願いを込めて   作:マスターBT

35 / 82
サブタイがネタバレ?気にするな!

作者はシリアスが苦手です←今回はこれを覚えて読んでください。


一夫多妻去勢拳

ガァッン!

拳と扇子がありえない音を立てて衝突する。

カリギュラの拳はバーサーカークラスの筋力と、身につけている籠手がある為この様な音を立てても違和感はない。

問題は清姫の扇子だ。

聖杯で強化されているとはいえ、彼女のステータスは狂化込みでも低い。

その清姫が真っ向からしかも、戦闘用ではない扇子で戦っているのだ。

 

「ウォォオ!」

 

カリギュラが横払いに引っ掻く様に振るった拳を、肘関節に扇子を当てて逸らす事により避ける清姫。

その流れのまま、空いた脇に扇子を振り当てる。

そのダメージで僅かにカリギュラが飛ばされた。

 

「ますたぁ程ではありませんが、眼は良い方ですよわたくし」

 

唖然としているセイヴァー以外のカルデア組に背を向けたまま言う清姫。

セイヴァーは内心で、やり過ぎだ馬鹿と思う。

どんなに鈍いやつでも聖杯戦争しかも、かなりの激戦をくぐり抜けた者であるとバレるだろうが!

その思考が少し、表情から漏れ出し頬が引きつっている。

 

「セイヴァー?顔、怖いわよ?」

 

オルガマリーにやんわりと落ち着かさせられる。

当の清姫は暴れるカリギュラの攻撃を、優雅に威力は小さくても隙を逃さずに攻撃している。

 

「いい加減飽きましたね」

 

そう言うと清姫は、自身の身体に竜の鱗を纏う。

半竜化。彼女の変化のスキルを使ったものだ。

 

「玉藻さんに教わった技を試してみますか」

 

カリギュラの攻撃を少し、下がる事で避ける清姫。

そして、独特なポージングを取りカリギュラの弱点。

具体的に言えば、男なら誰でも苦痛に顔を歪める部位、股間。

そこに、半竜化した清姫の鋭い膝蹴りが直撃した。

 

「「『うわぁ……』」」

 

その一撃に、クー・フーリン、立香、通信機越しでロマンが合掌する。

セイヴァーは無言で腕を組んでいるが、表情が死んでいる。

そんな男性陣を、女性陣は首を傾げて見ていた。

 

「ぬぉぉぅ……おうぅ…」

 

見事なまでの急所突き。

鮮やかとも言えるコースで撃ち放たれたそれは男性にとって致命的すぎる一撃。

さしものカリギュラも股間を押さえ、蹲る。

そして、唸り声を上げたままその場から消えた。

サーヴァントが消滅する様な消え方ではない。

彼を使役している存在が令呪で転移させたのだろう。

 

「ふぅ…勝ちましたよ。ますたぁ」

 

「あ、ああ。良くやった、清姫」

 

なんとも言えない空気が場を支配する。

気のせいでなければ、ローマ軍の皆様方も青ざめた顔になっている気がする。

いや、なっているのだろう。一人の例外なく、内股になっているのだから。

 

「うむ!何か、微妙な空気になっておるが、実に見事であった。

暇があれば余にも教えてくれまいか?」

 

「「「「『それは駄目だ!!!!』」」」」

 

この場にいる男性の思考が一致した瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その後はこれといった問題も無くローマに到着し、紅い服の女性。

本名は、ローマ第五皇帝。ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスである。

彼女から現在のローマ帝国の説明を受けた。

一つ、大帝国ローマはバラバラに引き裂かれている事。

二つ、その勢力にはネロ以外の皇帝を名乗る連合が存在する事。

そしてーー

 

「貴公たち頼みたい!

余の客将となるが良い。それならば、聖杯とやらを手に入れる目的。

余とローマは後援しよう!」

 

三つ、ネロから共闘を持ちかけられた。

 

「それは此方からも頼みたい事です。

ネロ皇帝。その提案を私達、カルデアは喜んで引き受けます」

 

全員を代表し、オルガマリーが応える。

相手が皇帝である為、礼儀を重んじた作法だ。

 

「そう硬くなるな。余はお主らが気に入った!

故に、そういった態度は取らなくて良いぞ」

 

ニコニコと笑いながら言うネロ。

その表情を見て、オルガマリーも笑いながらこう応える。

 

「なら、ネロと呼ばせて貰うわね。よろしく」

 

それを壁際で見ていたセイヴァーが嬉しそうに口角を上げる。

彼が望んでいた光景が、この場にはあった。

オルガマリーが楽しそうに笑う。

生前、一度も見れなかったその顔が。

 

『いやーーいや、いや、助けて、誰か助けて!

わた、わたし、こんな所で死にたくない!

だってまだ褒められてない……!誰もわたしを褒めてくれていないじゃない……!』

 

「ッツ!」

 

セイヴァーの脳裏に生前の光景が過ぎる。

彼女の悲鳴、絶望した表情。

この世界のどんな事よりも自分を絶望させ、あり得た幸せを無に帰した日。

それが、この瞬間に過ぎり、セイヴァーは苦悶の表情になる。

 

「……セイヴァー?」

 

ふわりと何かが自分の頬に触れる。

思わず閉じていた目を開くと、ネロの前に居たはずのオルガマリーが心配そうに見ていた。

 

「えっ?」

 

セイヴァーにとっては無意識だった。

生前を思い出していたせいかもしれないが、彼は片目から涙を流しながらオルガマリーの頭をそっと大切な宝物でも、触れるように一回だけ撫でた。

オルガマリーにとっても不意打ちだった。

ネロがこの後、歓迎会の様なものをすると言った為、壁にもたれかかっていたセイヴァーを呼びに来ただけなのだ。

 

「……ッツ!?すみません。マスター」

 

ほんの僅かお互いに固まっていると、セイヴァーがハッとして手を引っ込める。

オルガマリーはセイヴァーが触れていた場所に言い様のない寂しさを感じた。

 

「い、いえ、大丈夫です……」

 

手が離れた時に思っていた事が原因で、恥ずかしさに襲われ言葉が続かないオルガマリー。

セイヴァーも自分の行動と、片目から涙が出ていた事に驚き言葉を発しない。

 

「そ、その」

 

「あの」

 

「「……」」

 

漸く口を開いたかと思えば、同時に言ってしまい再び黙る。

妙にこそばゆい感覚が二人を襲っていた。

 

「ネ、ネロが歓迎会の様なものをするから、来なさいって。

セイヴァーが動かないから呼びに来ました」

 

意を決してオルガマリーが言う。

 

「全く気が付きませんでした。行きますか、マスター」

 

自分が聞こえていなかった事に驚きつつ、返事を返し壁から離れるセイヴァー。

そのまま歩き出すが、服の袖を掴まれ前でにバランスを崩す。

 

「どうしました、マスター?」

 

袖を掴んでいたのはオルガマリー。

俯いているが、顔が赤いのが分かる。

 

「あ、あのね、時々で良いから貴方から見て、私が頑張ったって思えたら……

その……さっきみたいに頭を撫でてくれないかしら?…」

 

恥ずかしそうに上目遣いになりながら、セイヴァーに言うオルガマリー。

その提案にセイヴァーは無言で頷き、頭を撫でた。

 

「んっ……それとね、私はセイヴァーが話すのを待ってます。

だから、辛ければいつでも言ってくれて構いません」

 

頭を撫でられ、勇気を貰えたのか先ほど言おうと思った事を告げるオルガマリー。

その言葉にセイヴァーは目を細めながら小さくーー

 

「ありがとう」

 

笑みを浮かべてそう言った。




シリアスなんて、苦手なのに……
どうして素直に格好いいヒーローが書けないんだろうか?
甘い話を書きたいのに、前作のISオリ主といい、セイヴァーといい面倒いんだよお前ら!
え?自分で書いといて文句言うな?はい、おっしゃる通りです。ごめんなさい。
でも、今回の様な話が書きたい話ではあるから良いんだけどね!

長々と失礼しましたm(._.)m
感想・批判お待ちしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。