願いを込めて   作:マスターBT

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ハーメルンよ。私は帰ってきたー!

……ごめんなさい。遅くなりました。ちょっと、レポートとテストに追われ気が付いたら……


藤丸 立香の戦い

立香SIDE

 

「ゲホッ…生きてる?」

 

少しむせながら、周りを見渡す。マシュはすぐ近くに、ネロ皇帝も生きてる。ジャンヌ・オルタとクー・フーリンはこっちに向かって来てるね。ネロ陣営のサーヴァントのみんなも無事みたいだ。

 

『立香君、所長とセイヴァーの反応が少し弱ってる確認を頼めるかい?』

 

「分かった」

 

あの二人に何かあったのだろうか?

もし、あってもセイヴァーが何かしらの連絡ないしコンタクトをすると思うんだけど。

そんなことを考えながら、少し歩く。オレ達がいたところより少し離れたところにセイヴァーと所長がいた。

 

「……はぁはぁ、身体に力が入らないわね…魔力が…」

 

「…すみませんマスター。周りが見えてませんでした」

 

所長が顔色悪く座っており、セイヴァーも普段身に纏っている戦闘服がボロボロになり、存在感が薄くなっている。

 

「ちょ!?大丈夫ですか?オルガマリーさんにセイヴァー」

 

慌てて駆け寄ろうとするが、ほぼ同じタイミングに所長とセイヴァーが手を向けて制止を訴えて来る。

 

「アルテラを追って立香。私達より、人理を優先しなさい」

 

「向かっている方角にはローマがある。おそらく、いや絶対にローマを壊すつもりだろう。

そうなれば人理修復など出来ない。だから、行け藤丸立香」

 

なんとなくだけど、この二人が制止を訴えて来た時点でこう言われるとオレは思っていた。

オルガマリー所長の目を見る。その目は、オレが止められると信じている目だ。

セイヴァーの目を見る。その目は、相変わらず感情が分かりづらいが、オレを見定めるような目だ。

やれって事だろうなぁ、思い返せばこの二人に頼ることが多かった気がする。オレは一般人だからと無意識で頼っていた。

人理修復なんて、オレにはスケールが大きすぎると。でも、もうそんなことは言ってられない。

 

「……分かりました。偶には休んでいてください」

 

余計なことは言わない。セイヴァーの真似をして、返事を返すだけ返しみんなのいるところへ向かう。

恐怖心は勿論あるが、不思議とオレの足は全く止まらない。誰かがやるしかないんだ、普段はそれを任せてた。

だから、今度はオレがやってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイヴァーSIDE

 

あの様子だとまた気負って向かったな。まぁ、今はそんなことどうでも良い。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

俺が魔力を大量に使ったせいで、顔色が真っ青になっているマスターに声をかける。

藤丸立香と話していた時は、持ち前の仮面で誤魔化していたが、今は限界なのか息も荒く座り込む体勢すらキツそうにしている。

 

「……えぇ……ちょっとだけキツイわ」

 

「どう見てもちょっとだけという表情ではないですよ。マスター」

 

俺も魔力消費を抑える為に霊体化したいが、ここは敵地。マスターを危険に晒させる訳にはいかない。

 

「ありがとうセイヴァー。対城宝具が発動するタイミングで、結界魔術を使ってマシュの手助けをしてくれて」

 

そう言って俺に笑いかけるマスター。その笑みを見るだけで俺の霊基の体は正常を保てなくなる。

 

「……いえ、礼を言われるほどではありませんよ。それに、結局魔力不足を起こしマスターに迷惑をかけています」

 

「みんなが無事なのだから、貴方の選択は間違っていないわ。

それにサーヴァントの魔力を供給出来ないのは私が不甲斐ないからです」

 

疲れているはずなのに、魔力が足りなくて気分が悪いはずなのに。

なんてことのない様に振る舞うマスター。

 

「…本当に不器用ですね。でも、ありがとうございますマスター」

 

少し笑いながらマスターに言う。

 

「立香はアルテラを止められるかしら?」

 

不安なのか。いや、違うか。マスターの顔を見るに心配なのだろう。

やれるとは思っているが、どうにか凌いだ宝具をもう一度、撃たれれば今度は防げるか分からない。

アルテラの癖を理解している俺なら、対処法も思いつくが、魔力切れ間近の俺では戦えない。

 

「問題はないと思いますよマスター。藤丸立香は、魔術の魔の字も知らない一般人ですが、やり抜く覚悟だけはあります。

折れぬ限り、サーヴァント達が応えてくれるでしょう」

 

貫き通してみせろ。藤丸立香、折れてない貴様ならやれるだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルテラを追いかける立香達。ネロ陣営からは、ネロとブーディカがが彼らに同行している。

バーサーカー二騎は逃げる敵兵を追い、どこかへと消え、荊軻は万が一に備え身動きの取れないセイヴァーとオルガマリーを守るためにあの場に残っている。

 

「立香さん。あのアルテラという英霊に対抗策は思いついたのですか?」

 

清姫が走りながら、立香に話しかける。セイヴァーのすぐ近くにいつも待機している清姫だが、この時は立香に同行していた。

珍しいこともあるんだなと立香は思いながら口を開く。

 

「ああ。あの、宝具を撃つには魔力を事前に貯める必要があるんだと思う。

もし、即座に撃てるのならセイヴァーの攻撃を躱して、反撃するんじゃなくて宝具を撃っているはずだ。

それをしなかったと言うことは、少なくとも簡単に撃てる宝具じゃない。幸い、こっちには数がある。宝具を撃たせる前にアルテラを倒そうと思ってるよ」

 

「…ではわたくしは遊撃に徹しましょう。耐久力はありませんので、正面戦闘は好みません」

 

話は終わったと正面を見て走る清姫。

立香には清姫が何を考えているか分からない。カルデアに所属しているサーヴァントで、立香が一番関わっていないのは、清姫なのだ。

 

『そろそろだよ。立香君』

 

ロマンからの通信により、アルテラとの距離が詰まっていることを理解する立香。

セイヴァーもオルガマリー所長もいない。正真正銘自分だけで英霊達を率いる戦いだ。

緊張と恐怖で手が少し震える立香。

 

「坊主。心配すんな、あんたの敵は俺の槍で貫く」

 

クー・フーリンが立香の背中を叩く。

 

「ビビってるのですか?情けない。貴方は、マスターらしく振る舞えばそれで良いんです。………今度は失敗しないから」

 

ジャンヌ・オルタが悪どい笑みを浮かべ言う。

 

「先輩。やりましょう、私も怖いですが皆さんが、先輩が共にいてくれるだけで戦えます」

 

マシュが握りこぶしを作りながら、立香の横を走る。

立香から緊張が抜けた。恐怖はあるが、それは先ほどとは違う。この恐怖を言葉にするならば、彼らの信頼を裏切る可能性への恐怖。

目にしっかりと戦意が宿った立香は視界にアルテラの背中を捉えた。

 

「まずは、アルテラの動きを止めるぞ。クー・フーリン!」

 

「あいよ!マスター!」

 

クー・フーリンがその俊敏を活かし、アルテラへと攻撃を仕掛ける。

背後からの攻撃だったが、あっさりと避け、手に持つ剣でクー・フーリンを斬ろうとする。

この瞬間、アルテラの動きは止まった。

 

「ジャンヌ・オルタ!」

 

炎を放つジャンヌ・オルタ。クー・フーリンへの攻撃を中断し、避けるアルテラ。

彼女は立香達を不機嫌そうな顔で見る。

 

「……行く手を阻むのか、私の」

 

「君を進ませる訳にはいかない」

 

睨みつけるアルテラに怯まずに、正面から向き合う立香。

彼を守るようにマシュが立ち、そのすぐ近くにジャンヌ・オルタ。わずかに、突出したところにクー・フーリンがいる。

ネロとブーディカは武器を構え、隙がないようにしている。

 

「そう。阻むぞ。余は貴様を先に進ませる訳にはいかないからな。世界を滅ぼすと貴様は言った。

世には分からぬ。なぜ、この美しい世界を滅ぼすなどと口にするのだ?」

 

「美しさなど。私は知らない、私は破壊する。それが、破壊の大王である私の役目だ」

 

わずかに困惑の色を示すアルテラ。

 

「そうか…では、余が教えてやろう!美しさとはなんなのかを。

そして知るが良い。貴様が壊そうとした世界の美しさを!」

 

ネロの宣言と共に、清姫がアルテラの背後から火をアルテラに向け放つ。

 

「悠長に話している暇はありませんよ。ネロさん」

 

「うむ。そうであったな!では、ゆくぞアルテラ!」

 

ネロが剣を構え突撃する。ブーディカも援護へ回る。

クー・フーリン達は立香を見る。彼の指示を待っているようだ。

 

「全員、戦闘開始!」

 

立香が指示を出す。それと同時にクー・フーリン達はアルテラへと攻撃を開始した。

 

 

 




次回は戦闘回になると思います。
今回の話を投稿後、書き出すので早ければ今日中にもう一話投稿できるかもです。
どうにかペースを上げて早めに投稿したいところ。小説書くのが癒しになってるので私。

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