問題児? 失礼な、俺は常識人だ   作:怜哉

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うーん...。中々なカオスになってきたぞぅ。


ハイスクールDxD ②
人外魔境・京都


 

 

 

 

 

 

「へぇ、ここが異世界なんだぁ。...あんまり異世界感はないわね」

「そうですね」

「ああ。俺達の目の前にはぐれ悪魔がたむろってはいるが、まあ悪魔なんて最早日常茶飯事だよな。心臓オイテケ」

 

そんな各々の感想を言い合いながら、俺達はタイムマシン擬きから降りる。

タイムマシン擬きに乗って時空の狭間の様な空間を漂うこと数分。俺達は目的地である世界へと到着していた。今回は振り落とされる事は無かった。

 

俺達が降り立ったのは半廃墟と化した教会。最早神の加護など受けていない山の中にひっそりと建つこの教会は、はぐれ悪魔などにとっては良い住処なのだろう。まあ今は俺達“ファミリア”の支部となっているので、不法侵入者は情け容赦無く消えて貰うが。

その点で言えば、聖人を2人も連れてきたのは正解だったのかもしれない。三蔵の有難い(笑)お経を聞いたはぐれ悪魔達は、頭を抱えながら次々と消滅していく。

 

そんな感じで軽く10体は居たはぐれ悪魔を文字通り消し、俺達は教会を出る。三蔵がせっせとお経を唱えている間、ジャンヌが倒れてしまっていた教会の像を立て直し、更にその像と安置場の掃除をしていたのだが気にしない。

 

「それでリョータ。その腕どうやって治すの?魔術、効かないんでしょ?」

 

整備された山道を抜けて街道に出た辺りで、三蔵がそう聞いてくる。どうでもいいが、今の時間は恐らく夜明け前だ。そのまだ暗い時間帯に、いや、もう時間帯とか関係なく、三蔵とジャンヌの格好は職質されるレベルなのではないだろうか。霊体化させるか、もしくは服を買わないとなぁ。流石に国家権力を相手取るのは面倒だぞ。戦力的とかの問題ではなく。

 

「魔術は効かないけど薬は効く。要するに体内から効く系のものなら、多分俺達カンピオーネにも効果はあると思うんだ。実際、パラケルススの怪しげな薬は効果があったしな」

 

まあパラケルススの薬も、破壊され尽くされた筋細胞と神経類の回復の手助けをしただけで、完治はおろか腕もくっつかなかったんだけど。

それを聞いた2人は分かった様な分かっていない様な表情を浮かべた。

ふむ、やはり口で説明するより見せた方が早い気がする。

 

 

 

 

「という訳だからフェニックスの涙をくれ」

「ごめんなさい、一切話が見えないわ」

「いいから出せ。ほら、魔王の妹とかいう重要ポストなんだからいいもん持ってんだろ?」

「...ヤンキーのカツアゲ現場...?」

 

少々悪ふざけを入れながら、目の前の紅髪と白髪の少女──リアス・グレモリーと塔城小猫と久しぶりに顔を合わせる。

 

現在地は駒王学園旧校舎2階のオカルト研究部部室。東からやっと太陽が昇り始め、周りが明るくなってきた頃。警察等に見つかる事無く街中を歩き、10分程度でこの場所に到着した。道中、なんか超魔術的術式云々で生き返ったらしいフリードっぽい物体を軽く一撃で物言わぬ灰に変えた、という出来事があったが些細な事だろう。超魔術的術式ってのは若干気になったが、フリードの理性が完全に蒸発していたのを見る限り、確実にロクなものでは無いと予想できる。

 

「というか、よくこんな時間に部室に居たな。なに、お前らの家ってここなの?」

「そんな訳が無いでしょう。私も子猫も仕事帰りよ」

「ん」

 

仕事...。ああ、あの民間人に悪魔召喚させてその召喚者の言う事を聞くってやつか。それがこんな朝帰りみたいな時間まで続いてるとかなんかエr...いえなんでもありません。

 

「そういやイッセー達は?駒王町には居ないっぽいけど」

「ああ、イッセー達は今京都に行ってるわ。2年生は昨日から修学旅行なのよ」

「マジか」

 

だからイッセー達はいないのか。暇そうなら対魔術王戦に連れていこうと思ってたんだけどなぁ。ま、いないのならしょうがない。2年組抜きでもグレモリー眷属なら十分な戦力になるだろ、きっと。それよりも、だ。

 

「とりあえず、フェニックスの涙くんね?見ての通り、左腕が斬り落とされてな」

「...やっぱりそれは見間違いとかじゃ無かったのね。いいわ。契約上、一応は仲間らしいし、フェニックスの涙をあげましょう......と、言いたいところだけれど」

「今は無いよ、フェニックスの涙。念のためにって、イッセー先輩達が残りの2個を持っていったから」

「マジでか」

 

曰く。最近、『禍の団(カオス・ブリゲード)』なるテロ組織の過激派が目立って暴れ出したらしく、全世界的にフェニックスの涙の需要が急上昇しているのだとか。で、赤龍帝というものは強者や戦いを引き寄せやすい性質がある上に、イッセーは各方面から注目されているらしいので、もし襲われた時の為にと持って行ったらしい。アーシアもいるというのにフェニックスの涙まで持って行ったのかアイツ。

というか『禍の団』ってなんだ。邪魔するなら潰してやろうか。無限の龍神がなんぼのもんじゃい。

 

「どうしますか?」

 

まだ見ぬテロリスト集団との正面衝突まで考えが至っていた時、ジャンヌが口を開く。そうだ、俺は別にテロ撲滅に来た訳じゃない。そこら辺はイッセーがどうにかするだろ。アイツならいつか龍神の域に達しそうだし。

 

「...京都に行く、しかないかなぁ。ちなみに聞くけど、新しいフェニックスの涙を入手するとしたらどれくらいの時間がかかる?」

「ざっと4ヶ月といったところかしら。いくら優遇してもらったとしても、1ヶ月が限界ね。それ位需要が高まってるのよ」

 

1ヶ月は流石に待てないよな。最終決戦に遅れるとか、そんな次元じゃないぞ。

 

「1ヶ月も待てないし、京都に行きましょうよ!アタシ、ちょっと興味あるかも!京都ってあれでしょ?お寺とかたくさんある所でしょ?だったら1度くらい見てみたいわ!」

「旅行気分かコイツ」

 

とは言え、京都に行ってイッセーからフェニックスの涙を貰うのが1番手っ取り早いのも事実。...やっぱりそうするしかないかな。

 

「...仕方ない。じゃあぱぱっとISで飛んで」

「デンシャっていうのに乗りたい!」

「だから旅行気分かお前は。時間がかかるわ。それに仮にもお前三蔵法師だろ。どうせなら徒歩で行くくらいの気概を見せろよ」

「嫌よ!なんで便利なものがあるのに使わないの?あるものは使わなくちゃいけないと思うわ、アタシ!」

「だから電車より便利なISを使ってだな」

「三蔵さん、電車は辞めませんか?距離的に考えても新幹線の方がいいかと」

「お前もかジャンヌェ...」

 

文明の利器に頼り過ぎだろ。いや、電車とかと比べたらISも圧倒的な文明の利器だけれども。

 

「はぁ。京都に行く分には構わないけれど、目立つ行動は謹んでちょうだい。ただでさえ世界中がピリピリしてるんだから」

 

グレモリーの溜め息をききながら、結局は俺が折れて新幹線で京都まで行く事になった。お前ら俺を早く帰らせる為に付いてきたんじゃないの?何故わざわざ時間のかかる移動手段を取ろうとする?と、疑問に思ったが、「シンカンセン!シンカンセン!」と子供の様に目を輝かせている三蔵を見るとそんな事は言えなかった。

...新幹線って、今からでも席は空いているのだろうか?三蔵の喜びようからして、恐らく霊体化して乗るという手段は取りそうにない。全力で新幹線を楽しむ気だろう。何がそんなに楽しみなのか。絶対ISの方が面白いと思うんだけどなぁ。まあそこら辺の感覚は人それぞれだし、強く言う気は無いけど。

兎に角、今日中に東京ー京都間の新幹線3席分の確保。しかも出来るだけ近く、欲を言えば横1列になる席順となると...。もう最悪バラバラでも良いかな。...今日中に着けるといいなぁ。

 

 

 

* * * *

 

 

「トーキョー駅ー!」

「テンション高過ぎ。少しは抑えて」

 

何故か無駄にハイテンションな三蔵を宥めつつ、平日の昼ながら人の多い東京駅に若干嫌気がさす。いや、人混みって疲れるじゃん?

ただでさえ最近は一般人に興味が湧かなくなっているのだ。これだけ多いと人間がゴミの様に見えるのも無理はないのかもしれない。見せてやろうか、神殺しの(いかづち)を。

 

 

まあ、なんだかんだで東京ー京都の新幹線3席の予約は取れた。しかも横一列で。新幹線ってもっと混んでるイメージだったんだけど、案外当日でどうにかなるものなんだな。

 

「ああ、凌太君と久しぶりに会えたと言うのに、もう離れなければならないなんて...。やっぱり私も京都に...」

「ダメよ朱乃。こちらにも仕事があるのだから」

「むぅ...分かっていますわ」

 

何故だか見送りに来たグレモリーと塔城、そして今朝は見なかった姫島。更に今回が初対面となる吸血鬼のギャスパー・ヴラディ。以前は気配しか感じていなかったので、ちゃんと会うのはこれが初めてである。まあ、今もダンボールの中に閉じこもってますけどね。

平日の昼にも関わらず彼女らが学校に行っていないというのは、何も俺達の見送りという訳では無い。いや、それも少しはあるのだろうが。

曰く。『禍の団』ではない組織のテロ行為がグレモリー領付近で発生したらしく、それの鎮圧をしに冥界まで行くのだとか。そのついでに見送りに来たらしい。てかグレモリー領には現魔王が居るんじゃなかったのか?まあ他魔王の詳しい事情に余り興味はないけど。

 

という訳で、結局ダンボール箱から出てこず、声をかけても「ヒェッ...」としか言わなかったギャスパーを除く3人と適当に挨拶を交わし、俺達は新幹線へと乗り込んだ。

 

因みに、今のジャンヌと三蔵はそこらの洋服店で買った服を着込み、武器等もしまっている。流石にあの格好で新幹線に乗せる気は俺には無かった。いや、武器なんて持ってたら駅員か警備員に普通に止められるだろ。

 

ジャンヌは、白を基調とした膝下まであるノースリーブワンピースの上に薄手のパーカー、そして麦わら帽子という、まあ普通に可愛い感じの服装をチョイスしていた。うん、可愛い。文句は何も無い。

 

俺は以前エミヤから支給されたユニ〇ロの長袖Tシャツ&長ズボンである。基本、俺の服装は、最初から持っている学ラン一式とIS学園の制服、そしてこのユニ〇ロセットの着回しである。足りなくなったら現地調達というスタイルだ。俺の服装もまあ、特に問題は無いと思う。

 

問題は三蔵だ。

もうね、アホかと。

 

ジャンヌと三蔵が服を買っている間。俺はタイムマシン擬きの回収と両替をしに、待ち合わせ場所を東京駅と指定して2人と離れていたのだ。

京都からすぐにカルデアへ行く為にタイムマシン擬きを回収し、移動費の入手の為に第7特異点で拾っていた鉱石を鑑定して貰って大金を得た。箱庭の通貨は大量に持っているが、日本円はそれ程持っていなかったからな。服代だけで消える金額しかなかった。そして新幹線の料金はバカにならないのだ。しかも3人分ともなると、手持ちの金では全く足りなかった。まあ思った以上に鉱石が高額で売り飛ばせたので今は十分余裕があるが。

 

まあそんなこんなで俺は2人から数時間程離れた。

で、東京駅で2人と合流して、俺はそれを後悔した。

 

三蔵の今の服装。それは、白いTシャツとジーパン。そこまではいい。俺も似たようなものだ。しかしここからがいけない。

そのTシャツの前にはデカデカと「天竺」の二文字がヤケに達筆で書かれており、背中には「Go!West!gogo!」の文字が。そして何故か指ぬきグローブとジャラジャラしたネックレス。更にはTシャツの丈が合っていないのか、それとも狙っているのかは知らないが、とりあえずが腹がチラチラと見えている。

 

一言でいうとダサかった。オシャレとか、そっち関係に疎い俺でも分かる。これは酷い。なんで指ぬきグローブとか買ったし。ネックレスは輪袈裟という坊さんが首に付けてるやつがあるので、それと似た感覚で買ったのだろう。そう考えればまだ分からなくもない。だが指ぬきグローブは全く分からない。ジャンヌも何故止めなかったし。そしてそのTシャツの丈。もっと長(ry

 

まあ周りから奇異の目を向けられるが、新幹線の時間的に買い直している時間は無かったので深くは突っ込まないでおいた。一般大衆の奇異の目線は悲しい事ながら慣れてしまっているしな。ネロの花嫁衣装と比べればまだマシなのかもしれないし。

 

 

 

で、現在。

 

「ダウト!」

「残念。私が出したのは本当に9です。はい、三蔵さん。山札全部受け取ってください」

「くぅぅ!!」

 

俺達はダウトをしていた。

 

どうしてこうなったのか。三蔵が景色を見ることに飽きたからである。お前本当になんで新幹線に乗りたがったの?

最初こそ高速で流れる景色に興奮していた三蔵であったが、10分もしないうちに飽きたらしく、事前に買っていたらしいトランプで遊ぼうと言い出したのだ。その結果がコレである。ダウトの前は七並べ、その前は大富豪をした。スタンダードであるババ抜きをしない辺りよく分からない。七並べとか新幹線内でする遊びじゃねえよ。まあ楽しかったけど。

 

 

そんなこんなで時間は過ぎ、あっという間という程ではないが、まあ電車や車などと比べるならば圧倒的に早く京都へ着いた。

 

「やっぱりお寺巡りは基本よね。あ、元興寺ってどこかしら?昔、私のところに勉強しにきた道昭君が確かそこのお寺出身だったんだけど」

「元興寺は奈良ですよ。時間もありませんし、そちらは次の機会にしましょう。とりあえずはお昼ご飯を食べませんか?」

「マジの観光客かお前ら」

 

新幹線から降り、改札から出た辺りで後ろを振り向くと、そこには旅行雑誌じゃ〇んを広げ今後の予定を組んでいるジャンヌと三蔵がいた。傍から見たらタダの日本語が流暢な外国人観光客だぞあいつら。

 

「大丈夫よ、まだ時間はあるし!リョータも楽しんで行きましょ!師匠命令よ!」

「俺の師匠はランサー陣だけです」

 

スカサハ然り、兄貴然り、レオニダス然り。その他の槍兵達にも、大変お世話になってます。たまに鍛錬で死にかけるけどね。

 

「それより湯豆腐とか食べてみませんか?にしきそばとか...あっ、この一銭洋食というのも美味しそうですね!」

「アルトリア顔はみんなそんななのか...」

 

まあ確かに、時間は既に昼を過ぎている。腹も減ってくる頃だろう。果たしてサーヴァントが空腹になるのか、という疑問はあるが。

 

「...確か京都には有名なラーメンチェーン店もあったはずだな」

「ラーメン!それもいいですね...。お菓子・デザート類は食後、移動中にでも食べるとして、最初はガッツリいきましょう!」

「ちょっと!お寺巡りも忘れないでね!?」

 

...まあ、折角京都に来たんだ。三蔵の言う通り、俺も少しくらい楽しもう。時間に遅れなければロマンも怒らないだろう。うん、そう信じよう。

何気に京都って初めて来たんだよな、楽しみだ。

 

 

* * * *

 

 

「わあ、いい景色ね!紅葉してたらもっと綺麗かも」

「まあまだ紅葉の季節には早いからな、仕方ない」

「...生存率85.4%ですか......いける」

「ステイ」

 

京都到着から数時間が過ぎ、俺達は清水寺へ赴いていた。というか「いける」じゃねえよ。そりゃサーヴァントだしこの程度の高さじゃ死なないだろうけども。

 

あとどうでもいいかもしれないが、京都に来てからというもの、セクハラ行為を働く輩を良く見かける。今のところ俺達に実害は無いので無視しているが、一体いつから京都はセクハラが横行する都市になってしまったのか。これが日本の歴史ある街の姿だとでもいうのか。...案外間違っていないのかもしれない。結構見かけるよね、電車とかでセクハラしてる奴。

 

「ここって法相宗のお寺?」

「いえ。元はそうだったようですが、今は独立して北法相宗大本山と名乗ってるらしいですよ」

「そうなの?でも元は同じよね!なんか感慨深いわ」

 

確か法相宗は三蔵が開いたんだっけか。いや、弟子だったっけ?まあどっちでもいいか。とりあえず三蔵が関係している宗派だったのは確か。

 

それは兎も角。少し前からイッセー達の気配が消えたのが若干気になる。

ここ京都に入ってから、いつでも合流出来るようにとイッセー達の気配を探り、ついでに何故かアザゼルの気配も見つけ、それからずっと感じていた彼らの気配が纏めて消えたのだ。気にならない訳が無い。まああのメンツがそう易々と負けるとも考え辛いのでそこまで心配はしていないが。とりあえずアザゼルはなんでいるの?観光?確かに日本文化好きそうだったしなぁ。

 

「日も若干傾いてきたし、そろそろイッセー達に合流しとくか。気配が消えた所にでも行けば会えるだろ、多分」

「そうですね。美味しいものも沢山食べれましたし...。あっ、まだ地主神社に行ってません! あそこの恋占いの石は是非試さなくては!」

「女子高生かお前。てかジャンヌってキリスト教徒じゃないの?仏教に頼っていいのか」

「そこは問題無いと思いますよ?主は寛大ですし。それにそんな事を言い出したら私が神殺しであるマスターのサーヴァントをやっていること自体ダメになるでしょう」

「まあ、それもそうか」

 

というか、相手は誰だろうか。ジル?天草いい加減に四郎時貞?それともカルデアの役員とかだろうか。

まあ誰との恋愛成就を願っているのかは知らないが頑張って欲しい。ほら、人の恋愛って見てる分には面白いし。痴情のもつれとかに巻き込まれるのは面倒だけどな。安珍と清姫とかいい例だと思う。清姫の扱いとか、未だ困ってるんだけど。

それはそうと、そろそろマジでイッセー達を探すか。宿泊費は一応あるが、余り遅くならない方がいいだろう。この数時間でロマンからの連絡が何件か来ているし。どんだけ心配なんだよアイツ。

 

因みに、カルデアに2つあったはずの例の異世界通信可能スマホだが、現在は1つしか無いようだ。なんでも、1つはダ・ヴィンチちゃんを初めとした科学者系サーヴァント組が「どういう仕組みか超気になる!」などと言って解体したらしい。結果は何も分からず、しかも直せもしなかったのだとか。まあ神が造ったモノだしな。理解出来ないのも仕方ないのかもしれない。

 

 

という訳で、恋占いの石とやらはジャンヌに諦めてもらって、俺達はイッセー達の気配が消えたポイントへと足を運ぶ事にした。この京都はイッセー達悪魔だけでなく堕天使総督アザゼル、天使っぽい何か、妖怪的な何か、それから強い人間など、その他諸々の気配が蔓延るという中々に混沌な町へとなっている。さすが千年魔京と言ったところか。箱庭とまでは言わないけど色々と集まってんなぁ。俺達が来たことで拍車がかかったとも言える。

 

「ん?」

 

そんな事を考えながら適当に歩を進めていると、とある変調に気が付いた。

 

「...なんか、人少なくね?というか0じゃん」

「言われてみれば...。皆さんもう夕食を食べているのでしょうか?」

「たぶんそれは無い」

 

現時刻は午後4時過ぎ。そこかしこにある甘味処で間食でもしているのならまだしも夕飯にはまだ早すぎる。というか、仮に夕飯時だったとしてもこの人気の無さは異常だ。軽く辺りの気配を探ってみるが、半径100m以内には人どころか、犬や猫、鳥といった獣の気配すら感じない。それより遠く、半径100m以上の場所には人の気配を数多く感じることから、気付かない間に俺達が異世界に飛ばされた、という訳でもないだろう。単純に、この場所から人が不自然なまでに遠ざかっているのだ。

 

...今気付いたんだが、この京都をぐるっと一周、ものすごい数の悪魔やら天使やら妖怪やらの気配が取り囲んでいる。なんの包囲網だ。俺とか言われたら泣くぞ。そして全員纏めてぶっ飛ばすぞ。

 

「──やあ。君が坂元 凌太、で合っているかな?」

「人違いだ、ほかを当たれ。それじゃ」

 

人や獣の気配は無かったが、それ以外の気配は感じ取れたんだなこれが。

俺達の目の前に現れた3つの人影。1人は妖怪、もう1人は人間っぽい気配を感じた。そして、声を掛けてきた男からは悪魔の気配、そして、龍の気配も感じる。要するにイッセーと似た気配だ。そこから導き出される答えは1つしかない。

 

“絶対に面倒な連中だ”、ということである。

 

関わらないが吉。瞬時にそう判断した俺は、相手を適当にあしらって場を離れる事に決めた。今は面倒事に首を突っ込んでいる場合ではないのだ。

 

いつものメンツなら、このまま逃走紛いの行動に出て終わっていたのかもしれない。エミヤとかは合理主義な所があるし、そもそも自身に不利益しかない面倒事はなるべく避ける。静謐ちゃんに至っては俺の行動に殆ど口を挟まないし、他の奴も大抵話を合わせてくれる奴らだ。ネロはたまに空気読まない時があるし、爺さんはよく分からないけど。

まあ兎に角、そんなメンバーと旅をしてきた俺はすっかり失念していたのだ。俺が今連れているのは、曲がりなりにも聖人(真面目な部類の人間)なのだということを。

 

「ちょっとリョータ!そういうのはダメよ、嘘とかそういうのは!ちゃんと向き合って話をしなさい!」

「そうですよマスター。折角訪ねて来てくださったのですから、そう無下に扱うものではありません」

「ねぇお前らマジでなんなの?俺を早く帰らせる気があるの、ないの?どっちなの?」

 

変な所で真面目を発揮する聖人2人に本気で疑問をぶつける。やっぱり俺一人で来た方が良かったのでは?

 

「そちらの女性2人が言うまでも無く、こちらで君の顔は把握していたからな。確認までに、と声をかけたんだが...。まさか初手で逃げられそうになるとは思っていなかったぞ、坂元凌太」

 

全体的に白い、龍の気配を醸し出す男が不敵に笑いながらそう言ってくる。

 

「...まあ、名前は合ってる。で?お前らは?」

 

普段は美徳なのだろうが、今ばかりは無駄な真面目さを見せる2人に促され、渋々会話に応じる。まあ大体の予想は出来ているが。

 

「俺はヴァーリ・ルシファー。今代の白龍皇だ」

「お帰りください」

 

やはり白龍皇だったかぁ。面倒だなあ、本っ当に面倒だなあ。聞いた話じゃ、今代の白龍皇──目の前のヴァーリという男は稀代の戦闘狂として名高いらしい。しかもそれ相応の戦闘力も有している、と。そんな奴が片腕無くした俺に何の用だよ。そして後ろの男女。そっちも面倒なんだろうなぁ。

 

「私も名乗らないとダメなのかにゃん?まあ一応、黒歌っていうにゃ。よろしくね、神殺しちゃん?」

「そういうキャラはジャガーとかタマモとかで間に合ってます。というかなんで俺が神殺しだって知ってるんですか帰ってください」

「では私も。アーサー・ペンドラゴンです。以後、お見知りおきを」

「早急に帰ってく......待て。ペンドラゴン?」

「ええ。かの騎士王、アーサー・ペンドラゴンの子孫などをやっておりますので」

「...ちょっと待ってね。はーい、2人とも集合ー」

 

一旦話を止め、三蔵とジャンヌを呼んでヴァーリ達に聞こえない様に話す。流石に事の重要性的な何かを感じ取ったのか、今度は素直に声を抑えてくれた2人。さっきそうして欲しかったなぁ。

 

「どう思う?」

「どう、と言われましても...。本当なんですかね?」

「あんまり信じられないわよね...。要するにアルトリアの子孫ってことでしょう?それとも、この世界はアルトリアじゃなくてちゃんとアーサーなのかしら?」

「分からん。けどちょっと気になるのは確かなんだよな...」

「どうしますか?」

「んー...。とりあえず様子見で。襲ってきたらまあ、その時は然るべき対処を」

「了解しました」

「お説教ね、分かったわ」

 

若干三蔵の理解に疑問を持ったが些細な事だろう。やる時はちゃんとやってくれる英霊だし。

 

「すまなかったな。ちょっとこちらに動揺が走ったもので」

「仕方のない事です。伝説とも言える人物の子孫なのですからね」

「...うん、まあ、そうだね」

 

正確には別の意味で困惑したのだが言わないでおこう。虚を突かれただけで、別にこの世界のアルトリアが...まあアーサーかもしれないが兎に角。騎士王に子孫とやらがいてももおかしくないのだ。だって異世界なんだし。そう考えればまあ、うん、大丈夫。エミヤとアルトリアの子孫なのかな、とかいう飛躍しきった考えを抱いたりとかしてないよ。

 

「では、こちらも名乗りましょうか?そちらにばかり名乗らせる、というのも礼儀に欠けるでしょうし」

 

コホン、と1つ咳払いをしてから、ジャンヌが口を開く。まあ、別に名を名乗るくらい構わないか。...あれ、本来英霊の真名って他人に知られたらダメなんだっけ?確か真名がバレる事でその英霊の弱点も露出するとかなんとか...。まあ細かい事は気にしないでいいか。特異点とかでもなんの躊躇もなく自身の真名名乗ってるしな、こいつら。

 

「では私から。──我が名はジャンヌ・ダルク、クラスはルーラー。主に仕える身ではありますが、今は神殺しのマスターにも仕えています」

「じゃあ、次はアタシね! アタシは玄奘三蔵。御仏と、あとはリョータの導き(ラック)とかでリョータの元に召喚されたわ!クラスはキャスター! よろしくね!」

 

...なんか、名前以外も普通に公表しやがったぞこいつら。危機感とか、そういうのは無いのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




以前頂いた、
『ティアマトを倒したのだからその分の権能を得るはずでは?』
という質問に対して、
『パンドラの儀式がないから無理ですね。だから見送りました』
という旨の返信をしたのですが...

よくよく調べてみると、パンドラさんの儀式が必要なのは1回目のみで、2度目以降は儀式を必要とせず、ただ単に「パンドラが満足する戦いっぷり」を披露すれば良いだけみたいですね。

私の確認不足でした、すいません。


ティアマト分の権能、どうしようかなぁ...。
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