願いを込めて   作:マスターBT

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遅くなりました。実家に戻ると、自由に使える時間がガッツリと減りますね。



例え、その在り方が変わったとしても

大海原に吹き抜ける湿気を含んだ海風。

そこに混ざる怒号と、血の生臭い臭い。

 

「奪え!殺せぇぇ!!」

 

ドレイクの海賊達、襲撃者の海賊達それぞれが、各々の武器を持ち対面する者を殺していく。

エウリュアレとステンノを狙い、押し寄せる敵を、マシュ、クー・フーリン、清姫、アステリオスが押し留める。

 

「ほらほら!」

 

「くっ…」

 

銀髪の少女の型のない独特な攻撃動作に翻弄されるジャンヌ・オルタ。

しかし、少女だけに意識を割くわけにはいかなかった。

 

「そこですわ!」

 

隣接した船から、狙撃してくる金髪の女性が、ジャンヌ・オルタの隙を的確に狙ってくるのだ。

この攻撃が思いの外めんどくさい。的確に、ジャンヌ・オルタが意識を外したタイミングを狙っているのだ。

 

「くそ。やはり、神話の英霊は強いな…」

 

「おじさんからすると、なんで大した霊基じゃないお前さんがここまでやれるのか不思議でしょうがないねぇ」

 

狙撃を行う存在は邪魔なので、排除に向かったセイヴァーを武器からしてランサーの男が阻止する。

セイヴァーは、多種の武器を取り出し、自在に攻めるがその悉くが槍一本で凌がれる。

 

「本来なら船長の宝具の力で、そっちの船の攻撃なんて効かないんだけど。

どっかの誰かさんにエイリークが落とされたからねぇ、こんな強硬策に出る羽目になっちまったよ」

 

頭部へと勢いよく、突き出される槍を干将・莫耶で受け流し、すかさず拳銃を手に持ち、敵ランサーの心臓に狙いを付け撃つ。

しかし、引き戻した槍に防がれ、弾は明後日の方向へ。

 

「強硬策?あんなの特攻の間違いだろう?」

 

「言うねぇ。まっ、おじさんもそう思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルデア側のサーヴァント、ロマンとダヴィンチの索敵。それらを掻い潜り、彼らは現れた。

この戦闘が開戦する、30分程前。彼らは、海図を頼りに大海原を進んでいた。

 

「「〜〜〜♪♪♪」」

 

珍しく気分が良いのか綺麗な歌を歌っているステンノとエウリュアレ。その歌声を、聴きながら彼らは進んでいた。

平和。この一言が一番しっくりくる光景だった。

 

「フォ〜ウ…」

 

「ちょっ……アーッハハハ無理無理、笑うって」

 

「笑ってやるなよ……ププッ…」

 

「………お前ら」

 

座って周囲を警戒していたセイヴァーの頭の上にフォウ君が、登りそこでダラけている。

真顔なセイヴァーが、彼らのツボにハマったようで、ジャンヌ・オルタとクー・フーリンが笑っている。

そんな時だった。ソレが降ってきたのは。

 

『んんっ!?!?みんな、気を付けて!!上からかなり大きな質量が降ってくる!』

 

一番、早く気づいたのはロマンだった。存在を忘れられていた事実にダウンしていたが、計器から目を離していなかったようだ。

ロマンの警告から、時間を置かず彼らの真横に船が降ってきた。

凄まじい音と、水飛沫に全員が怯んでいるときに、降ってきた船からロープが次々に飛び出し、彼らの船のあらゆる場所に絡みつく。

 

「「「「ヒャッホーー!!」」」」

 

ロープを伝い現れるは海賊の軍団。

 

「ウッヒョオー!こんな事が出来るなら、勿体ぶらないで使ってくださいよ。ヘクトール氏ぃ」

 

「いやいや、無茶言わんといて下さいよ。はぁ、俺後で何されるんだか…」

 

突如現れた船から、ドレイクとカルデア一行を見る二騎の英霊。

片方は、槍を持ち怠そうな雰囲気の男、先程ヘクトールと呼ばれていた。

もう片方は、むさ苦しいという表現がしっくりくる男だ。

 

「おや?おやおや?愛しのエウリュアレ氏と、瓜二つのお方が!

これは是非、エウリュアレ氏と並べてペロペロしなければ」

 

「うげ」

 

「あら、大変気持ちが悪いですね、英霊とはいえ、人間風情が気安く私に触れる?

ふふっ、死になさい」

 

絶対零度の視線に変わるステンノ。エウリュアレは、アステリオスに庇われる。

 

「……いやはや、良いですぞ!その視線、もっと下げずんでーーあ?」

 

「チッ」

 

テンション高く喋る男を、弓で狙ったセイヴァー。しかし、その弓矢はマジの目になった男に、拳銃で落とされる。

ふざけているようで、全くの隙がない。

 

『やっぱり、あの海賊旗は黒髭海賊団のものだよ。と、なるとあそこで立ってる男は…』

 

「海賊、黒髭。名は、エドワード・ティーチ」

 

『僕のセリフを取らないでくれるかなぁセイヴァー!?』

 

「拙者の至福の時間を邪魔する輩は、どこのどいつでござるかぁ~?」

 

言葉こそふざけているが、目は真剣な黒髭。

油断も隙もない男である。

セイヴァーがその言葉に返事をする事はない。その代わりに、黒髭へ迫る大量の矢。

だが、今度は横に立つヘクトールによってはたき落とされる。

 

「セイヴァー!上よ!!」

 

オルガマリーの言葉に反応し、セイヴァーが上を見上げると顔に傷のある銀髪の女性が刃をセイヴァーに向け、落下しつつ振り下ろす光景が映る。小振りのナイフで、受け止めそのまま、あらぬ方向へダークを取り出し、投げる。

響く金属音。敵の船からの狙撃を、その方向を見る事なく防ぐ。

 

「…チッ、中々やるじゃん」

 

「あら、防がれてしまいましたわ」

 

言葉とは裏腹に余裕な態度の二人。焦りの感情は見受けられない。

対して、セイヴァーの表情には焦りと驚愕が浮かんでいる。

 

「……ありがとうございますマスター。油断していたから、防げたが折り込みで攻められれば、俺には防げないな」

 

「余裕で受け止めておいて、嫌味かな」

 

嫌味でもなんでもない。

セイヴァーの得意分野は、多くの武器でオールレンジに戦えること、どんな英霊とも息を合わせ戦えることだ。

決して、複数の英霊を単騎で押さえ込む力はない。

 

「嫌味でもなんでもないさ。所詮、俺に出来るのは体勢を立て直すまでの時間稼ぎぐらいだ」

 

奇襲にいち早く反応し、敵の大将を狙うという大立ち回りを演じたセイヴァー。

それは、カルデアのサーヴァント達、そしてドレイクやその部下達が戦闘を始められる様にするためだった。

 

「船が降ってくるなんて、予想外に驚いて対応が遅れちまったが、野郎ども!!やられ放題ってのは、気にくわないだろう!

存分にやり返してきな!!」

 

ドレイクの号令に海賊達が士気を取り戻し、敵の海賊達を押し返していく。

 

そして、物語は冒頭に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

「んー…どうにも攻めきれませんなぁ〜皆さーん、もっとファイトでござるよ」

 

「キショいんだよあんた!」

 

船上での戦闘が激しくなる一方で、船と船の戦いも激しくなっていた。

沢山のロープで繋がれている二つの海賊船。互いの砲撃が、傷を作っていく。

当然の様に吹き飛んでいく海賊達。

 

「BBA、早く聖杯を寄越して消えるでござるよ」

 

「はぁ?嫌だね、消えるのはあんただ」

 

「BBAからの熱烈ラブコールを受けても、嬉しくないでござる!」

 

船の砲撃に合わせ、ドレイクは二丁拳銃で。黒髭は一丁の拳銃で、撃ちあっている。

意図して避けることを行わない。まるで、弾丸に撃ち抜かれたらそこまでの運命であったと言わんばかりの二人だ。

もちろん、ドレイクも黒髭も狙いが甘い訳ではない。撃たれる一発一発が、しっかりと急所を狙っている。

しかし、その銃弾が狙いを撃ち抜く直前に、船の揺れや船上で戦ってるサーヴァント達の余波によって、揺れたりそもそも弾丸が消えたり等で、予測できない事態が起きているのだ。

 

「(あの魔女の支援を借り受けて、並の軍師じゃ予測出来ない奇襲を行なったが、今では真正面からの削りあい。

奇襲を受けてから、立て直し。それを一瞬で行った立役者。やはり、ここで消しておくべきか)……全く、あの魔女が君は確実に消せという訳だよ」

 

「何か言ったか?ヘクトール」

 

船上で一番、激しく戦っているセイヴァーとヘクトール。

 

「何、いつまでもイタチごっこを続けるのは無意味かなと思ってね。ここで、一手動かそうかとね」

 

槍を独特な構えで持ち上げる。

そして、魔力の高まり。宝具発動の兆候。

 

「ッツ、宝具か」

 

「おじさん、狡いからねぇ。君の愛しのマスター、狙わしてもらうよ」

 

止める隙はある。セイヴァーの身体はまだ、五体満足であり動ける。

周囲の敵も、不思議なことにセイヴァーをまるで狙ってこない。だが、セイヴァーの勘が告げていた。

ここで、ヘクトールに向かえば確実にこの男は、宝具をオルガマリーに向けて放つと、自身が死ぬとしてもやり遂げるだろうと。

 

「マスター!」

 

だから、セイヴァーの動きは決まっていた。

例え、敵を確実に倒せる隙を見逃す事になろうと。

例え、敵に背後を見せる事になっても。

 

オルガマリーを死なせない。その為に、セイヴァーという英霊は座に登録されている。

 

「……甘い。甘いぜ、名も知らぬ英雄よ」

 

ヘクトールが構えをやめ、背を向けたセイヴァーへと、槍を放つ。

ザシュ!という肉を裂く音と、カランという金属の落下音が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ますたぁ………に、手を出させ……ません……」

 

セイヴァーを庇うように、両手を広げ、ヘクトールの槍に清姫が霊核を貫かれていた。

 




黒髭の口調が全く自信ない。
というより、オケアノスのキャラ達が個人的に難しいと思ってる事が今回の話で判明しました。
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