願いを込めて   作:マスターBT

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大変遅くなりました!
元々、不定期更新でしたが、いやぁうん。レポートだらけで気力が死んでました。

レポートを終わらせると、FGOの第2部をやったりイベントをやったり。そんな感じでした。
レポート地獄にも慣れつつあるので、もう少し安定して更新したいところです。


森を進む

「んー、この辺りかい?」

 

ドレイクの銃声が木霊する。

カルデアの面々、特にオルガマリーが固まる。

 

「あ、貴女、なんで撃ったの?」

 

「何かいそうだと思ってねぇ〜危険は銃声で追い払う。

生きていくためのコツだよ?」

 

「……事前に慎重に行くと話した筈ですよね?」

 

「はっはは!そうかい?でも、縮こまってちゃ好転しない事もあるさ」

 

見事に反対の意見を言い合うオルガマリーとドレイク。

この二人の反りの合わなさは尋常ではない。船でも、散々揉める様な会議をして島に降りて来たというのに、その時間を丸々無駄にする様なドレイクの行動にオルガマリーの我慢は限界を迎えていた。

 

「それは貴女の定義であってこちらの定義ではないわ」

 

「そんなのそっちにも言える事だろう。違うかい?」

 

「違わないわよ。でも、事前の話し合いで決めていた事です。

自分の定義と相手の定義が違うからこそ、人は話し合い理解し、歩を進める存在よ」

 

「だけどねぇーー「ドレイク船長、確認はしなくて良いのか?」おっと、忘れてた。ちょっくら行ってくるよ」

 

始まったらキリがない口論を止めるセイヴァー。

マスターであるオルガマリーの見識を広げるために、ドレイクとの会話を意図的に遮らない様にしていた彼だが、少しばかり不穏な空気が流れる二人の関係に流石に、止める判断を下した。

 

「……」

 

「マスター、その目で俺を見るのはやめてください。精神的によろしくありません」

 

ムスッとした視線をセイヴァーに向けるオルガマリー。

その視線からは、セイヴァーへの怒りではなく、自分の味方をしてくれなかったというある種、子供のような嫉妬を感じられる。

そして、そういった彼女の心情が強く見える視線にセイヴァーは弱い。

今も困ったようなでも、彼女にそんな視線を向けられているのが嬉しいのかなんとも言えない表情を浮かべている。

 

「ふんっ。私だって理解してるわよ、貴方が私の為にドレイク船長との会話を遮らない事ぐらい」

 

「…気づいてましたか」

 

「勿論よ。でも、やるなら徹底的にやりなさい。……そうじゃないと、貴方に失望されたみたいで私が嫌です」

 

後半は呟くような小さい声で言う。

思わず出た言葉のようで、オルガマリー自身はハッと口を押さえる。

 

「分かりました。マスター」

 

それに対し、いつもの様に礼をするセイヴァー。

良かった聞かれなかった様だとオルガマリーが思った時だった。

 

「それと、俺はどんな事があっても貴女に失望などしませんよマスター?」

 

心外だと言わんばかりの顔でオルガマリーに言うセイヴァー。

不意打ちと、セイヴァーの浮かべる珍しい表情のダブルパンチを受け、顔が一気に真っ赤になるオルガマリー。

 

『んんっ、いちゃつくのは勝手だけど、ドレイク船長が呼んでるよ?』

 

ダヴィンチちゃんが通信機越しに、話しかける。

直後、ふわふわした空気が霧散。二人とも、真面目な表情になる。最も、立香を筆頭に周りはニヤニヤしているが。

 

「い、行きましょう。セイヴァー」

 

「はい」

 

動揺を隠しつつ、ドレイクが向かった森へと歩を進めるオルガマリー。

セイヴァーもいつもの様に、彼女の三歩後ろを着いていく。

ある程度、森を進んだところに、ドレイクが石板をもって立っている。

 

「なにかあったの?ドレイクさん」

 

「石板だよ。なにやら、文字が刻まれているようだけど、解読できるかい?」

 

「ルーン文字ね。少なくとも一週間以内に書かれているみたいね」

 

石版を手に取り、刻まれたルーン文字の解読を進めるオルガマリー。

 

『所長が現地にいると僕達の仕事ないね……レオナルド』

 

『なにを言ってるのさロマン。君はよくやってるさ。ねぇ?オルガマリー所長』

 

暇なのか仕事がないのかボヤくような二人の発言。

その話し声に呆れたような表情を取りつつ、口を開くオルガマリー。

 

「貴方達ね……はぁ、ロマン。自己評価が低いのは美点だけど、鬱々とした空気はやめなさい。

こっちの気まで参ってしまうわ。まぁその……よくやってると思うわよ?」

 

最初は呆れた感じに後半は、馴れない他人を褒めると言う行為のせいか照れが多くなり、少し顔が赤くなっていくオルガマリー。

 

『……はっ!レオナルド、通信機の故障かい!?

あの、我が儘で小心者で他人を褒める余裕なんて微塵もなかったマリーが僕を励ますかの様に褒めてくる言葉が聞こえてくるなんて!』

 

『それは流石に天才の私でもどうかと思うよ。ロマニ……』

 

「ドクター…折角オルガマリー所長がセイヴァー以外に素直になったのに…」

 

ロマニの反応に呆れる様ななんとも言えない表情を浮かべるダヴィンチと、立香。

だが、ロマニの反応は至って普通だ。セイヴァーが隣にいる様になってから、オルガマリーは落ち着きのある組織のトップとして、相応しい貫禄を身に付けつつあるが、それ以前の彼女は自分が認めてもらいたいという一心で、よく言えば余裕がなく、悪く言えば人を駒の様に見ている節があった。

少なくとも、人を励ますといった行動はしなかった。

 

「あーもう!ルーン文字の解読が終わったから、説明するわよ!」

 

顔を赤らめ、石版を持ち宣言するその姿をセイヴァーは、優しい顔で見ていた。

彼女に自分以外の繋がりが出来ている様子を、彼は見守っている。

 

「あら、そんな顔が出来るのね貴方」

 

オルガマリーがドレイクや立香達に石版の内容を説明しだしたタイミングで、セイヴァーに話しかけてくるステンノ。

その表情は楽しげと表現するのが正しいだろうか。最も、彼女は常に薄っすらと笑みを浮かべているのだが。

 

「意外だったか?」

 

「えぇ。ずっと、無表情でつまらない人だと思っていたもの」

 

「間違ってはないな。それで、女神様がそのつまらない人間になにか用事でも?」

 

「貴方なら気づいてるでしょう?偶には、アサシンクラスとして相応しい働きでもしようと思ってね」

 

「女神が率先して、斥候を受け持つとはね。だが、了解した付き合おう」

 

互いにニヤリと口角を上げ、気配遮断するニ騎。

マスターである立香とオルガマリーはその事に気付くが、信頼するサーヴァントの行動を咎めるつもりはない。

オルガマリーはまた、単独で動いてと少し呆れているが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁ、分かっていたが……」

 

気配遮断後、森の中を進むセイヴァーとステンノ。

いや、正確に表現するなら、セイヴァーがステンノをお姫様抱っこの要領で運んでいる。

 

「だって疲れるもの」

 

「俺と同じ敏捷値だろうに全く…」

 

呆れるような表情を浮かべつつ、ステンノを降ろそうとはしないセイヴァー。

木の幹を蹴りつつ進む特殊な移動方法だが、ステンノへの揺れはほとんどないという徹底振り。

ある程度進んだところで、太い木の枝の上で止まり、ステンノを優しく降ろす。

 

「文句を言う割にしっかりやるのね貴方」

 

愉しげに言うステンノ。

それに対し無言で溜息を吐き、魔力剣を取り出す。

 

「貴女の趣味に付き合うと時間がいくらあっても足りないのでね。

雑魚が数十匹か。このまま、移動させるとマスター達にぶつかるな」

 

海賊達だ。武器はそれぞれバラバラだが、セイヴァーには関係ない。

彼は全距離に対応できる。普段は魔力と扱い易さから、干将・莫耶が多いが。

 

「支援は期待しても?」

 

「えぇ」

 

空っぽの救世主と満たされない女神の共同戦線が成立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は巻き戻り、オルガマリーによるルーン文字の解析が終わった辺り。

 

「このルーン文字の内容は、『一度は眠りし血斧王、再びここに蘇る』よ。

立香、問題よ。血斧王で、真っ先に思いつくのは?」

 

石版を持ち、さながら教師の様に立香へと質問を投げかけるオルガマリー。

 

「えっと……血斧王……確か、ヴァイキングの王様でしたっけ」

 

「まぁ、正解としておきましょう。

血斧王として、有名なのはヴァイキングの王ーーエイリーク・ブラッドアクスよ。九世紀頃にノルウェーを僅か三年間支配した残虐な王よ。

立香、貴方もマスターなのですから、これくらい覚えてくれるかしら?」

 

「あはは、講義を頑張りますね…」

 

マスター組による場を和ませる会話が繰り広げられている中、森を進むドレイクとカルデア一行。

セイヴァーとステンノが裏で戦っているため、ほぼ戦闘はない。

 

「ん〜、財宝の匂いはしないかねぇ…クンクン」

 

「ドレイク船長?財宝は匂いませんよ?」

 

マスター組より少し前を歩くドレイク船長とマシュ。

 

「あっはっはっ!そう思うかい、マシュ?

だが、財宝ってのは匂うもんなんだよ」

 

「えぇ……?」

 

ドレイクの言葉に困惑するマシュ。彼女の知識には、財宝には匂いはない。

それなのに、ドレイクは匂うと言う。それは彼女には知り得ない知識だ。

マシュが知る景色は白で、匂いは消毒液の少しきつい匂い。そんな彼女にはドレイクが持つ感覚は想像すら出来なかった。

 

「信じてないね?」

 

そんな彼女の無垢さが、ドレイクの口を無意識に動かしていた。

オルガマリーからカルデアと世界の状況を説明されたのに、ドレイクは思ってしまった。

 

「もし、宝があれば私らと一緒に世界一周の旅にでも出るってのはどうだい?」

 

その無垢な色に世界の色を見せたいと。叶わないそんな提案を。

 




やっぱり自分が持ってるサーヴァントは書きやすくて、持ってないサーヴァントはキャラを掴むのに時間がかかりますね。

相変わらずの戦闘に行くまでに時間がかかる小説ですが、消滅はしないので待ってて欲しいです。

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