Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
「さあ、真剣勝負を始めよう……」
彼はそう言いながら剣を構える。彼のユニットは氷のように限りなく透明に近い色をしていた。
「お前のユニットは剣か、こりゃあ運がいいぜ」
「ほら、そっちから挑んできたんだから早く構えろよ」
「そんじゃ遠慮なく……行くぜ‼ユニット!ON!」
彼がそう叫ぶと、彼の手が炎に包まれる。そして、炎の中から一本の十文字槍が、現れた。
「能力バレバレなんだが……いいのか?」
「いいじゃねえか。お互い武器型ユニットだし、丁度いいだろ」
「どう丁度いいんだよ?武器型じゃなくても勝負はできるだろ?」
ユニットは二つの種類に分けられる。一つは彼らが使用している武器型ユニット。これは、近接型と遠距離型とさらに分けられるが、それぞれの得意な距離で武器自体を使用する魔法に特化している。つまり、武器自体に魔法を使用して威力を上げると考えてもらえるとわかりやすい。
もう一つの種類が、装飾型ユニットである。このユニットは主に人が身に付ける装飾品の形をしている。このユニットは現象を操作、つまり風を好きに操作したり、炎を起こしたりする魔法に特化している。
RPGなどの魔法と同じと考えてもらえるとわかりやすい。
「井上さんだよな。試合開始の合図してくんねぇ?」
「次からは名前でいいわよ。それじゃ……試合開始‼」
合図が終わった瞬間、二人の魔法士は激突した。
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二人の魔法士が近接戦闘を行うなか、京花はその様子を見ていた。
「いきなり突撃って……ちゃんと考えて闘ってるのかな?」
何度か武器を打ち合わせると互いに距離をとる。本当の闘いはこれから始まる。
「ちゃんと強くなったってところ、見せてよね」
彼女は、幼馴染の少年を心の中で応援していた。
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ガキィ‼
試合開始と同時に二人とも武器を構えて突撃し、武器を打ち合わせる。
「両者ともに同じ考えとはな、俺達気が合うんじゃね?」
「親睦は勝負が終わってからにしようぜ。いくらでも付き合ってやるから…………よっ!」
そういいながら、二人は武器を何度か打ち合う。
「剣なんてもんは槍のリーチの前に無意味なんだよ!」
「それは……どうかな!」
ガァン!と強く打ち合い、距離をとった。
「リーチで勝てないなら、他で補えばいいってことだ!」
健人はユニットの魔素を解放し、魔力を精製すると己の魔法を行使する。すると、彼の周りに幾つかの氷の刃が生まれる。
「飛べっ!《アイス・エッジ》!」
氷の刃がレイノルズに向かって飛翔する。
「ぬるいんだよ!その程度!」
だが彼の炎を纏った槍がすべて叩き落す。その一撃はかなりの高威力であるとみられた。
「馬鹿みたいに高ぇ破壊力だな……火炎操作と威力増大の能力といったところか?」
「そっちは氷を扱う能力ってところか?」
「厳密には違う。氷と冷気を扱う能力だ」
「ああそうかい、それと身体強化能力も一つあるんたろ?」
「あらら、ばれてら」
「近接型で無い方がおかしいぜ」
彼の言う通り、近接型のユニットには基本的に身体強化能力が付加されている。近接型は相手との距離を詰めなくてはならないが、武器が特別軽いわけでも無いために遠距離型や装飾型には遅れをとってしまう。それでその解決策として身体強化能力が付加されることになる。
「それは見てから判断してくれ……よ!」
再び距離を詰め武器を打ちつける、しかしレイノルズは先ほどと違う感覚を覚えていた。
(あの踏み込みを見る限り速度系の能力だが……攻撃がさっきより重いってことは威力増大か?わけわかんねえぞ)
「どうした?わけがわからないって顔してるぜ」
「くそっ!」
今度はレイノルズの方から距離をとる。
「どういう能力かさっぱりわからねえ……どっちなんだ?」
「しいて言うならどっちもだよ。」
「そんな能力聞いたことないぜ……」
「常時どちらも使えるわけじゃない。どちらか片方に自由に変化出来るだけだ」
健人の能力をわかりやすく説明すると、任意のタイミングで速度系、威力増大系の切り替え可能という能力。卑怯とも言える能力だが、どんなうまい話にも裏がある。
「そんな便利でも無いぜ。お前みたいな特化型には劣るし、切り替えタイミングミスったら押し切られるからな」
「そんなものかね……」
「さっ、決闘再開といこうぜ!」
そう言いながら彼は魔法を行使する。すると、レイノルズの頭上に氷の塊が生まれる。
「これで倒れてくんねぇかな!」
そのままほの氷塊をレイノルズにぶつけるが……。
「俺を倒したかったら、もっとでけぇ塊もってこい!」
炎を纏った槍で直ぐに破壊されてしまう。
「この、パワー馬鹿め……」
「当然、これ一本で今までやってきたんだ。さあいくぜ‼」
彼の槍の先端に炎の渦を形成し、そのまま前へと踏み込む。
「火傷じゃ済まさねえぞ!《フレイム・プレス》!」
「ただで喰らうか!」
健人は炎を叩きつけられる前に、氷の盾を張り直撃を防ぐ。しかし盾は数秒で破壊され、炎の一部が健人を襲う。
「ちっ……完全回避は出来ないか……」
「残念だが、俺は盾を破壊する打撃が得意だからな。時間稼ぎにしかならんぜ」
「時間稼ぎ出来れば、御の字ってね!」
相手の範囲から逃げ、安全な距離へと逃げ込む健人。
「逃げてばっかで勝てると思ってんのか⁈」
「元から長引かせるつもりなんかねぇ。次の一撃で決めてやる!」
「そうかい!攻撃が届くといいけどな!」
現在健人の攻撃はレイノルズには通じておらず、先の一撃で健人はダメージを与えられている。武器のリーチ差もあるので、明らかに健人が劣勢である。
「届かせてみせるさ!行くぞ!」
速度系魔法へ切り替え、レイノルズに突っ込んで行く。
「結局突撃しかねぇのか⁈受けて立つ!」
ギィィィンッ!!
3度目の衝突、健人は威力増大系魔法に切り替えるが、特化型のレイノルズには通じない。
「実技1位もこんなもんか?……うらぁ!」
健人を空中へと打ち上げる。そして彼は、最後の一撃を叩き込むために踏み込もうとして…………自身の変化に気付く。
「足が…………⁈」
彼の足が氷づけにされており身動きがとれない状況になっていた。
「あの突撃は俺の気を引くために⁈」
「ご明察。」
空中に氷の足場を作り彼はそこに立っていた。
「あんま、長く使え無いからな。一気にいくぞ!」
速度系魔法を使いレイノルズに肉薄する。
「くそっ!だがまだ上半身は動く!」
「無駄ぁ!」
相手は槍を突き出してくるが、それを剣で横薙ぎに払う。ガラ空きになった懐へ氷の魔力を精製している左手を押しつける。
「剣じゃねえだと⁈」
「いつ剣でとどめを刺すなんて言ったよ!」
そのまま左手の魔力を解放させ----
「氷掌烈波《ひょうしょうれっぱ》ぁ!」
----レイノルズを吹き飛ばす。
この勝負の勝者が決定した瞬間だった。
バトル終了後もいれようか迷ったのですが、次回に回します。バトルパートは難しいですね、やっぱり。