お待たせしました。戦闘が終わります。
相変わらず、戦闘シーンが少ない……ところどころ、かなり趣味に走ってます。
「クー・フーリン!」
立香の手に宿る令呪が一画、輝きクー・フーリンの消耗した魔力が補填される。
宝具で消耗しマスターから離れた事で足りなくなった魔力が元に戻った事により、クー・フーリンの身体に刻まれた傷が塞がっていく。
「サンキュー!マスター」
槍を構えるクー・フーリンは万全の状態。
立香が連れてきたサーヴァント達も臨戦態勢が整っている。
「ここに来て援軍ですか。運命という存在は悉く、私達のことを嫌っているようですね」
セイヴァーとクー・フーリン相手に有利に立ち回っていたメディアリリィが、その愛らしい顔を歪め、憎々しげに言う。
だが、それも一瞬で次の瞬間には大量の魔法陣を投影していた。
そしてそこから放出される魔術の標的を、視界に捉えている立香に絞り、放つ。
「させるか」
しかし、その射線上に割り込む様に現れたセイヴァーが盾で魔術を防ぐ。
「…藤丸立香、お前と契約しているサーヴァント達でアレを倒せ。
攻撃は俺が防ぐ。見ての通り、それぐらいの余力しかない」
傷が塞がりきっていないセイヴァー。仮初めとはいえ、血を流す姿は痛々しい。
マスターであるオルガマリーの支援を受ける時間すら、惜しんでいる様だ。
「分かった。みんな、お願い!」
立香はセイヴァーの目を見て、頷き、自身のサーヴァント達に号令を出す。
具体的な指示ではないが、サーヴァント達は各々の得意分野で戦える様に動く。
しかし、今回の特異点。異常なまでにアーチャークラスが多い。
エウリュアレ、タビデ、アタランテ、オリオン。
計4騎のサーヴァントが、一斉に距離を取るのは中々に面白い状況だ。最も、そんな事を楽しめる余裕はないのだが。
「マスター、魔力に余裕は?」
「相手のキャスターに結構、使ったからそこまで余裕がないのが素直なところよ。
……セイヴァー、私からの供給が少なくてもいけますか?」
神代のキャスタークラス相手に魔術戦を挑んでいたオルガマリーの魔力に余裕は余りない。
一時的でかつ、効果もそこまで高い魔術なら扱えるが、今のセイヴァーを復帰させられるほどの余力はない。
「上手く立ち回れればなんとか。俺自身の魔力で保たすことも可能ですから」
一応、セイヴァーには第2特異点で使用したマナプリズムを砕くという方法で、回復する手段はある。
だが彼自身が使えるマナプリズムの絶対数は少ない。
これから、さらに過激となる特異点攻略を知っている彼からすると、ここで使いたくない代物だ。
オルガマリーの視界に、ドレイクの海賊が落としたのか、そもそもこの船にあったものなのか分からないが、ナイフが落ちているのが映る。
それを手に取りセイヴァーへ近づく。
「ッツ!?させませんよ!フォルネウス!!」
オルガマリーが何かしようとしたのを理解したのか、メディアリリィがフォルネウスに指示を出す。
フォルネウスの複数ある目玉に光が、集まり光線が発射されそうになる。
だが、大量の矢により防がれる。
「ーー!!」
「あっこら、狙いはそっちではありません!」
知性が乏しいのか、自身を攻撃して来たアーチャー達の方に目玉を向けるフォルネウス。
メディアリリィ自身も先程から、クー・フーリンとジャンヌ・オルタに狙われてセイヴァーとオルガマリーを狙えない。
「マスター何をするつもりですか?」
「こうします」
手に持ったナイフで、人差し指を軽く切る。
それに驚くセイヴァーを他所に、オルガマリーは血が流れる指をセイヴァーに差し出す。
「魔力が足りないのなら、こうして体液を与える。魔術師なら誰でも知ってる事です」
「で、ですがマスター…」
「魔神柱に圧倒的な優位を取れる貴方を、遊ばせて置くわけにはいきません。
セイヴァー、お願い」
真剣な眼差しにセイヴァーが折れる。
オルガマリーの手を取り、差し出された指を口の中に入れる。可能な限り、早く魔力供給を終わらせるために、傷口の辺りを軽く舐める。
「んっ…」
傷口を舐められるというこそばゆさにオルガマリーが、声を出す。
時間にしては数十秒。セイヴァーの魔力がオルガマリーの血により、補填され傷が塞がっていく。
自分の傷が塞がり始めたのを認識し、セイヴァーはオルガマリーの指を口から離す。
「…では、行ってきます」
「…え、えぇ。頼みましたよセイヴァー」
僅かに赤い頬を互いに隠しながらやり取りをし、セイヴァーはフォルネウスへと向かっていく。
「ふふっ、初心ね。貴方達」
「ス、ステンノ!?」
みんな戦っているから見られてないと思っていたオルガマリーに不意打ちを入れるステンノ。
「か弱い私が戦っても微々たるものなので、残っていたらふふっ、面白いものが見れました」
よりによってステンノに見られてたと頭を抱えるオルガマリー。
だが、彼女は失念してきた。カルデアで観測しているスタッフからは丸見えだという事を。
「いやぁ、お姫様との一時はどうだった。セイヴァー」
「弄るなら、敵より先に撃つぞ。ドレイク船長」
「ハッハハハ、そりゃあ怖い!」
時を同じくして、ドレイクに弄られかけるセイヴァー。
だが、二人ともしっかりフォルネウスの攻撃を避け、目玉を潰している。
「くっ…弓兵が鬱陶しいですね」
クー・フーリンの槍、ジャンヌ・オルタの炎を避けながら、メディアリリィは器用にも、魔法陣を展開。
その標的をアーチャークラスのサーヴァント達に絞り、放つ。
「アステリオス」
「えうりぁれ、まもる!」
巨体には似つかない速度で、走り射線上に割り込むアステリオス。
まるで彼がそうすると分かっていたと言わんばかりのエウリュアレは、他のアーチャークラスが回避行動を取る中、その場に立ち続けた。
結果、メディアリリィの放った魔術はアステリオスが、力だけで防いだ。
「
アステリオスの後ろから、エウリュアレが宝具を放つ。
彼女の魔力が多く、込められた正真正銘の全力宝具。
「負けない!!」
メディアリリィが大量の魔法陣を展開。
その一つ一つが結界魔術。エウリュアレの矢が魔法陣を貫くごとに勢いが落ちていく。
それでも、神性の高いサーヴァントの一撃。完全には防ぎきれず、メディアリリィの持つ杖に当たり、砕かれる。
「きゃぁぁあ!」
杖が砕けた勢いで、甲板に勢いよく叩きつけられるメディアリリィ。
「ーーー!!」
使役者が傷つき、己の死を感じたのか、それとも僅かでもイアソンの意思が残っているのか。
それは分からないが、フォルネウスが雄叫びを上げて暴れる。
アルゴノーツが丈夫とはいえ、このままでは崩壊する。
「マシュ!」
「はい!宝具展開します……
マシュの宝具が発動。フォルネウスの攻撃を展開された盾が防ぐ。
乱れ撃たれている光線を防ぐ空間が出来れば、その機を逃すサーヴァント達ではない。
「
ジャンヌ・オルタの炎がフォルネウスの身を焼き、貫く。
「
アタランテの無数の弓矢がフォルネウスの肉を削ぎ落としていく。
メディアリリィの回復に依存していたフォルネウスは、二発の宝具を受けて疲弊する。
「天の鎖よ。魔神柱を拘束しろ」
セイヴァーの言葉と同時に、鎖がセイヴァーの両手に現れ、まるで意思を持つがごとく魔神柱を拘束する。
的確に目玉のある部分を締め付ける様に巻きつく。
「ーー……ーーー!!」
先ほどより弱い絶叫。
すでにフォルネウスの命は尽きようとしている。
「ドレイクさん!砲撃で決着を!!」
「任せな!野郎ども、砲撃用意!目標、気持ち悪い柱!!」
ドレイクの指示により、
彼女自身も手に持つ二丁拳銃をフォルネウスへと向ける。
「アタシの名を覚えて逝きな」
バンッと拳銃の銃声が響く。
そのすぐ後に、砲撃がフォルネウスへと放たれ、アルゴノーツの甲板の一部ごと吹き飛ばす。
魔神柱、フォルネウスは討伐された。
次回は、第3特異点の最終回ですね。
ほんと、完結する頃には何話になるんだろう。この小説
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