Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ。
小学校を卒業するというとき、私は彼と別れるのがいやだった。折角姉弟ぐるみで仲良くしてくれたのに私は私立の中学校に行く事になってあの姉弟とは離れ離れになってしまう。でも私には抵抗できる程の実力も権利も無かった。家族の面子の何が重要かもわからない、そんな子どもだった私は家族に道をすべて決められた。
場所が遠いため引っ越す事になる。私は最後に彼に挨拶がしたかったから許可を得て彼に会いに行く。いつも一緒に遊んだ公園で会う事にした、彼はもうそこで待ってくれていた。
『もう行ってしまうの?』
『……うん、家族がそこじゃないと認めないって』
『そう……寂しくなるな……』
彼は悲しそうな顔をして俯く。そんな彼を見て、私は前から考えていた提案を彼にした。
『ねえ、星皇学園って知ってる?』
『……国立の魔法士育成学校だろ?それが?』
『……3年後、一緒にその学校に行きましょう』
『で、でも京花は家の都合が……』
『そんなのどうにかするわよ、で?どうなの?』
『……わかったおれも行くよ』
だけど、と彼は続けて言った。
『おれは、今より強くなってそこに行く!』
『それってどれくらい?』
『お前より強くなって、……………………くらいだ!』
『そう……わかったわ、もう時間がないみたい。3年後また会いましょう』
『ああ!3年後に、またな!』
そう言って彼とは別れた。その時私の感情は当時理解できなかった。でもその時私の心は…………ひどく痛かった……。
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「ん……朝か……」
私、井上 京花は目覚まし時計の音を聞いて目を覚ます。
「久しぶりにあの日の夢を見たな……」
一部分抜けていた気がするが気にしない事にした。時計を止めると顔を洗うために洗面台へ、そこで顔を洗って意識を覚醒させたあとに洗濯物を洗うためにランドリールームへと向かう。
ランドリールームには先客がいた。
「おはよう、京花」
「ええ、おはよう礼奈」
最近風紀委員に入ったとされる神条 礼奈。彼女とはランドリールームを使う時間が一緒でよく朝の話相手になってもらっている。
「昨日健人が言ってたわよ、ありがたいけどひどい目にあったって」
「わ、悪いとは思ったわよ!でも……私だって……」
「はいはい、楽しみだったんでしょ?健人には言っておくから」
「う〜、そんなのじゃあ……」
そんな事を言っているけど代表戦辺りから彼女がイワン・ロバノフの事を気になっているのは明白だ。こういう態度を世間ではツンデレとか言うのかな?もっと素直になってもいいと思うけど。
「じゃあ頑張ってね」
「うー☆あんたには夫がいるからって〜」
「……だから違うわよ」
なぜこんな噂が流れているのか、さっぱりわからなかった。翔子が言うには、
『お二人の距離かなり近いですもん』
だそうだ。幼馴染だからこんなものだと思うのだけど。私はおもむろに携帯端末を扱う。
「うわ…………」
「?どうかしたの?」
礼奈が聞いてきたけど答える気になれない。なぜなら……断ったはずの相手のメッセージが再びきていたからである。
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「いや、ストーカーじゃねえ?それ」
このメッセージの事を彼、青柳 健人に相談するとそんな返答が返ってきた。ちなみにその内容というのが、メッセージでは納得出来ないから直接話を聞いて欲しい、とのこと。自分がメッセージで送ってきたのになにを自分勝手な。
「誰かの手を煩わせるのもね……直接ケリをつけるわ」
「……大丈夫か?」
「ま、私事だからね。行けば終わるでしょ」
「……だといいけどな……」
彼はそう言っていたけどどこか納得出来ないといった様子だった。
「心配してくれるのかしら?」
「そりゃあな、なにしてくるかわからんぜ?」
どうやら本格的に心配してくれているようだ。確かに襲われたりしたら怖いけどこの学園には優秀な風紀委員もいるしひどいことにはならないだろう、と考えていた。
「ま、何とかなるなる」
「…………なんか不安だなぁ……」
チャイムが鳴って授業開始を告げる、世界史はつまらないから聞き流すことにしよう。
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先輩に指定された場所は屋上、後腐れを残したくない私は律儀にもここに来ていた。どうやら先に来ていたらしくその人らしい人がそこにはいた。
「貴方が高飛先輩ですか?」
私を呼び出した人の名前は高飛 車《たかとび くるま》。繋げて読むと高飛車である、親はなにを考えてこの名前をつけたのだろうか。何者かの悪意にも思える名前だった。
「やあ、来てくれたかい。用件はメッセージの通りだよ」
この人は……校章が緑ということは3年だろう。
「君みたいな美しく、実力のある人は僕みたいな優秀な人物と組むのがふさわしい……だから僕の魔法士としてのパートナーになって欲しいんだ」
……何というか、名は体を表すという言葉がとても身に染みた。高圧的な物言いや自画自賛の様子など高飛車という言葉がよく当てはまる。私は用意していた答えをそのまま言う事にした。
「私は他の誰かと組むことはしませんよ」
「……なにぃ?どういう事かな?」
「そのままですよ、聞こえませんでした?耳鼻科にでも行ったらどうです?」
自分でとてもイライラしているのだろうと思った。普段はここまで言うことはないが、目の前の相手のせいで仮面が外れかかっている。
「では、そういう事ですので……」
「…………素直に言う事聞いてりゃいいのに……」
え?と私が思った瞬間先輩が指を鳴らす、すると何もなかった空間から数人の人間が現れる。恐らくは彼の取り巻きなのであろう。
「幻覚系の能力……」
「ヘェ〜わかるんだ?僕の能力は対象の視界に幻覚を見せること、今のは誰もいないという幻覚さ」
「……それで?何のつもりです?」
「決まってるよ、聞き分けのない奴は力づくで手に入れる」
健人の不安は的中したようだ。あいつは悪い予感ばかり当てるからたちが悪い。相手には魔法士が6人、それもすべて先輩。いつまで防ぎきれるか、風紀委員はその間に来てくれるだろうか。
「さ、考え直してくれるかな?」
「お生憎様、私はそんな外道に着いて行くつもりはないわ」
「……はぁ、もういいややっちゃえ力づくで従わせればいいや」
それが合図となったのか、火、水、風などの弾が飛んでくる。私はそれを水の盾で防ぐがいつまでもつかわからない。今すぐにでも突破されてしまいそうだ。
「聞き分けが悪いからだよ、君は僕の隣こそが相応しいというのに」
彼等の猛攻に私は心が折れそうになる、あいつの言う事聞いてれば良かったかな……そんなことを思い眼を閉じながら朝の夢で思い出せなかった部分を思い出す----
『お前より強くなって----
----いつかお前を護ってやる」
その声は目の前から聞こえた----
「そんな約束したよな」
私が眼を開くとそこには----
「約束、果たしに来たぜ」
昔よりも随分と頼もしくなった幼馴染の背中があった。
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京花に代わって変わりに残りの攻撃を健人が防ぐ、その手には二本の剣が握られていた。
「なっ、君はどこから……」
「どこからでもいいでしょう?先輩よぉ、入り口から来ました」
急に現れた健人に動揺する高飛車軍団、質問に答える辺りは律儀なものだ。
「こいつ、剣は一本のはず……」
「日進月歩という言葉調べてこいや、先輩さん」
彼が神条 礼奈にナイフで刺されまくった成果がここに表れていた。
魔素を集めてユニットのように物質化させる、本来のユニットよりは魔素の処理する量は少ないがある程度は可能なので並列使用することによってより高度な魔法を発現する。だがこれは言うほど簡単な事ではない、それを2日程でものにするこの男はやはり只者ではない。
「健人…………」
「お前は休んどけ、疲れたろ?」
「う、うん」
「……格好よく登場して来たところ悪いんだけど……」
状況を判断して再び高圧的な物言いに戻る高飛車さん、そこには既に余裕が戻っていた。
「これだけの3年を一人で相手出来ると思ってる?お前いらないんだよ、さっさと彼女を引き渡せ」
この状況を覆すのは容易な事ではない、だがそれは一人であればの話だ。
「……黙っとけや三下野郎」
「何だと⁉」
「おれが何時一人だって言ったよ」
「ひょ?」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ‼」
健人の言葉に高飛車さんが何処ぞの虫野郎みたいな間抜けた声を出した時、取り巻きの一人が吹っ飛ばされる。
「なっ!だ、誰だ⁈」
「……うちの生徒ともあろうものが……嘆かわしいですねぇ」
そこにいたのはユニットであるトンファーを持った学園最強、生徒会長八重 一成が立っていた。
「せ、生徒会長⁉」
「お前らが怪しいって言ったらすぐに調査してくれたぜ」
「……何時の間にそんな事……」
実は京花の件を怪しいと考えた健人は生徒会長である一成に調査を依頼、一成はそれを快く引き受け調べたところ普段から取り巻きを率いて似た事を繰り返していることが判明。故にここへ来ることが出来たのである。
「非行に走る生徒は私直々に制裁です」
「くっ……だが生徒会長だからってこの数は無理だろ!やってしまえ!」
弱者は強者と戦うときどこかに勝てるかもしれないと希望を持つ、だが本当の強者はその希望ごと相手を打ち砕く。
現に数人が束になっても一成はそれら全てを捌いている。
「何で一つも通らないんだ⁉どうなってんだよ⁉」
「……貴方達の連携、魔力の強さは確かに素晴らしい。だけど!しかし!まるで全然!この私を倒すには!程遠いんですよねえ!」
久しぶりの戦闘でハイになっているのかみょんなテンションになりながら高飛車軍団を追い詰める。
一成の能力の一つが身体能力倍加、最大5倍にまで倍加出来る彼にはこの程度の弾幕は準備運動みたいなものだ。
「魔素収束……formation set」
一成がそう呟くと彼の前面に陣が展開され、魔素が収束する。
もう一つの彼の能力、魔力弾生成。魔素を収束して魔力弾として打ち出すことが出来る。それを多量に収束させると……
「頭を冷やしなさい……〈デストラクト・ブレイカー〉‼」
このように収束砲を放つ事が出来る、ちなみに今ので高飛車軍団は全滅である。
「……何だ、なぜか背筋に悪寒が……」
「……これが……会長さんの実力」
「ご無事ですね?二人共」
いつもの調子に戻る一成、学園最強の名は伊達ではなかった。
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「……完全に私の失態ね……ごめんなさい」
元はといえば私がこの問題を軽視しなければ、健人の忠告を聞いてればよかった話だ。自分のせいで手を煩わせた二人には謝るのが当然だろう。だけど二人は
「気にすんな、おれは会長に頼んだだけだしな」
「ほとんど私が片づけましたからね、あんなかっこいいこと言っておいて」
「……気にしてるから言わないで……」
「そんな事ない‼あなたは約束を守ってくれた!」
気づいたら私は彼を庇っていたなぜかはわからない、でも確かに彼は私を守ってくれていた。
「お、おうありがとな京花」
違う、お礼を言うのはこっちのほうだ。そう思った私は彼の顔を見ようとした。けど見れなかった、なぜか彼の顔を直視しようとしても今までみたいに出来ない。恥ずかしいという感情が先行してしまう。なんで?彼を見ると暖かい気持ちになる。だけどお礼一つにひどく勇気が必要にも感じる。
……それでも私は勇気を振り絞って彼に告げる。
「私を守ってくれて……ありがとう」
その時の私は3年前と同じ気持ちだった。未だにこの気持ちの正体はわからない。だけど……3年前と違って私の心は…………とても暖かかった。
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彼女のお礼を聞いて健人は彼女の顔を見る、しかし彼女の笑みを浮かべた顔を見ると気恥ずかしくなったのか顔を背けて
「ま、まあ約束だったしな。それに今まではおれが守られてたわけだし……」
などと言っていた。いつものような気軽さがそこには見受けられない。
(これは……よくも悪くも一歩前進ですかね……」
一成はそんな事を考える。そもそも今までの距離が近すぎたのだ、これくらいのほうが二人共ちょうどよいだろう。
「さて、二人共。いちゃつくのもいいですけど、今日はもう帰りませんか?」
『べ、別にいちゃついてません!』
こういうところはいつも通りだなと思いながら一成はその場から去る。
「じゃあ……おれたちも帰るか……」
「ええ、そうね……」
二人は共に自分の寮へと帰る。
その時の天気は雲一つない晴天だったという。
書いててイライラしたぜ……。
さて次回GW(作品内の)の話を書くのですが、それが終了するまで設定公開を休みます。
まあ、あんまり残っていないんですがね。
御三方みんな楽しみにしてらっしゃる、ふふふハードル上がるな……
ここで一言、GWの話が一つな訳がない。
また次回(・ω・)ノ