願いを込めて   作:マスターBT

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今回、召喚される人は誰でしょうか。


英霊召喚④

「…ジャンヌ・オルタとクー・フーリンが前衛で戦って……マシュにはオレの守りとみんなの守りを頼んで……ステンノには後方で支援をしてもらいつつ、気配遮断を見極めて……」

 

立香は自室で、各サーヴァントを擬似的に象ったピースを動かしながら、ぶつぶつと戦術を練る。

カルデアで多数契約を結んでいるのは、彼だけ。元々、マスター適正のなかったオルガマリーは頑なに、セイヴァー以外を召喚しようとせず、セイヴァーも例外的にマスター兼サーヴァントになってるため、清姫以外と契約したらどんな影響が生まれるか不明。

これらの点から、複数のサーヴァントによる戦術は彼に一任されている。

 

「…アーチャーかキャスターのクラスが欲しい。前線の二人の負担が大きいや。

あの二人なら、喜んで戦いそうだけどそれでも軽くできる事に越した事はないよね」

 

オルガマリーとセイヴァーが常に共に居てくれるとは限らない。

彼だけの判断で、サーヴァントを運用する必要が必ず生まれるだろう。

 

「失礼するぞ。藤丸立香、俺に何か用事か?」

 

ぶつぶつ言っていた部屋にセイヴァーが来客として現れる。

 

「フォーウ」

 

ついでに、フォウ君も一緒に入室。

立香のベットの上で丸くなる。

 

「あぁ、ごめんね。急に呼んで」

 

「構わない。マスターの手伝いもこれといってなかったからな」

 

無表情で、流れる様にコーヒーを淹れ、立香の元へ歩く。

その動作は手慣れており、オルガマリーによくやっていたのだろうと伺える。

 

「で、なんだこれは。サーヴァントの運用方法か?」

 

「そうだよ。オレももう少しサーヴァントへの動かし方とか考えなきゃって思って。

それで、セイヴァーを呼んだのは戦場でよく指示を出してるからさ。参考になるかなって」

 

「…よく見てるな」

 

「そうかな?」

 

セイヴァーの言葉に首を傾げる立香。

彼は当たり前の様に受け入れているが、一般人が英霊や幻獣と言った常識の外側にいる存在の戦闘を見て、周囲を見る余裕などある筈がないのだ。たしかにここまで、人理を修復した実績はある。

だが、決して、当たり前として受け入れていい状態ではない。

 

「はぁ…まぁいい。これを見て、俺が何か言えば良いのか?」

 

「あ、うん。頼める?」

 

立香の言葉に返事を返さず、じっと駒を見つめるセイヴァー。

1分ほどまじまじと見た後、口を開く。

 

「まず、この陣形の仮想敵は?」

 

「え?」

 

セイヴァーの言葉に首を傾げる立香。

それを見て、やはりかという風に溜息を吐くセイヴァー。

 

「良いか?策を練るにしても、必ず必要になるのが仮想の敵だ。

全ての敵に一つの策が通じる訳ではない。それに、所詮、素人の策。一つだけでは、歴戦の英霊に敵う筈がないだろう」

 

「うっ…」

 

「この陣形を組んで、後方支援が足りないと思ったのが精々か。

マシュ・キリエライトの位置が甘い。彼女はもっと前線で戦える。シールダーは確かに攻めるのには向いていない。

だが、ジャンヌ・オルタの様に周囲が見えなくなりやすい奴と組ませれば、その真髄を発揮する。

マシュ・キリエライトが守り、ジャンヌ・オルタが敵を焼き払う。互いの利点を最大限に活かせる。それに、ステンノを余らせているな。

彼女は確かに、戦闘能力に乏しい。だが、相手が男性であればあの女神は強いだろう、戦闘において一瞬でも意識が逸れるというのは、死に直結する。ステンノに見惚れた敵がいれば、戦闘の勘に優れてるクー・フーリンなら、その敵を容易に倒せるだろうな。

支援が足りないと思うなら、今ある攻撃力を最大限高めろ。今、俺が挙げたのは運用の一つの例だ。

攻撃こそ、最大の防御。それが時としては大正解になる」

 

立香が用意していた駒を動かしながら、いつもより饒舌に喋るセイヴァー。

素人である立香から見ても、その動きに迷いはなく、また時折説明以外の部分に駒を動かしかける事があることから、本当に一例を挙げただけなのだろうとわかる。

 

「…おい、聞いてるのか?藤丸立香」

 

「え、あぁ、うん!聞いてる」

 

「そうか。まぁ、確かにお前の考えの通り、後方支援できる英霊は欲しいところだ。

俺がその役目をこなしても良いが、本職には劣るからな」

 

駒を動かす手を一旦止め、短く息を吐くセイヴァー。

加熱した頭を冷やすかのような仕草だ。

 

「フォウフォウ」

 

ベッドで丸くなってたフォウ君が、二人の足元にやってくる。

立香が抱きかかえ、机の上に乗せる。

 

「どうかした?フォウ君」

 

ピョンっと跳ねて、立香の頭の上でぐだぁっとするフォウ君。

いつぞやのセイヴァーにしていたことの様だ。

 

「先輩、ドクターから召喚の準備が整ったと……セイヴァーさん、いらしてたんですね」

 

「藤丸立香に呼ばれてな。用件も済んだし、そろそろ失礼するとしよう」

 

スッと立ち上がり、出口へと歩くセイヴァー。

マシュが立香の部屋に入り、出口を解放する。二人はすれ違う様な形になった。

 

「行きますよ先輩って…フォウさんそこは寝床じゃありませんよ!?」

 

「あはは、変な場所が気に入ったんだね」

 

「先輩も呑気に笑ってないで、早く行きますよ」

 

「そうだね、また所長を怒らせちゃう」

 

二人と一匹だけなのに騒がしくなる。

セイヴァーはそんな光景を扉が閉まるまで、見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、電力も充分。召喚を始めてくれ」

 

ロマンの合図に立香は聖晶石をセット。

自身の魔力を流し込み、聖晶石が砕け散り、召喚システムを起動させる。

 

「…これは中々の魔力反応だね。該当するのは……弓兵のクラスだ」

 

サークルが金色に輝き、英霊が召喚される。

光が収束し、人の形を取り、弓兵のクラスのサーヴァントが立香を見る。

 

「汝がマスターか?よろしく頼む」

 

アタランテが召喚された様だ。

立香が欲していた弓兵のクラスでもあり、優秀なサーヴァントでもある。

 

「よろしく、アタランテ」

 

「ああよろしく」

 

すでに性格は知っていたが、マスターに害をなす様な性格でもなく、立香の握手に快く返す。

立香も良いサーヴァントが味方になってくれたと内心で喜ぶ。

 

「なぁ、マスター。一つ聞くが、このカルデアに子供はいるか?」

 

「子供?いや、居ないかな。もしかしたら、この先、そういう英霊に会えるかもしれないけど」

 

「そうか……いや、会える可能性があると言うなら落ち込む必要もないな」

 

この英霊、マスターに壁を作る様な性格でもなく、扱い辛い訳でもない。

むしろ、英霊としては常識人の方に位置しているだろう。だが、彼は後々知ることになる。やはり、英霊とは一癖あるのだと…

 




サブタイ詐欺になってないだろうか……
セイヴァーと立香のやり取りを書きたいなと思ったら、想像以上に伸びた。

Aチームにオリ主突っ込んで、ステンノ様ヒロインの異聞帯という短編を唐突に書きたくなった。
最近、書きたいと思うものが増えるのが悩みです。

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