Xmas三部作   作:秋鹿

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Xmas三部作、第二弾「Wish」です。
舞台はコルサント、ジェダイ聖堂。
マスター・ヨーダからの呼び出しを受け、部屋に向かったオビ=ワン。そこで触れたホロ・プロジェクターにより、彼は思いもかけない場所に飛ばされ ―― といった話です。
ほのぼの系です。


Wish
第1話 若かりし師匠


今日は、遥かなる昔に誕生し、偉大なる足跡を残したジェダイ・マスターの生まれた日。

そして、毎年その日には、奇跡や不思議なことが起きるという言い伝えがある ――

 

(とんでもない)

とオビ=ワン・ケノービは聖堂の通路を歩きながら思った。

(そんな言い伝えのある日なのに、僕はマスター・ヨーダに呼ばれている)

思わず溜め息の一つや二つ、つきたくなる。

しかし、思い当たる節があった。メリダ/ダーンの一件以来、クワイ=ガン・ジンと再びマスターとパダワンの関係になったものの、師弟の間はまだギクシャクしていた。お互い思ったことを相手に素直に言えずにいる。

(きっとそのことでマスター・ヨーダ直々に忠告をされるんだろうな。パダワンの心構えとか・・・)

そういろいろと考えているうちに、いつしかヨーダの部屋の前に立っていた。

唾を飲み込み深呼吸をすると、軽くドアをノックする。

返事はない。

「マスター・ヨーダ」

声をかけてから壁に嵌め込まれているタッチパネルに触れると、すんなりとドアは横に開いた。

「マスター・ヨーダ?」

もう一回問いかけてから部屋に足を踏み入れる。

しかし、彼に対する回答はなかった。

「マスター・ヨーダ。オビ=ワン・ケノービです」

今度は先ほどより大きめの声で言ってみる。

ヨーダ用の小さなテーブルと椅子が置かれ、全体的に落ち着いた雰囲気で纏められてはいるものの、肝心の本人の姿がどこにも見えない。辺りを見回していると、ふとその視線が止まった。

こじんまりとしたテーブルの上に、何やら変わった小さな機械が置いてあった。一見ホロ・プロジェクターのように見える。

興味を惹かれてオビ=ワンは周囲を見回した。誰もいない。彼はそっとテーブルに近づくと軽くその機械に触れた。

不意にホロ・プロジェクターが作動し、機械の上に色鮮やかな光の渦が舞い踊った。

驚いて心臓が飛び跳ねる。勝手に動いてしまった。止めた方がいいんじゃないか?

しかし、湧き上がる好奇心には勝てず、オビ=ワンは少しその巨大な光の渦に顔を近づけた。

「うわっ!?」

と叫ぶ間もなく、少年は渦に吸い込まれていた。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

ゴンッ

「痛・・・っ」

オビ=ワンはまるで高い所から落ちたかのように尻餅をついた。痛むお尻をさすりつつ辺りを見渡す。

何時の間にかどこかの通路にいた。聖堂の通路には間違いないのだが、ここが何階か、この通路がどこに繋がっているのか全く判断はつかない。

(何があったんだ?)

少年は体を起こして立ち上がると途方に暮れた。

突然、右横の部屋のドアが開き、中から飛び出てきた人影が彼に思いっきりぶつかった。

「いたっ!!」

再びオビ=ワンは尻餅をつき叫び声をあげた。

「あ、すまない」

人物は慌てて彼に声をかけて、手を差し伸べてオビ=ワンが立ちあがるのを手伝った。

「おい、急がないと捕まるぞ?」

同じく部屋から飛び出したのだろう、もう一人が焦りながら言う。

「わかってる」

ぶつかった者はそう答えると、オビ=ワンに顔を向けて

「君もここから逃げた方がいい。巻き添えになりたくなかったらね」

と悪戯っぽい笑みで言った。

「どういう・・・?」

オビ=ワンが戸惑いながら訊ねようとした矢先

「お前達っ!!」

再び部屋のドアが開いて、中から一人のジェダイ・マスターが駆け出してきた。

「しまったっ」

二人は異口同音に叫ぶと通路を走り出した。オビ=ワンも訳がわからないまま後に続く。

「こらーーっ!!」

背後からジェダイ・マスターの怒鳴り声が聞こえ、オビ=ワンは思わず振り向いて、吹き出した。

かのジェダイ・マスターは髪のない頭に、それこそ髪のように海草を被って通路に立っていたからだ。まるで水槽に入っていた海草と水を上からかけられたみたいに。

前方を走る二人 ―― 後ろから見るとまだパダワンのようだ、三つ編が右の肩付近で軽やかに揺れている ―― もクスクスと笑い声を漏らしていた。

彼らは滝の音が響く千泉室まで全速力で走ってくると、ようやく立ち止まり息を整え始めた。

「見たか?あの顔」

「お前も人が悪いよ」

そう言いあって、二人は座り込んでお腹を抱えて笑っている。

それから、オビ=ワンにぶつかった方が涙を拭いながら彼に視線を向けた。うっすら茶色がかった短い金髪の、蒼い目をした長身の青年だ。年はオビ=ワンより幾つか年上だろう。

「先ほどはすまなかったね。怪我はなかったかい?」

「うん、大丈夫。僕こそ通路にぼーっと立っていたから」

不意に青年はオビ=ワンに怪訝そうな顔を見せた。

「初めて見る顔だね。名前は?」

「オビ=ワン・ケノービだよ」

「そうか、僕はクワイ=ガン・ジンだ。それでこっちが、メイス・ウィンドウさ」

オビ=ワンは口をポカンと開けて、一瞬呆気に取られて目の前の人物をまじまじと見つめ、それからもう一人に恐々と視線を向けた。

褐色の肌で黒い髪を持つ青年はニヤリと笑い返した。

 

(髪があるっーーーー!!!)

と心の中で大絶叫した後、

(いや、違~~うっ!!そんなことじゃない。ここは一体どこなんだっ?何が起きたんだ???)

オビ=ワンの頭は混乱を極めた。もうすぐ頭が破裂するんじゃないかと思ったその時

「大丈夫かい?オビ=ワン」

とクワイ=ガンの心配そうな顔が視界に飛び込んだ。

「大丈夫で・・・だよ」

条件反射的に丁寧語で答えそうになる。そして、慌てて話題を逸らすために訊ねた。

「き、君達、さっき何かしたの?」

「あぁ、あれ?」

と言って二人は再びクスクス笑いを漏らした。

「いや、メイスがね、生物学の授業を教えてくれている偉大なるジェダイ・マスターに、髪がないのは可哀想だろうって言い始めて」

「彼はまだ若いんだ。髪があった方が若々しさが出るだろうと思ってね。それに髪のある彼が想像できなかったから、どんな感じか知りたかったのさ」

「僕も想像できなかった。だから、研究のために部屋に置いてあった惑星モン・カラマリの貴重な海草を、フォースで飛ばして試してみたって訳だ」

「結構似合っていたぜ?あの"髪"」

二人は激しく笑い始めた。

(僕にとっては、マスター・ウィンドウの髪のある姿を想像できないのと同じってことかな?でもマスター・ウィンドウもきっと将来の自分の姿を知っていたら・・・笑いことじゃないと思うよ)

そう思うとオビ=ワンにも笑いが込み上げてきた。二人につられるように彼も笑いの輪に加わった。

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