Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
4月23日
星皇学園はかなりの盛り上がりを見せていた。アリーナには全学年の生徒が集まり学園全体の一大イベントとなっていた。一年生の実力を見るため、お偉いさんも集まっていた。
『ついに!この時がやってまいりました。一学年クラス代表戦ここに開幕です!実況は私ただ一人の放送部、田所 正明《たどころ まさあき》がお送り致します!』
学校行事レベルの試合になぜ実況がつくのか、よく分からないが簡易的な実況席が設けられていた。ちなみにこの学園、部活動は行っていない。魔法の練習をした方がいいからである。
『解説は九重 成《ここのえ なる》さんです』
『今日はよろしくお願いします』
と言って頭を下げる生徒会長がそこにいた。この学園に未来はあるのか……
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「何やってんだ?あの人……」
「八と一を足せば九……成る程ね……」
会長の奇行に呆れかえっている健人と名前の意味が分かり苦笑している京花はアリーナの控え室にいた。
「ま、やるからには負けるつもりはねえ」
「当たり前でしょ?優勝しか狙うつもりはないわ」
そんな会話をしていると選手入場のアナウンスがされる。
「それじゃ、」
「いきましょうか」
学園で最も息がピッタリと噂のコンビが会場へと歩いていった。
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「さて、そろそろのようだね」
制服で隠せていないところ、つまり顔や手などを傷、痣だらけにした男 イワン・ロバノフ は言う。
「あの……ごめん、やり過ぎた」
こんな姿にした張本人 神条 礼奈 はしきりに謝っている。
「なに、このくらいの対価は別に構わん」
「……ストイックもほどほどにね?」
「試合は問題ない、では行くとしよう」
「ま、強くなったわよね。あいつも……大丈夫、大丈夫……」
イワンはいつもの調子で、礼奈は自分に言い聞かせながら会場へと向かった。
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『さあ!代表選手の入場だ!まずは1-A代表!〈氷を完全支配する者《フロスト・ルーラー》〉!青柳 健人だ!』
「なんだ?その名前」
呆れつつ健人が会場に入場してくる。すると、会場から大歓声があがる。
『続いて、同じく1-A代表。〈水の指揮者《アクア・コンダクター》〉井上 京花!」
「……誰が考えてるの?これ……」
同じく京花が入場する。会場はさらなる歓声に包まれる。
『次は1-Dの選手の登場だ!〈ロシアの荒熊〉イワン・ロバノフ!』
「……私はMSパイロットではないのだが……」
世界観が壊れるような危ない発言をしながらイワンも入場してくる。
『そして最後に!我らが重力姫!〈千本剣《サウザンド・ナイフ》〉!神条 礼奈!』
「わたしたち、入学したばかりよね…………」
最後に礼奈が入場してくる。というか、みょんな二つ名のせいで能力がほぼネタバレなのに実況は気づいていないのか。そんな事を四人は考えていた。
『さあ、解説の九重さん。どのような試合展開になるでしょうか?』
随分とノリのいい実況である。
『そうですね、お互い自分の仕事を果たした方が勝つでしょう』
『成る程、相手のペースに呑まれるな、ということですね!』
当たり前の理論だが盛り上がりさえすれば観客は構わないようだった。
『さあ!試合開始の時間だあ!いい勝負を見せてくれよ⁈あの掛け声と共に試合開始だ!』
『ユニット!ON』
四人の声と共に試合が始まった。
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「健人、前衛お願いね」
「最初わたしは後衛だから、イワンに任せるわ」
どちらも男子が前衛、女子が後衛の形をとる。
「青柳 健人、君とは一度戦ってみたかった」
「へぇ、そりゃ光栄だね」
「このイワン・ロバノフの刀……切れぬ物など……それほど無い!」
「そこは自信もてよ……」
イワンの物いいに少々脱力する健人。
「ふむ、日本人は謙虚なところを好むのでは?」
「時と場合によるだろ……」
「まあいいさ、では……いざ参る!」
言ってイワンから仕掛ける、速度能力系なのかその移動速度は異常に速かった。
「速いな!」
その速さに健人も驚くが、反応出来ないほど速いわけではない。
ガキィィィィ!と二人の刃がぶつかり合う。そこに後衛の攻撃が飛んでくる。
「重力弾《グラビトン・ショット》!」
礼奈の周りに重力で押し固めた魔力弾が形成され、健人に向けて放たれる。
「させないわ!」
「盾とか作って大丈夫かな!」
その重力弾を水の盾で防ぐが……一発一発はかなり重い一撃だった。
「ぐっ………」
「一回で済むと思ってる⁈」
再び彼女は重力弾を作ろうとする。
「⁈……氷か……イワン!なにやってんの⁈」
「すまないな、打ち合っている途中にやられては対応できん」
イワンが打ち合いながら答える、それはイワンが押され気味の様子であった。
「くそっ、器用な奴じゃないの。だったら!」
礼奈が健人に向けて手をかざす、すると
「なっ!体が……重い……」
「隙ありだ!」
「〈アクア・ライン〉!」
「ちっ、仕留め損ねたか……」
「京花、助かった……体が軽くなったな……」
「それが彼女の能力なんでしょ?」
「そ、あんたの言う通りわたしの能力は重力操作よ」
神条 礼奈の能力、それは重力を操る能力。重力で魔素を押し固め強力な魔力弾を生成する事ができ、自分の重力を操作でき、集中すれば先ほどのように他人の重力すらも扱うことが可能な能力。
「だが、種が分かれば……」
「対応はできるわ、いけぇ!〈ツイン・ライン〉!」
二本の水流が二人を襲う、二人は慌てることなくそれを躱す。
「それでは止められんな!」
「お前はこっちだ!」
京花に向かったイワンを健人が止める。
「こっちがガラ空き……」
「だと思った⁈」
「え?うわっ!危なっ!」
礼奈が重力弾を生成しようとするが二本の水流が方向を変えて彼女を襲う。
「打ち合いでは、勝てないか……」
「まだまだぁ!〈アイス・エッジ〉!」
「ぐぅ……本当に器用な奴だな!」
「じゃないと一位にはなれねえよ!」
数本の氷の刃を全て打ち落とすが、すぐさま打撃に切り替えてくるので休む暇がない。
「ああもう!しつこいわねあんた!」
「それが役割だもの!」
「………………」
後衛二人も魔法を打ち合っているなか、イワンは冷静に状況を見定めて、
(そろそろ……潮時か……)
そう考え、持ち前の速度能力で京花の前に行き攻撃を仕掛けるが
「させるかぁ!」
パートナーの健人が追いすがってくる。
「想定内だ」
「きゃ⁈」
それを予期していたイワンは礼奈を抱きかかえ、二人から距離をとる。
「ちょ⁈なにすんのよあんた!」
「いいか、よく聞け。このままでは勝てん。」
「だからって諦めるっての⁈」
「だが君が一人であれば……可能性はあるはずだ」
「は?……あんたなにを……」
「何か仕掛けるつもりか……?」
礼奈の疑問を無視して相手の動向を伺うイワン。
「京花、あれやるぞ……」
「了解。〈アクア・ソード ミリオンシフト〉」
そう言うと多量の水の刃が京花の周りに生成され、
「〈アイス・バーン〉‼」
健人は剣を突き刺し、周囲に冷気を充満させる。
「こんなことをするとはな……」
「み、水が冷えたら……」
「氷になるな、そのまま飛んでくると間違いなくマズイ」
「な、なに冷静になってんの!ほら、迎撃を……」
「君がする必要はない」
イワンがそう言うと礼奈の前に立つ。
「は?なにを言って……」
「こんな言葉がある、『心に剣を持ち、誰かを護る盾となれ』……いま私は君の盾となろう」
「あれを全部止めたらあんた……!」
「なに、死ぬわけではない。後は任せるよ、礼奈」
彼は顔を後ろに向けてニッと笑い言った。
『《フロスト・ミリオンショット》‼』
数多の氷が二人を襲うが、
「……うおおおおおおおおおおおおお‼」
全ての向かってくる氷をイワンが刀と鞘を使い打ち落とす。破片や取りこぼした氷が彼を襲うが、後ろに通すことなく全て自分で受け止める。
やがて全ての刃が出尽くした。
「必勝の技だと思ったんだがな……」
「なんて根性なの……」
健人と京花は彼に受け止められた事に驚きを隠せなかった。
「流石にこれは疲れたな……」
そう言ってユニットを戻し彼女に、
「これで全力を出せるだろ…………」
「…………⁈」
そう言って仰向けに倒れた。
「あんた……………」
彼女は呟く。
「……これで何も出来なかったらブーイングものじゃない……」
出していたナイフとは違うもう一本のナイフを出現させる。
「勝手な事言っちゃってさ……一週間でわたしの何を知ってるってのよ」
先ほど彼に言われた言葉を反芻する。
「あ〜もう、しょうがないわね!あんたの言った可能性、物にしてやるわ!」
そう言って彼女はナイフを構え、不利な勝負に立ち向かう。
「やっぱ諦めてくれねえのな」
「あんなもの見せられて諦めると思う?」
「まあ無理だよな」
「だから……本気でいくわ!」
彼女の能力は1対多の時、真価を発揮する。
「重力砲《グラビトン・キャノン》‼』
二人を覆う程の大きさをした魔力砲が打ち出される。
「って!デカすぎだろ⁈」
「これは防げないわね……」
二人の分断に成功した礼奈は次の行動に移る。
「はあぁ!」
「なっ⁈速い⁈」
自分にかかる重力の方向を健人のいる方向に変えて突撃。重さを加えた一撃を彼にぶつける。
ガアアアアアアアアン!武器同士のぶつける音が響く。
「〈ウォーター・シュート〉!」
「くっ、いつまでも黙ってないか……」
京花の介入を受け再び距離をとる。
「これならどう⁈」
そう言うと、礼奈の周りに魔素で作られた無数の投げナイフが生み出される。
「どこぞの館のメイドさんかよ……」
「これがあの二つ名の意味ってわけね……」
「これはよけさせない!〈ファランクス・ナイフ〉!」
無数のナイフが彼らに向かって放たれる。
「京花!盾を頼む!」
「いつまで持つかわからないわよ!」
「やられる前に終わらせる!」
京花が作ってくれた盾に守られながら健人は前進する。
(これでも突破される……だったら!)
礼奈はそう判断するとナイフの射出をやめ、健人を迎え討つ体制をとる。
「分の悪い賭けになるけど……やらないよりましよ!」
ナイフの切っ先を健人に向け、先端に魔素を収束させて強大な魔力を作りだす。
「だったら…………」
健人もその様子を見て左手に魔力を生成する。
「これがわたしの……全力だぁぁぁぁぁぁぁ‼」
「この勝負……おれ達がかぁぁぁぁぁぁつ‼」
「〈ダーク・バースト〉ぉ‼」
「〈氷掌烈破〉ぁ‼」
お互いに己の全力を相手にぶつける。
どおおおおおおおおん‼ 激しい衝撃に会場が揺れる。観客の視線の先には----
「さすがに効いたな……」
膝をついている健人と、
「あ〜あ、負けちゃったか……」
仰向けに倒れた礼奈の姿があった。
『うおおおおおおおおおお‼』
『初戦から素晴らしい戦いでした!勝者は1-Aの二人です!』
『いやぁ〜わっくわくでしたねぇ〜』
実況を続けていたのだろうか、実況席からもそんな声が聞こえてくる。
「健人」
京花が彼に手を差し伸べる。
「悪いな……」
その手を借りて立ち上がる。そして、
「これが私たちの」
「初勝利、だな!」
パァン!とハイタッチをした。
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1-Dの控え室、激戦を終えた二人はそこに戻って来ていた。
「君でもあの二人を相手にするのは困難だったか」
「無理無理、あの二人息合いすぎだもん」
いくら1対多が得意であってもあの二人には通じなかったようだ。
「しかしまた新たな練習相手を見つけねばならんな」
「あっ…………」
「元々この代表戦のための練習だったのだからな……」
「あの、その事なんだけど……」
礼奈の言葉にイワンが耳を傾ける、彼女は続ける。
「わたしが練習相手になってあげるわよ……」
「……なぜかな?最初は乗り気ではなかっただろう?」
「そ、それはそのぅ……」
「何か心変わりする事でもあったか?」
彼の質問もっともな質問とも言える、が彼女は顔を真っ赤にさせて
「ああもう!そんな恥ずかしい事女の子に言わせんな!」
「一体どんな理由なのだ……」
こいつもこいつで理由に気づいても良さそうなものであるが。
「ま、ありがたいことに変わりはない」
そう言って笑みを浮かべて
「これからもよろしく頼むよ、礼奈」
いつの間にか名前で呼ぶ様になった彼の言葉を聞き
「……!うん、これからもよろしく!」
顔を紅潮させながら、満園の笑みを浮かべて彼女は言った。
分かりにくい単語説明〜
ルーラーは統括者とかそういう意味です。
ファランクスは密集部隊という意味です。
イ「他にも分かりにくい単語があったら言ってくれよ?」
今回主人公?のイワン君です。
イ「これが私の能力説明だ」
イワン・ロバノフ
能力:速度強化系、???
ユニット:刀
イ「???とはなんだ?」
今後覚醒するかも!ちなみにかなりのお気に入りキャラです。
また次回!(・ω・)ノ