Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
中間テストが終了した五月も終わる頃、学園の魔法士達は再び練習に励んでいた。井上 京花の計らいによって青柳 健人と片山 翔子は模擬戦を行っていた。健人は二刀の練習、翔子は操作系魔法の練習である。
「〈アイスエッジ〉!」
二つのユニット(片方はもどき)で魔素の並列処理を行い翔子の周辺に氷の刃を出現させる。しかし彼女は慌てる事なく手を横に振り魔素を操作する。
「〈風刃招来〉!」
風の刃が彼女周りを飛び氷の刃を次々と打ち落とす、風の刃は全ての氷を打ち落とすと消えた。
「京花ちゃん!私やりました!」
「ええ、見事だったわ翔子」
「やるな、これはまた戦ったら結果が変わるかな?」
彼女は弱点を克服してとても喜んでいる様子だった。手強くなったライバルを見て二人もそれを歓迎しているようだった。
「健人二刀流は慣れた?」
「魔法と剣術は別ものだからな……まだまだだよ」
「だったら私がお手伝いします」
「ああ、頼む…………京花!」
「え?きゃっ!」
二刀流の練習をしようとした健人が何かに気づいて京花を抱き寄せる。彼女は何かわからず顔を真っ赤にしていたが彼女のいた位置に炎の魔力弾が通過した。
「おいおい、ぼーっとしてっと当たっちまうぞ?」
そこには魔法を放った主と思われる2年生が立っていた。
「……誤射をしたなら謝罪が先でしょう?」
「うるせえ、ぼーっと突っ立ってる方が悪いだろうが」
「……なんだと……?」
「一年風情が2年に逆ら……ぐはあ!」
その2年がさらに何か言おうとしていたが、拳を氷で纏わせた健人が言い終わる前に殴りつけた。
「お前!いきなり殴るとか……ぐほお!」
「先輩には礼儀作法を覚えてもらいますか……体でなあ!」
「ぐはっ!がほっ!へぶっ!たわらば!」
さらに氷の拳で数度殴る、氷の先が尖って見えるのは気のせいに違いない。
「はい、ごめんなさいは?」
「ごめんなさい、申し訳ございませんでした」
そこには2年生が1年生に屈伏している図があった。
「京花、大丈夫だったか?」
「……そこまでしなくてもいいんじゃない?」
「おれがああいう奴が嫌いなだけだから」
「……本当にそれだけですかね〜?」
健人の理由に翔子はニヤニヤしながら問う。
「なにをニヤニヤしてるんだ?」
「京花ちゃんが大事だからあんなに怒ったのでは?」
「しょ、翔子なに言ってるの⁉」
なぜこの少女はこんなところばかり鋭いのだろうか、それとも女子というのはこんなものなのだろうか。
「そりゃまあ、大事だけどよ……」
「おや〜?歯切れが悪いですよ〜?」
「しょ、翔子!もう行くわよ!」
「あら〜青柳くん、練習はまた今度ー………」
京花は翔子を引きずりながらアリーナを後にした。
「大事なものか…………」
健人はしばらくその場にいたあと自分の寮に帰る事にした。
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アリーナでの練習を終えた(半ば強引に)二人はカフェテリアで休息をとっていた。その間にも京花は翔子にからかわれていた。
「京花ちゃん可愛い反応するようになりましたね〜」
「もう勘弁してよ…………」
彼女はとても疲れているように見えた、からかわれる方としては疲れることこの上ないのだから当然でもある。
「すいません、でも今までとは全く違ったので」
「…………そんなに違うの?」
「私から見ればですがね、さっきだって顔真っ赤にしてましたし」
前までの京花だったら大体のことは『幼馴染』だから、で終わっていただろう。だが先ほどの彼女は顔を真っ赤にしてとても恥ずかしそうにしていた。
「実際のところ今彼のコトどう思いますか?」
「どうって聞かれても…………」
「……ふむ、だったら彼を見てどう思いますか?」
「健人を見て…………?」
そう聞かれると彼女は考えるような素振りをする。答えがでたのか顔を上げて口を開く。
「彼を見ると暖かい気持ちになって、でも直接話したりするのはちょっと恥ずかしくて、さっきみたいな事をされるとその……やっぱり恥ずかしい」
「うん、完全にそれ恋してるだろ」
京花の言った言葉を総合して翔子は間を置かずにそう結論づけた。
「もう〜聞いてるこっちが甘ったるくなりますよー」
「……これが……そうなの?」
「わーお気づいてないやこのお嬢さん」
「……だって経験ないし……」
「そんな事言ったら私もないですよー」
翔子はふてくされながらそう言う。様々なメディアに関わっていたらわかりそうなものだが京花はそういう事には無頓着な家であったためにこんな事になっているのかもしれない。
「もう自覚したなら自分から告白とかしたらどうですか?」
「ふぇぇぇ⁈こ、告白⁉」
「女は待つなんて時代は古いですよ、告らない?じゃあいつするの?今でしょ!」
「……最後は言いたいだけでしょ?」
「まあそうですね〜」
翔子が一世紀ほど古いネタをした後その場はお開きとなった。
「告白かぁ……でもそんな事して関係が崩れちゃったら……」
彼女は今の関係が崩れてしまう事を恐れているようだった。
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アリーナで少々個人練習した後、彼は寮へと戻って来ていた。すると寮の前には寮長である剛田 鉄扇がいた。
「む、青柳か。ここで会うのは珍しいな」
「先生…………」
「……浮かない顔だな、何か思い悩む事があるな?」
「わかりますか……」
「これでも何人も生徒を見て来たからな、どれついて来い」
鉄扇に促されて彼について行く健人、ついて行った先には寮長室があった。
「さ、入るといい」
「し、失礼します」
いきなりここに案内されたので多少緊張しながら入る健人。
「そうかたくならんでいいぞ、楽にするといい」
「とは言いましても……」
「まあ無理だろうな」
そんな事を言って豪快に笑う、こういった事がやたら似合う人だ。
「よし、お前の悩みを聞いてやろう」
「……いいんですか?」
「駄目なら連れてくるわけなかろう、誰かに話すと少しは楽になるものだ」
どうやら健人の悩みを聞いてくれるらしい、彼はブレイムの言っていた通りいい先生なのだろう。
「……大事なものとはなんだろうと思いまして」
「ほう?また大層なお題目だな」
「そんなものじゃないですよ……」
彼は鉄扇に様々な事を話した、今まで京花との約束を大事に守ろうとしてきたこと、約束を守りきれた時のこと、今は他に大事なものがあるのではないかと考えていること。
他の人間が聞けば惚気話ではないかと思うような事も彼は静かに聞いてくれていた。
「そうか、では今からお前に二択問題をだす」
「二択ですか?」
「まず1問、井上の事は好きか?嫌いか?」
「そりゃ嫌いだと一緒にいないから……好きですかね」
億面もなく彼は答える、鉄扇は少しニヤッとしてさらに続ける。
「予想通りだ、第2問、その好きは『幼馴染』としてか?それとも……『異性』としてか?」
「なっ⁉」
ここで初めて彼は動揺する。今まではこんな事を正面から聞かれた事がなかったのですぐに答えを言う事が出来ない。
「答えが出るまでゆっくり考えるといい」
「……おれは……」
自分と彼女の関係を考える、いつも隣にいてくれた事が当たり前だった。だがその関係が変わってしまったら?今とは違うものになったとしたら?その時GWで一緒に出掛けた時の彼女の顔が浮かんだ。
「……答えはでたかな?」
「……はい、おれは……」
「おっと、俺に言う必要はないぜ?そいつは井上に聞かせてやりな」
「先生……悩みを聞いてくれてありがとうございました」
健人は深々と頭を下げる。
「恋せよ乙女ならぬ恋せよ男子、なんてな」
そんな事を言ってまた豪快に笑う。
「今日はいい酒が飲めそうだ、じゃそろそろ戻るといい」
「はい、本当にありがとうございました」
「いいって事よ」
健人の礼に片手を挙げて答える鉄扇、健人はそのまま部屋を後にした。
「ったく、若造が一丁前に悩みやがって…………」
最後に彼はそう呟いていた。
健人は部屋に戻りながら先ほどの会話の事を考える。
「だけど……おれは今の関係を壊したくはない……」
彼もまた関係が崩れる事を恐れていたようだった。
京花の口癖が「ふぇ」になりそうな今日この頃。
ミ「甘ったるいお話だね〜、また感想荒れるよ?」
昨日紹介した彼の魔法士としてのパートナーです。
ミ「では能力紹介でーす」
ミリアム・ブラン
ユニット:指輪
能力:魔素譲渡、地を操る能力
ミ「基本はコンビでの動きが必要だね」
また次回(・ω・)ノ