Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
ではどうぞ
「はい、二人共そこまでよ」
健人の一撃が決まり、そこで京花は試合を止めた。
「痛えなぁ、やってくれるじゃねえか」
「おっ、落ちて無くてなによりだ」
「だったら死ぬだろが……」
かなり強い衝撃だったが、特に怪我などは無く制服が汚れている程度だった。私情の試合だったのでお互い抑制していたのもあるが、この学園の制服が対魔法使用であることも起因している。
私闘が少なくないこの学園では、試合による負傷を防ぐためにこのようなご都合主義な制服にしてあるのだ。
「おい、そんな適当な説明でいいのか⁈」
「あなた誰に言ってるの?」
地の文に突っ込むな。しかし、守ってくれるのは制服の部分だけである。その証拠にレイノルズの後頭部にこぶが出来ていた。
「いや……なんで後頭部?」
「お前に吹っ飛ばされたときに柵にぶつけたんだよ」
後頭部をさすりながらそう答える、とても痛そうだ。
「それは学校に悪いことをしたな、柵は大丈夫か?」
「俺よりそっちの心配⁈」
「元はというと、あなたがここで勝負を挑んだからじゃない?」
「……なんかごめんなさい」
完全論破されたレイノルズは心が折れかけたが、めげずに続ける。
「結局一撃かすらせるしか出来なかったなあ。もっといいとこまでいけると思ったが……」
「それって彼に勝てる気は無かったように聞こえるけど?」
「別に勝つ気はなかったぜ」
京花が質問すると、彼はなんでもないように答える。
「今回の目的は学年トップの実力調べることだったからな」
「へぇ、ただの馬鹿じゃなかったんだな」
「そろそろ俺泣くよ?さっきから扱い酷いよな?」
打つ事は得意でも打たれる事には弱いのだろうか。すでにもう涙目になっている気がする。
「弱点を知るいい機会にもなったけどな……」
「お前は戦い方が真っ直ぐすぎるな。搦め手み使う相手だったら、即詰みだろうよ」
「身に染みたよ……」
ガクッとうなだれるレイノルズ。搦め手にも対応出来るようになれば彼は今よりもっと強くなれるだろう、と健人は思っていた。しかし、それは自分で乗り越えるべきと考え彼はなにも言わない。
「3年の成果、見せてもらったわ。口ばかりじゃなかったのね」
「だから首席だって事で証明できてるだろ?」
「私自分の目で見た事だけを信用する主義なの」
「減らず口も相変わらずだな」
なにやら再び二人だけの空間ができているような気がする。レイノルズの存在がまた忘れ去られる前に、彼は言った。
「お前らって付き合ってんのか?」
『いや、ただの幼馴染だけど?』
「ああ……そうですか」
彼の直球の質問にも、二人は顔色を変えずしかし、揃ってそう返してきたのでレイノルズは呆れてこう答えるしかなかった。
「俺もう帰るわ……」
「ん?一緒に帰らねえか?」
「いや、いい。『幼馴染』だけでごゆっくり……」
彼は幼馴染を強調しながらそう言い、帰って行った。これを読んでる皆さんには彼の心中を察していただきたい。
もちろん、当人達にはわからず二人して首を傾げていた。
「どうしたんだろうな?あいつ……」
「勝つ気は無いとか言ってたけど、やっぱり少しはショックだったんでしょ」
「そうかな……?それじゃ帰るか」
「そうね、途中まで道一緒だし」
道が一緒というのは、彼らの家が近いからというわけでは無い。
この学園は全寮制だからである。おそらく理由は貴重な魔法士に危険があってはならない、というところであろう。
「ところで、首席さんは筆記試験は何位だったの?」
なぜこんな質問が出来るか、それはこの学園の合格通知には実技・筆記の試験の順位が記載されているからである。大半の生徒からしてみると余計なお世話だろうが、学園としてはより上を目指して欲しい、という旨が書かれている。余計なお世話だ。
「2位だったな……両方1位をとりたかったがな」
「へぇ、勉強の方も頑張ってたんだ?」
「おれの能力は自分でどれだけ把握できているかが鍵だからな……」
「昔とは本当に違うのね、ちなみに私実技10位で筆記1位」
「さっきの話で納得できるな……」
さすがは勉学でお貴族家族を黙らせた人物である。この学園の試験も満点だと言うから恐ろしい。
「これならもう一つの『約束』も守ってくれそうね」
「お前がそういう状況になったらな」
「無いとは言えないと思うけど?」
「はいはい…………」
そういうやり取りをしながら二人は帰路についた。
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「しっかし、この学園の寮金かかってるよな……」
健人は入学式前から寮に移っていたためどの様な部屋なのかを知っている。
まずリビングがある、これは普通だ。そして別に寝室がある。あってもおかしくないのかもしれないが、それが二つあるこれは明らかにおかしい。そして各部屋にキッチンとユニットバス完備という、その辺のアパートよりも明らかに立派である。しかし食堂は無く、各自で自炊しなくてはならない。面倒見がいいのかそうで無いのか、微妙である。男女別なのは言うまでもない。
「ま、自炊出来るなら最高の部屋だけどな」
できる男というのはどこまでも出来るのであろうか、腹の立つ話である。
「青柳、ちょっといいか」
男子寮の寮長である、剛田 鉄扇《ごうだ てっせん》に呼ばれる。
「はい、何でしょうか」
「知っているとは思うが、今日お前の部屋に引っ越して来る奴がいる。荷物は先に来ていただろう?そいつを手伝ってやれ」
「はい、了解であります寮長殿」
「その言い方は今後やめろ」
はい、と返事しながら健人は自分の部屋へと戻っていく。すると、部屋の前には件の引っ越し生徒と思しき人物がいた。
「今日入寮して来る奴はお前か?」
「ん?そうだけど……君がこの部屋の人かい?」
「ああそうだが……お互いの自己紹介は部屋に入ってからにしよう」
そう言って、二人は部屋へと入っていった。
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「それじゃ自己紹介だ。おれは青柳 健人、まあ知っているだろ?」
「あんな発言されてはね。私はブレイム・ゴードン ドイツの留学生だ。今から荷物を移動させるけど手伝いは……」
「もちろん手伝うぜ」
「無用だよ……と言おうと思っていたが、手伝ってくれるなら頼むよ」
「これから一緒に住むことになるんだ。遠慮すんなよ」
そう言って彼らは荷物運びを始めた。
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荷物運びが終わると時間帯は夜になっており、外は暗くなっていた。
「終わったなぁ……」
「手伝ってくれてありがとう、青柳君」
「名前でいいぜ」
「こういう性格でしてね夕食は私が作りますよ、何かあるかな?」
「引っ越しそば以外で」
そういうやり取りをしながら、忙しかった一日は更けていった……。
はい、タイトル詐欺の回でした。
健「ほとんど出てきてなかったぜ……ブレイム」
ごめんなさいm(_ _)mブレイム君
健「ところで何でおれが後書きに?」
軽い設定紹介かな?それがこちら。
青柳 健人《あおやぎ けんと》
所持ユニット:長剣
所持能力:氷と冷気を操る能力・身体能力変化能力
健「これだけか?」
性格などは、読んでいって皆さんで掴んでいって下さい。また次回!