Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
今回は瀬古 透矢様の作品よりキャラが登場⁉
ではどうぞ
4月29日 今でも続いている昭和の日、昭和天皇をいつまで敬愛すればよいのか……
この日は老若男女が楽しみにしている(はず)のGWの開始となる日でもある。国立星皇学園は29日から5月6日までが連続して休みという、羨ましいこと限りない。外出許可さえ出せば生徒達も自由に出歩くことが出来るので、この時期に出掛ける生徒は多数いる。
青柳 健人と井上 京花もそのうちの1組である。二人は男子寮と女子寮の中間地点にある広場で待ち合わせをしていた。
「……女ってのはやっぱ準備に時間かかるのな」
時間になっても来ていないためそんな事を嘆く健人。無論いつもの制服ではなく私服で来ている。数十分すると向こうから京花がやって来る。
「ゴメン!遅れちゃった」
「いいよ、これくらい。前後2時間ズレるよかましだ」
言うまでもないかもしれないが、彼女も私服姿である。その姿を見ていた健人は一言、
「へぇ、似合ってるなその服」
「ふぇ⁉あ、ありがとう」
今まではこんな事を言うのは日常だったが、先日の出来事があったからか反応が違っている。ちなみに遅れた理由というのがどの服がいいかという事をルームメイトに相談していたからだったりするのは秘密だ。
「で?最初はどこから行く?」
「セントラル・ブリッジの辺りに行きたいんだけど」
「どんなところから行くんだ?」
「とりあえず服とか見ておきたいかな、買うかどうかは別として」
「わかった、では行きますか?お姫様」
「だ、誰がお姫様よ……」
満更でもないのだろう、その言葉は弱々しかった。
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軌道エレベーター『セントラル・ブリッジ』、宇宙と地上を繋ぐこのエレベーターの付近は大変栄えている。宇宙旅行でもする人が多いのだろうか様々な店が立ち並び昨今の若者は専らここに来る事が多い。『セントラル・ブリッジ』という名称は地球と宇宙を繋ぐ架け橋、という由来らしい。
「まだ初日だってのに人が多いな……」
「学生とかは祝日だからね、一日ずらすとかすればよかったわね」
「ま、来てしまったもんは仕方ない。休日を楽しみますか」
「そうね、じゃあまずは私に付き合ってもらえる?」
「仰せのままにってね」
二日前の出来事があってから多少ギクシャクしていたが、既に普段の様子に戻っているようだった。とはいえ朝の様子を見る限り完全に前と同じではなさそうだが。
「で、どこの店に行くんだ?」
「SHARLARにでも行きましょうか」
セントラル・ブリッジにある有名ファッショングループの名を挙げてその店向かう事にした。
やがて二人はその店に辿り着いたが……
「……多すぎるな」
「……多すぎね」
流石有名ファッションブランドなだけあってそこに訪れる人は多いようだった。その人の多さを見て意気消沈する二人。
「ま、なんとかなるかな……」
「行けない数ではないでしょ……」
折角の休み、折角ここまで来たのだからという思いが二人ともあったので行く事にする。人はこれを、コンコルドの誤り、という。
中に入ると人二人が通れるスペースくらいはあったのでたいして問題にならなかった。というわけで京花の目的の服を探しに行く事にした。
「……ところでおれも行く必要あるのか?」
「その、あなたに選んで欲しいのだけど……」
「おれぇ?」
彼女からの意外な申し出に間抜けた声をだす健人。
「別に服を選ぶセンスとかないぜ?」
「……他人からの視点が欲しくて……」
「ふぅん?おれでいいなら別にいいけどな」
「じゃあ幾つか着てみるからそれから選んでくれる?」
「わかったよ」
京花は幾つかの服を選んで更衣室に向かう。女性物の売り場だったため周りの目が心配だったが、意外にカップルなどが多いのだろうか男の姿もちらほら見かけた。その中でもこの二人は目を引いていたのだが……
しばらくすると着替え終わったのか更衣室のカーテンが開かれる。
「ど、どうかな……」
そこには白のワンピースを着た京花が立っていた。健人はその姿に見惚れてしまう。
「どう……かな……」
「お、おう。その……綺麗だぞ……」
健人は似合ってると言おうとしたが思わず綺麗と言ってしまう。
「わ、悪い!似合ってるぞ、その服」
「う、うん……ありがと……」
互いに頬を染めてそんな甘々な会話を繰り広げているため、周りからは暖かいめや嫉妬の視線などで見られる。しかし二人はそんな事には気がつかない。
「……それにしたらどうだ?かなり似合ってることだし」
「じゃあこれにするわ、ありがと」
「どういたしまして」
周りの声や視線を感じることはないのか、二人は気にも止めずに歩く。
「そろそろ昼の時間帯だな……」
「人が多くなる前にお昼にしましょうか」
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セントラル・ブリッジにあるとあるファミレス入った二人。そして適当に注文を済ませた健人はドリンクバーに向かった。
「どういう……事だ……」
しかし健人はドリンクバーの目の前で立ちすくんでいたなぜなら……
「メロンソーダのないドリンクバーなんてファミレスじゃないだろうが!」
……というとてもくだらない理由だった。隣では、コーラの無いファミレスなんてあり得ないだろ!と言っている夜空の髪をもった少年が叫んでいた。
「よぉ少年、一緒にこの店潰しちまうか?」
「いいねえ、今なら佑真さんも何でも出来そうだぜ……」
『いや、落ち着け馬鹿二人』
馬鹿二人が振り向くと二人の少女が立っていた。一人は健人の連れである京花、もう一人は背はあまり高くない蒼色の髪をした少女だ。
「佑真くん……あんまり馬鹿な事で目立たないでよ……」
「悪いな波瑠、そっちのあんたも」
「気にするな、炭酸の充実していないこのファミレスが全て悪い」
「それまだ言うの……?」
「まあいいや適当な炭酸で。行こうぜ波瑠」
「佑真くんのせいで遅くなったんだけどね……」
カップルと思われる二人は自分の席に戻っていく。周りを見るとその二人に視線が集中している。口々に、あの女の子可愛い、だの、男のほうは釣り合っていない、だの言われていた。健人は内心佑真と呼ばれていた少年に同情していた。
「あの女の子可愛かったわね……」
「そうか?おれは京花のほうがきれいだと思うけど……」
「ふぇ⁈い、いきなりなに言ってんの⁉」
健人の何気無い一言に驚いてしまう京花、こいつらもこいつらで目立っていた。
食事が終わりファミレスから出ようとして会計を済ませる。
「ここはおれが払うよ」
「え?でもそんなの……」
「おれが払いたいから払うの、ほら財布をしまった」
「ええ、ありがと」
健人が京花の分も払って店を出ようとすると二人の少女(?)が入ろうとしていたが……
「あそこに変な空気を作ってる二人がいるね………………知り合いだけど」
「二人に対する周りの視線がすごいね…………知り合いだけど……」
翡翠の髪のポニーテールの少女(?)と真紅の髪をした少女が手を繋いでそう言っていた。店内を見ると先ほどの少年が少女に対して所謂あーんを行っていた。少女のほうは顔を真っ赤にしていたが少年のほうは至って平然としていた。
「仲の良い事で」
「………………」
「京花?行こうぜ」
「う、うん。わかった」
ぼっーとしていた彼女を健人が呼ぶ。彼女は少し焦った様子でそれに答える。
(なんで私羨ましいと思ったのかな?)
そんな事を考えながら。
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その後二人は様々な店に行ったがあまり買い物はしていなかった。どちらかと言えば見て楽しむ事が多かった気がする。
「服はそれだけでいいのか?」
「ええ、足りなかったらまた来ればいいし」
「そん時また荷物持ちかな?おれは」
「……ありがとうね今日は……」
「気にするな、おれとお前の仲だろ?」
二人はそんな事を話しながら帰りの電車を待つ。しかし健人の言葉に京花が口を開く。
「それって……幼馴染だからって事よね……」
「あ?そうだけど……」
だったら、と言って彼女は続ける。
「あなたにとって私は幼馴染でしかないのかな……?」
「……どういう事だ?」
「ごめんなさい、忘れて…………」
「おい、京花お前……」
「ほら、電車きたわよ」
健人の言葉を遮るように京花が言う。
彼女の問いに今の健人は答えることは出来なかった、しかしその時の京花の悲しげな顔が頭から離れなかった……。
GW前編終了!
瀬古 透矢様今回ご協力いただきありがとうございました!皆様も瀬古さんの作品をご覧ください!
また次回(・ω・)ノ!