Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
もうすぐ7月になろうかというこの日期末試験が滞りなく終了し、(学園生活が滞る者もいるかもしれないが)片山 翔子は先輩の田所 正明と共に新聞の発行準備をしていた。
「今回の一面出来てるかい?翔子くん?」
「問題ないのです〜」
出来上がった記事を正明に見せる翔子、正明はそれにミスが無いかを事細かく確認する。
(この人普段ダウナーな感じですけど自分の趣味が関わると真剣ですね)
普段はやる気を見せず趣味の事になると全力なこの先輩の事を彼女は不思議な人だと考えていた。
「うん、いつも通りいい出来だね。間違いもなしだ」
「ありがとうです!それでは早速……」
彼女が新聞をいつもの場所に置いて行こうとした時、部室に置いてあるTVのニュースを見て止まった。
「……またブルーアースですか」
そのニュースの内容はブルーアースが再びテロを起こし数十人の犠牲者を出したというものだった。
「最近多いですよね、しかも上海だなんて……もう他人事では無いんですかね」
「彼らの最近の動きは徐々に日本へ近づいているからね、翔子くんの言う事も間違いではないだろう」
「……わざわざメモってるんですか?」
正明は自分のメモを見ながらそう言っていた。そこには最近あった出来事やニュースが書き連ねてある。
「全部自分で書いたんです?」
「まあね、所詮は記者の真似事だけどさ」
そのメモ帳にはびっしりと文字が書かれている、しかも国際や政治、スポーツや学内など種類別の数のメモ帳を持っていた。
「僕は記者になるのが夢だからさ、こんな真似事をやってるんだ」
「……でも先輩実況の時の方が生き生きしてません?」
「欲を言うなら自分が調べた真実を自分で報道したいかな、まあ変な話だけどね」
「そんな事ないですよーそういう夢って立派じゃないですか」
正明の言葉に翔子がフォローを入れてくれる、彼女も彼の気持ちがわからないわけではなかった。
「……ありがとう、翔子くん」
「いえいえ別に……ふぁ⁉」
翔子が気づいた時には彼に頭を撫でられていた。
「せ、先輩⁉なんですか⁉」
「ん?ああ、すまない。つい癖でね」
「誰かによくやってらしたんですか?」
「……妹によくやってたかな」
「へえー妹さんいるんですか!今度見てみたいですー」
「……じゃあ今度写真でも持ってきてあげるよ」
そんな妹の話に移行しつつも新聞を置いて行くことは忘れない。
(なでなでも悪くないですね)
そんな事を考えながら……。
しかし彼女は彼のわずかな表情の変化に気づく事は出来なかった。
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とある都内のホテルの一室、そこにブルーアースの構成員である龍造寺 正宗と一人の女らしき物がいた。
「……何か連絡はあったかね?」
「はい、思わぬ収穫があったので今回の失敗は不問との事です」
彼女は正確に言うと人間ではない、Ι〈イオタ〉538という名前の女性型アンドロイドである。魔法を使用出来るように改造された個体であるが、感情持つという重大な「欠陥」が発覚したので処分されかけていたところを正宗が拾ったのである。
「収穫……?なにかあったのか?」
「魔法士協会幹部達のボディーガードだった者がこちらに寝返ったそうです」
「ほう?それはまた面白いケースだ」
魔法士協会とはその文字通り世界中の魔法士達の立場を良くするために活動していたり魔法士を第一に考えて活動する組織の事である。
「それで?どれほどの実力だ?」
「……先日の上海の事件、彼一人の戦果です」
「……ばかな」
先日の上海の事件、あれは正確にはテロではない。上海のホテルで会談を行っていた協会の幹部とそのボディーガード数人を皆殺しにしたというものである。
「それを一人で?」
「私も信じられませんでしたが……どうやらそのようです」
「そうか……彼は今どこへ?」
「次の作戦領域へ向かいました」
「そうか、わかった」
そう言うと正宗は立ち上がる。
「我々も行こう、支度をしろ」
「はい、了解しました」
「下僕のような真似をさせてすまんな」
「いえ……私の体は全て貴方のモノですから」
彼女は自分をスクラップの中から救ってくれた事に感謝していた。故に彼に心酔しているとも言えるほどの忠誠を誓っている。
「では……行こうか」
「はい……」
「忌々しいあの学園にな」
次の彼らの目標、それは星皇学園であった。
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星皇学園生徒会室、そこの部屋で活動がないにも関わらず作業をしている二人がいた。
「イッセー、これでいい?」
生徒会3年青柳 香織、
「私の呼び方以外はいいですよ」
生徒会長八重 一成の二人が書類整理を行っていた。
「ええー、あだ名くらいいいでしょ?」
「嫌なものは嫌なんですよ」
作業は一時間程前から始めているが、先ほどまでうず高く積んであった書類が今は数枚程度になっていた。
「あと何枚で終わりー?」
「これで終わりです」
どうやら言っている間に作業は終了した模様。
「はー疲れたー」
「貴女あんまりやってないでしょう……」
その言葉の通りほとんどの書類は一成一人で片付けていた、彼女は実際そんなに仕事をしていない。
「私の方が疲れましたよ」
「とか言って、本当は全然でしょ?」
「はい、そうですけど」
この男に出来ない物があるのだろうか、一度聞いてみたい気もする。
「私生活は健達に追い越されるしなー」
「あんなものは今の今まで見たことないですがね」
「本当よねー自分の弟ながらびっくりしたわ」
彼女らは弟健人の数日前の大告白を思い出しながら話す。
「あたしもあんな素敵な人欲しいなー」
「……貴女ブラコンでしたか?」
「本当誰のせいでこんなに遅れてるのかなー?」
「……ま、あのネタで散々からかってあげますよ。では私はこの辺で」
そう言って帰ろうとする一成だったが、
「……待ってよ一成」
香織が彼を呼び止めた。
「今の話の流れで答えくれないつもり?」
「……答えとは一体なんです?」
「あたしもう八ヶ月待たされてるんだけど?」
香織はさっきみたいなおどけた口調ではなくいかにも真面目そうに話す。
「そうやって誤魔化すの、一成の悪い癖だよ?」
「……すいません、まだ答えが出せないんです」
一成は逃げるようにして部屋から去っていった。
「女の子待たせんなっての、ばーか……」
寂しそうな顔で言ったその一言はひどく弱々しかった。
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一成は外が暗くなり始めた頃に学園を出た。
(情けない話ですよ、全く)
先ほど香織に言われた事を痛感しながら歩く、だが彼は鞄をその辺に放り投げユニットを展開すると言う。
「それで?貴方何者ですか?」
彼は校門へと問いかける、すると一人の男が出てくる。
「……へえ、よくわかったなあ。素直に感心するぜこりゃあ」
そこからは白髪の赤い眼をした一人の学生ではない男が出てくる。
「学園に用があるならアポをとってきてください」
「知らねえよ、そんなルール。……細かい事は無しと行こうぜ」
そう言うと男はユニットと思われる手甲を装備する。
「俺の名前はダグラス・ヴォルテール、とりあえず俺と殺し合え!」
ダグラスと名乗った男はそう言って一成に襲いかかる。
「ちっ……ただの学生になんの用です⁉」
「俺はお前を殺せとしか言われてねえから知らねえよ‼」
二人は接近してトンファーと手甲で打ち合う、一成は能力で身体能力をあげているが敵はそれに平気で対応してくる。
「……ならば!」
ダグラスから少し距離をとると魔力弾を生成してそれを放つ。
「はっ!小せえことしてんじゃねえよ!」
彼は手を交差させると魔法を使用する、すると一成の魔力弾はその魔法により魔素へと分解された。
「な……⁉魔法の魔素分解……EXスキルですか⁉」
「あぎゃ!さすがに飲み込みが早えな、だから何だって話だけどな!」
魔法が通じないとわかった一成は接近戦を強いられる。
「くそ!魔法も使わずこの身体能力はデタラメでしょう⁉」
「げひゃひゃひゃ!いいぜお前!もっともっと楽しませてくれよ⁉」
相手は戦闘狂と言うのだろうか、明らかにこの殺し合いを楽しんでいる様子だった。
「でやあ!」
「ぎゃはっ!」
再び距離をとって体制を立て直す一成。
(収束砲なら分解も時間がかかるはず、ならば……)
そこまで考えた時だった。
「ちょっと!何があってるの一成⁉」
異変を察知した香織が校舎から出てきた。
「ダメです!来てはいけません‼」
一瞬だけ意識をそちらに向けてしまう、しかし殺し合いではそれが命取りとなる。
「女にかまけてたら死んじまうぞ‼」
「な……⁈しまった……」
「一成⁉」
ダグラスが一成に襲いかかろうとしたその時、彼の足に一つの閃光が走る。
「な……に……」
ダグラスはバランスを崩しその場に倒れる、香織も一成も何が起こったかわからないといった顔をしている。すると校門から声が。
「……戦場からは逃げられんか」
声の主、モーガン・バロウズがビームライフルを構えてそこに立っていた。
これこそ真の戦闘狂、そしてモーガンさんの本格登場です。
Ι「ん……なぜ私がここへ?」
アイと読むでないΙ〈イオタ〉さんです。
Ι「能力紹介?これがそうなのか?」
Ι〈イオタ〉538
外見年齢:24歳(生後36ヶ月)
ユニット:自身を構成するそれぞれのパーツ
能力:テレポート、魔弾生成
Ι「一部破損しても他で補う事が可能です」
初めてのロボっ子を可愛がってあげてね、また次回(・ω・)ノ