Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
八重 一成は殺されかけた、自分を殺しにきたというダグラス・ヴォルテールの襲撃を受けて善戦していた。だが一度、一瞬だけ油断をしてしまいその隙をつかれてしまった。しかし彼はまだ生きている、何者かの攻撃によって助けられたのだ。その人間は校門にいた。
「……戦場からは逃げられんか」
モーガン・バロウズ、日本軍特別作戦部隊隊長。それが彼の肩書きである。
「モーガンさん⁉何故ここへ⁉」
「話は後だ!こいつの相手はオレがする、お前は嬢ちゃんを守れ!」
「く……了解!」
モーガンは校舎の昇降口にいた青柳 香織を指して指示する。
「一成⁉何があってるの⁉」
「どうやら私を殺しにきたそうですよ……」
「嘘……大丈夫なの⁉」
「ええ、モーガンさんのおかげでね……」
二人が話している間にも向こうでは新たな戦闘開始が告げられる。
「あぎゃ!お前さんやってくれるじゃねえか」
「足撃たれてまだ元気とは恐れいるねえ」
二人とも言葉の調子こそ軽いがその雰囲気は今にも殺し合いそうなものだった。
「あぎゃぎゃ!てめえと死合したほうが楽しそうじゃねえか⁉」
そう言うやいなやモーガンめがけて突撃をする。
「ったく、疲れるのは嫌いなんだがなあ!」
彼は持っていたビームライフルを魔素に戻し、新たにビームガン2丁を取り出す。
「さあ!今日も楽しいお仕事ってか⁉」
「あぎゃぎゃぎゃ‼」
モーガンはダグラスの攻撃の連打を全てギリギリで躱す、そして出来た隙にビームガンを叩き込むがそれらも全て手甲に阻まれる。
「だったらお次はこれだ」
チャージされていた分を全て撃ち切り、リロードを待たずに次の武器を呼び出す。その間に手刀が叩き込まれるがそれを出現させたビームトンファーで防いだ。
「隙だらけってね!」
「ぐがっ!」
「そして追撃ってやつだ」
トンファーで防いでいる間にダグラスの顔を蹴り上げる、そして隙だらけの体にトンファーの一撃をくらわせ、相手を吹き飛ばす。
「これでどうかな?」
「……すごい」
「……あんなに圧倒するとは」
一成が苦戦していた相手をいとも簡単にあしらうモーガン、しかし飛ばした先に三人の人影が見える。
「……あんた誰だよ」
「初めましてだなダグラス・ヴォルテール、私は龍造寺 正宗という者だ」
「……ちっ、潮時かよ」
「ここで楽しみを終わらせたくなかろう、さて……」
正宗がダグラスにひとしきりの説明を終えるとこちらを向く。
「お前とは会いたくなかったよ、モーガン」
「こっちこそ顔も見たくなかったね、正宗殿」
「……ここで作戦継続は好ましくない。Ι、撤収するぞ」
「はい、マスター」
「……追ってくるなら来てみるがいい」
「ご冗談、三人相手に勝てると思うほど自惚れちゃいねーよ」
二人がそう言葉を交わすとブルーアースの三人はΙの能力により姿を消した。
##########
三人が撤収したのを見届けてからモーガンは二人へと向き直る。
「おーい、巻き込まれたりしてないか?」
「……貴方のおかげで助かりました」
「ありがとうございます、えと、バロウズさん」
「モーガンで構わないぜ、お嬢さん」
先ほどの戦闘とはうってかわって軽い口調になるモーガン、おそらくこちらが本来の口調なのだろう。そんな彼に一成は質問する。
「……それで、なんの用があるんです?」
「ありゃ、やっぱわかるかい?」
「貴方は仮にも軍人ですからね、なにか理由があるのでしょう?」
「仮にもって……お前なあ」
一成の言葉に不満を感じながらも自分の説明義務を果たす事にしたモーガン。
「もうわかってるかもしれないが、ここがブルーアースのテロの標的になるかもしれない」
「……そんな」
「やはり……そうなのですか……」
「いや、でもなんで?」
モーガンの言葉が信じられないといった反応をする二人、そして納得がいかない香織が質問する。
「じゃあ順序よく説明しよう、奴らの目的はなんだ?」
「え?……魔法根絶ですよね」
「正解、では魔法が最も使われている国は?」
「……日本ですね」
物事をわかりやすく、正確に捉える事の出来るように順に説明をしていく。
「そして最も魔法が使われる機関はなに?」
「おそらく軍でしょうね」
「これで最後、その軍人魔法士の育成機関と言えば?」
「……この、学園ですか?」
「その通りさ、お嬢さん」
いくら魔法士を根絶したとしてもその卵があれば魔法士は生まれ続ける。だがその大元を断ち切ればいずれ限界がやってくる、彼らはそこをついてきたのだ。
「やり方は最悪だが作戦としては的を得ているわけさ」
「……そんなことって」
「だがそのためにオレはここに来た」
悲観的な声を出す香織を安心させるように彼は言う。
「……軍が動いてくれるんですか?」
「正確にはオレの部隊だけどな、全部の部隊ってのは無理みたいだ」
「なぜですか ⁈そこまでわかっていながら⁉」
「ちょっと、一成落ち着いて!」
モーガンの言葉に突っかかる一成、それもそうだろう彼が最も大切にしているこの学園の生徒が危険に晒されるのだから。
「オレも言ったんだけどな、確実性のない情報にそこまで部隊は割けぬ、だとよ」
「……どうかしていますよそんなの」
「決定を覆す事はオレには出来ない、だからある程度の自衛はしてもらわなければならん」
「……私がやればいいのでしょう?」
「……一人で?正気か?」
「一般生徒を巻き込むわけにはいきません」
一成はその時ブルーアースのテロから全生徒を自分が守らなければならない、そう考えていた。
「……あんまり一人で抱えこむなよ?」
「わかってます、徹辺りにでも協力をお願いしますよ」
そう言うと彼は校門の方へと去って行った。
「……ったく、あいつ絶対わかってないだろ」
「二人共お知り合いなんですね」
「ま、あいつにトンファーでの戦い方を教えたのはオレだからな。あと徹の戦闘スタイルとか」
「……そうだったんですか」
モーガンもこの学園の卒業生らしく、たまたま知り合った徹と一成の魔法士としての師匠でもあるらしい。
「オレもこの学園がなくなっちまうのはいやだけどよ、一人で背負い込むことねえだろ」
「……彼はそういう人ですから」
あの男は何よりも生徒の安全を第一に考える、香織はその事をよく知っていた。
「でも彼のそういう所が、私好きですから」
「……へえーいいねえ、オレの青春時代とは大違いだねえオレの青春時代といったらそれはもう……」
「----貴方は自分の青春より先ほどまでの自分の行いを見直して下さい」
その言葉と共にモーガンの隣に一人の女性が現れた、その女性は栗色のポニーテールであどけなさを残した顔立ちをしていた。
「……美影くんお疲れさまー」
「お疲れさまじゃありませんよ!私を置いてさっさと独断専行しないで下さい!」
「えと、モーガンさんの部隊の方ですか?」
「あ、はい。日本軍特別作戦部隊副隊長澤山 美影〈さわやま みかげ〉と言います」
美影と名乗った女性は丁寧に自分の自己紹介をする、香織の第一印象は隊長と違ってしっかりしているなー、というものだった。
「隊長が空中を走るスピードに私が追いつけない事くらいお分かりでしょう⁉」
「いや、でも嫌な雰囲気がしてたから……」
「それが偶々当たっていたからいいものの、違っていたらどうするつもりだったんですか⁉」
「あの、美影くん落ち着いて……」
「誰の所為でこんなに怒ってるとお思いですか⁉」
美影の説教に何も言えなくなるモーガン、昨今の上司と部下の事情とはそんなものなのだろうか。
「そんな怒ると可愛い顔が台無しだぜ?」
「そんな事言って誤魔化せると思ってます?」
「……いや、本当にすいませんでした」
褒めて要点をずらそうと試みるが不発に終わってしまう、そこには部下に土下座をする情けない上司の姿があった。
「全く、いざという時には頼もしいのに……」
「え?いやーやっぱり?」
「その分普段がダメ過ぎます」
「……上げて落とすのやめようぜ」
「そ、それより副隊長さんも学園の警備をしてくれるんですか?」
そろそろ不毛になってきたので香織が話題を変えて彼を救出する。
「はい、隊長からの命令ですので。しっかり務めさせていただきます」
「それにしてもあまり私と年齢が違わないように見えるのに副隊長って立派ですね」
「……一応私22なんですけど」
「……え?」
香織としては自分とそんなに歳が違わないと思っていたのだかなかなかの歳上であった。
「……ううう、疑問におもわれた。やっぱり私童顔なんだ……」
どうやら気にしているらしく彼女はわかりやすく落ち込んでいた。
「あ、あのすいません!変な反応しちゃって」
「そうだぞー、ちゃんと出るとこ出てるんだから問題ないって」
「黙って下さい!セクハラ隊長!」
「痛ってえ!お前踵はないんじゃないの?」
漫才を繰り返す軍人コンビ、香織は心の中で大丈夫かな?と考えていた。そして気になった事を聞く。
「いつテロの対象とかになりますかね?」
「すぐには無いでしょうね、彼らも準備があるでしょうし」
「ま、数ヶ月間ってところかね」
「数ヶ月ですか……」
魔法士根絶に抗うための物語の歯車は、既に動き出していた。
今回は能力紹介をしません、なぜなら2日後くらいに後書きに書いた能力をまとめようかなと思いまして。次は本編では無いのであしからず。
また次回(・ω・)ノ