Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
今回はホーシーさんの作品からキャラが登場⁉
ではどうぞ
アリーナでの練習を終えた帰り道、イワン・ロバノフと神条 礼奈が今後の予定を話し合っていた。
「GWまで練習なんて、頑張り過ぎじゃないの?」
「ふぅん、心配してくれるのか?」
「そりゃあね……いつも練習漬けみたいなものだし」
「ま、明日はさすがに休むさ」
「へぇ、何かあるの?」
ある意味練習中毒なイワンが自分から練習を休むというのはかなり珍しい事である。何か理由でもあるのか礼奈は聞いてみる。
「……墓参りかな」
「……ロシアまで帰るの?」
イワンの出身はロシア、墓参りと言ったらやはりそこまで帰るのだろうかと考えるのが妥当だろう。
「いや、両親はまだ健在だよ」
「じゃあ誰の?」
「こっちに来てから私の面倒を見てくれた人だ」
「高校からの留学じゃないの⁉」
「ああ、中等教育くらいからは日本で学んでいる」
イワンは元々は中等教育が始まるくらいに日本にやって来たという。話を聞くところ彼は実はハーフであるらしかった、父親がロシア人で母親が日本人とのこと。父親が母の暮らしていた国に行って暮らしてみたいという言葉に彼も賛同してこちらに来たという。
「その時こちらで魔法や剣術を教えてくれたのがその人だ」
「ふーん…………わたしも行っていい?」
「……墓参りだぞ?」
「わたしもその人の話聞いてみたいし……」
「……まあいいか、朝早いが構わんか?」
「わかった、じゃあまた明日ね」
そんなこんなで二人で出かける事になった。
(あれ?これって二人っきり?)
何を今更、である。
##########
5月5日世間的には子どもの日である今日、礼奈とイワンはリニアモーターカーで移動をしていた。
「相変わらず速いわね〜これ」
「技術革新に感謝だな」
そんな会話を交わしながらイワンが日本で住んでいたという九州エリアに向かっていた。
1時間半くらい経つと到着、そこからエアバスに乗り換えて彼の日本での故郷にあたる場所を目指す。
「家には寄って行かないの?」
「私が寮に入った事で二人で世界を周る旅行に行ったよ」
「……仲いいのね……」
そんな事を話しながら二人は歩く、ここは自然が多くあちこちから虫の鳴き声などが聞こえてくる。
「まだこんなところが残ってるのね〜」
「まあそういう場所だからなここは」
すべての自然を消してしまうのは忍びないという事から各地でそのような政策がとられている。TVも無くラジオも無く車もそんなに走っていないほどの田舎加減というわけでもないのだが。
「この神社の先に墓地があるんだ」
「へぇ……なんか荒れ放題ねここ」
「文字も掠れてどんな名前だったか私も忘れたよ」
やたらと長い階段を登って行く、すると登るにつれてなにやら上の賑やかな声が聞こえてくる。
「誰かいるなら整備くらいしなさいよ……」
「いや、ここには誰もいないはずだが……」
やがて階段を登りきる二人、そこにいたのは……
「ふぅ〜最近忙しかったから落ち着くわね〜」
日傘をさした金髪の美女、
「零夜さ〜ん、何かスクープありませんか〜?」
背中に黒い羽を生やしカメラを持つ美少女、
「文……俺に聞いてももう何もないぞ」
あまり歳は離れていないだろうと推測出来る青年、
「妖夢〜お饅頭持ってきて〜」
ピンク色の髪に水色を中心とした服を着たこれまた美女、
「幽々子様……先ほど食事を済ませたばかりでしょう……」
白い髪に何やらふよふよとした物が漂っているこれも美少女、
「ていうかあんたらなんでここでくつろいでるの?」
紅白のやたら腋の空いた巫女服を着たまたまた美少女という奇妙な6人がいた。
「……なぁにこれぇ?」
「……私の居ない間に居住地にでもなったか?」
目の前の光景に唖然とした様子の二人、すると男がこちらに気づいたようだ。
「おい霊夢、参拝客が来たようだぞ」
「いや、わたし達は…………」
「それで?賽銭はいくら?早く、早く出しなさい!」
「なるほど、山賊の住処になっていたか」
巫女服の少女の行動に呆れてイワンがそんな感想を述べる、山賊など居る訳がないだろうに。
「あやややや……霊夢さん落ち着いて……」
「参拝じゃないなら何の用だい?」
「ああ、この先の墓地に用がある」
男の質問にイワンが答える。
「what?この先に墓地は…………」
「……ええ、神社の裏の墓地ね」
「ああ、その通りだ」
「道は整備されてるだろうけど気をつけてね」
「はい、ご親切にどうも」
金髪美女に礼を述べる礼奈、二人はそのまま神社の裏手に歩いて行った。
「紫、どういう事だ?この先には墓地なんてないぞ?」
「気づかなかった?あの子達外来人よ」
「……通りで零夜みたいな服を着ていたわけね」
「ということは……紫さん……」
「ええ、境界がずれてたわ。元に戻さないとね」
二人は墓参りを済ませた後この神社に戻って来る事になるがそこには誰も居なかったという。
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神社から少し歩くとそこには確かに墓地があった。
「結構歩いたわね……」
「なに、普段に比べれば対した事なかろう」
イワンは自分の目的のお墓を探す、礼奈はその後ろから着いていく。
「……ここだ、お久しぶりです先生」
「……真壁 松蔭〈まかべ しょういん〉……ってええ⁉」
「やはり知っているか」
「だ、だってこの人……超有名人じゃない!」
真壁松蔭、その人物は右手に持った一振りの刀と左手に逆手で持った鞘で戦場を生き抜いた言わば英雄とも呼ばれる人である。第一次魔法大戦では日本軍を率いて先陣を務め多大な戦果を収めた人物として名高い。しかし、それが終わると突如として姿を消す。当時は隠居をしたと言われていた。
「私も最初は驚いた、あの世界の真壁が指導してくれるとはね」
「じゃあそのユニットと戦い方は……」
「師匠のものだ、そうやって習ったからな」
そして、と彼は続ける。
「私があの学園に来た理由もこの人だ」
「そうだったの……」
彼はお墓を掃除しながら様々な話を彼女に語った。初めてあの真壁松蔭と出会った時の事、松蔭の弟子にさせて貰った時の事、師匠と初めて打ち合いをした時の事、師匠は長くないと知った時の事など普段よりも饒舌に語りそれを礼奈は静かに聞いていた。
「心に剣を持ち誰かを護る盾となれ」
「その言葉……」
以前クラス代表戦の時イワンが彼女に言った言葉である。
「これは師匠が残してくれた言葉だ、心に信念を持って大切な人を護り抜け、そんな意味が込められている」
「信念か…………」
「真壁の名に恥じないよう励むと決めて学園に入ったのだが……な」
彼の実技の試験成績は芳しいものではなかった。普通よりも少し高いくらい、真壁の名を継ぐべきものとしての恥だ、などと罵られたのも一回や二回ではなかったという。
「それでも私は真壁の名を汚したくはない、だから君や健人にアドバイスを求めた」
「……そうだったの……」
「真壁の名に相応しくあろうと居続けたいと思うのだ私は、誰にも認められてはいないがね」
そう言ってイワンは苦笑する。真壁という大きな看板を背負うには相応の実力が無ければならない、周りは彼の実力を知ると彼を馬鹿にするという日々が続いていたらしい。
「私は強くなれただろうか……」
「……はぁ、何をうじうじ悩んでるんだか」
「なに?」
イワンの様子を見かねた礼奈は彼に話しかける。
「あなたクラス代表戦でわたしを守ったでしょ?」
「……あれか、それがなんだ?」
「あんた師匠の言ったことちゃんと守れてるじゃない」
「あ………………⁉」
礼奈の言葉に彼は息をのむ、さらに礼奈は続ける。
「それにわたしが練習付き合ってあげてるんだから、強くなったに決まってるでしょ?」
「礼奈…………」
「誰が認めなくてもわたしが認めてる、いや認めさせるわ!」
そう宣言した礼奈はお墓の前で手を合わせる。
「彼と会わせてくれてありがとうございます……」
「君は…………」
「これでもまだ弱音吐く気?」
「いや……君はいつも励ましてくれるな」
言葉を一旦切って続ける。
「私こそありがとう、礼奈」
「い、いいわよ別に……ってなに泣いてるの⁉」
「おや、どうも涙もろくなったようだな……」
自分でも気付かない内に涙を流していたらしい。涙を拭うと彼は言った。
「……街に遊びにでも行くかい?」
「え?いいの?あんた」
「師匠に怒られるかもな、だが一日くらいよかろう。いつものお礼だ」
「だったら遠慮なく、行きましょ!」
「ああ、たまにはこういうのもよかろう」
そう言って二人は来た道を戻り街に遊びに行く事にした。
(二人っきりで遊ぶって…………もしかして)
いつも気づくのが遅い彼女であった。
地味にイワンの過去ばなしでした。
今回ご協力いただいてありがとうございますホーシーさん!
皆さんもホーシーさんの作品をご覧ください。
また次回(・ω・)ノ