この子達は自分達に笑いかけてくれた。
よそ者であるはずの自分達を慰めてくれた。
だからこそ願った、この小さな命に幸あれ、と。
しかし、その願いは叶わなかった。
彼らの願いをよそに、奴らはこの子達の力を利用することを考えていた。
だから、同じ人間でありながら彼らと奴らは戦った。
彼らは妖精の国に伝わる力を使い
奴らは妖精の中に眠る力を利用し
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「ぐぎゅああああああああああっ!!」
「おうおう、元気のいい事だ……」
ゴーストタウンになった商店街でそれは叫んだ。
5メートルは確実に超えるだろう、その巨体。
見るものによっては『リス』とも『ウサギ』とも表現できるだろう。
こんな巨大で凶悪なリスやウサギがいるかどうかは別として。
そして巨体、ファンシーマの前には黒い戦士、ディオバレルがいた。
「なんだか怖いでねるー」
「我慢してくれ、いつも通りに戦うしかないんだ」
いつも通りに戦い、いつも通りに始末する。
ディオバレルには、それしか選択肢がなかった。
しかし、今回ばかりは彼にも疑問がある。
(今さっき凶暴化したのにファンシーガ級じゃないか?)
凶暴化したファンシーマは時間が経てばファンシーガへ更に凶暴化する。
このファンシーマはどう見てもファンシーガ並みになっているのだ。
だが、ここで退くわけにもいかない。
ディオバレルは腰のカードケースからカードを取り出す。
ネルルと携帯電話が変化した銃、ネルバレラーで読み取るためだ。
「バレルコネクト・トゥーハンド!」
カードの力で分裂するネルバレラー。
今、ゴースト商店街は戦場となる。
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「はぁっ、はぁっ、ここまで、来れば……」
「ちょっと、ミライ、早すぎ……」
息を切らせて走る少女二人、これだけ真剣に走ったのは体育祭のリレーくらいだろうか?
「だらしないでく……ぎゅぎゅぎゅ!」
「アンタ、それ人に引っ張られといての言葉?」
「ツムグ、それ以上いけない」
びよーん、と伸びるクルルの頬。
もうツムグも自分で何をやっているのか分からない状態だ。
「……で結局アンタたちはなんなのよ?」
ようやく落ち着きを取り戻したツムグは妖精たちに問いかける。
騒ぎの中心地にいたのにも関わらず、なにも知らないのだ。
「僕たちも全部を知っているわけじゃないコル」
「でもわかることははなしてもいいくるよ?」
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妖精の国、コネクティア王国。
様々な世界と繋がり、様々な妖精が幸せに暮らす世界。
しかし、その中でもっとも純粋な妖精のファンシーマが行方不明になった。
伝説の守護者、ガルディオと伝説の妖精であるコルル、ネルル、クルルは行方不明になった妖精が人間の国にいることを突き止め、それを追ってきたのだ。
「へー、あのネクラっぽいのが伝説ね……」
「ツムグ、ちょっと言い方悪くない?」
「だって伝説でしょ、心配して損しちゃったじゃない?」
たしかに、あの巨大な敵を相手にするとなると……
しかし、戦うのは伝説の守護者なのだ。
しばらくすれば戦いも終わる。
そんなはずだった。
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「もう30分は過ぎてるわよね?」
「時計が動いてないから分からないけど、それくらいかな?」
商店街のあった場所では未だに戦いの音が聞こえる。
このゴーストタウンが伝説の守護者の仕業なら、解放されるのはまだまだ先のようだ。
そんな中、妖精はそわそわとしている。
「信じられないくらい強いコル」
「……ちょっと、どういうこと?」
「モリヒトはどんなに時間がかかっても30分で決着をつけたコル!」
「これいじょうはきけんくるー!」
自分に手を引かれていたお気楽生物のクセに?
この表情はそれを思わせない表情だった。
「これ以上戦うとどうなるの?」
「これ以上戦うと変身が解けるコル」
「へんしんがとけると、このせかいももとのせかいにもどるくる!」
「元の世界……って、それじゃ!!」
「倒せなかったファンシーマも……元の世界に」
爆発音は止まらないままだ。
いや、むしろ逃げていた時より激しく感じる。
「いつも、そんなギリギリで戦っているの?」
「今度のファンシーマがすごく強いコル」
「ファンシーマのつよさはやどぬしのこころのつよさくるー」
「宿主って……私!?」
ファンシーマは純真な妖精の国の住人である。
しかし人間の国の汚れはファンシーマを凶暴化させる。
そして、その力の強弱は面倒を見た人間、宿主に左右される。
「バカ言わないで!ミライは汚れてなんかないわ!」
「ぐりゅりゅりゅ~!」
「ツムグ、落ち着いて!」
「悪い考えだけが汚れじゃないコル」
「悪い考えだけじゃない……そうだ、力が欲しかった」
「……ミライ?」
それは少し前だったか、大分前だったかは覚えていない。
しかし、父が死んだ後の冬だったのは分かる。
母が泣いていたのだ。
なにが切っ掛けだったかは分からない。
冬の景色がそうさせたのかもしれない。
ただ、位牌の前で母が泣いていたのだ。
それからだ、位牌を自分の荷物としたのは。
それからだ、自分の人助けが今まで以上に多くなったのは。
「あれが、私の心……っ!!」
「ミライ、待ちなさい!?」
「クルル、ツムグを頼むコル!」
「ぐりゅー……」
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「バレルコネクト・マグナム『オーバードロー』」
読み込んだカードが炎をあげて燃え尽きる。
基本、カードは使い切るものではない。
しかし、カードに含まれる全ての力を解放することにより一回で燃え尽きるのだ。
そして、その代償に得られるのは強大な力。
青年の腕に収まる程度の装飾銃は戦車砲に匹敵する凶器となる。
しかし、それでもファンシーマは止まらなかった。
「単純な力押しじゃ倒せないな、コイツは」
「もう、残り時間が15分しかないねる!」
「残ってるカードは?」
「コール、ループ、ライドの3枚だけねる……」
通信、空間制御、戦闘補助……攻撃的なカードは使い切った。
しかし、それだけあれば充分だ。
ディオバレルは3枚のカードを取り出す。
「ネルル、ここでさよならだ」
「……イヤだねる!!」
「変身を含めた4枚のオーバードローによる自爆攻撃しか方法はない」
「ほかの方法を探すでねる!!」
「ないよ、今の俺たちには」
いや、一つだけ方法がある。
敵は物理的な攻撃で倒すことは出来ない。
なら、物理的でない攻撃を使えばいい。
しかし、それは『ガルディオ』の分野ではなかった。
伝説の戦士は3人いる。
浄化の乙女、守護の戦士、踏破の勇士
今、この状況を打ち破れるのは浄化の力しかない。
しかし、ディオバレルにその力はないのだ。
「行け、新しい3人を見つけるんだ!」
「イヤねる、イヤねる、イヤだねるー!!」
互いに大切だから意見の食い違う一人と一匹。
しかし、その敵は無情にも近付いていった。
「ぐぎゅああああああああああっ!!」
「……ったく、ここで終わりか」
「待ちなさあああああい!!」
「……は?」
もうプリキュアじゃなくてよくね?