塵芥ヒーロー列伝?   作:黒津

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第一話・コネクト=プリキュア

そこには誰もいなかった。

アスファルトの道路にコンクリートの建物。

そこに生きる人々がいれば普通の街並みだ。

だが、そこには誰もいなかった。

いや……2つだけ、生きているものがいた。

一方はファンシー、という言葉が似合いそうな小動物。

もう一方はヒーロー、という言葉が似合う格好の人物。

ただし、小動物に武器を向けている姿をヒーローと呼ぶのなら。

 

「くきゅぅー、くきゅぅー」

 

小動物は血塗れの姿で『ヒーロー』に呼びかける。

しかし、ヒーローはヒールのごとく……

 

「まだだ、まだ足りない……」

 

返り血を浴びたヒーローは一人の男に姿を変えて闇夜に消える。

 

 

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                コネクト=プリキュア

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朝、新しい民家の自室で少女は座っていた。

目の前にあるのは、少女の持ち物にしては重そうな位牌である。

 

「父さん、今日も頑張ってくるね」

 

パンっ、と手を合わせた少女はカバンを手に取り、一階の食堂へ向かう。

 

「おはよう、母さん、パパ!」

 

食堂には優しそうな青年とエプロン姿の女性がいた。

青年のほうは食事を終えたのか既にコーヒーカップを傾けている。

 

「おはよう、ミライ」

「今日も元気だね、ミライは」

 

明日原未来(アスハラミライ)、今日も彼女の一日がはじまる。

 

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「行ってきまーす!!」

「行ってらっしゃい」

 

今日も元気に家を出る娘に微笑んで見送る両親。

しかし、父親の心の中は複雑だった。

 

「僕はまだ『パパ』なのか……」

「サクヤさん……」

 

明日原家は一度、父親を亡くしている。

今の明日原の大黒柱は娘とは何の繋がりもないのだ。

 

「あの子は位牌を自分の部屋から出さないようだね。やっぱり僕は父親として認めてもらえないんだろうか……」

「大丈夫よ、サクヤさん。いつか、きっと……」

「キョウコ……うん、そうだね」

 

いつか、彼女の本当の父になるために。

いつか、本当の家族になることを信じて。

明日原今日子(アスハラキョウコ)、明日原咲冶(アスハラサクヤ)の一日もはじまる。

 

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「ツムグーっ、ごめーんっ!!」

 

閑静な住宅街に響く叫び声。

ミライが友達と合流したのは家を出て大分経ってのことだった。

 

「まったく、アンタまた人助けしてたの?」

「いやぁ、お婆ちゃんがすっごい荷物を……」

「はいはい、アンタの正義っぷりは分かってるわよ」

 

一本道紡(イッポンミチツムグ)、警備員を父に持つ彼女は自分の友人に父と近いものを感じていた。

彼女の人助けは今にはじまった事じゃない。

ひどい時は遅刻をしても誰かを助けるのだ。

家が近い彼女と登校するようになってからはマシになったものの、合流する前に人を助けるから遅刻寸前なのが現状である。

 

「まったく……いい加減にしてほしいわね?」

「ごめん、でも父さんのクセだから」

「あ、ごめ……」

「いいよ、これでも父さんのことは誇りに思ってるから」

 

明日原一作(アスハライッサク)、ミライの父親。

NSAS(ニホンスーツアクタースタジオ)の元エースだった男。

『ハイパー部隊』シリーズの主役枠、ファーストを担当していた。

しかし、彼の正義感は仕事で演じるだけでなく、実生活にもあった。

 

「よし、今日も頑張るぞー!!」

「そうね、頑張って居眠りだけはやめなさい」

 

明日原未来の正義は真面目な学生態度に繋がってなかった。

 

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「……ったく、頭が痛い」

 

公園のベンチで男は寝転がって呟いた。

片手にある財布の中身は軽い……だが、それ以上に頭の痛いことがあった。

しかし、男はグッと手を握り締める。

 

「誰かがやらなきゃならんよな」

 

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「あー、今日も終わったー!」

「さっきまで寝てただけあって清々しい声ね?」

 

ミライの声とは逆にツムグの声は重い。

何か凄い真剣に頼まれたのだ、先生から、ミライのことを。

だが正直に言って勘弁して欲しい。

興味のない事は極端にやる気のない彼女。

そんな彼女は興味のあることに全力を尽くすのだ。

それこそ、尽くしすぎて常にバッテリー不足だから授業中に眠るほどに……

 

「……っていないし」

「ツムグーっ、こっちこっちーっ!!」

「アンタ、どこ行って……なにこれ?」

 

ミライの足元にいたのはファンシー、という言葉が似合いそうな小動物だった。

ミライに向いて鳴いているのを見る限り、ぬいぐるみではなさそうだ。

 

「くきゅぅー、くきゅぅー」

「はっ、これはもしや!?」

「知ってるの、ミライ?」

「セイントファイターのセイントパートナー!!」

 

Q:セイントファイターとは?

A:アクションヒロインアニメ

 

「……んなわけないでしょ」

「でもでもでもー!!」

 

たしかに、こんなファンシーな小動物に心当たりはない。

だからって、そんなモンが現実にいるわけがない。

 

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「おい、ガキんちょ……」

 

結局、ミライが小動物の面倒を見ることになった。

そしてツムグと別れた時に、男は現れた。

黒い髪、黒い瞳、ダークブルーのジャケット。

とにかく暗いとしか言いようがない男だ。

ぶっちゃけ、不審人物と言っても正解っぽい男だ。

 

「え、あ……なん、ですか?」

「お前、さっき動物を拾っただろ?」

 

それを知っているなんてストーカー?

ミライの不安など知らずに男は話を進める。

 

「その動物、俺に渡してもらおうか?」

「な、この子を……どうするつもり?」

「詳しくは言えない。だが、どうしても渡してもらいたい」

 

ジリジリと詰め寄る暗い男。

 

「きゃーっ、痴漢よーっ、変態よーっ!!」

「……ったく、面倒な」

 

少女の叫び声で男は姿を消す。

叫んだのは別れたばかりのツムグだった。

 

「アンタ、こういう時には助けを呼びなさいよ!」

「ツムグ、どうして?」

「ペット大百科、古いのだけど持ってきたのよ」

「あ、ありがとう」

 

足元にいる動物を見る二人。

あの男はなぜ、この子を狙ったのだろう?

 

「ひょっとして凄い高級ペットとか?」

「うーん、どうなんだろ?」

 

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ツムグの声を聞いてやって来た警官。

その話を聞いて大騒ぎした家族と話を終え、ミライがベッドに入ったのは深夜だった。

 

「今日は大変だったなー」

「くきゅ?」

「キミって……何なん……」

 

 

 

明日原未来(アスハラミライ)、いつもと違った彼女の一日はこうして幕を閉じた。




プリキュアが出なかったでござる
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