願いを込めて   作:マスターBT

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遅くなりました……しかも、あの二騎の出番までいってないという体たらく…
最近、暑さにやられてます…


新たな島

エイリークを倒し、再び海原に出たカルデア一行。

 

「おや、空気の味が変わったねぇ、これは別の大陸が近いかね」

 

船首で、海の様子を眺めていたドレイクがふと口を開く。

 

『あ、数少ない僕の出番だね。ミス・ドレイクの発言はほんとだよ。

所長達がいる場所は、先ほどの島と気温や海流が異なっている』

 

久々の出番に嬉しいのか張り切っている声のロマン。

実際、現地での魔術的解析はオルガマリーが行えるし、索敵もどこで見ているのかセイヴァーの方が早く反応してしまうので、ロマンの出番は多くない。

 

『もう暫くすれば、具体的な場所も判明するはずだ』

 

「良かったね。ドクター、出番あって」

 

『立香君、地味につらい一言を言わないでくれるかなぁ!』

 

立香の天然発言にひっそりとダメージを負うロマン。

相変わらず、緩い空気のカルデア一行。

 

「…弛んでると言うべきなのかしらね」

 

「息抜きは必要ですよ、マスター」

 

「勿論分かってるわ。立場的な発言よ。でも、そうね邪魔はしたくはないですね」

 

騒いでるロマンと立香を優しい目で見るオルガマリー。

精神的余裕が出来たのだろう。人理修復の旅に余裕などないが、こういった息抜きは行われる。

息抜きを出来るから、心が折れずに済む。

ここにいるカルデアの人達は、皆戦争に身を浸す異常に慣れてる訳ではないのだ。

 

「(息抜きが必要か……どの口が言うんだか…)」

 

息抜きなどせず、駆け抜けた生前を思い出しつつ、セイヴァーはオルガマリーをちらりと見る。

カルデアスが、真っ赤に染まった時から、いつもどこか張り詰め、自分を追い込んでいる気配のあったオルガマリーだが、最近は笑顔を見せたり、今みたいに優しい目をする機会が増えている。

きっと、これが本来の彼女なのだろう。

そして、自分が生前一度も見る機会の無かった姿でもある。

 

「どうかした?セイヴァー」

 

セイヴァー自身が思っていたより、長く見ていたようでオルガマリーに気付かれ、声をかけられる。

 

「少し、見惚れていただけです。マスター」

 

「へ?そ、それって「船長、海賊船ですぜ!!」……あーもう、タイミングの悪い」

 

セイヴァーが珍しく素直な発言をしたので、思わず照れてしまったオルガマリー。

立香の時もそうだが、どうにも運が悪い。

 

「では、マスター。少し暴れてきます」

 

ドレイクが部下の海賊達に指示を出していく中、セイヴァーは駆け出し、船首から跳躍で敵の海賊船に乗り込む。

クー・フーリンも全く同じタイミングで駆け出しており、すでに海賊船内部で乱闘になっている。

 

「いやぁ、タイミング良く海賊が来て良かったじゃねぇか。なぁ、セイヴァー?」

 

「…クー・フーリン。揶揄うなら、お前の飯だけ激辛麻婆にしてやろう」

 

「げぇ!それは勘弁だ!」

 

海賊に囲まれながら、暴れてる二騎がこんな会話をしていたが、海賊の悲鳴に掻き消され、誰の耳にも入らなかった。

 

 

 

 

 

「海賊旗を回収したが、見覚えはあるか?ドレイク船長」

 

「…いやないね。どうやら、本当に別の海域に来た様だ」

 

戦闘と呼んで良いのか分からない戦闘を終わらせた後、セイヴァーが相手の海賊旗を回収。

ドレイクに見せるが、見覚えがない模様。

 

『海賊旗はこちらで解析しておくよ』

 

ロマニによる海賊旗の解析が始まる。カルデアのデータベースにある情報量なら、ヒットするものがあるはずだ。

海賊旗の件をロマニに任せ、オルガマリーの元へと戻るセイヴァー。

 

「セイヴァー、ちょっと良い?」

 

その途中で、立香に話しかけられ、立ち止まる。

 

「何か用か?藤丸 立香」

 

「いや、その、所長まだ怒ってるかなって…」

 

目を左右にウロウロさせながら、申し訳なさそうに言う立香。

先ほど、優しい目で彼らを見ていたオルガマリーだが、実は少し前まで機嫌が悪かった。理由は、エイリーク戦の前にドレイクが持ちかけていた世界一周の提案。

それを、彼は『楽しみですね』と答えていたのだ。特異点が修復されれば、記憶にも残らない約束ではあるが、もし万が一、ドレイクの記憶に残ってしまえば、どんな影響が出るのか。

 

「……少なくとも、今は怒っていない。ただ、もう少し、考えて発言するんだな。

マスターも、余裕がある様に見えるが、その実は余裕がない。あまり、負担をかけるな」

 

「うっ、ご、ごめん。あとで、オレの方からちゃんと謝っておくよ」

 

「ああ。それだけか?用事は」

 

相変わらず、オルガマリー以外には無機質な声のセイヴァー。

しかし、今は僅かに焦りの様なものが混ざっている。理由は、マシュがこちらに近づいて来ているからだろう。

 

「あ、うん。急に呼び止めて悪かったよ。セイヴァー」

 

「気にするな」

 

マシュが来る前に動き出す。

 

「あっ…」

 

「船を進めるよ!海図通りなら、もうすぐ島が見えて来るはずだ」

 

マシュの小さな声は、ドレイクの掛け声に消され、セイヴァーの耳に入る事はなかった。

 

「フォウ……」

 

代わりにセイヴァーを非難するかの様な鳴き声が聞こえたセイヴァーだった。

 

 

 

 

 

 

 

「暇ね……」

 

「暇であることは、良いことですよ。マスター」

 

海図通りに進み、島を見つけたカルデア一行。この島に霊脈が有ると、分かりサークル設営に立香達が向かっている。

オルガマリーとセイヴァー、清姫は、船の防衛を担当することとなり、この場に残っている。

立香に一人での戦闘指揮の経験を積ませるのが目的だ。ただ、余りにも敵が現れないため、流石のオルガマリーも暇を感じている。

 

「ねぇ、セイヴァー」

 

暇つぶしにと、浅瀬に釣り糸を垂らしているオルガマリー。

今のところ、当たりはない。

 

「何でしょうか?マスター」

 

魔力剣の整備をしていたセイヴァーが手を止め、オルガマリーの方を向く。

セイヴァーが自分の方を向いてるのを分かってるのかそのタイミングで口を開くオルガマリー。

 

「セイヴァーは、人理修復が終わったらどうするの?」

 

「そうですね……おそらく、座に戻る事になると思います。

カルデアは、今回の様な特殊な状況に置かれているから、英霊召喚を行えているところがあるはずです。

解決すれば、俺の様な英霊は後々に問題を残すだけかと」

 

客観的な視点で述べるセイヴァー。

 

「ますたぁ、オルガマリーさんはそういう事を聞きたいんじゃないと思いますよ?」

 

呆れた様なトーンの清姫。しかし、当のセイヴァーは全く自覚なく首を傾げている。

 

「ふふっ。相変わらずね、セイヴァー」

 

「そう笑われると…少し、恥ずかしいですね」

 

頬をぽりぽりと掻くセイヴァー。その様子も面白そうに笑いながらみるオルガマリー。

 

「ふふっ、でもいつか。貴方が、本音で話してくれる日を楽しみにしてますね」

 

優しく笑うオルガマリー。それは、心の底からその時が来るのを信じており、そして楽しみにしていると、言葉より明確にセイヴァーへと伝えた。信頼を向けられるのに弱いセイヴァー。

ひとしきり視線を彷徨わせた後に小さく、

 

「はい」

 

と、答えた。

その直後、船に乗っている彼らにも分かるほど大きく揺れた。

 

「きゃ!?」

 

釣りをする為に、かなりギリギリのところに腰掛けていたオルガマリーは、落下しそうになる。

 

「マスター!」

 

それを見逃すほど、この英霊は馬鹿ではない。即座に立ち上がり、サーヴァント特有の加速力で落下するオルガマリーの手を掴む。

セイヴァーがいた場所の床が砕け散っていることから、セイヴァーがどれだけ焦っていたか伝わるだろう。

 

「お怪我はありませんか?マスター」

 

オルガマリーを持ち上げ、船に下ろすセイヴァー。

清姫は地震と同時に、周囲の警戒に動いている。

 

「えぇ。大丈夫です。ありがとう、セイヴァー。ロマニ、何が起きたの?」

 

オルガマリーがロマニに通信をするが、反応はない。

ふぅと、ため息を吐きつつ周囲を見回す。

 

「結界かしらね。突破出来ないこともないけど、この船ごとってのは流石に無理ね」

 

「所長ー!無事ですかー!」

 

別行動していた立香達が戻ってくる。

 

「えぇ、大丈夫よ。そっちで何かあったか教えてくれるかしら?」

 

合流した立香達から、霊脈を見つけ、いつもの様にサークルを作ったらしい。

完成すると、同時に地震が起き、カルデアとの通信が途切れたと報告される。オルガマリーも、立香達に結界が展開されていることと、このままでは身動きが取れないと伝える。

 

「どうしましょうか」

 

「「結界を張っている者を見つける(よう)」」

 

マシュの呟きに、セイヴァーと立香が同時に同じ、提案をする。

 

「そうと決まれば話は早い。とっとと、行こうか。野郎ども!しばらくそこで待機だ」

 

ドレイクが話を締めくくり、海賊達に指示を出す。

 

「探すにしてもこの島、結構広いのよね?当てはあるのかしら」

 

「それなら、私が案内するわ」

 

ジャンヌ・オルタの疑問にステンノが答える。

 

「なんで、今まで気づかなかったのかしらね。ふふっ、此処にいるのね(エウリュアレ)

 

「じゃあ、頼むよ。ステンノ」

 

「えぇ。こっちよ」

 

ステンノが歩き出す……そして、しばらくすると立ち止まり、立香へと手招きをする。

 

「どうかしたステンノ?」

 

「歩くのに飽きたわ。私を運びなさい、マスター」

 

その言葉に全員がガクッとなる。どうやら、女神の気まぐれが出た様だ。

立香は苦笑いをしつつも、ステンノに背中を向け、しゃがむ。

 

「どうぞ、ステンノ」

 

「素直なのは良いことよ。マスター」

 

「ス、ステンノさん!ご自分の足で歩いてください!」

 

「嫌よ。疲れるもの。歩くぐらいなら、私、案内しないわよ」

 

マシュの注意をさらっと受け流すステンノ。この女神のわがままを訂正できる人などいるわけがない。

案内しないと言われては、マシュに打つ手はない。立香に背負われるステンノを羨ましそうに見るだけだ。

 

「あっちよ。マスター」

 

背負われながら指示を出すステンノ。彼女に振り回されながら、たどり着いた先は、地下迷宮だった。

 




次回こそ、あの二騎の出番です!
続きは、連休を利用し早く書き上げたいところ。

結構、ステンノ様が好きな私です。サブ垢で、ステンノ様以外の高レアを使わないプレイで人理修復中です。

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