Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
場所は変わって樹海の深いところに移る、片山 翔子と田所 正明はそんな場所に辿り着き、辺りに相手がいないか見回している。
「そろそろ誰かと当たってもいい頃だと思うんだが……」
「部長、私が言うのもなんですが写真撮りながら言う事ではないです」
見回している理由はこれ、正明が何かを見つける度に写真を撮っているからである、こんな事をしているので彼らは実質そんなに進んではいないのである。
『俺の仕事のためにも急いでくれないか?』
「わかりました、どちらに向かえばいいですか?」
『……そのまま真っ直ぐだ、案外近くに居たよ』
「了解です、ほらいきますよ部長」
カメラを先行させて言われた通りに歩くとその相手は本当に早く見つかった。
「……また面倒な二人と鉢合わせたね」
「実技と学業どちらも優秀な生徒会の方々じゃないですかーやだー」
「見た目全く優等生には見えない尚輝先輩じゃないですかーやだー」
「喧嘩売ってんのかお前!」
出会った相手は唯一の純2年のペア福原 尚輝とミリアム・ブランである。しかし彼らは出会った瞬間に相手を煽る、さすがだメディア部。
「さてどうしようか、相性悪いよこれ」
「煽っといてそれかよ……」
「手加減するつもりはないからね」
「まあやれるだけやるとしましょう」
この樹海での四試合目の勝負が始まった。
##########
剛田 鉄扇のいるカメラ管理室(宿の泊まっている部屋なのだが)には四名の敗北者が観戦していた。
「相手が悪過ぎる、仕方ねえさ」
「……せめて一撃くらい見舞ってやりたかったよ」
「全部狙って掠ってたしー」
「……ま、残念でしたという事で」
先ほどこちらにやって来たレイノルズ・マッケイと皆川 咲良の二人を神条 錬磨と青柳 香織の二人が慰める。
「相手は化け物の一人だからな、当然の結果とも言える」
鉄扇ですらそう言うように彼らの相手は高梨 徹、風紀委員長殿である。
「録画出来てるから見るか?動きの確認は大事だぞ」
「お願いしまーす」
二人は自分達のどこが悪かったのかを検証するためにその試合を見直す事にした。
##########
樹海のなか対峙した三人、だが数的に有利なはずの咲良・レイノルズペアは敗北を悟った。
「……一番会いたくねえ人に会った」
「レイ酷いなあ、僕の事が嫌いかい?」
「二対一なのに勝てる気がしないなあ〜……」
相手は一年で最も息の合う夫婦を難なく倒したと言う噂のある相手、二対一であっても油断は出来ない。
「ええい、考えて仕方ねえな」
「やるだけやるしかないね!」
「よし、じゃあ行くよ!」
咲良・レイノルズペアは二人して前衛で戦う事はせず、咲良が後衛に下がる。
「……銃を使う癖に突っ込んで来るんだもんなあ、この人!」
「守ったら負けるからね!」
対して徹はいつものようにハンドガン2丁を持って接近する、レイノルズが攻撃して咲良が風の砲弾を放つがそれらをかすらせて避ける。
「グレイズとかざけんな!」
「レイそれちょっと違う!」
「そんなものかい⁉」
徹は突撃しながらハンドガンを連射、だがそれは咲良の風の盾によって防がれる。
「悪い、次も頼むぜ!」
「大丈夫だよ、勝つつもりでやらなきゃ!」
「……咲良が守りか」
前までの彼女であれば例え味方が前衛であろうと援護や守りをせずに攻めて来ただろう。彼と出会った事が彼女に良い影響を与えているのかもしれない。
「だけど、それくらいは基礎だからね。どんどん行くよ!」
徹は両手剣を呼び出し、レイノルズの方に向かう。
「行くぜえ委員長!〈フレイムスタンプ〉!」
渦状の炎を纏った槍を徹に叩きつけようとする、だがそれを躱して剣を打ち込もうとする。
「徹さんそこもらった!〈嵐招来《らんしょうらい》〉!」
「……かかってくれたな!」
「ひょ?」
彼女は徹の周りに竜巻を複数生み出すが、それより先に徹が行動を転換して空中を蹴り彼女の上に出る。そして彼が構えたものは……
「……徹さんそれなんです?」
「これはね、ロケットランチャーっていう危ない物だよ」
その危ない物を目標の咲良に放つ徹、この時の彼に慈悲などという考えはなかった。
「……マージで?」
置いて行かれているレイノルズ、どうやら徹は最初からこのつもりだったらしい。
「直撃は避けたけど……げほげほ!うー煙たい……」
なんとか彼女はまだ立っていたがダメージが大きい事には変わりないだろう。
「この野郎!正面から来やがれ!」
「相手のレンジで戦うのは愚の骨頂さ!」
続いて徹が取り出した物は……
「……で?今度のそれは?」
「グレネードランチャー、最近仕入れてね」
「なんで今日爆発物ばっかなんですかー」
彼が取り出したるはグレネードランチャー、任意起爆も出来る優れものだとか。
「という訳でばら撒いて、と」
彼は容赦なく彼らにグレネードをばら撒く。
「接近すれば……」
「任意起爆出来るから気をつけて」
「うお⁉危ねえ!」
徹が何らかのトリガーを押すと一斉に爆発した。
「徹さーん森林破壊反対ー」
「くそっ……どこ行きやがった……」
爆風で周りがよく見えず、レイノルズがそう言うと後頭部から冷たい感触が。
「……その手に持たれてる物はなんでしょう?」
「スナイパーライフルって言えばわかるかい?」
「なぜそれを零距離で?」
「突スナという言葉に憧れて、かな?」
そう言って何の躊躇いもなく彼はトリガーを引いた、レイノルズは至近距離ヘッドショットを食らってその場で一旦気を失った。
「……すごく凄惨な場面を見た気がする」
「さあ、咲良はどうする?」
「……ここで諦めきれますか!」
そう言っていつもの接近戦で勝負しようとするのだが……
「じゃあお疲れ様」
アサルトライフルで弾をばら撒かれ、グレネードで退路を塞がれ、マシンガンで追い詰められ、締めはショットガンを食らった。能力を使っても簡単に対処されて終了だったらしい、むしろ耐えた方なのだが。
これを見直した彼らは『相手が悪かった』と結論付けたそうだ、周りも総員一致だったという。
##########
場面は戻って樹海奥地、この訓練始まってようやくの二対二である。
「じゃ、翔子くんお願い」
「爆発に巻き込まないでくださいねー」
「…………うん、わかってるさ」
「なんで間が空いたんですか⁉」
メディア部は正明が後衛、翔子が前衛という立ち位置。
「……なんか調子狂うな」
「相手呑まれないで、頼んだよ」
「おう、任された!」
生徒会2年ペアはいつもの形をとる。
「尚輝先輩お手柔らかに〜」
「全力で潰す!」
「はい、私の言葉まるで効果なし!」
「いつまで喋ってるつもりだ⁉〈波動旋風《はどうせんぷう》〉!」
尚輝が体を回転させながらハルバートを振るう、そこから彼の能力によって出現した波動が彼女に向かう。
「でも耐えきれない攻撃じゃないです!」
彼女はそれを薙刀の柄の部分で受け止める。
「腕が痺れますねーもう」
「その調子でお願いするよ、こちらも行こうか」
彼が魔力球を尚輝の方向へ飛ばす、それを彼の近くで爆発させようとするが……
「尚輝ちょっと下がって、〈ストーンデフェンス〉!」
岩の盾によって彼にまで爆風が届かない、ちなみに正明の主力はこの能力である。
「……私攻略されたようだよ」
「だったら私がいきます!〈風刃招来〉!」
持ち前の範囲拡大能力で離れた距離から尚輝を攻撃する。
「〈ストーンデフェンス〉」
しかしまたしても岩の盾に範囲拡大を阻まれる、彼女の中心能力は範囲拡大である。
「……私も攻略されましたー」
「……これは問題だね」
ミリアム一人によって彼らは自分の持ち味を潰されてしまう、どうしたものかと悩むが相手は考える時間を与えてくれない。
「尚輝これはチャンスだよ!」
「おう!一気に決めてやる!」
ミリアムから魔力を受け取ると彼はすぐさま攻撃に転じる。
「いくぜえ!〈烈震衝波〉」
先ほどとは比べものにならない魔力を持った一撃が彼らに襲いかかる。
「危ないですね〜、どうしましょう部長」
「〈グランドランス〉!」
「おっと危ない、そうですね〜壁自体は簡単に破れますが……」
「ああもう!避けてばっかり!尚輝、特大のやつお願い!」
「おいおい、もうちょっと落ち着けよ……」
会話しながら避け続ける彼らに苛立ったのかミリアムは先ほどよりも多量の魔素尚輝に託す。
「それじゃ、悪いけど……〈獅子豪衝波〉ぁ!」
獅子の形をした波動が二人に向かって襲いかかる。
「ってこれはやばいですよ⁉」
「あー翔子くん、下がりなさい」
「は、はいい!」
正明に何か策があるのだろうと思い彼女は下がる、そして正明が前に出てとった行動は……
「体張るのはガラではないのですが……」
大きな魔力球を生み出し、それを爆発させて波動を打ち消した。
「ぶ、部長⁉」
「いい⁉マジでか⁉」
「やってくれるよねえ、本当にさ……」
だが彼が操作出来る爆風は自分の能力で発生させたもののみである、これらの衝突によって発生した衝撃を抑える事など出来ず、彼は吹き飛ばされてしまう。
「ちょっと!なに無茶やってんですか⁉」
「痛ててて、後輩の前でくらいカッコつけたいじゃないか」
「そんな理由ですか⁉」
「でも君にはどうにか出来ないだろ?」
「あう……そうですけど」
「だからそんな時は出来る奴がやんないと……さ!」
彼は言いながら立ち上がる、どうやらまだやるつもりのようだ。
「……案外根性あるな、お前」
「ちょっとは見直してくれるかな?」
「さて、それはどうだろうな?」
「意地悪だねえ、君」
「尚輝、もう一回やる?」
「後がなくなったらもう一回頼むぜ!」
尚輝は言いながら踏み込む、それに応えるようにして翔子が前に出て尚輝と打ち合う。
「どうした⁉お前もそんなもんかよ⁉」
「本当パワー馬鹿ですね……部長、方法があるならお願いしますよ!」
「ふぅん、そう言われたらやるしかないね」
彼は手を振り上げ数十本の針を生み出す、生み出した場所はミリアムの上。
「しまった⁉」
「貴女の試合で上に盾を張った試合が無いのでね、予想通りです」
「全部覚えてんのかよ⁉」
「ああ、ここに全て詰まってる」
彼が自分の頭を指さして言うと針を全てミリアムの周りに落とす。
「これでどうだい⁉」
「ミリアム!魔力をこっちに渡せ!」
「くっ……あとは任せたよ!」
ミリアムは後を託すように彼に魔力を渡す。そして今にも爆発するという時に……
「〈地顎破砕衝《ちがくはさいしょう》!!!」
ハルバートを地面叩きつけ尚輝が借りたをも魔力全て使用して彼女の周りにある地面を波動で砕き飛ばす、正明の爆発は全て検討違いのところで起きた。
「はあ〜疲れた」
「……まじなのかいこれ?」
「……まじみたいですこれ」
「尚輝!あんたなにしてるの⁉」
彼の行動のお陰で助かった彼女だがそう聞かずには要られなかった。
「うるせー、一人で勝ち残っても嬉しくないんだよ。お前が居なきゃ意味ねえだろうが」
「……もう〜本当そういうところ変わんないやつだね!」
「何とでも言え、さあ勝つぞ!」
士気が上がる生徒会ペア、一方メディア部ペアの様子。
「……もう不意打ち効かないよね」
「……本格的に詰みですかね」
士気がだだ下がりだった。
「尚輝もう一回いける⁈」
「お前に言われるなら何度でもやるぜ!」
「だったらあと一回で決めてよね!」
彼に再び彼女の魔力が渡る。
「行くぜパパラッチ!〈獅子豪衝波〉!」
「部長、受け止めるの手伝ってください!」
「私のこれお飾りみたいなものだけどね」
翔子の薙刀と正明のショートブレイドでは受け止められずに吹っ飛ばされる。
二人はここで白旗、軍配は尚輝・ミリアムペアに上がった。
「やっぱり強いなー二人は」
「不意打ちどうにかしてくれなかったら勝てたかもしれませんねー」
「あそこ本当だったら悪手だよ、尚輝」
「うるせー、理由は言っただろ?」
自分で言っておいて今更恥ずかしくなったのか顔を赤くして言う尚輝。
「ま、個人的には嬉しかったよ。ありがとう」
「お、おう。別にやりたかったからやっただけだし」
「……これは取材したいけどなあ」
「私が説明しますよ、この哀れな人について」
翔子が言った罵倒も今の尚輝には聞こえていないようだ。
「じゃあ頑張ってくれよ」
「簡単には負けないようにしてくださいねー」
カメラのガイドで彼らも去っていく、それからミリアムが口を開く。
「ちょっと休もっか?」
「そうだな……魔素使うの楽じゃないし」
「さっきのは疲れるよね、よかったら膝使う?」
「うえっ⁉え、遠慮しとく!」
「そう?気にしなくてもいいのに……」
ミリアムからの思わぬ申し出に変な声出してしまう、彼女はなにも気にした様子では無いが。
(あーあ、ちょっと勿体無いな今の)
彼は一方通行な想いを抱きながら体を休ませるのだった。
委員長が強くなり過ぎました、何だあれ勝手に動かないでくれよ。あの人を私は制御出来るのか⁉いやしますけども。
先日行頭についての指摘があったのですがスマホではスペースで空けようがどうにもならない、やり方知ってる人いません?
また次回(・ω・)ノ