次回から、戦闘に入ります。
目の前の敵を肉塊へと変える。
ただ、1つの目的を願いを叶えるために、オーダーをこなしていく。
かつて、人を殺さなかったこの手も、今は血で真っ赤となった。赤くないところを探すのすら難しい。
「……」
心が軋む音を聞いた。
精神が歪む音を聞いた。
記憶が剥がれ落ちる音を聞いた。
「……」
悲鳴が耳から離れなくなった。
死体が視界に映らない日はなかった。
「……」
それでも、消えない記憶はあった。
初めての絶望、始まりの歪み。
終わりの希望、終点の歪み。
その全てが◼️◼️を壊して俺を形作った。
「…俺は……オ◼️◼️◼️◼️◼️所◼️を救う…!」
オルガマリーSIDE
「……はっ……今のは…」
夢から目を覚ます。なんとも、言えない夢だった。
いや、感想を言うのであれば、とても良い夢とは言えない。悪夢とすら表現できる。
でも今の私が思っている事はそれが全てじゃない。
頬を伝う暖かいものに気付く。手を伸ばして、触れればそれは涙だった。
「なんで、泣いてるんだろう…」
悪夢を見たからという訳じゃない。
怖い夢を見て、泣くような私ならとっくの昔に限界がきてた。だから、この涙は恐怖から来るものじゃない。
ふと、遠くにいるセイヴァーが視界に映る。今、ネロ皇帝の軍勢は連合との決戦に備え、野営しているところらしい。
疑問系なのは、私が気絶していた為、あらましを聞かされただけなのだ。
夢を見たせいだろうか、今セイヴァーを見ていると胸の奥が痛む。不思議なくらいに痛い。
でも、それと同じくらい暖かい気持ちなる。そんな私の視線に気づいたのだろう。セイヴァーが近寄ってくる。
「どうかしましたかマスター?」
その声は私をとても安心させる。でも、出会った時と変わらない何処か虚ろさを含んだ瞳は悲しくなる。
だから思ってしまう。彼はきっと、此処ではない何処かに大切な物を置いてきた。
「なんでもありませんよセイヴァー。でも、そうですね。手を出してくれますか?」
だからこれは、彼を少しでもこちらに引き戻す私のわがままだ。
不思議な顔をしながら、右手を差し出したセイヴァーの手を、両手で優しく握る。
そして、右手を一気に引き自分の前に引き寄せ、セイヴァーを抱きしめる。
「!?!?」
腕の中で、セイヴァーが焦っているのが分かる。それがなんだが楽しいと感じた。
「マ、マスター!?一体これは…」
「少しだけこうさせて」
私が甘えた風に、弱々しく言うとセイヴァーは途端に大人しくなる。
自分でやっておきながら、ずるいと思う。だって、彼が私に言われて否定できる訳が無いと知っていての行動なんだから。
そんな醜い事を考えても、私は彼を解放しない。これは、彼が私を頼ると言ってくれた事と、今見た夢の所為だと自分を納得させる。
どれくらい抱きしめていただろうか。急に羞恥心が襲ってきた。
い、勢いとはいえ、私は何をやってるの!?
「セ、セイヴァー。ありがとう、落ち着いたわ」
嘘だ。心臓は物凄くうるさい。
「それなら良かったです。他に俺に出来る事はありますか?」
少し、顔を赤らめているセイヴァーが言う。
それを見ると、私はまた嬉しくなった。理由は、分からないけど嬉しいと感じた。
「いえ、もう十分です。逆に、セイヴァーが私にして欲しい事は無いの?」
その問いにキョトンとした顔をするセイヴァー。
おそらく、自分に振られるとは思っていなかったのだろうと私は思う。
「俺がですか……そうですね」
自分から欲を出す事のないこの英霊が何を言うか私は密かに楽しみだった。
英霊という以上、聖杯に叶えて貰いたい願いがある筈だから、その願いの一端でも見たいと思ったの。
でも、彼から返ってきた返答は予想外だった。
「貴女に笑って頂く事です。なんでも良いです、マスターが幸せに笑っているなら俺はそれで」
そう彼は、満ち足りた声で言った。気のせいでなければ、瞳に力も戻っている。
セイヴァーの行動は全て、私に関連する事が大半だった。
でもまさか、此処まで私に帰結するのは予想外だった。
その為、私は固まってしまった。忠義に厚い英霊だという事は分かっていた。それゆえの危うさも分かってるつもりだった。
でも、所詮はつもりだったという事だ。彼は、令呪を使わなくても私が自害を命じれば、死ぬだろう。
自分という存在をかなぐり捨てる。それを平然と行える英霊だった。
「…ふふっ、私が笑うのが良いの?相変わらず、変な英霊ね貴方」
それを問う事はせず、私は笑う。
彼が欲がないのは、知っていた事。彼が危うい?それなら、私がもっとしっかりすれば良いだけ。
今回の様な失態をもう二度としなければ良いだけ。それだけで、セイヴァーは生きられる様になる。
「…はい。俺は変な英霊です。マスターが幸せなら、俺は嬉しいんです」
嬉しいのならその儚げな笑みをやめなさい。
その言葉をぐっと、飲み込む。今は、まだ言えない。私が、自信を持って彼の隣に立てるとそう思えた時に言いたいから。
「マスターお休みを。明日は、総力戦です。
今のうちに休息を取るべきかと」
「そうね。今なら、ゆっくり眠れる気がするわ。おやすみ、セイヴァー」
「おやすみなさい。マスター」
セイヴァーの言葉を聞いて、横になる。
胸に広がる暖かさは、私を優しい眠りに誘いには十分だった。
セイヴァーSIDE
マスターの寝息が聞こえ始めて、俺はマスターの元を離れる。
…あの様子は、夢を介して俺の過去を見たのだろうな。
「幸いな事は、悪夢として思っている事か。まぁ、でも気付く可能性は無いとは言えない。
その時の反応次第では、俺は消えるしか無いか……」
「ん?其方はセイヴァーか。明日の作戦で話したいことがあるんだが良いか?」
後方から声をかけられる。
どことなく緩く、そして覇気のあるこの声はネロ皇帝か。
「…どうした?ネロ皇帝」
ネロ皇帝の手には、地図が握られている。
…ああ、軍議でもするのか。いや、それにしては、ネロ皇帝しかいないな。
「明日の陣形について、相談したがったのだがうむ。
お主は休め。英霊という存在でも、休息は必要だろう」
ニカッという感じで笑うネロ皇帝。
全く、その笑顔と人を思いやれる気持ちがありながら、何故暴君になったかね。
いや違うか。暴君というのは、他者の評価だ。彼女からすれば、民も楽しめると思った事が合っていなかった。
ただ、それだけでこの皇帝は笑みを失い、一人死んでいったのか。
「その忠告感謝する。だが、必要ない。
そう言った優しさは、自分の民に言ってやれ」
何を言ってるんだ俺は。ここは、特異点、今この場にいるネロに言ったところでなんの意味もないだろうに。
思わず口が動いた自分に、呆れながらネロ皇帝を見る。……なんだ、笑いを堪えているような感じで震えてる?
そう思った直後に予想は的中した。
大きな声で、ネロ皇帝は笑った。腹も抱えて笑ったのである。
「…ふぅ。なんだ、お主は捻くれてるなそれでいて優しい。
うむうむ、なるほど。これは、オルガマリーが苦労するわけだな」
笑ったことによる涙を拭きながら、俺にいうネロ皇帝。なんだろうかこの、こそばゆい感じは。
「作戦を考えるんだろ?早く、動くぞ」
「おお!ではな、この布陣を敷いて戦おうと思うのだが」
いや、この場でやるのかというの言葉は押し殺し、ネロ皇帝との話し合いをした。
話し合いを続けているうちに、何かを忘れているような気はしたが、まぁ思い出せないと言うことは、そこまで気にしなくて良いのだろうと思い、頭から消した。
「……なんで来ないのよーー!」
戦場から離れた場所で一人の少女の声が響く。
「五月蝿いワン!そんなこと、してるならこっちを手伝え」
「分かってるわよ!もう、意図して避けたのなら盛大に文句言ってやるからね。セイヴァーに清姫!」
フンスといった感じに息を荒げた少女。
彼女が向かった方向には、キメラが一匹とメイド服を着たなんとも言えないサーヴァント。
そして、見た目は幼いが身に纏う神気はこの場の誰よりも大きいサーヴァントがいた。
ネロ祭ぐるぐる。能登さんボイスのサーヴァント、爆死した。
ジーク君が硬くて嫌になる今日この頃(ヘラクレスしか倒してない)
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