Wizars World 《ウィザーズ ワールド》   作:ダンケ侍

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今回は今後に関わるワードを散りばめたような話です、ゆえによくわからない事があってもそれは今後の展開で明かされます、ご了承下さい。
ではどうぞ。


44.夏休みの日々〈それぞれの行動〉

ブルーアースのテロがあってから数日経った後、青柳 健人はとある人物に学園のカフェテリアに呼び出されていた。

 

「……とは言ってもなんで呼び出されたんだか」

 

その相手は自分になんの用があるかはわかっていない、だがその時は碌な事を聞かれないと思っていた。相手が相手だけに。

 

「申し訳ない、待たせてしまったようだね」

 

彼を呼び出した張本人、田所 正明がやってくる。彼と関わった事は合宿以外では無いので少し身構えてしまう。

 

「それで、今回何の用です?スクープ目当てなら話しませんよ」

「そうだね、ある意味スクープかもしれないな」

「なら帰りますよ……」

 

彼がそう言って席を立つ前に彼は本題を告げる。

 

「先日の事件についての詳細な情報を聞かせてくれないか?」

 

あまり彼の事を知らない健人でもすぐにわかる様な真面目な雰囲気でほの言葉を口にした。

 

「……報道記者にでも転職ですか?」

「どちらかというとそちらが希望なんだがね」

「おれにはパパラッチにしか見えませんが?」

「そちらは趣味でね」

「そうですか……でも口止めされてるんですが」

「無理を承知で頼む」

 

理由を言っても引き下がらない彼は必死にの様にも思えた、なにが彼をそうさせるのだろうか。

 

「……理由聞いてもいいですか?」

「真実が知りたい、それではダメかな?」

「……言いふらしたりしないで下さいよ」

「わかっている、恩にきるよ!」

 

本当はやってはいけない事だが彼のその雰囲気に呑まれた健人は教える事にした。

 

「でも結構報道されてるでしょ?」

「真実は隠されて、だけどね」

「……報道の裏側が知りたいって事ですか?」

「いかにも」

「……なにを話せばいいんです?」

「犯人についての情報を詳しく」

 

今回の報道ではブルーアースの構成員という事しか明かされていない、名前や容姿などは報道されてはいないのだ。

 

「そうだな、赤髪長髪の野郎と金髪ショートの女だったな、年はおれとそう変わらないはずだ」

「容姿は当てにならないけどね」

 

彼の知っている人間に22にもなるのに見た目は女子高生真っ盛りという人物がいる。

 

「そうそう、赤髪のやつは確かラウスとか呼ばれてたな」

「……本名かどうかは不明だけど有力な情報だね」

「女の能力はわかんねえけど男の方は二刀流に炎を使ってたな」

「まあ能力のほうなら過去の事件調べればわかるかもしれないね」

「過去の事件覚えてんですか?」

「覚えてもいるが、ここに全てまとめてある」

 

そう言うと彼は自分の鞄から大量のメモ帳を取り出す。

 

「これが政治、これが芸能、これが学園……あったブルーアースのはこれだね」

「とりあえず学園のメモ帳をこちらに」

「だが断る」

 

ほぼお決まりてあろうやり取りをする二人。

 

「でもなんでブルーアース専用なんですか?国際関係とかじゃなくて」

「……たまたまだよ、国際関係で分けるより楽でね」

 

彼の答えに納得出来なかった健人だがそれ以上追求する事はなかった。

 

「ま、おれは別にいいですがね」

「……感謝するよ」

「おれが知っているのはこのくらいです」

「そうかい、協力に感謝する」

 

彼は健人に頭を下げると伝票を持って席を立つ。

 

「あれ?もう行くんですか、もう少しゆっくりしたらどうです?」

「現在夏休みの特別号の制作中でね、今回は私のおごりという事でいいよ」

「マジっすか⁉ごちになります」

「ではありがとうございました」

 

感謝の言葉を述べて健人の分の支払いも済ませてカフェテリアを出る。

でてからしばらく部室に向かって歩く途中で彼は思案する。

 

(金髪ショートと赤髪長髪の男の襲撃は今までもあったはず)

 

ブルーアースのテロの犯人候補にそのような人物がいた事を記憶していた。

 

(だがラウスという名前、私はこれに引っかかっているようだ)

 

脳内で記憶している範囲のメモ帳を開く、その中に答えがあるのかもしれない。そしてその中の一つにその名前がある。

 

(だとすると……その相棒はアリスという名前のはず。だがこれは……)

 

そこまで考えた時だった。

 

「部長!いつまで油売ってるんですか⁉」

「私にも手伝わせているのだから早くしてくれ」

 

メディア部の部員である片山 翔子と夏休みだけのお手伝いイワン・ロバノフに呼ばれる。どうやら既に部室の前まで来ていたようだ。

 

「いや済まない、少し考え事をしていてね」

「貴方がくる前に終わらせてしまったよ」

「これが一応完成したものです」

 

そう言って翔子が手渡してくる、後は自分の担当のところだけになっており、翔子の担当の部分もイワン担当の写真もよく出来ていた。

 

「いつになくいい出来だ、イワンくんは一人でやったのかい?」

「いや、さすがに片山に手伝ってもらったよ」

「夏休み特別号なんですから、妥協はいけないのです!」

「それなら最初から一人でやればよかっただろうに……」

「そんな事ないですよ〜イワンくんが写真選んでくれて楽でしたから」

 

 

新聞作成に協力してくれたイワンをフォローする翔子、そのかいあってか新聞はとてもいい出来のようだ。

 

「いつもありがとう、助かるよ」

「あうー、だから頭撫でないで下さいよ」

 

正明は彼女を褒めると同時に頭を撫でていた。

 

「おや済まない、癖みたいでね」

「うー、別に悪くはないですけど」

「……私の仕事は終わった、帰らせてもらう」

「イワンくん、協力ありがとうな」

 

イワンは仕事が終わったと見るやそのまま部室を出て行く、ある意味空気を読んだのかもしれないが。

その時彼女は一つ気になった事を聞いてみる。

 

「頭撫でる癖は妹さんの時にやる癖ですよね、可愛がってらっしゃるみたいですけど」

「……まあ、可愛がってはいたかな」

「帰省しなくてよろしいのですか?」

「……三年間帰省はしない、と母に告げていてね」

「ふーんそうですか」

 

彼女は彼の発言に違和感を持つことは無かった、そして彼も新聞の作成に取り掛かろうとする。

 

「では、私は自分の担当を済ませるから翔子くんも帰っていいよ」

「えー、手伝いますけど」

「なら先輩命令、帰って休みなさい」

「はう、わかりました。あとはお願いします」

「ゆっくり休むんだよ」

 

そう言って彼は翔子を送り出した、彼女が出てしばらくすると彼は再び先ほどの思考をを繰り返す。

 

(仮に名前がアリスで合っているとして、疑問が残るな)

 

そこで行き詰まった彼は一旦思考を停止する。

 

(ふぅ、彼女の助けを借りますか)

 

問題解決のために一人の女性の助けを借りる事に決めたのであった。

 

 

 

##########

 

 

 

場所は学園の外、とある都内の病院。そこに高梨 徹はやって来ていた。

ここに来た目的は彼にとって大切な人へのお見舞い、そして自分の決意の確認に来たのである。

その病院内の一室、彼はそこへと向かう。その部屋にいる少女に彼は話しかける。

 

「やあ、華菜。久しぶり、やっとくる事が出来たよ」

 

しかし彼女からの返答はない、その人はベッドに横たわり、点滴のためのチューブを付けられたまま何の反応も示さない。いや、反応出来ないと言った方が正しいだろう。

彼女の名前は井口 華菜、三年前とある事故に巻き込まれた彼女はその際脳に外傷を負い、それっきり遷延性意識障害、つまり植物状態となっている。

そんな彼女は徹の想い人である。

 

「あら?徹くんまた来てくれたのね」

「どうも、ご無沙汰してます」

 

病室に新たに入って来たのは彼女の母親である、徹は何度もここに来ているので顔なじみである。

 

「いつも来てくれてありがとね、きっとこの子も喜んでくれてるわ」

「だといいですけど、前よりも反応が無くなってますね……」

 

以前はこちらの言葉にも多少なりとも反応があったのだが今ではそれは一切と言っていいほど見られない。

 

「……徹くんには悪いのだけど、彼女の負担を減らすためにも安楽死も考えてるの」

 

この時代の日本では既に積極的安楽死は合法化されている、なので積極的安楽死を選んだとしても犯罪になる事はない。

 

「……それも一つの決断でしょう、僕の事は気にしなくていいですし」

「本当は貴方の意見も聞きたかったのだけど」

「僕のですか?僕に口出しする権利はありませんよ」

 

徹にとってこれは純粋な疑問だった、なぜ彼ら家族の問題に自分が口出しなどできるだろうか。その理由は程なく彼女の口から知らされた。

 

「……この子ね、家で貴方との事を嬉しそうに話してたのよ」

「え?そうなんですか?」

「そう、昔はそんなに明るい子じゃなかったのにね。とっても楽しそうにその日の事を話してくれたの」

 

徹はその時、どおりで初めて会った時もこちらの事について詳しかったわけだ、と納得していた。

 

「私達は本当にその事に感謝してるの、だから貴方の意見も聞いておきたくてね」

「……僕も賛成です、これ以上彼女の苦しそうな姿は見たく無いので」

「そうね……だったらその方向で話を進めるわ、毎回ありがとう」

「いえ、僕に出来るのはこれくらいですし、また来ますよ」

「あら、もう帰るの?」

「はい、そろそろ戻ります、……じゃあね華菜」

 

もちろん彼女からの返事は無く、彼はその病室から出る。

 

 

 

(僕の持つ強さの意味か……)

 

彼は悩んでいた自分の持つ強さの意味を再確認する。

 

(そうだ、元はと言えば彼女みたいな人を生み出さないため、そのために力が欲しかった)

 

もう二度と自分のように悲しみを持つ人間を増やさないためにも彼は銃を取る。

 

(だったら今の一成はどうだ?)

 

身を犠牲にしてまで学園を守ろうとする姿、彼の過去を考えればわかる気もするがそれでも気負い過ぎである。

 

(彼がいなくなれば皆……特に香織が悲しむだろうね)

 

そのための力は今自分は持っているはず、だが自分だけでは状況を打開出来ないのも事実。

 

(だが、一人で戦う事だけが強さなのではない)

 

少年は親友達を悲しみの道に進ませないために、行動を開始するのであった。




夏休みなのにコメディではなかった、なんとなくシリアル風味です。
合宿の時に徹が呟いた女性は彼女です、この辺りに大事なワードがあったり。
会長の事を掘り下げねばならん。
今後について活動報告上げておくので見ておいて下さい。
また次回(・ω・)ノシ
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