Wizars World 《ウィザーズ ワールド》   作:ダンケ侍

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二日間待たせて申し訳ありません、二日間待ってくれた方ありがとうございます。今回てあれに決着をつけます。そしてお詫びに普段より文字増量。
ではどうぞ


29.偽りない想い〈護るべきもの〉

6月18日午前6時半、青柳 健人は目覚まし時計によって起こされる。

 

「ふわぁ……朝だな」

 

当たり前の事を言ってまずは顔を洗いに行き意識を覚醒させる、リビングに向かうとそこには

 

「おや、今日は素直に起きましたか」

 

朝食を作っているブレイム・ゴードンがいた。完全に専業主夫が板についてきている。

 

「……毎日悪いな」

「まあ、僕が好きでやってる事ですから。お気になさらず」

 

これの他にも洗濯なども引き受けてくれているため健人にとっては感謝しきりである。今回の朝食はどうやら和食のようだった。

 

「……和なのか?」

「ええ、何となく挑戦してみたくて」

 

しかし目の前に並べられている品々はとても挑戦をしてみたというレベルの品ではなかった。

 

「……なんでそんな料理上手いんだよ」

「趣味みたいなものですからね」

 

最近では数人の一年女子に料理教室を開いているとかなんとか。

 

「はぁ〜、こりゃおれはダメ人間になっちまいそうだ」

「それを防ぐためにたまに交代してるではないですか」

「まあ、そうだけどな」

 

そんな事を話しながら食事をする二人、やがて食べ終わるとランドリールームから回収してきた洗濯物をベランダで干す。乾燥機は信用できない、とはブレイムの意見である。

 

「信用どうこうの問題なのか?」

 

とは思うが特に気にする事はなく彼を手伝う、その後何気なく携帯端末を扱っていると自分に対してメッセージが届いている事に気づく。何となくだが嫌な予感がしつつもそのメッセージを見てみる。

 

「……なんかデジャヴだな……」

「どうかしました?」

 

そのメッセージには魔法士としてのパートナーになって欲しいとの事が書いてあった。この時健人は面倒事が始まると予感していた。

 

 

 

##########

 

 

 

場所は変わって教室内、今朝方の事を幼馴染である井上 京花に相談していた。彼女も似たような事があり少々痛い目をみているからだろうか。

 

「んー、直接断りを入れた方がいいんじゃない?」

「お前みたいな事にならねえ?」

「誰かを連れて行くとか、教室に出向くなりすれば大丈夫でしょ」

「……なるほどねえ」

 

経験者の意見は違うという事だろうか、京花からアドバイスをもらった健人はどちらも実行する事にした。

 

「私がついて行ってあげようか?」

「ダメだ、荒事のなったら危ないからな」

「……でも私だって心配だし」

「……大丈夫だよ、お前は心配すんな」

 

自分の事を心配してくれている彼女に内心感謝する、しかしその事で少し気になった事があるので彼女は質問をする。

 

「ところで勝手に断る前提の話だったけど……」

「もちろん断るよ、おれはお前以外と組むつもりはない」

「そ、そうなの……よかった」

 

最後の方は小声で聞き取れなかったが少々顔を赤らめながら言う彼女を見て彼は思った。

 

(くっそ、こいつ可愛いな……少し前まで綺麗だと思ってだのに)

 

などと考えていた。いくら自分の気持ちを自覚したからといってここまで変わるだろうか。

その後彼は付き添いを頼むためにレイノルズ・マッケイの元へ向かった。

 

「付き添い〜?俺が?」

「頼むぜ、お前くらいしかいねえからさ」

「でも面倒くせえな……」

「……生徒を守るのが風紀委員だろ?」

「んー……ま、いいぜ。行ってやる」

「サンキュー!それでこそお前だ!」

 

何とかレイノルズを付き添いにする事に成功した彼はその先輩の元へ向かった。

 

 

 

##########

 

 

 

3年の教室へと向かう最中二人は最近の事を話していた、主に健人の事で。

 

「お前京花に対して態度変わってるよな?」

「……急になんだよ」

「前よりちょっと距離が遠いだろ?」

「……そう思うならそうなんだろ」

 

彼はレイノルズの疑問をことごとく受け流す、だが彼は確信をついてくる。

 

「……お前あいつの事どう思ってんだ?」

「……別に変わらねえよ」

 

彼の質問に白を切る健人、ここで彼は逆襲にでる。

 

「お前こそ風紀委員の先輩の事どう思ってんだよ」

「……先輩が多すぎてわかんねえな」

「皆川 咲良先輩だが?」

「……別にうっとおしいだけだぜ」

 

お互いこれ以上掘り下げると自分が痛い目にあうと思ったのかこの話題は中断された。

やがて健人は自分のお目当てのクラスに到着する。同じクラスの人に頼んでその人物を呼んでもらう。

 

「初めまして、メッセージをいただいた青柳 健人です」

「ああ、初めまして。私が大西 省吾《おおにし しょうご》だよ」

 

そこには黒髪短髪のがっしりとした身体つきをしたなかなかの男前が立っていた。

 

「ええと、今回の件をお断りに来たのですが……」

「ふむ、そうか……」

 

そう言って彼はレイノルズに視線を向ける。

 

「彼と組むつもりかい?」

「え、俺?」

「いや代表戦と同じ京花と組むつもりですけど?」

「そうか……彼に乗り換えたわけではないのか」

 

彼の言葉に少々の不安を感じながら健人は断る、だが彼は急に語り始める。

 

「僕はね……初めて君をアリーナで見た時、君に一目惚れをした」

「は?」

 

あまりにも突飛な言葉にレイノルズが疑問符を浮かべる、健人は不穏な空気を感じながら質問する。

 

「えと、おれの実力にですか?」

「いや……君自身にだ!」

 

二人は冷たい空気に支配されるのを感じた、教室ないでは、まただよ、みたいな反応をされていたが。そして健人はこの時思った。

 

(この人、違う意味で危ねえ!)

 

先ほどよりも強く身の危険を感じたという。

 

「このままでは諦めきれん!勝負をやらないか⁉」

「無理やり言葉をねじ込んでくんな!」

「レイ、落ち着け!ペースに呑まれるな!」

 

相手は決闘で決着をつけようと提案してきた、健人にとっては迷惑な話である。

 

「だが私とて3年、一つハンデをつけよう」

「……わかりました」

 

以前自身と3年との差を実感した事のある健人はこの提案を受け入れる。

 

「1年男子一名の協力アリだ!」

「……男子限定?」

「当たり前だろう!」

 

一体どこの人類の当たり前なのだろうか、特殊なハンデをもらった健人はレイノルズを見る。

 

「無論彼でも構わない」

「え……俺ですか?」

「レイ……済まん、前衛いらない」

「デスヨネー」

 

健人は彼に絶対勝つため、真剣に方策を練っていた。

そして彼らが話している少し離れた場所では、

 

「……これは盛り上がるですよー」

 

なにやら様子を伺っている者が一名いた。

 

 

 

##########

 

 

 

その日の放課後にすぐ勝負をする事になったので健人はある人物に協力を頼む事にした。

 

「事情はわかりましたが、僕ですか?」

 

ブレイム・ゴードン、彼のルームメイトである。

 

「1年男子での後衛の実力者ならお前が適任だからな」

「それはありがたいお言葉ですが……レイやイワンではダメなのですか?」

「前衛で一気に押すのもありだがはまったら負けるからな、万全でいきたい」

「……それほど嫌なんですね」

 

健人は二つの意味で負けるつもりはない。一つは京花とのコンビを続けるため、もう一つはあんな人物と組みたくないという理由である。正直初対面であんな事を言われたらトラウマものだろう。

 

「わかりました、是非協力させていただきます。貴方には借りがありますしね」

「助かる!でも借りを作った事はないだろ?」

「こっちにはあるんですよ」

 

代表戦の時に彼に言われた言葉にブレイムは恩義を感じていた、故に彼のためなら協力を惜しむつもりはなかった。

 

「じゃあ放課後に、頼むぜ!」

「任されました」

 

 

 

##########

 

 

 

教室に戻って来ていた健人は京花に話しかけられる。

 

「健人……これ本当?」

「え、なんだ?」

 

京花が見せてきたのはメディア部、元放送部が出している週刊の新聞だった。そこには『己の貞操をかけた大勝負!1年青柳 健人VS3年大西 省吾、勝つのはどちらだ!』という見出しが。

 

「……情報はえー」

 

神足なまでの情報の早さに呆れを隠せない健人。

 

「えと、大丈夫なの?」

「……ああ、何とかするさ。お前とのコンビをやめるつもりはねえんだ」

「そ、そう……頑張ってね」

 

彼の無自覚発言にまた顔を赤くしてしまう京花。

 

「そこまで言うんだったら、負けないでよね」

「おう、絶対に勝ってきてやるよ」

「それじゃ……」

「ああ……」

 

二人はタイミングを合わせてパァン、とハイタッチをする。

 

「頑張れ!」

「当たり前だ!」

 

健人は彼女に負けない約束をした。

 

 

 

##########

 

 

 

健人が会場を訪れると観客席には多くの人がいた。

 

「……野次馬おおくね?」

「貴方は注目されてますからね」

 

彼は入学式の挨拶で注目され、さらに代表戦でも勝利しているため他の1年より注目をされている。

 

『さあ、ついにこのフィールドに戦士が集いました』

『ハンデがあるとはいえ1年が3年に勝てるか、見ものですねー」

「……基本あいつらの所為だろ」

「……そうですね」

 

健人の視線の先には実況をしているメディア部の田所 正明と片山 翔子がいた。

 

「気に入ってもらえたかい、私が手配した」

「いやあんたの所為かよ!」

 

どうやら目の前の相手と彼らが組んでこのような事態に陥ったようである。

 

「ふむ、そちらの彼もいい男だ」

「……なんですかこの圧力は」

「……恐怖じゃね?」

 

なんにせよあの男が危ないと感じたブレイムは気合を入れ直した。

 

『さあ早速試合開始です!』

『あの掛け声と共に開始ですー!』

「ユニット!ON!」

「ユニット起動!」

「立ち上がれ!私のユニット!」

 

それぞれの掛け声をあげて試合開始が告げられる。

 

「おれが操作系をばらまきながら攻撃するから合わせてくれ」

「了解です」

 

健人は本来のユニットと自身で構築した擬似ユニットの二つの長剣を持って接近する。相手のユニットはどうやら装飾系ユニットらしく接近したらどう対処するかの反応をみることにする。

 

「〈アイスエッジ〉!」

 

健人の代表格の技を使用してさらに接近する。

 

「ふむ……なるほどな」

「?…………いきますよ!」

 

省吾は謎の納得したような反応を見せていたが気にせず彼は斬りかかる、だが彼はそれを横に避ける。

 

「な⁉」

「しまった!マズイ!」

 

健人の目の前には氷塊が飛んできていた、ブレイムはそれを察知して彼に熱を与えないように操作してそれを蒸発させる。

 

「次はこちらだよ」

 

省吾はすでに攻撃に移っており鉄矢をこちらに放つ、するとかなりのスピードで鉄矢が飛んでくる。

 

「速い⁉」

「こちらで防ぎます」

 

ブレイムが自身と健人の前に氷の盾を出現させる。鉄矢はそれを貫通する事なくその場に落ちる。

 

「今度は気をつけて攻撃します」

「いやおれも不用意だったよ、悪い」

 

再び攻撃に移る二人、だがブレイムの氷の弾丸も健人の剣もことごとく躱される。それどころか先ほどのような味方の同士討ちを誘うような動きばかりをしてくる。

 

「これはおかしくねえか?」

「相手の実力が上回っているというなら納得できないこともないですが……」

「こっちに攻撃は通ってない……」

 

そうここちらの攻撃はことごとく躱されるのだが彼の攻撃がこちらの防御を破ってくる事もない。

 

「いったいなんなんだ……?」

「とりあえず仕掛けてみましょう、〈フローズンブロック〉!」

 

四角い複数の氷塊を省吾に飛ばすそれを再び避けられるが、

 

「今です!〈熱波〉!」

 

氷塊すべてに奪った温度を戻して水蒸気に戻す、だが彼は

 

「知ってるよ」

 

と一言言ってその場から離れてやり過ごすだがそれを予期したブレイムは彼の周囲に氷の弾丸を出現させる。

 

「これなら!」

 

だがそれすらも相手には通じず全て避けられる。

 

「……どうなってんだ?」

 

度重なる攻撃を躱されて疲弊している。

 

「私にその程度の攻撃は通じないよ」

「……どうやらそのようですね」

 

省吾の言葉にブレイムは納得してしまう、今の彼の攻撃は自身の精一杯であったのにそれを見透かされたように躱されたのだ。しかし彼は一つの結論に至る。

 

「貴方、我々の行動を完全に理解していますね?」

「……なんだそれ、どういう事だ?」

「予測ですが……我々の心が読まれてます」

「はあ⁈なんだその能力⁉」

 

健人はブレイムの推論が信じられなかった、しかし省吾は笑うと言った。

 

「すごいね、私の能力を当てるなんて」

「……まじかよ」

「今までの事も納得ですね」

 

彼の能力は物質の速度操作、先ほどのように鉄矢の速度を変えることなどが可能。しかし彼のメインの能力は範囲内の相手の心を読むというEXスキルである。これにより回避に関しては絶対に躱すほどの実力がある、故に攻撃面は弱いのである。

 

「それがわかったところでなんになるかな?そのまま疲弊して負けるだけだよ?」

「……彼の言うとおり打開策がないですね」

「……くそっここで詰みなのか?」

 

相手の絶対的な能力に絶望を感じる二人、だがその時健人がある一つの解決策を閃いた。

 

「ほう?何か思いついたかな?」

「……ブレイム、一つ方法があるかもしれねえ」

「本当ですか⁉」

「だが成功するかわかんねえぞ?」

「構いません僕は貴方に賭けますよ」

「……じゃあサポート頼むぜ!」

「はい!」

「おれの一世一代の世界一くだらねえ作戦だ!」

「……はい?」

 

彼の妙な口上に若干の不安を覚えてしまうブレイム。

 

「そんなに全部聞こえてるってんなら!直接聞かせてやるさ!」

「ふ、いったいなにを………ぬごおおおおお!」

 

先に心の声が聞こえたのか彼は悶絶する、そして健人はとんでもない行動にでた。

 

「おれの想いを聞けえ‼……おれは井上 京花が大好きだああああああああ‼」

 

一世一代の世界一くだらねえ作戦、それは公衆の面前で好きな人に告白をする事だった。

 

「んごわああああああああ‼」

「え?作戦?これが?」

 

心の声を聞きつづけている省吾は悶絶し、ブレイムは呆気にとられている。

 

「なんなんだ君は!今は戦っているんだぞ!」

「京花ぁ!大好きだ!愛しているんだ!きっと三年前からずっと、お前に恋焦がれているんだ!」

 

彼の一世一代の大告白は観客席からの様々な反応を生み出した。

 

「あいつ……まじかよ……」

「こんなやつ初めてみるなー」

「……予想外すぎる人……」

「……流石に真似できないね」

「あいつ……立派な漢じゃねえか‼」

 

会場で観戦していた風紀委員のメンバー、

 

「なんて立派なやつ……」

「京花愛されてるねー」

「これはこれはまた大胆な」

「素直になるのが遅いっての〜」

 

彼を見守り続けている生徒会の面々。

 

「はっはっはっ!本当に面白いやつだ」

「規格外にもほどがあるでしょ……」

 

面白そうだから、という理由で見ていた1-Dの二人。

 

「面白いことやるやつだな!今年の学年首席は!」

「若いっていいわねー」

 

職務中の息抜きとして来ていた教師陣。

 

「これは大スクープでっす!」

「片山くん!急いで号外の準備だ!」

 

もはや実況を忘れているメディア部、そして……

 

「ふええええええええ⁉何言ってるのよあいつは‼」

 

現在絶賛公開処刑の目にあっている井上 京花のこのような大反響を生み出した。

 

(後で京花にあやまんねえとな……)

 

そんな事を思いながらもなお、彼は続ける。

 

「おれは井上 京花を愛してる!恋敵がいるならかかってきやがれ!」

「ええい!青春だからといっていい加減にしないか!」

 

彼は能力によりこれより強い言葉を聞いている、そこで彼は閃いた。

 

「そうか、こちらの能力を解除すればいいのか」

 

あまりの恥ずかしさに能力を解除する省吾。

 

「よし、これでシリアスな真剣勝負ができる……あれ?もう一人の声が聞こえない」

 

能力を解除してしまえば心の声など聞こえない、彼はまんまとこの作戦(?)にはまってしまった。

 

「悪いですが……今です」

「しまった⁉」

「〈アイスメテオ〉‼」

 

省吾の頭上から多数の氷塊が降り注ぐ、そして彼を囲み

 

「〈熱波陣〉!」

 

水蒸気爆発を起こし相手を焼き尽くす、非殺傷設定のおかげで無事だが。

 

「熱いいいいいいいいい‼」

「……はあ、後は頼みますよ主人公」

「なんだよそれ?」

 

健人は近づきユニットを擬似ユニットを魔素に変換して両手に氷の魔素を生みだす。

 

「熱いなら冷やしてやるよ!〈氷掌豪烈破《ひょうしょうごうれっぱ》〉ぁ‼‼」

「ぬぐわああああああああああああ‼」

 

二つの氷の波動によって壁まで吹き飛ばされる省吾。

 

『決まりました!勝者!健人&ブレイム!』

『うおおおおおおおおおおおおおおおお‼‼』

 

観客席が大歓声に覆われる。

 

「……ちゃんと白黒つけてくださいよ?」

「ああ、わかってるよ」

 

その時の健人の顔はどこか晴れやかだった。

 

 

 

##########

 

 

 

健人は学園内にある中庭に京花を呼び出した、中庭に人が一人もいない。なぜなら風紀委員と生徒会の影ながらの連携によりここには人一人近づけないようになっている。メディア部も今回は息を潜めているようだ。

 

「もう、本当なんて事をしてくれたのよ……」

「……先に謝る、本当済まねえ」

「こっちだって恥ずかしかったんだから……」

 

告白した相手が観客席にいたのである、皆がそちらに注目するのはある意味当然である。

 

「……だけどさ、言ったことは全部本当の事なんだ」

「…………うん」

「改めて言わせてくれ」

 

そう言って彼は息を吸って言葉を紡ぐ。

 

「おれは井上 京花の事が誰よりも好きだ」

「………………」

「おれと……付き合ってくれないか?」

 

しばしの間があく、すると彼女のほうから抱きついてきた。

 

「京花……?」

「私だって……あなたが大好きよ、きっと……三年前から」

 

彼が言った言葉と同じ事を言う京花、そんな彼女が愛しいと思った彼は強く抱きしめる。

 

「ありがとう、本当はさ関係が壊れちまうんじゃないかって怖かったんだ」

「……私も同じ事を考えてた、あなたとの関係を壊したくないって」

「ははっ、なんだよそれ。お互い怖がりなだけだったんだな」

「ふふっ、そうね」

 

互いに笑い合う二人、そしてどちらからともなく唇を重ね合おうとする。しかし互いに初めてでぎこちなく歯をがちり、と合わせてしまう。

 

「………………」

「………………」

 

言いようのない雰囲気が二人に流れる。健人は顔を真っ赤にして額に手を当てて言う。

 

「くそ、こんな時にもカッコつけらんねえのかよ……」

「まあ仕方ないでしょ、何度もするようになるんだからできるようになるでしょ?」

「……お前大胆だな」

「だ、だってやっと一緒になれたわけだし……」

「……本当に可愛いやつだな、京花」

「う、うるさいわよ……」

 

そう言って再び彼らは唇を近づける、今度は失敗する事なく重ね合わせる。1秒程度の短いキスであったが彼らには長い時に思えた。

 

「それじゃ、行こうぜ」

「うん、行きましょ」

 

そう言って彼らは中庭から出る、すると片山 翔子が防衛網を突破してきたのかやってきた。その後ろにはレイノルズやブレイムなどが追っていた。

 

「健人くん!今の気持ちを一言お願いします!」

「……翔子無理しすぎよ」

「恋敵がいるならおれが相手になってやるぜ!」

「ありがとうですーぅぅぅぅ……」

「な、なに言ってるのよ……もう」

 

翔子は彼から一言を聞き出すと猛スピードで去って行った。

 

「あの野郎逃がさねえぞ!」

「鬼ごっこなら受けてたつぞー」

「なんでこんな事をしてるんでしょうか……」

「……これも人生……」

「はは……ここもカオスだなー」

「いいじゃねえの?この学園らしくてさ」

 

彼女を追っていた風紀委員の面々を見て二人が言う。

その時の京花の顔は今までにない幸せそうな笑顔だった。

 

 

 

 

 

この時彼は、彼女のこの笑顔とそれを生みだすこの学園を護ろうと心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 




やってやりましたよふふふ、この話の告白部分はキングゲイナーというアニメを参考に作りました。動画サイトでキングゲイナー 告白でみる事ができると思います。
次からはここまで遅れないようにしませんとね、あの二人はどうなることやら。
また次回(・ω・)ノ
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