Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ(・ω・)ノ
6月13日、イワン・ロバノフと神条 礼奈はアリーナで練習をしていた。礼奈は自分の武器複製魔法、〈ファランクスナイフ〉を起動しており、その射線上にイワンが立っているという状況だ。
「最後に聞くけど……本当にいいの?」
「構わない、頼むよ」
「はあ……どうなっても知らないからね!」
その声を合図にして、礼奈は大量のナイフを発射する。それを彼が鞘と刀二本で受け止めるらしいが、いくら高速化の魔法を使ったところで受けきれるだろうか。
「うぐああああああああ‼」
やはり彼の全力の早さでもすべてを打ち落とす事は出来ない、だがその身に受けるナイフの数は確実に少量である。
やがてナイフが撃ち終わる、それと同時に彼は地面にへたり込んだ。
「はあ、はあ……物質はやはり難しいな」
「あの……大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない」
「うん、それ死亡フラグだから」
とはいえ彼女はそれほど彼を心配していない、こんな無茶はいつもの事だからである。
「さ、ちょっと休憩して戻りましょ」
「うむ、いつもすまないな」
「べ、別に私が好きでやってることだから……」
「そうか、いつも助かってるよ」
そう言って彼は彼女の頭に手をポンと置いた。
「ぁぅ…………な、なにしてるのよあんた!」
「おっと悪い、ついな」
「つ、ついじゃないわよ……」
「ははは、まあ気にするな」
彼女は顔を紅潮させて抗議するがいつもの覇気がない、満更でもなかったのだろう。
二人はそんな休憩をとりながら一旦アリーナを出た。
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アリーナを出て行く時にやたら人が観客席に向かっていた、一人のクラスメイトを捕まえて話を聞くと風紀委員長とその親友が模擬戦を行うからというものだった。
「ああ……あのバカ兄貴か……」
「いいのか?見に行かなくて」
「いいわよ別に、あんなやつ」
「……そう邪険にするものでも無いだろう?」
自分の兄に対して冷たい事を言っている彼女にイワンが問いかける、すると彼女は考えながら口を開く。
「……心配してくれるからいい兄って事はわかってるんだけどね」
「ならばなぜ言葉にしない?」
「……なんでかな……本当に、どうしたらいいのかな?」
「ふむ……私は兄弟がいないからわからんが、君が歩み寄らねばいかんのではないか?」
「やっぱりそうかな〜」
そんな事を話していると、前から知り合いがやって来た。片山 翔子、礼奈の中学時代からの友達であり、先日イワンが模擬戦を頼んだ相手である。
「イワンくん、礼奈ちゃんどうも〜」
「あら、翔子どうしたの?一人で」
「おや、先日はどうも」
お互いそれぞれの挨拶を交わす、それにしても礼奈の最後の一言は余計ではないだろうか。
「一人ですいませんね……今ネタ探しをしてまして」
「あんたね……新聞記者かっつーの」
「いいですね、放送部に入りましょうか」
「……本来部活は可能なのか?この学園」
翔子が来た事によって半ば会話がカオスになってきた。ちなみに部活動の件は学年成績優秀者のみがする事ができる。しかしそういう者が部活など考えるはずもない、故に放送部しか存在しないのである。放送部という存在がそもそも異質なのだが、放送部なのに新聞も発行しているため周りからはよろず部と言われることも。
すると翔子が礼奈に耳打ちをしてくる。
「……イワンくんと何かありました?」
「は?なんでそんな事……」
「お二人前より距離が近いので」
「な…………⁉何もないわよ別に!」
彼女の頭の中には先ほどの光景がフラッシュバックしていた。
「どうした礼奈?顔が赤いが……」
「あ、いや、その、何でもないから……」
「ふむ、ならばいいが」
大体はこの男が元凶みたいなものであるが。
「では頑張ってくださいね〜お二人共」
「あ、うん。またね」
「また相手頼むよ」
二人で彼女を見送る、そしてイワンは視線のする方へ顔を向ける。
「それで?何か用かな?君達」
「な……⁉気づかれてたのか?」
「バレバレよ、あれで隠れてると言うほうがおかしいわ」
二人が声のしたほうへ顔を向けるとそこには自分達のクラス、1-Dの人間が立っていた。
「……男子五人で何の用よ」
「いやぁ、神条さんにちょっと話が……」
「私はないわ、だから帰って」
「な…………」
礼奈は彼らに冷たく言い放つ、その物言いに驚く五人組。だがイワンは
(まあ……当然だろうな)
特に不思議に思わずそれを見ていた。元々彼女は自身のクラスメイトに辟易していたのである、故にこの物言いは当然とも言えるだろう。
「ま、まあそんな事を言わずにさ……」
「……イワン、行きましょ」
「……少しくらい応じてもいいのでは?」
「いいのよ、こんな奴ら」
やはりイワンが言っても彼女には取りつく島もない、だが五人は諦めなかった。
「くっ……君はなんでそんな奴と組んでるんだ⁉」
「そうだ!実技の順位だって大した事ないじゃないか⁉」
「……わたしは実力で彼と組んでるわけじゃないわよ」
いつまでも引かないバカどもにいらいらしながらもその質問に答える、だが彼らはとんでもない事を言い始める。
「……そうだよ、どうせそいつに弱みでも握られて脅迫でもされてるんだろ?」
「そうだよな、真壁の名を貶めたあいつならやってもおかしくねえ」
「自分じゃ実力がないから強い奴と組んで名を上げようって腹なんだろ⁉」
「やっぱ真壁の恥と言われるだけはあるな!」
「……!あんたらいい加減に……」
「……そこまでにしろ下衆が!」
一方的に決めつけにかかる愚か者どもにキレかけた礼奈が彼らに何か言う前に彼女よりも怒っている者がいた。
「な、なんだよてめえ……」
「私を馬鹿にするのは一向に構わん」
彼は自分が罵られたから怒っているのではない。
「だが彼女が脅迫に負けるほど弱い女性だと思うのか?」
彼はいつも自分の相手をしてくれる少女のために怒っている。
「彼女を馬鹿にするというのなら私が絶対に許さん!」
彼は普段からこれほど怒るという事は一切なかった。
「……全員アリーナに出ろ」
「何だと⁉」
「真壁流剣術継承者、イワン・ロバノフ」
だが彼はこの時初めて他人のために激怒する。
「貴様らまとめて屠ってやろう‼」
「イワン…………」
その姿はかの有名な真壁を彷彿とさせた。
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風紀委員同士の試合は終わったらしく今のアリーナには彼らしかいない。5対1の変則マッチがここに行われようとしている。
「くそっ……あいつ調子に乗りやがって」
「ふざけんなよ、俺らより順位低いくせして」
「ここで後悔させてやるよ……」
五人組は各々イワンに勝つなど容易だろうと思っていた。
「……あんた大丈夫なの?」
「大丈夫だ、それとも君は自分が信用出来ないか?」
「……意地悪な質問するのね」
「ふっ、ではいくとしよう」
アリーナの真ん中で五人組とイワンが向かい合う。イワンの姿を認めると全員がユニットを解放した。
「後での言い訳は聞かねえぞ⁉」
「……もう話すつもりなどない」
イワンが自分の刀と鞘を展開させ、刀身と鞘の周りに光を纏わせる。
「勝てる気でいるなら……かかって来い!」
「ちっ!いくぞかまいたち!じゃないお前達!」
五人組のそれぞれが自身の魔法を展開する、主な属性系の操作魔法が見受けられる。
「魔法の弾幕をくらえ!」
五人から一斉に魔法が放たれる、だがイワンが焦ることはない。
「……礼奈のナイフのほうが遥かに速いな」
そう言って魔法を刀と鞘で防ぐ、すると触れた瞬間魔法は四散した。
「……は?」
彼らは何が起こっているか全く理解が出来ない、その間にも彼らの魔法は次々と魔素へと分解されていく。
「これは健人からのアドバイスの副産物だ」
健人に鞘で魔力刃を作って攻撃してみてはどうかと提案した。それを試したところ魔法を分解させるという思わぬ副産物があった。ユニットや擬似ユニットなどの情報量の多い魔法は出来ないようだが先ほどのような簡単な魔法だと簡単に分解出来るそうだ。
「さて、もう終わりかな?」
「ふざけるな!もっとだ!もっと打て!」
「何回やっても無駄だかな……」
そう嘆きながら彼は刀を鞘に収める。
「イワン⁉なにやってるの⁉」
「今のうちだ!やってしまえ!」
彼は魔法が迫って来ても焦らない。
(彼女にもまだ見せていなかったか)
GWの出来事がきっかけで手に入れた真壁流の真骨頂の技を彼はここで使う事にする。
(君のおかげかな?礼奈)
「終わりだぜ!恥さらしが!」
「イワン⁉」
彼らの魔法が直撃したと思われた時、彼は五人組の中心にいた。
「…………は?」
突然の事に理解が追いつかないバカたち。
「…………嘘?」
礼奈ですらもこの事態についていけない。
「今回は特別だ、といっても見えなかっただろうがね」
中心にいる彼はそんな事を言いながら刀を抜く。
「〈光刃一閃《こうじんいっせん》〉!!」
周囲を光の刃が一閃する、その一閃により五人全員が倒れる。
「勝てない戦いはするものではないぞ?」
入学当時とは比べものにならないくらい強くなった少年がそこにはいた。
五人全員を追い返した後イワンに礼奈は先の技について聞いていた。
「なによあれ⁉一瞬であんたどうやったの⁉」
「厳密には違う、私が速くなっただけなんだよ」
真壁流剣術の真骨頂とも言える技〈閃光〉それは自身の動くスピードを限りなく光に近付ける技。これによって生前の真壁は全ての敵をいなしていたらしい。
「しかし、もちろん制約もある」
まず使用条件が刀を鞘に収めなければ使えない、少しでも刃が鞘から見えてしまうと能力は解除される。故にそのまま攻撃ということは出来ない。さらに何回も使用すると体の負担が大きくなるため頻繁に使用することは出来ない。
「それでも使い所を見極めれば……」
「最強に近付けるだろうな」
「でも黙っとかなくてもいいじゃない?」
「ははは、少し驚かしたくてね」
そう言って彼は笑う、前に比べると彼は笑っている事が多くなった。それもきっと彼女が影響しているのだろう。
「……えっと、その、ありがとうね」
「うん?何がだ?」
「わたしのためにあんなに怒ってくれたでしょ?だから……ありがとう」
「なに気にするな、私がやりたいからやったのだ」
そう言って彼はまた彼女の頭にポンと手を置く。
「ぁぅ…………」
「ふむ、今度は怒らんのだな」
「う……うるさい!もう、行くわよ!」
「やれやれ、女性はわからんな……」
その時の彼女の顔は真っ赤に染まっていたがとても幸せそうだったとか。
光の剣という物がやってみたかった。礼奈は闇でイワンは光、みたいな。
イ「それにあたり私の能力が変化したぞ」
能力だけ載せますね。
イワン・ロバノフ
能力:身体高速化、魔法分解、閃光(光速移動)
また次回(・ω・)ノ