願いを込めて   作:マスターBT

59 / 82
私にしては戦闘シーンを頑張りました……本当に戦闘描写が上手い人が羨ましい。


VSヘクトール初戦

清姫SIDE

 

その光景が見えたのは偶然だった。エウリュアレさんと、ステンノさんに迫る海賊を燃やしたり、殴り飛ばしたりで排除していた時だった。

急に迫ってくる敵の数が増え、その隙間から僅かに見えた。

 

「ッッ!?皆さん!エウリュアレさんとステンノさんを任せます!」

 

全力の火球を作り、眼前の敵を吹き飛ばし、わたくしは駆け出した。

何があったのか即座に理解出来るほど、わたくしの頭は戦闘に慣れしたんでいない。

それでも、愛しのますたぁ(セイヴァー)が敵に背を向けている事と、敵がその背中を貫こうとしている事から、何が起きるかどうかぐらいはわたくしでもわかる。

 

「……きっと、ここで消えてもカルデアで再召喚出来ますから……って言ってもますたぁは、悲しむのでしょうね」

 

あと、2メートル。槍は、数秒で彼の背中を貫き、霊核を砕くだろう。

大丈夫。脚に自信は無いけど、サーヴァントとしての身体は生前のわたくしより全然強い。

まさか、生前愛した人を狂ったように、追いかけていた事がここに活きてくるなんて思わなかった。

海賊達の隙間を、駆け抜けながら最短で辿り着く道を馳ける。

 

 

そして、わたくしはヘクトールの槍に霊核を貫かれた。

 

わたくしにマシュさんの様な盾があれば。

わたくしにクー・フーリンさんの様な戦闘センスがあれば。

わたくしにジャンヌ・オルタさんの様な魔術による守りがあれば。

 

この身を盾にしなくても良かったかもしれない。

 

「ますたぁ………に、手を出させ……ません……」

 

それでも、わたくしはもう彼の傷付く姿を見たくない。

だから、残された僅かな時間で仕事をしよう。

 

「清姫!お前……」

 

「大丈夫です……ますたぁ……わたくしよりオルガマリーさんを……」

 

自分を貫くヘクトールの槍を、両手で掴む。

そして、変化のスキルを使い、わたくしの身体を半竜化し、力と頑丈さを底上げする。

 

「おいおい……冗談だろう?お嬢ちゃん」

 

反射的に槍を引き抜こうとしたヘクトール。

ふふっ、無駄ですよ。竜の力に真っ向から挑んで勝てるわけないじゃないですか。

 

「ますたぁ……それでは。わたくしは、一足先に……カルデアに戻ってますね…」

 

「……ああ。分かった……ありがとう、清姫」

 

その言葉だけでわたくしは、救われます。

では、サーヴァントとしての役目を果たしてきましょう。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「くっ!?どこにこんな力が…!!」

 

槍をさらに自分に深々と刺さる様にして、ヘクトールを敵の海賊船にわたくしごと吹き飛ばす。

……ますたぁ、愛しています。とっても…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイヴァーSIDE

 

清姫が俺を庇った。分かっている、俺が隙を見せたからだ。

清姫がヘクトール諸共、敵の海賊船に乗り込んで行く。ちらりと見えた清姫の顔は、カルデアで再び再召喚されるとはいえ、もう一度此処に来ることは出来ない。清姫のいう英霊は一度死んでしまうのに、彼女の顔は最近、漸くわかった、柔らかな笑顔だった。

 

「セイヴァー……清姫が……」

 

マスターが涙を堪えつつ話しかけてくる。

自分が原因だと思っているのだろう。誰よりも責任を背負ってしまう性格だからこそなのだろう。

 

「あいつは……あいつの役目を果たしに行ったんです。だから、サーヴァントだけど、マスターである俺には責任があります」

 

だから、俺は清姫の死は、サーヴァントとしての役目を果たしたのだと告げる。

慰める事すら今の俺に出来る余裕はない。

 

敵のサーヴァントは、強襲した清姫に付きっ切りになっている。

だから、手に黄色の短槍を取り出し、投擲する構えを取る。外せば、清姫の生死を賭けた行為を無駄にする。

 

「……また、会おう。清姫」

 

だから、俺は外せない。

短槍放つと同時に俺の左手から、令呪が失われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイヴァーの放った短槍が敵のサーヴァントの一人、アン・ボニー目掛けて飛んでいた。

槍が回避不可能の距離になると同時に、清姫という英霊の霊基は完全に消滅した。だから、気づけた。

 

「槍!?!?」

 

「アン!避けて!!」

 

投擲に気づいたヘクトールと、メアリーが声をかけるが、間に合わない。

槍はセイヴァーの狙い通り、狙撃手のアン・ボニーの利き手を貫いた。

 

「うぐぅぅぅッッ……」

 

貫かれた痛みに、唸り声をあげるアン。

それと同時に彼ら目掛けて、弓矢が降り注ぐ。エウリュアレとセイヴァーの矢による同時攻撃だ。

 

「不味いぜ、船長。奇襲を仕掛けたのに、いつ間にかこっちが不利になっていやがる」

 

「これを覆すのはちと骨が折れるでござるなぁww

まぁ、でも俺の部下傷物にして、ただで帰すつもりなんざ、微塵もねぇが」

 

黒髭の目が真剣になる。

 

「悪いが、その言葉そのままそちらに返そう」

 

ロープを伝い、現れるのは、セイヴァー、ジャンヌ・オルタ、ドレイク、マシュ、そしてマシュに担がれながら、藤丸立香。

ジャンヌ・オルタは、アン・ボニーとメアリー・リードに。ドレイクとマシュ、藤丸立香が黒髭に。

 

「…やれやれ、そんな目をしてるやつと戦うと大概、ろくな事にならないんだがねぇ…」

 

「清姫の敵討ちだ。ヘクトール」

 

セイヴァーがヘクトールの前に立つ。

その目には闘志が宿り燃え滾っている。しかし、酷く冷静な態度。

 

「(早くきてくれないと、首が飛ぶのはおじさんの方だねこれは…)」

 

槍を構えなおし、セイヴァーの動きを注視するヘクトール。

セイヴァーの武器は、干将・莫耶。それと、いつのまにか回収していた黄色の短槍を背中に担いでいる。

 

「(マスター、少々魔力を食いますが、いざとなれば渡したアレを使って回復して下さい)」

 

「(えぇ。分かったわ。存分に借りを返してきて。セイヴァー)」

 

念話でオルガマリーに確認を取るセイヴァー。

既に他のところでは戦闘が始まっている。ジャンヌ・オルタはやや優勢、ドレイクとマシュと藤丸立香のところは、僅かに劣勢と言ったところだ。

そして、セイヴァーとヘクトールの戦いも唐突に始まる。

先に仕掛けたのはセイヴァー。体勢を低くし、ヘクトールの斜め下から、二刀を斬りあげる様に振るう。

ヘクトールは、それを槍の肢で防ぎ、体勢の低いセイヴァーの顔を狙い、膝蹴りを放つが、それはセイヴァーが後方に飛んだ事により、不発に終わる。

 

「おいおい、さっきまで違う武器を持ってただろうお前さん」

 

後方に飛んだセイヴァーが手に持っていたのは、弓矢。矢を番え、力一杯に引き絞り放つ。

槍を回す様に使い、弓矢を弾くヘクトール。着地してもなお、飛んでくる矢に距離を詰めようとしたヘクトールを狙い、今度は真紅の槍がヘクトールの心臓めがけて放たれる。遠距離だと思っていた相手が、突如自分の間合いに詰め寄ってきたのに困惑しつつ、槍を右手の籠手で弾くが、本来守られているはずの槍に触れた籠手から血が出る。

 

「おおっと…」

 

「流石は防戦に優れてるだけはあるな、ヘクトール」

 

セイヴァーの使った真紅の槍は、魔力を打ち消す効果がある。英霊の鎧等は魔力で編まれている為、この槍の効果をモロに受ける。

しかし、それを掠っただけで判断したヘクトールは、身体を大きくズラし、槍を避ける。

だが、身体を大きくズラした事により、槍で戦うには少々不便な間合いになってしまった。

セイヴァーはその間合いに入ってきたヘクトールに、干将・莫耶を投擲し、自身も両手に籠手を装備し、詰め寄る。

 

「避ければ二刀に。避けなければ、お前の拳にってか?あまり、見縊るなよ!」

 

槍を自分の身体に沿って回す様に担ぎ、干将・莫耶を弾き飛ばし、セイヴァーの拳を脚で防ぐ。

しかし、セイヴァーは距離を離さない。槍を上手く使えない超至近距離戦に持ち込む。だが、それだけでやられては、ヘクトールは大英雄として名を残していない。槍を地面に突き刺し、セイヴァーとの格闘戦に応じる。

 

「ハァ!」

 

セイヴァーが放つ拳を、下から弾く様に狙いをズラさせ、ヘクトールはセイヴァーの鳩尾を狙い、膝蹴りを放つ。

だが、それを読んでいたセイヴァーが一手先を行き、ヘクトールの脚を踏みつける。これにより膝蹴りは不発に終わるが、セイヴァーの顔面にヘクトールの頭突きが当たる。

 

「ぐっ…」

 

「詰めが甘いぜ」

 

怯んだところを、ヘクトールは狙い、拳の勢いを加速させる。その全てが、人体の急所、正中線を中心に狙われている。

頭突きにより、軽い脳震盪を起こしかけているが、セイヴァーは柔術の要領でそれらを捌き躱す。両者ともに埒があかないと判断したのか、ほぼ同時に間合いを広げる。この時、ヘクトールは槍を回収し、密かに自身に迫っていた干将・莫耶を弾き砕いている。

 

「「はぁ…はぁ…」」

 

両者僅かに息切れを起こしている。ヘクトールは終始相手のペースに乗せられて、流れに逆らっていたために。セイヴァーは、大英雄と自分の力量差に精神をすり減らした為の疲労だ。

だが、彼らの戦いに水を差す存在が現れる。

 

「◼️◼️◼️◼️◼️!!」

 

「やれやれ、君が不甲斐ないから私が直接来ることになったでないか。ヘクトール」

 

もう一隻の船と、災害が現れた。

 




ヘクトールのとの決着の前に、災害ヘラクレスが来てしまいました。

暑いですが、皆さん、お身体には気をつけてくださいね。

では、感想・批判お待ちしております
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。