私立グリモワール魔法学園 ~氷の姉弟~   作:S15

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渋に投稿しているシリーズです。基本週一での更新、ご要望があれば番外編の投稿も開始しようと思います。礼のサークルのお話です。


邂逅

微妙に開いたカーテンの隙間から、部屋に朝日が差し込んでいる。そしてその光は、1人の少年の顔を嫌というほど照らしていた。

 

?「...まぶし...」

 

寝起きだろうが関係なく差し込む日光に晒され、ゆっくりと体を起こす。

 

?「今何時なんだ...」

 

時計に目をやると、7時を数分過ぎた頃だった。普段自分が起きている時間に比べると少々早いが、二度寝するほどの眠気は残っていない。

 

?「よっこいせ...」

 

ベッドから立ち上がり、身支度を始める。洗顔と歯磨きをさっさとすませ、部屋のカーテンを開ける。同時に半ば無意識にベッドの横の棚を開け、あることに気がつく。

 

?(そういえば、ミンティア切らしてんの忘れてた...)

 

普段ならここに置いてある清涼菓子を、昨日食べきったことを思い出した。忘れていた自分を少しだけ恨みながら、制服に着替える。そして、学生の必需品であるカバンを持ち、部屋の扉を開ける。

 

?(まあ、行きにコンビニでも寄ればいいか)

 

部屋の外に出て、鍵を閉める。かすかに吹く風が心地よい。改めて、朝であることを実感させる。

 

?(じゃ、そろそろ行くか)

 

 そう心の中で呟くと、1人の少年は学園の方へと歩きだした。

 

 少年の名は、氷川礼。そしてこの物語は、彼と学園生達が織り成す、鮮やかで複雑な物語である。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 目当ての品を買い、店から出たところで早速1粒口の中に放り込んで噛み砕く。爽快感が口いっぱいに広がり、一気に眠気を彼方へ吹き飛ばす。

 

礼(やっぱり朝は、これじゃねえとな...ん?)

 

礼の視界に、ある人物が写った。自身と同じ学園の制服を着た、同世代くらいの男だった。それだけなら別になんでもないのだが、何やら周りを見渡しながら、道を右往左往している。

 

礼(おいおい...歩きで5分くらいだってのに、迷子にでもなったってのか?)

 

半ば呆れながら通りすぎようとして、その男に声をかけられた。

 

?「あの、ちょっといい?」

 

礼「?」

 

礼(...道を聞いたりしねえよな)

 

?「僕、最近転校してきたんだけど、学園までの道を忘れちゃってさ。もし良かったら、道を教えてくれないかな?」

 

礼(ほんとに迷子なのかよ...それにしても最近か...もしかして、こいつが噂の転校生とやらか?)

 

礼「ああ、いいぜ。ついてきてくれ、案内する」

 

転校生「ありがとう!恩に着るよ!ところで、君の名前は?」

 

礼「氷川礼だ。そっちは?」

 

転校生「僕は────」

 

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校門が見える頃には、2人はすっかり親しくなっていた。

 

礼「改めて、信じられねえ体質だな。今度、一緒にクエスト行かねえか?」

 

転校生「いいけど、僕は魔法が使えないからさ...礼の足でまといになっちゃうよ」

 

礼「気にすんな、俺の好奇心で誘ってるだけだからよ。クエストがあれなら、訓練所もあるし」

 

転校生「そうだなぁ...結構迷うなぁ...」

 

転校生とあれこれ話している内に、校門の近くまで来た。そこでは、風紀委員であり、自身の姉でもある人物────氷川紗妃が、風紀委員としての職務を全うしている。

 

転校生「おはよう、氷川さん」

 

礼「姉さん、おはよう」

 

紗妃「2人とも、おはようございます。珍しい組み合わせですね」

 

礼「こいつが道に迷ってたんでな。ここまで連れてきたんだ」

 

転校生「あはは...すっかり迷っちゃってたよ」

 

紗妃「徒歩5分なのに、どうして迷うのですか...はい、荷物も服装も問題ありません」

 

2人分の検査を同時にこなしながら、紗妃が呆れたような声で返す。

 

礼「おーう。お疲れ様」

 

転校生「お疲れ様。ありがとう」

 

紗妃「いえ、仕事ですので。それと転校生さん!」

 

転校生「?」

 

紗妃「昨日も言いましたが、絶対に不純な事はしないでくださいね!」

 

転校生「わ、分かってるよ...」

 

礼(まさかこいつ、前科持ちなのか?...でも姉さんがこれだけで済ますってことは、大したことじゃねえか)

 

紗妃「私も今は仕事があるので深くは言及しませんが、心に深く刻んでおくこと!いいですね?」

 

転校生「もちろんだよ」

 

礼「じゃ、そろそろ行っていいか?」

 

紗妃「長く引き止めてすみません。どうぞ」

 

礼「じゃ、またなー」

 

転校生「またねー」

 

紗妃「ええ、また後で」

 

2人の男子高校生は校門を通り抜け、再び校舎へと歩き始めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 転校生と分かれたあと、礼は彼のことについて考えていた。最初に話しかけてきた時から思っていたが、あの男は他人に対して、必要以上にら距離を置こうとしない。かといって馴れ馴れしいわけでもなく、こちらの望む距離感を保って接してくる。彼は魔法が使えないと口にしていたが、そのコミュ力が一番の魔法だと思わされた。

 

礼(俺もあれくらい話せたらな...まあ、僻んでも仕方ねえよな)

 

礼(とりあえず、昼飯の時に色々聞いてみるか)

 

頭の中に浮かんだ後ろ向きな感情を、小さな決意へと変える。

 

礼(それに、俺の苦手意識もどうにかなるかもしれんしな)

 

同時にかすかな期待を抱きながら、授業へと意識を戻した。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 時刻は12時過ぎ。礼と転校生は、食堂で食事をとっていた。

 

礼「しかしお前も災難だな、女子と接してんのが姉さんに見つかるとは」

 

南蛮定食の味噌汁を飲みながら、礼が笑う。

 

転校生「しかも白藤さんといた時だったからさぁ、めちゃくちゃ怒られたよ...」

 

はあ、とため息をつき、転校生がカツ丼定食の主菜に手をつける。

 

礼「あの子、お前にゾッコンだもんな」

 

転校生「気に入ってくれるのはいいんだけど、もう少し周りを気にして欲しいなぁ」

 

礼「まあ、確かにな。はたから見てるとかなりぶっ飛んでる時もあるし」

 

礼(...あ)

 

正直な感想を転校生に返したところで、礼は転校生に聞こうと思っていたことを思い出した。こんなことを人に聞くのはかなり恥ずかしいが、どうにかしなければならない問題でもあるし、彼から返ってくる答えが最も参考になりそうでもある。

 

礼「なあ、転校生。1つ聞いてもいいか?」

 

意を決し、話題を転換する。

 

転校生「?」

 

そして、本題へと入る。腹をくくる時が来た。

 

 

 

 

礼「お前、なんで普通に女子と話せるんだ?」

 

 

 

 

転校生「...えっ?」




第1話、いかがでしたか。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。遅れましたが、礼のスペックです。

[クラス] リリィ
[年齢] 15
[誕生日] 2月19日
[血液型] A
[身長] 166cm
[体重] 62kg
[スリーサイズ] B:89 W:72 H:76
[所属] なし
[好きな食べ物] 回鍋肉
[嫌いな食べ物] なす
[趣味] レース観戦
[特技] ラップ
[在学年数] 2年

最後になりましたが、要望・改善点・感想などございましたら、ぜひコメントお願いします。
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