願いを込めて   作:マスターBT

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大変遅くなりました!
いや、ほんとごめんなさい。


破壊の大王

「遊びは終わりだ。ロムルス、カエサル。やれ」

 

フラウロスの言葉にロムルスとカエサルは逆らえない。レフが魔神柱としての姿を解放してもなお、令呪は作用している。

二騎とも苦渋の顔を浮かべるが、カルデア一行とネロに武器を向ける。

それをセイヴァーは俯瞰した表情で見る。その刹那、セイヴァーの脳裏に戦術が組み立て終わる。

 

「(マスター、俺に策があります。少しの間、フラウロスと敵性サーヴァントを頼みます)」

 

念話でオルガマリーに話しかけるセイヴァー。

その声にオルガマリーは、無言で頷く。

 

「清姫は宝具をお願い!ネロとエリザベートは、清姫の準備が終わるまで敵性サーヴァントと戦って。

立香君のサーヴァントは、魔神柱をお願いします!」

 

そして、流れるようにサーヴァント達に指示を出すオルガマリー。カルデアの所長を務めているだけにこういった指示は手馴れている。

その指示を受け、各サーヴァント達は攻勢に出る。その隙に、セイヴァーは立香の元へたどり着く。

 

「俺にこの状況を覆す策が一つだけある。だが、その鍵は全てお前にかかっている。

……やれるか?藤丸立香」

 

立香の元にたどり着いたセイヴァーが発した言葉はそれだけだ。

その目は相変わらずの虚ろさではあるが、立香にはその奥にある熱を感じ取れた。そして、同時に悟る。

この英霊は、自分に全てを賭けるつもりでいると。

 

「…やれるかじゃないんだろうセイヴァー?やるしかない。お前が言うならオレはやってやるさ。

こんなところで死にたくないしな」

 

「…そうか。なら、時間がない端的に説明するぞ。お前は、敵の英霊と契約を結べ」

 

「…は?」

 

真顔でセイヴァーは、言い切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

オルガマリーSIDE

 

セイヴァーか立香の元へ向かった。念話で話した策が何か私は知らない。

でも、セイヴァーが言うのだから信じる。そう決めて、英霊達に指示を出す。

指示を出すとは言っても、歴戦の英霊達だ。僅かな指示で最大限動いてくれる。だが、決め手がない。

現在、この場にいる英霊は、清姫、荊軻、エリザベート、マシュ、そしてネロ皇帝。

決定打が圧倒的に欠けている。

 

「…敵のサーヴァント二騎が居なければ、まだやりようはあったわ……外で戦っているジャンヌ・オルタとクー・フーリンを呼び戻して貰えば…いや、無理ね。レフがその隙を見逃すとは思えない…」

 

セイヴァーと立香の方をちらりと見る。

立香が何やら、驚いた表情をしているがセイヴァーはほぼ無表情。おそらく、無理難題でも押し付けたのだろう。

全く、どんな無茶な作戦を立てたのかしらね。

 

「コソコソとしているが、無駄無駄!ここで貴様らは死ぬのだ!」

 

レフの攻撃がセイヴァーと立香の方へ向かう。

それをギリギリのタイミングでマシュが防ぐ。

 

「ううっ…はぁぁ!」

 

一瞬、苦しそうな声を出したが堪えて防ぎ切るマシュ。

デミサーヴァントになって、得意じゃないいいえ、苦手だった筈の戦闘をこなす。それが、どんなに難しいことか私は知っている。

 

「マシュ、ナイスよ!レフ、これでも食らいなさい!」

 

だからだと思う。そんな頑張っているマシュを見て、レフにガンドを放つ。

かなり魔力を込めたガンド。それでも、レフを止めるには至らない。

 

「無駄だ。オルガ」

 

レフの眼球が私を睨みつける。

それと同時に光線が発射された。マシュは間に合わない。他のサーヴァント達も間に合わないだろう。

そんなことを考えた時に、私の身体は浮遊感に包まれる。

 

「…マスター、随分と無茶をしますね」

 

「それを貴方には言われたくないわ。セイヴァー」

 

セイヴァーが私を抱えて、攻撃を避けてくれた。少しばかり、セイヴァーの表情がこわばっている。

私が危険なことをしたから焦ったのだろうと思う。

 

「マスターはここで待機を。レフと敵性サーヴァントは俺と藤丸立香が引き受けます」

 

ゆっくりと私を下ろすセイヴァー。

立香の方を見ると、覚悟を決めた顔をしている。その顔がなんとなくセイヴァーに似ている気がして少し笑う。

 

「では任せますセイヴァー、立香」

 

「了解です、マスター。藤丸立香、タイミングはさっき言った通りだ。合わせろよ?」

 

「わ、分かった」

 

見るからにガチガチに返答する立香。

その様子を見てセイヴァーがそっと溜息を吐く。

 

「はぁ……お前がすべき事はあの夜と大差はない。適度は緊張は良いが、余分な緊張をするな」

 

そう言ってレフへと向かっていくセイヴァー。

あの日の夜ってなんだろう?そんなことを思いながら、立香を見ると緊張が適度に解れていた。

本当にセイヴァーと立香は、見えないところで相性が良いらしいわね。

 

 

 

 

 

 

 

セイヴァーSIDE

 

右手にメディアから拝借したルールーブレイカーを持ち、レフへと駆け出す。

 

「本気を出した私に、貴様が勝てる道理はない!」

 

そう言い、レフが攻撃を放つ。全てを回避し笑う。

勝てる道理がない?こいつは俺の言葉を聞いていなかったのだろうか。

 

「…俺はその状態になる前にケリをつけたかったと言ったはずだ」

 

「だから勝てるわけがないと!」

 

「話は最後まで聞くんだなレフ。俺は、その状態になったお前を倒すのは容易過ぎる。

だから、人間の姿をしているお前を殺したかったんだ」

 

「は?」

 

レフが間抜けな声を出す。

だが、そんなことを知らん。惚けている間にレフへと近づき、ルールーブレイカーを突き立てる。

俺は借り受けた宝具の真名解放は出来ない。担い手ではないからだ。

だが、とある特殊な条件の時のみ真名解放と似たことが出来るようになる。

自身のスキルを発動させる。何の因果か分からないが、俺のもう一つのスキル。

『魔神柱殺しEX』

俺の攻撃は魔神柱に通じ易くなり、向こうの攻撃は俺に通り辛くなる。

そして、このスキルが発動すると魔力消費が大きくなるが、武器の能力を解放できる。

 

「…ルールブレイカー」

 

身体から大量の魔力が抜けていく。これが対価、一流の魔術師であるマスターだからこそ即座に補填が効くが、他の魔術師ならほぼ枯渇する勢いだ。

だが、これで敵英霊との契約を破棄させる事に成功した。あとは、任せるぞ藤丸立香。

 

「告げる!汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!聖杯の寄る辺に従い、この意この理に従うのならーー」

 

契約の切れた英霊に手を向け、藤丸立香が叫ぶ。

タイミングはバッチリだが、力を抜けと言ったんだがな…まぁいいか。

 

「我に従え!ならば、この命運、汝の剣に預けよう…!」

 

藤丸立香の言葉に一瞬、反応できずにいたロムルスとカエサルだが、理解したのか笑みを浮かべ口を開く。

 

「ランサーの名に懸け誓いを受け取る。汝を主人として認めよう」

 

「セイバーの名に懸け誓いを受け取ろう。お前を主人として認めよう」

 

その瞬間に藤丸立香と二騎の間に契約が結ばれる。

幾らバックアップと、俺が渡した魔力結晶ーーマナプリズムがあるとはいえ、一人の人間が英霊二騎分の維持コストを保つには無理がある。

だからこそ、即座に契約を切る。

 

「藤丸立香が第一から、第三の令呪を持ってロムルスとカエサルに命じる。

レフ・ライノール・フラウロスに宝具を放て!」

 

令呪の持つ圧倒的魔力が二騎に流れ込む。

そして、絶対の命令権を持つそれは即座に動きを表す。

 

「ローマの不徳はローマを持って拭おう。すべては我が槍に通ずる(マグナ・ウォルイッセ・マグヌム)!」

 

「この場面こそ、私の剣を抜くに相応しい!私は来た!私は見た!ならば、次は勝つだけのこと!黄の死(クロケア・モース)!」

 

ロムルスの圧倒的物力を打つける宝具と、自らの幸運が続く限り相手を切り続けるカエサルの宝具がレフを襲う。

 

「ぬぅぅぅぅう!?」

 

流石のレフも苦しげな声を上げる。

だが令呪とて無限の魔力源ではない。マスターとの契約の証でもある為、少しづつ二騎の霊基が崩れていく。

それでも二騎が宝具を止める事はしない。己の全力を持って挽回するために。

魔力供給無しの宝具連続発動。魔力が枯渇した二騎の動きが止まる。

その身体は、薄く既に退去が始まっていた。

魔神柱と化したレフも同様にボロボロ。

 

「…これで終わりだ。魔神柱、フラウロス」

 

全身に青黒い炎を身に纏う。

どうせ彼奴は、力を貸してくれる。そう思いつつ、使ったらあっさりと使えた。

青黒い炎を手のひらに集中させ、レフへと放つ。焼き尽くすつもりで放ったが、俺の想定より火力が高い。

 

「ぐっ…ウォォォォォオ!!!馬鹿な!この私が!」

 

「自分の身体が少しずつ、崩壊していく感覚はどうだ?苦痛だろう?

だがな、あの人が感じた苦痛はこんなもんじゃない……今の俺ではこれが限界だ。いずれ、殺し尽くす。一片残らずな…」

 

少しは苦しみを与えられただろう。だが、このレフにここまでやっても意味はない。

どうせ、こいつは末端だ。俺が苦しみを与え、殺し尽くしたいのは本体なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称SIDE

 

青黒い炎により、燃えた魔神柱から人間状態のレフが出てくる。

燃え滓と化した魔神柱と、所々に火傷を負っているレフ。誰がどう見ても、勝敗は決しただろう。

だが、セイヴァーは未だ冷ややかな目でレフを見ている。外の喧騒が静かになっている事から、戦争は終結した。

すぐに外で戦っていた英霊達もこの場に来るだろう。

 

「クソクソクソクソッ!!どこまで、規格外なのだセイヴァーのサーヴァント!」

 

右腕を失い、身体の所々が炭化しているレフ。しかし、その目から殺意と憎悪は消えていない。

 

『ッッ!?聖杯の活性化を確認した!気をつけて、まだ何かあるよ!』

 

「……良いなカルデアのマスター、ネロよ。ローマは永遠だ。

故に、世界は永遠でなくてはならぬ。あとは、任せよう」

 

「やれやれ、私の役目も終わりか。さらばだ」

 

聖杯の活性化とともに、ロムルスとカエサルが完全に消える。

 

「いくら規格外の貴様でも、この英霊は止められん。止められるわけがない!

来たれ!破壊の大英雄、アルテラよ!」

 

聖杯の魔力がサーヴァントを召喚する。

圧倒的な存在感、破壊をもたらす存在。

 

「フハハハ!これで、人理など潰える。人理修復など夢のーー」

 

言葉の途中でレフの首が飛び、胴体を分断される。

首が飛んだのは、アルテラごと斬り伏せようとしたセイヴァーの剣による攻撃。

胴体が分断されたのは、その反撃と言わんばかりに振るったアルテラの剣によるものだ。

 

「…容易に避けるか」

 

「私は、破壊の大王。この程度で私は壊れない」

 

レフから零れ落ちた聖杯は、アルテラが手に入れる。

セイヴァーは回避に回ったため、回収する余力がなかった。

聖杯がアルテラへと吸収されていく。同時に跳ね上がる威圧感と存在感。

 

「マスター!」

 

「分かってる!立香、マシュに宝具発動の許可を。おそらく、いいえこれは確実に宝具が来るわ」

 

『マリーの言う通りだ。この魔力は、対城宝具が来る!』

 

カルデアとネロ陣営のサーヴァントと、マスター達がマシュの後ろへ移動する。

 

「マシュ、宝具を!」

 

「了解ですマスター!宝具展開します!」

 

マシュが宝具を展開する。その刹那、視界は眩い光に包まれた。

 

 

 

 

 




レフの苦しみが足りないと思いましたかね?
ご安心を。あの場で戦うことが本当にセイヴァー対レフ戦ですから
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