願いを込めて   作:マスターBT

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英霊召喚です!




英霊召喚②

「ダヴィンチ」

 

「ん?なんだい」

 

「サーヴァントの召喚には余計な干渉を防ぐ為に、サーヴァントは別室待機だったよな?」

 

「そうだね」

 

セイヴァーの質問に当然だと言わんばかりに頷くダヴィンチ。

その返答に満足そうに頷きながらセイヴァーは続きを口にする。

 

「では、一つ聞こう。

何故、これから召喚が行われると言うのに俺は拘束され転がされているんだ?」

 

鎖の様なもので地面に転がされているセイヴァーが質問する。

その表情は鬼気迫り、見るものに恐怖を与えるだろう。

転がってさえいなければ。

 

「愚問だねセイヴァー。

オルレアンであんな事をした君を放置する訳ないじゃないか」

 

「あんな事?」

 

「おや、自覚無しかい。

これはとんだ朴念仁だ。サーヴァント、清姫との指切りでの約束。

マリー王妃を死の淵から救う。そして、挙げ句の果てに黒幕のジャンヌ・オルタの折れた精神を支える様な発言」

 

「ぐっ」

 

思わずセイヴァーは言葉に詰まる。

それもそのはずだ。全て自分が行った事。

マリー・アントワネットの件は一先ず、置いておいても清姫とジャンヌ・オルタは生前の所為だ。

それを否定することは彼には出来ない。

 

「……分かった。だが、俺が手伝うのは一騎の召喚のみだ。

あとは勝手にやってくれ」

 

溜息をついてから、観念した様に言う。

 

「まぁ、それでも良いか。私の理論を試すにも良い機会だしね」

 

「は?おい、ちょっとーー」

 

「さぁ、行くよ!」

 

セイヴァーの言葉を遮り、聖晶石をセットし召喚を始める。

改めてこの場の状況を説明しよう。

セイヴァーは縛られて転がされている。システムフェイトの真横に。

そして、カルデアのマスターである立香とオルガマリーはこの場にいない。

そう。この場に、マスターはいない。

いるのはサーヴァントだけだ。

だというのにシステムフェイトは起動し、召喚を始めようとしている。

 

「ッツ…」

 

セイヴァーが左手の痛みに気付き、確認すると盾が砕けた様な形の令呪が浮かび上がっている。

その光景に思わず固まるセイヴァー。

 

「ふっふっふ。サーヴァントがマスターになる事は出来る様だね。

まぁ、調べた聖杯戦争の歴史にしっかりと記述されていたから試したんだけど」

 

光が三つ広がり、収束する。

人型を形成し、サーヴァントが現れる。

 

「ますたぁ。また、会えましたね。

でも、どうして縛られて転がってるんですか?」

 

サーヴァント、清姫。

生前の縁で記憶を持ったまま現界したサーヴァント。

本来なら物凄いヤンデレなのだが、現状その兆しは見られない。

 

「ああ。そこのダヴィンチに縛られてな」

 

「……なるほど分かりました。

用事が出来ましたので、詳しい話はまた後で致しましょう」

 

「ね、ねぇ?清姫?

どうして私の首根っこを掴んでいくのかな?」

 

「うふふ」

 

「ちょ!?その笑みは黒すぎ!?助けてーセイヴァー!?」

 

ダヴィンチが黒い笑顔を浮かべた清姫に首根っこを掴まれ、引きずられる様に部屋から出ていく。

気のせいでなければ聞こえてはいけない音が聞こえるが、セイヴァーは全力で聞こえないふりをする。

 

『ふふっ。ダヴィンチさん、ますたぁに何をしてるんですか?』

 

『ま、待つんだ清姫!話し合いをしようじゃないか!だから、その爪を戻してあーー!?』

 

決して聞こえない。

ダヴィンチの悲鳴も、叫び声も。

暫く悲鳴が聞こえていたかと思うと、何も聞こえなくなる。

ダヴィンチも清姫も戻って来ないが、オルガマリー達が来た。

 

「セイヴァー!?」

 

オルガマリーはセイヴァーの状態を見て、駆け寄り拘束を解く。

 

「ありがとうございますマスター」

 

「なぁ、セイヴァー。廊下で清姫っていうサーヴァントがダヴィンチちゃんを、ズタボロにしてたんだけど理由って分かる?

マシュに頼んで止めてもらってるんだけど…」

 

立香がセイヴァーに質問する。

それに対し、視線を彷徨わせながらセイヴァーが答える。

 

「清姫は究極のヤンデレで、召喚直後に俺のあの状態を見た。

勿論、俺が縛られてたのはダヴィンチが原因」

 

「なるほど分かりました。

立香、ロマンと一緒にサーヴァントを召喚しておいて。私は少し用事が出来ました」

 

セイヴァーの答えを聞いて、目が座るオルガマリー。

その圧に立香は無言で頷き、セイヴァーは動けなかった。

そのままの状態で部屋を出ていくオルガマリー。

 

『マシュ。戻って良いわよ』

 

『え、でも『戻って良いわよ』……はい。分かりました!』

 

『清姫でしたっけ?ソレの処刑混ぜてくれます?』

 

『ええ。良いですよ。ふふっ、話のわかる方で良かったです』

 

『え、所長?待って!?君のガンドは洒落にーーあーーーーーーーーー!?』

 

直後にこんなやり取りが聞こえ、マシュが震えながら戻って来た。

なにが起きていたのか聞く勇気は一人と一騎には無かった。

 

「さ、さて、サーヴァントを召喚しようか」

 

ロマンが青ざめた顔でシステムフェイトを準備する。

運悪くダヴィンチがフルボッコにされてる時に、目の前を通過してしまったらしい。

セイヴァーとマシュは別室で待機している。

 

「…よしっ石のセットを完了。準備完了です。ロマン」

 

立香の言葉に無言で頷き、システムフェイトを起動させる。

石が砕け散り、高密度の魔力が発生する。

 

「んっ!?この反応って!」

 

ロマンは測定できた霊基反応を見て驚く。

何故ならこの反応は。

 

「サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に応じ参上しました。

……あら?彼はいない様ですね」

 

アヴェンジャー、ジャンヌ・オルタ。

先ほどの特異点。オルレアンで殺し合いをしたサーヴァントだ。

 

「セイヴァーなら、別室にいるよ。ジャンヌ・オルタ」

 

首に剣を突きつけられたというのに、一切怯まずにジャンヌ・オルタに言う立香。

 

「へぇ。中々、面白そうなマスターの様ね。

では、契約書です。しっかり読んでくださいね」

 

何処からか取り出した紙を受け取り確認する。

色々と書いてあったが、要約すると私に余計な指図はするなになると思う。

 

「これから宜しく。ジャンヌ・オルタ」

 

立香は握手をするために手を差し出す。

 

「えぇ。精々復讐者を上手く使いなさい」

 

何処と無くジャンヌ・オルタの表情は楽しそうだった。

 

 

 

 

 

 

立香がジャンヌ・オルタを召喚していた時、セイヴァーは別室で清姫と対峙していた。

 

「相変わらず、美味いな」

 

「ふふっ。ますたぁに手料理を振る舞う機会を楽しみにしていましたから」

 

机の上に並ぶ和食。

一人分ではあるが、かなりしっかりとしている。

 

「どうやら、俺が再びマスターの様だ」

 

セイヴァーが左手の令呪を見せる。

 

「やはり…」

 

「ああ。令呪の形が変わっている。

俺の性質は思っていた通り、変質した様だ」

 

盾が砕けた様な形の令呪。

それはセイヴァーの過去を物語っている。

 

「分かっていたことだ。清姫、これから人理を修復するために力を貸してもらいたい」

 

「勿論です。わたくしの真名は清姫。

愛に生きて愛に狂い、一つの真実を見つけたサーヴァント。

その答えをくれた貴方ならこの身を、捧げましょう」

 

着物を整え、しっかりと礼をする清姫。

セイヴァーは無言で頷く事で答える。

互いが無言の間、和食を食べ終わる。そして、セイヴァーは疑問に思っていた事を口にする。

 

「なぁ清姫」

 

「はい。なんでしょう?ますたぁ」

 

「どうやってこっちに来たんだ?」

 

英霊は座に戻った時点で、記憶が本体に統合される。

分体としての英霊が感じた思いや記憶などは、余程強烈に残っていても本体には殆ど記憶されない。

精々、こんな事があったなと言う程度だ。

 

「気付いてなかったんですかますたぁ?

貴方がわたくしにくれてた物を使わせて頂きましたよ」

 

そう言って清姫は自分の胸、正確には霊核が存在しているところを扇子で突く。

 

「……ッツ!聖杯か」

 

セイヴァーは生前の記憶から清姫の動作の意味を悟る。

 

「はい。ますたぁが抑止力と契約し、守護者となった時にわたくしは無意識に己の内の聖杯に、『ますたぁを支えたい』という願いを願っていた様なのです。

その願いを聖杯が奇跡を持って叶え、本来座に戻った時点で消える記憶を保持したまま、あの特異点に現れるわたくしと入れ替わったという訳です」

 

「…もう、聖杯に関しては驚かないな」

 

「ふふっ。でも、こうしてまた会えるかは賭けでした。

聖杯はあの特異点でのわたくししか保証しませんでしたから」

 

ああ、流石は指切りの約束だけで気が付いたら現界しているだけはある。

今回も彼女独特の何かで召喚されるまで座に戻らなかったんだろう。

 

「…宜しく清姫」

 

セイヴァーが手を差し出す。

それは奇しくも立香がジャンヌ・オルタに手を差し出したのと同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふ…来るといいセイヴァー。

不思議な事だが、貴様ならファヴニールを倒せると思っていたさ」

 

誰もいない暗闇に一人の男が嗤う。

 

「業腹だが、認めようじゃないか。

私は貴様をこの手で潰さねば気が済まない」

 

その手には黄金の杯が握られていた。

 




イベント進めないと…パッションリップを100にしたし進めないと…
微塵も進んでないよぅ

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