Wizars World 《ウィザーズ ワールド》 作:ダンケ侍
4月9日の朝、まだ生徒達が登校しないはずの時間。そんな時間に、屋上の柵に座り校門を眺める女子生徒が1人いた。
「誰か1年来ないかな〜、早く来ないかな〜」
なにやら1年生を待っている様子である。すると、こんな時間にも関わらず一人の男子生徒が登校して来た。校章を見ると(かなり目がいいようだ)その色は青。
この学園の学年の見分け方は校章を見るとわかる。1年は青、2年が赤、3年が緑である。
「見ぃつけたぁ♪」
嬉しげにそう言うと、柵を蹴りその男子生徒にめがけて飛翔する。
「あんたは、直ぐに潰れたりしないでよね!」
かなり物騒な事をいいながら…………。
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4月9日 AM6:30
銀色の短くも長くもない髪に、眼鏡をかけた男、ブレイム・ゴードンは既に目を覚ましており、寮内にある共用ランドリーにて洗濯をしていた。
(昨日のお礼に彼の服を洗っておいてあげようか)
昨日もそう言って彼は夕食にドイツの郷土料理、シュニッツェルと呼ばれる子牛のカツレツとザワークラウトと呼ばれるキャベツの漬物を振る舞っていた。これを食べた健人は、「お前店を出せ」、と言ったとか何とか。
(洗い終わるまで朝食でも作ろうか……)
もはや専業主夫なドイツ留学生だった。
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健人が起きた後二人は朝食にする事にした。やはり、用意したのはブレイムでテーブルには食パンと焼いたソーセージ(ドイツではヴルストと呼ぶらしい)と簡単なサラダが並んでいた。
「……お前ここまでしてもらわなくても……」
「朝に栄養を摂るのは大切だよ。僕はそう言われてきた」
「……昨日と一人称違くね?」
「昨日は初対面だったからさ、こっちの方が素だよ」
そういいながら朝食を食べていく。
「やっぱお前店を出せ」
「調理師免許持ってないよ」
くだらないやり取りをしつつ……。
朝食を食べ終わり、洗濯物をベランダに干した(乾燥機があったがブレイムが全力で拒否していた)二人は少々早いが学校に行くことにした。
朝のHRが8:50分、彼らがでたのは7:45分、少々どころではなかった……。
「お前のユニットはそのブレスレットか?」
「ん?あ、ああこれが僕のユニットだよ」
「装飾型はいいねぇ、武器型は重くて仕方ない」
「う、うんいちいち戻す必要がないから楽でいいよ」
言葉を詰まらせながら話すブレイムに疑問をもったが、気にする事無く歩いていく。
女子寮の前を通過すると、(男子寮より女子寮の方が校舎に近いのである)彼の幼馴染が前を歩いていた。
「お〜い、京花!随分と朝早いな」
「あら?おはよう、健人。それと……」
「初めまして、私はブレイム・ゴードンよろしく」
「私は井上 京花よ、よろしく。それと、そんなにかたくならないでもらえる?」
「そちらがそう言うのなら楽にさせてもらうよ」
そう軽い自己紹介をしながら三人は校舎へと向かって歩き出す。すると、校舎に近づくにつれて三人は違和感を感じていた。
「なあ、今日こんな風強かったか?」
「いつもと変わらないくらいだったけど……」
「というか、校舎に近づくにつれて強くなってないかい?」
そう、風の強さは校舎に近づくにつれて強くなっているのだ。
「一体なん…………」
なんだ、と続けたかったが目の前の光景に唖然とした。校舎に続く校庭に、風と炎が舞っていたからである。
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彼らが言葉を失う数十分前、レイノルズ・マッケイは校庭を歩いていた。
「なんか、早く目が覚めちまったなぁ。校舎散策といきましょうかね」
そんな呑気なことを考えながら歩く。そして何気無く上を見て見ると、一人の少女が風を纏いながらこちらに落下してきていた。
「いや、なんでだぁぁぁぁぁぁ!」
彼の目の前にその少女が墜落(客観視すると墜落にしか見えない)する。砂煙が晴れると、緑色の髪色をしたポニーテールの2年----校章が赤色だった----が立っていた。
「お、おい大丈夫か?」
「ねぇ?…………」
レイノルズの言葉を無視して、少女は続ける。
「あんたは……強い?」
手のひらに風の弾を生み出しながら聞いてきた。
「な…………⁈」
「楽しませてくれるよねえ⁈」
「やべっ……ユニット、ON!」
彼女の手から風の砲弾が放たれる、ギリギリでユニット展開をした彼は炎を付加した槍で迎撃する。
「へぇ〜、反応速度は合格かな」
「なにしやがるてめえ!」
「新入生の実力調査かな。ほら!どんどんいくよ!」
「ええい!くそ!」
このままでは会話が通じないと考えた彼は、一旦距離をとり現状把握をする。
(あいつは武器らしきものを持ってない。なら接近戦を仕掛ければ…………いけるか?)
そう考えるレイノルズ。しかし、相手の少女は……突撃して来る。
「へっ⁈」
思わず変な声を出してしまう。
「これはどう?風衝破《ふうしょうは》!」
両手から生まれる竜巻が彼を襲う。
「ぐあぁっ!」
攻撃をもろに受けてしまい、風に切り刻まれてしまう。
「装飾型だから接近戦は出来ない、そんな常識は今すぐ棄ててきなさい」
「……昨日、今日でいろんなことを学ぶなぁ」
レイノルズは立ち上がり、再び槍を構える。
「だけどな……真っ正面からのぶつかり合いなら……簡単には負けねえぞ!」
いきなり襲われたりしたので、彼は考えることをやめた。
「いいねぇ!その気迫!もっと見せてみなさい!」
「ああ!いくぜ!《フレイジング・ドライブ》!」
彼は先ほどよりもより強い燃える炎を槍に纏わせ突進する。
「あはっ♪いい攻撃じゃない!こんなに楽しいのは久しぶりよ!もっとわたしを楽しませてよね!」
風を操り彼の攻撃を受け止めながら言う。そして再び風の攻撃をぶつけるが、彼は炎の槍で応戦する。軽く暴走している彼女は、一つの嵐の様に見えた。
「なんじゃこりゃあ!」
二人が戦っていると、第三者、青柳 健人が現状を見て驚いていた。
「 レイノルズ、お前なにやってんの⁈」
「通り魔退治だ!」
「どういう事だ!まるで意味がわからんぞ!」
状況がわからない彼にそんな事を言っても伝わる訳がなく、疑問は解決されなかった。
「どうなってるの?これ……」
「これが星皇学園なのか……」
残り二人もまるでわけが分からないよ、といった顔をしていた。
「そろそろ終わりにしようぜ!他の生徒が来る前にさ!」
「いやだね!こんなに楽しい事を終わらせるなんて----」
「そこまでだ!二人共!」
戦っていた二人の間に銃弾が撃ち込まれる。
「何だぁ⁈」
「ちぇっ、もうお仕舞いか……」
驚くレイノルズとは対照的に、落ち着いている少女。彼女は誰が来たかわかっているようだった。
「徹先ぱーい、校庭での試合は許可されてますよ〜」
「それでも君はやり過ぎだ咲良、周りにまで影響が出ている」
それに、と徹と呼ばれた黒色長髪の青年は続ける。
「君はなにをやったのかな?」
「通り魔ですけど?」
「こいつ認めた⁈」
何でもないように答える少女に驚愕するレイノルズ。徹と呼ばれた青年はため息をつきながらこちらに歩み寄る。
「こちらの部下が迷惑をかけて済まない。僕は風紀委員長の高梨 徹《たかなし とおる》だ」
「風紀委員長、ですか……って部下ぁ⁈」
「ああ、彼女は……」
「一応風紀委員をしております、皆川 咲良《みなかわ さくら》でっす。よろしくね」
「もうよろしくされたくねぇ……」
あんな事はこりごりだ、と言わんばかりにレイノルズは肩をすくめる。そして徹が話を続ける。
「後ろの三人も済まなかったね」
「いや、おれたちは別に……」
「ちゃんとこの部下にはお仕置きをしておくよ」
「ええ〜勘弁して下さ〜い」
「見事に反省して無いわね」
京花が苦笑しながらそう言う。
「反省文だけで許してやるから……早くこい!」
「はぁ〜い、ところで何枚です?」
「なに、百枚程度で許してやろう」
「委員長の鬼〜」
そんなやり取りをしながら風紀委員コンビはこの場から去って行った。ややあって健人はレイノルズに話しかける。
「災難だったな……」
「全くだよ……」
校庭には、ちらほら登校して来る生徒が増えてきていた。
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「で?彼はどうだったんだ?」
咲良を引きずりながら徹が聞く。
「どう、とは?」
「君があんな楽しい顔をするのは久しぶりに見たからね」
「わたしと真っ正面から戦える人ってあんまりいないんでね〜、はしゃいでしまいました」
はしゃいで校庭に竜巻が出来るのだから勘弁して欲しいものである。
「彼が気に入ったかい?」
「はぁい♪とってもね……」
彼女はとても楽しげに、しかし目を鋭くしながら答える。
(彼には犠牲になってもらおうかな……)
徹はそんなひどいことを考えていた。
風紀委員初登場でした。むしろ風紀乱してますが……
レ「今回は俺か」
主人公より早く二戦目を行ったレイノルズ君です。
レ「紹介するのは能力と武器だけなんだがな」
その設定がこちら
レイノルズ・マッケイ
使用ユニット:十文字槍
使用能力:火炎操作、威力増大魔法
次回もお楽しみに!