発端になった。

フランスを滅ぼす。その先を考えられなかった彼女は必死に頭を動かせ考えた。

それが、虚ろだった彼女という器に中身を与え始めた。

積み重なったソレは、歪んだ騎士の願いを完全に捨て去り、確固たるジャンヌのIFを形成した。

彼女の自身を知りたいという欲求が、中身を持った事で聖杯に願いとして聞き入られた。

万能の願望器、聖杯。それが起こした奇跡は彼女の未来を加速させた。

本来なら、膨大な時間をかけ成り立つ筈の英霊を、聖杯を魔力源とする事でこの瞬間に成立させたのだ。

 

「……消えたくないのか?」

 

「ッツ!?そうよ!ジルの描いた人形じゃない。

漸く、自分という物を持てたのに私は此処で消えてしまう!」

 

合点がいった。

何故、敵しか焼かぬ筈の焔がジルを焼いているのか。

それは、自己を形成した直後の彼女にとって、彼は確実な味方として捉えられなかったのだろう。

 

「そうか。だがな、そうやって自己を持ったという事はお前は一人の英霊だ。

此処で消えても、お前は消滅しない。そこで、気絶してるもう一人の人間に呼ばれるのを待ってるんだな」

 

「私は……消えない?……」

 

「ああ。だから、安心しろ。ジャンヌ・オルタ」

 

彼女の身体が粒子へと変わる。

敗北を認めたのだろう。今の彼女を成立させていた一番強いもの。

それは意志。それが、セイヴァーの言葉により無くなったため消滅が始まった。

 

「……そうね。でも、私の目的は変わらないわ。

でも、復讐する相手がいないなんてつまらないから、召喚されたら手伝ってあげるわ」

 

捻くれた素直じゃない言葉と聖杯を残し、消滅するジャンヌ・オルタ。

その顔は何処か晴れ晴れとしていた。

 

 




アンケート連絡です。
えーと、オルレアンクリアで追加するサーヴァントを募集します。
あ、しれっと清姫はついてくるから除外ね。
募集するサーヴァントはオルレアンで出てきたサーヴァントに限定します。
期限は二週間後までで。
活動報告の方にお願いしますm(._.)m

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