戦闘回の筈が、安定の私クオリティということでしょうか、戦闘要素薄めです!
いい加減、戦闘回を戦闘で区切れんのかと思う今日この頃。
ロムルスの振るう槍を弱々しく受けるネロ。その姿には、皇帝としての輝きを感じない。
薔薇の皇帝と言われた華々しさなどは以ての外だ。
それほどまでに、彼女は動揺していた。真祖が敵。それは、自分が皇帝であることを否定される事と同義なのだから。
「どうしたネロ。お前のローマはその程度なのか?」
「神祖……何故、何故なのですか!?」
悲鳴にも似たその言葉にロムルスは何の返答もしない。
ただただ、何かを選定している様なそんな視線を、ネロに向けるのみ。当のネロは、混乱が勝りその視線には気づいていない。
彼女と共に戦うはずのエリザベートは、どこかつまらなそうな目でロムルスとネロの戦いを見ている。
精彩に欠けたネロの攻撃は微塵もロムルスに通らない。
「…ああ、もう!じれったいわね!」
我慢の限界がきたエリザベートが叫ぶ。
ネロも、ロムルスも動きを止める。
「ど、どうしたのだエリザベートよ」
「どうしたはこっちのセリフよ!神祖だかなんだか知らないけど、あんたがやってきた事はそいつが悪といえば悪になるの!?あんたは、そんな利口なやつじゃないでしょうが!……あれ?なんで私こんなこと知ってるのかしら?」
霊基に刻まれた記憶が、エリザベートを突き動かす。
理由は分からないが、ネロが輝いていないという事実がエリザベートにはどうしても気に食わないのだ。
「なんだか分からないけど、今のあんたはもの凄く気に食わないのよ!
そんなまともな言語すら話さないマッチョ変態が何よ、障害は笑いながら吹き飛ばすのがネロ・クラウディウスでしょ!」
このエリザベートは知らない。別の世界で何度もネロと戦っていることを。
好敵手と互いに認め合っている存在だということを。
そんなエリザベートの言葉だからだろう。
「…そうだな、エリザベートよ。余は、そうあるべき存在であったな。
醜態を見せたことを詫びます神祖ロムルスよ」
さきほどまでの陰りはなく、力ある言葉。
「よい、許す」
「改めて宣言する。余は、ローマ第五皇帝ネロ・クラウディウスである!
神祖ロムルスいや、今は余のローマを滅ぼし人理を乱す賊よ!余が打ち倒す」
隕鉄の剣をロムルスに突きつけるネロ。
その表情、姿には一切の迷いなし。皇帝としての覚悟示した。
「それでこそネロよ。今のあんたになら力を貸してあげるわ!」
エリザベートが槍を構え、ネロの隣に立つ。
ネロの宣言を、今のローマを好ましいと感じたロムルスはにやりと笑う。
「ローマは全てを受け入れる。ネロよ、我が愛し子よ。
お前のローマを示してみせろ」
ロムルスが魔力を開放する。
ここからが本番ということだろう。
「あげてゆくぞ、エリザベート!」
「リハは終わりって訳ね。盛大に盛り上げましょうネロ!」
ネロとエリザベートもロムルスの圧力に一切怯むことなく魔力を高める。
もはや、迷いはない。己が信じる皇帝の在り方を
高密度の魔力が衝突しあう。
レフが放つ魔術とセイヴァーの持つ神秘を色濃く秘めた剣がぶつかりあったためだ。
人外による規模の違う殺し合いが行われる。
そんな殺し合いだというのに、レフもセイヴァーも笑っているのだ。
レフはともかく、セイヴァーは戦闘で笑うような英霊ではない。
ただただ、漸く目の前の存在を殺せるという喜びにも似た何かが、レフとセイヴァーを笑わせている。
「…屈辱に耐え、玉座に戻れなくてもそんな事が些細に思えるほどこの瞬間を私は待っていたぞセイヴァー!」
一瞬にして、複雑な魔術式を組み立て放つレフ。
それをセイヴァーは手に持つ太陽の聖剣で切り裂く。
「それはこちらのセリフだ、レフ。お前が生きているという事実ほど、俺が憎悪することはない!」
魔力を放出し、斬りかかる。しかし、レフの眼前で障壁が張られ防がれる。
だが、即座に左手にギザギザな短剣ールールブレイカーを取り出し障壁を打ち消す。
レフもそれを読んでいたのか太陽の聖剣の間合いから離れる。
「私が手助けできる余地がない…」
オルガマリーは、マスターとしてサポートこなすつもりだった。
しかし、レフとセイヴァーの殺し合いはそんな余地など微塵もない。
向き合うそれぞれが、互いの敵しか見ていない。殺しあうことこそが、自らの存在意義だと言わんばかりに。
セイヴァーが剣を振るい、レフが魔術でそれを防ぐ。その次は、レフが魔術を放ち、それをセイヴァーが打ち消す。
拮抗しているようにみえる戦い。だが、それは側から見てだ。
どちらも、奥の手を残して戦っている。セイヴァーは奥の手をそんな簡単に使えないからという理由。
レフは、英霊ごときにその力を使いたくないという慢心から。
そして、慢心は決定的な隙を生み出す。
「これで決める!」
正面から、捻れた剣を矢として飛ばす。それと同時に電撃を地面から流す様に放つ。
正面と真下を狙われたレフは飛び上がり、回避した。だが、それは空中という逃げ場のない空間への逃走だった。
「
その言葉と同時に、オルレアンで使用した黄金の波紋がセイヴァーの後ろに現れる。
その波紋から姿を現わす剣軍は全て、レフへと向いている。
「避けられるのなら避けてみせろ。レフ」
その言葉とともに射出される剣軍。流石のレフもその全てを障壁で防ぐことなどできない。
レフは自身の命に関わる部分だけを、守りそれ以外を捨てる選択をした。その結果、右腕が吹き飛ぶ。
「……死ね。レフ・ライノール・フラウロス」
「……クックク、片腕を失わせたぐらいで勝ったつもりかセイヴァー」
「貴様と問答する気などない。マスターを守るため死ぬが良い」
剣をレフへ向け構えるセイヴァー。
「私を殺せて、オルガマリーを守れて嬉しいかねセイヴァー?
だが、貴様が救えなかった人はどれくらいいる?オルガマリーに固執しなければ、カルデアの全マスター、全職員を救えたのではないかね?」
その言葉にセイヴァーの剣が止まる。確かに、セイヴァーが自身の存在を投げ捨てればカルデアにはもっと生存者がいただろう。
全員とはいかなくても、失われずに済んだ命があったかもしれない。
「……それがどうかしたか?俺は英霊だ、犠牲のある結果などよく知っている」
「いいや、貴様は知っているだけだ。慣れてなどいない。
辛いか?苦しいか?命はいずれ尽きる儚いものだと知っておきながら、人を見捨てた気分はどうかね?」
セイヴァーの動きが止まる。
オルガマリーは、セイヴァーに声をかけようとして気づく。彼は、自分を見ていると。
その目は、大丈夫と語っていた。
だから、オルガマリーはセイヴァーの目を見ながら頷いた。
「確かに俺でも、救えた命はあっただろう。
だけど、この世界には俺にしか救えない人間もいる。俺は正義の味方じゃない。
俺は、万人を救える英雄じゃない。俺はただ、一人の人間を守るために全てを捨ててこの場にいるだけの
その言葉とともにレフの心臓に止めいた剣を突き刺す。
ゴフッと血を吐き、レフの生命活動は停止した。
……その筈だった。
「クックク……ハハッ、クキャハハハハ!この程度で、私は死なんよ!」
セイヴァーを吹き飛ばすほどの魔力の奔流が起きる。
受け身をとり、体勢を立て直したセイヴァーの表情は苦々しい。
「…チッ、こうなる前にケリをつけたかったが」
その魔力の奔流は、この場で戦っていた者同士の動きを止める。
『この魔力は……まさか、伝説上の悪魔のものか!?』
「悪魔!?それって、どういう…」
「こういう事さ!人理焼却に抗う哀れな人間よ!」
魔力の奔流が収まる。
その中央には、醜悪と表現すべきモノがあった。
セイヴァーと清姫を除く、全員が思わず息を呑む。
「改めて自己紹介といこう。私は、レフ・ライノール・フラウロス!
七十二柱の魔神が一柱。魔神フラウロスーーこれこそが王の寵愛そのもの。
まさか、サーヴァント如きに見せることになるとはな!」
レフ・ライノール・フラウロス。その真の姿が権現した。
敵サーヴァントも残る中、絶望が権現した。
そんな中、セイヴァーが編み出した起死回生の一手。全ての鍵はタイミングと、立香が握る。
果たして、上手くいくのか!
次回、『魔神柱』
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