プリキュアR   作:k-suke

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この作品に登場している敵メカ ベースアニマルですが、モチーフはセパ両リーグのチームマスコットです。

そして最後のモチーフは… ちょっとひねってあります


第14話「Rの真実」

???

 

 

これでもう大丈夫。みんな幸せに暮らすことができます。

 

 

(やった、ありがとう)

 

(おかげで助かったよ)

 

 

 

 

私に任せてください。こんな時のための力です。

 

 

(やっぱりすごいな。あいつって)

 

(でもなんか怖いな。俺たちが束になってもできないことを一人でやってのけるんだぜ)

 

 

 

 

私はみんなの役に立ちたくてこうしているだけです。

 

 

(いや、もういいよ。なんか俺たちが惨めになってくる)

 

(あんたに頼りすぎるのもちょっとな)

 

 

 

なぜですか、私は別に何も!!

 

 

(もう話しかけてくんな!! 俺たちまで化け物と思われるだろ!!)

 

(みんなお前が怖いんだよ。なんでも出来ちまうから)

 

 

 

やめて!! 私にそんなつもりはない!! みんなと幸せに!!

 

 

(じゃあ消えろ!! 俺たちが幸せになるために!!)

 

 

 

なんで? なんでなのよ!?

 

 

 

 

「…許さん、絶対に!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

オーエエドー市郊外 雑木林の洋館

 

 

 

アカンコウ「ご覧ください。これが21世紀最高の天才である私がその持ちうる才能の全てを駆使して作り上げた最強最後のベースアニマル、満を持して登場した虎型メカのトラッキーです」

 

 

ゴロリン「…来るとこまで来たっていう感じの、そのまんまなネーミングでんな」

 

クジャク「しかしさぁ、これは虎っていうよりも…」

 

 

今目の前にいるベースアニマルは黄色い体に黒い縞模様をしており、確かに虎柄ではあるが、二本足で立っている上、どこか起き上がり小法師のような丸っこい体型と手足をしていた。

 

おまけにヒゲこそあるものの爪も牙もないため、虎のスマートな勇猛さは微塵も感じられなかった。

 

 

アカンコウ「何をおっしゃいますか!! この丸っこい体型からは確かに想像しにくいでしょうが、軽々とバク宙をこなし自分の身長ぐらいの高さまでジャンプしてドロップキックを行えるほどの素晴らしい身体機能を有しています!!」

 

ゴロリン「しゃあけど、それだけやと不安でおま。なんか武器みたいなもんはありまへんのか?」

 

ただ力があるだけでは勝てそうもない、ゴロリンが不安げに尋ねた。

 

 

 

アカンコウ「フッフッフッ、心配するな。このアカンコウ、そのぐらいのことはきちんと考えてある。この見た目は伊達じゃねぇんだ」

 

アカンコウは不敵に笑い自信満々に続けた。

 

 

アカンコウ「見よ!! 頭には小さなプロペラが付いているだろう。だがこれは実は超小型反重力発生装置。このメカを包み込むように反重力場を発生させて空を自由に飛ぶことができます。さらにはショック型電撃銃や空気の衝撃波を発射する特殊なハンドガン、それ突撃とばかりに大量に出てくるミニ兵隊などといった特徴的な武器をおなかの半月状のポケットからいくらでも…」

 

 

クジャク「出さんでいい!!」

 

解説を続けるアカンコウの声を遮ってクジャクが怒鳴った。

 

 

クジャク「気にはしてたんだよ!! こいつは虎じゃなくてトラ猫だろうが!!」

 

 

アカンコウ「あら、さすがによく知ってますね。実は名前も悩んだんですよ。この見た目だしいっそのこと虎エモ…」

 

クジャク「その名前を言うんじゃない!! これ以上変なこと言う前に出撃!!」

 

クジャクのその号令に、アカンコウとゴロリンも決意の表情で答えた。

 

アカンコウ・ゴロリン「「イエッサー!!」」

 

 

 

アカンコウ「では行きましょう。早速ポケットから特殊ワープマシン、どこにでもドアを…」

 

クジャク「だからそれ以上は言うな!! 出すな!!」

 

 

 

 

 

渚家

 

 

 

美里「ふうっ、これでよしっと」

 

 

私は家を徹底的に掃除していた。

 

一人暮らしだということもあり、必要最低限の掃除しかしていなかったうえ、家にいることもあまりなかったので、かなり埃がたまっていた。

 

そのため、この土日を丸々潰し、へとへとになってしまった。

 

 

美里「思ったより時間かかっちゃったな。もっとマメに掃除しとくんだった」

 

普段の生活を後悔したが後の祭りである。

 

 

メル「なんで今更掃除なんてするメル?」

 

汗びっしょりになっている私にメルがそう尋ねてきた。

 

 

美里「ん? 立つ鳥後を濁さずというか、身辺整理だけはしとこうかなって」

 

メル「ど、どういうことメル?」

 

 

私の言葉にメルもまた汗でびっしょりになっていた。

 

 

美里「そんなに気にしなくていいわ。さてと、もうすぐ洗濯も終わるかな♪」

 

 

 

私は鼻歌交じりにスキップして洗濯機のほうへと向かった。

 

 

メル(美里…どういうつもりメル…?)

 

 

キュア・コキュートスの正体を知って以来、美里は全く笑わなくなっていた。

 

 

それどころか、友人たちと過ごすこともなくなり誰も寄せ付けなくなってしまった。

 

 

 

それが突然この笑顔である。

 

メルでなくとも驚くというものである。

 

 

 

メル「!!」

 

 

そんな時メルは何かの気配を感じて飛び上がった。

 

いつもなら震えがくるぐらいなのだが、それ以上に強大な気配を感じたのだ。

 

 

美里「メル? どうしたの?」

 

いつも以上に慌てている様子のメルを見た私は、慌てて尋ねた。

 

 

メル「いつもよりはるかに巨大な闇の力を感じたメル。もしかして大神獣が復活しかかってるのかも…」

 

 

そのメルの言葉が言い終わるか終わらないかのうちに、私は凄まじい形相でメルを締め上げた。

 

 

美里「大神獣!? 本当でしょうね!?」

 

メル「ぐ、ぐるじいメル…。わかんないけどもしかしたら…」

 

美里の突然の変貌に混乱しつつ、首を絞められたメルは必死にそう絞り出した。

 

 

美里「まぁいい。今日こそあいつをぶち殺してやる!! 行くわよ!!」

 

私は吐き捨てるようにそう言うと、メルを促した。

 

 

メル「美里…復讐はやめたんじゃ…大切なもののためにも…」

 

そうふざけたことを尋ねてきたメルを私は蹴り飛ばした。

 

 

美里「ふざけんな!! 私は復讐鬼、キュア・インフェルノよ!! あいつらをぶち殺す以上に大切なことが今の私にあるもんか!!」

 

 

メル「美里…一体どうしてしまったメル…?」

 

ここしばらく、正確にはあの発表会の日以来、こんなに復讐心をむき出しにしたことはなかった。

 

もっとも、最近はそれ以上に不安定になっていたので、それはそれで不安だったのだが。

 

 

 

美里「ぐたぐた言ってんじゃないわよ!! 早くしろ!!」

 

メル「わ、わかったメル」

 

 

凄まじい形相でなおも詰め寄ると、メルは怯えたようにスマホに変身した。

 

 

私はそれをひったくるように掴むと鍵の形のアプリをタッチして起動させ叫んだ。

 

 

美里「プリキュアマスクチェンジ!!」

 

次の瞬間、私は赤い光とともに深紅のドレスに身を包んでいた。

 

そして、赤い仮面を装着して変身を完了した。

 

 

 

 

叶家

 

 

 

雪菜「う〜ん、やっぱりここがいいかしら。家からも近いし」

 

ミプ「雪菜、何をさっきから見てるミプ?」

 

 

机の上いっぱいに広げたカタログらしきものをずっと見ている雪菜に、ミプは尋ねた。

 

 

雪菜「ん? 音楽関係の高校の案内よ。どこにしようかなって」

 

 

雪菜のセリフに、ミプは驚いて尋ねた。

 

ミプ「雪菜はまたピアノが弾けるミプ!?」

 

 

雪菜「まさか! どんなにリハビリしても、もうピアノは無理。でも、音楽には関わっていたいから…」

 

雪菜の顔は悲しそうな、それでいてどこか希望があるような複雑な顔だった。

 

 

ミプ「雪菜…。でも前に進もうとするのはいいことミプ」

 

なんの力にもなれないことにミプはずっと悩んでいた。自分が雪菜に与えた力は復讐のための力となってしまった。

 

そのため、ミプとしては精一杯の励ましの言葉だった。

 

 

雪菜「ありがとう。あら?」

 

ふと遠くの方から爆発音のようなものが響いて来るのが聞こえた。

 

 

雪菜「まさか!? ミプ!!」

 

 

振り返るとミプはこれ以上ないほどにガタガタと震えていた。

 

 

ミプ「この気配…まさか大神獣が…」

 

 

雪菜「なんですって!? じゃあ、インフェルノも…」

 

そう呟くと、雪菜の目にくらい光が宿った。

 

 

雪菜「行くわよ!! 準備して!!」

 

ミプ「わかったミプ。インフェルノと一緒に大神獣を倒すミプ!!」

 

ミプは期待を込めてそう言った。

 

 

 

 

雪菜「何言ってるのよ。インフェルノを大神獣に倒されでもしたら困るからよ。私の目的がなくなるじゃない!」

 

その期待は見事に裏切られた。

 

 

ミプ「だって…インフェルノは雪菜の友達で、大切なものじゃ…」

 

恐る恐るそう尋ねると、

 

 

雪菜「ふざけないで!! インフェルノは…美里は友達なんてものじゃない!!」

 

そう一喝された。

 

 

その言葉にミプは悲しそうな顔をしつつも、スマホ形態に変身した。

 

 

 

雪菜は、まだ不自由な右手でスマホになったミプを掴むと、左手でたどたどしく鍵の形のアプリをタッチした。

 

 

雪菜「プリキュアマスクチェンジ!!」

 

 

次の瞬間、寒々しく冷たい光が雪菜を包んだ。

 

 

それが収まった時には、青い仮面を装着し、白を基調にして水色で縁取りした寒々しさを感じるドレスに身を包んでいた。

 

 

そのまま、青白い玉に変化するとコキュートスは窓から飛び立った。

 

 

 

 

 

オーエエドー市内 某所

 

 

 

 

巨大虎型…もといトラ猫型メカ、虎エモ…ではなくトラッキーが、頭のプロペラを回し、上空を旋回しつつ右手に大砲の砲口部を模した筒状のハンドガンをはめていた。

 

 

アカンコウ「それそれ、ドッカーン!!」

 

 

アカンコウがそう叫びながらボタンを操作すると、そのハンドガンからは空気の衝撃波が発射され、モニターに映るビルや道路を穴だらけにしていた。

 

 

クジャク「そのセリフさ、いちいち言わなきゃなんないのかい。此の期に及んでさ」

 

 

アカンコウ「まぁ、気分の問題です。それよりゴロリン、ヒゲのレーダーで周囲をよく確認してくれよ。そろそろ連中も来る頃だろうし、何よりブラックエナジーも十分集まってきた頃だ」

 

 

ゴロリン「はいでおま。大神獣が復活したらいつでもそっちと戦う覚悟はできとります」

 

ゴロリンは覚悟を決めた風にキッパリとそう告げた。

 

 

クジャク「その意気だよ。私たちの未来をかけた一戦だ!!」

 

アカンコウ・ゴロリン「「イエッサー!!」」

 

 

 

 

 

 

私が全速力で飛行して現場に駆けつけると、そこには街中を悠々と飛行し衝撃波のようなものでビルなどを破壊して回っている巨大なメカがいるだけだった。

 

 

インフェルノ「何? あいつだけ? 大神獣はどこにいるのよ!!」

 

私は腰のスマホケースに向かって怒鳴りつけた。

 

大神獣が復活しかけているというから、慌ててやってきたのにどこにもそれらしいものが見えない。

 

 

メル「ごめんなさいメル。でもきっと大神獣の復活は間近メル」

 

 

インフェルノ「本当でしょうね。まぁいいわ、あいつからぶちのめしてやる」

 

 

私はどこかの青い狸によく似たデザインの敵メカを睨み付けると、怒りを込めて名乗った。

 

 

 

インフェルノ「地獄からの使者 キュア・インフェルノ!!」

 

 

 

 

 

ゴロリン「来ましたで、プリキュアでおま!!」

 

モニターに映った少女を見てゴロリンがそう叫んだ。

 

 

クジャク「まだ一人だけみたいだね。いいかい、あんまり大きなダメージを与えるんじゃないよ」

 

 

アカンコウ「わかってます。くらえショックピストル!!」

 

 

トラッキーはお腹のポケットから光線銃のようなものを取り出すと、インフェルノに向けて電撃のようなものを発射した。

 

 

 

 

インフェルノ「そんなものに!!」

 

私は発射された電撃を難なくかわした。

 

 

 

インフェルノ「えっ!?」

 

かわしたはずの電撃はUターンして後ろからもう一度襲いかかってきた。

 

 

 

インフェルノ「くそっ!!」

 

私は必死に電撃波をかわしたが、何度かわしてもかわした方へとしつこく向かってきた。

 

 

それだけでなくそうしている間にも、トラ猫型メカ自体も電撃を連射してきたため、そちらの方にも気を配らねばならず、攻撃どころか避けるだけで手いっぱいになってしまった。

 

インフェルノ「くっ、これじゃ攻撃どころか近寄ることも…」

 

 

そうこうしているうちに、だんだんジリ貧に追い込まれていき、ついにはかわしきれず電撃の直撃を何発も浴びた。

 

 

インフェルノ「キャアア!!」

 

 

直撃を受けた私は全身が痺れてしまい、墜落した後まともに指一本動かすこともできないまま、地面に這いつくばっていた。

 

 

インフェルノ「あいつ…どういうつもりよ」

 

 

この程度で動けなくなった自分と、やられてしまったことに対する怒りを込めて思い切りメカを睨んだが、それ以上敵は追撃してくる様子もなく立ち去っていき、それが尚更屈辱とともに腹立たしかった。

 

 

 

 

クジャク「おい、あれ大丈夫なのか?」

 

地面に這い蹲り身動き一つ取れなくなったインフェルノを心配するかのように、クジャクがそう尋ねた。

 

 

アカンコウ「心配いりませんよ。このショックピストルは言うならば強力なスタンガンみたいなものです。一時的に痺れさせるだけで大きなダメージは与えてませんって」

 

 

クジャク「そうかい、ならいいや」

 

アカンコウの説明に、クジャクはほっと胸をなでおろした。

 

 

ゴロリン「それどころやおまへん、もう一人も来たでおます」

 

 

ゴロリンは奇妙な笛の音が集音器にキャッチされたのを確認し、そう告げた。

 

 

 

コキュートス「ふん、ワンパターンに空を飛んでくるなんてね。さっさと撃墜させてやるわ」

 

 

そう冷たく言い放つと、コキュートスは闇の力を麻痺させる力のある横笛を吹き始めた。

 

しかし、しばらく吹いたにも関わらずトラ猫型メカは全くその姿勢を崩さなかった。

 

コキュートス「えっ? 効かない?」

 

目の前の事実に驚愕していると、トラ猫型メカはポケットからくるみ割り人形によく似た小さな兵隊の人形を続々とくりだしてきた。

 

 

 

コキュートス「くっ!!」

 

 

コキュートスは右手を即座にガトリングガンのように変化させると銃剣付自動小銃を手に襲いかかってくる兵隊人形を片っ端から破壊していった。

 

 

コキュートス「この程度で!!」

 

 

コキュートスは自信満々にそう言い放ったが、たえまなく襲い来る兵隊人形に少しずつ押されていった。

 

 

ついには対応しきれなくなり、兵隊人形の一斉砲撃を受け吹き飛ばされた。

 

 

コキュートス「キャアア!!」

 

 

 

 

アカンコウ「フッフッフッ。例の笛の音が動力回路に作用しないよう防音装置を施してある。その笛の音で動きが止まることはないのだ」

 

モニターの前で吹き飛ばされたコキュートスを見て、アカンコウは自信満々にそう言い放った。

 

 

クジャク「おい! だからダメージを与えるなと言っただろうが!!」

 

アカンコウ「大丈夫ですって、爆発は派手ですけど火力は低いですから。軽い火傷ぐらいで済みますよ。 それに煙には麻酔効果がありますからしばらくはまともに動けません」

 

 

ゴロリン「ほなこれでプリキュアは二人ともまともに動けまへんな」

 

アカンコウ「そういうこと。今がチャンスですよ」

 

 

クジャク「よし、今のうちにありったけブラックエナジーを収集しろ!!」

 

 

アカンコウ「ハイな、ポチッとな」

 

クジャクの号令とともにアカンコウがボタンを操作すると、トラッキーはもう一度右手に大砲の砲口部を模した筒状のハンドガンをはめて街に攻撃を開始した。

 

 

 

 

インフェルノ「この…ちゃんと動きなさいよ!」

 

 

私は痺れてしまって歩くこともやっとの体を、怒鳴りつけながら引きずるように体を動かし街を破壊しているトラ猫型メカの後を追った。

 

 

 

コキュートス「く、くそ…力がうまく入らない…」

 

すると、私と同じようにやっとという感じで歩いている存在を見つけた。

 

 

その子は、私が気づいたのと同じように私に気がついたのか、青い仮面越しの目でこちらを見つめてきた。

 

 

 

コキュートス(美里…)

 

インフェルノ(雪菜…)

 

 

しばらく無言のまま見つめ合った私達は、どちらからともなく肩を貸しあった。

 

 

そうして歩いている間も、耳が痛いほどの沈黙だけが私達の間には流れていた。

 

 

するとその空気に耐えられなくなったかのように、腰のスマホケースどもが話し始めた。

 

 

メル「闇の力がどんどん大きくなっていってるのを感じるメル!! なんだか大変なことになりそうメル!!」

 

ミプ「メルも感じたミプ!? もうすぐ大神獣が完全に復活してしまうミプ!!」

 

 

その慌てように私達も事情を察し、二人三脚のように必死に肩を貸しあいながら進んでいった。

 

 

お互いを一瞥もしないままに…

 

 

 

 

 

 

 

一方、市街地ではトラッキーが立ち並ぶビルや乗り捨てられた車を破壊して回っていた。

 

そんな光景をモニター越しに見ながらクジャクはブラックエナジーの収集状況を尋ねた。

 

 

クジャク「よし、今のところは作戦通りだ。過去最高クラスにブラックエナジーも集まってるんじゃないかい?」

 

ゴロリン「はい、ものすごい勢いでエネルギーが集まってるでまんねん」

 

 

アカンコウ「もう少しです。もう少しで大神獣も復活しますし、連中もまともに動けるようになるはずです」

 

そんなことを言い合っていると、トラッキーのボディに異変が起き始めた。

 

 

黒い煙のようなものが体のあちこちから漏れ出したのだ。

 

 

 

クジャク「ん? おい、煙が出てるんじゃないか? オーバーヒートでもしてるのかい」

 

アカンコウ「いえ、計器は特に異常は…」

 

 

そう言おうとした途端、あらゆるメーターが異常な値を示し始めた。

 

 

 

ゴロリン「どないなってまんねん。なんかおかしいでおます」

 

アカンコウ「この程度で調子が狂うはずはない、まさか…」

 

 

アカンコウが何かに気づいた次の瞬間、トラッキーの全身から一気に黒い煙があふれ出し、全身を覆いつくしてしまった。

 

 

 

 

メル「あれは…」

 

ミプ「まさか…」

 

 

ようやく私達は体が自由に動くようになり、トラ猫型メカのところにたどり着いたが、その途端にメカの全身から黒い煙があふれ出し全体を包み込んでしまった。

 

 

そしてその煙は意志を持ったかのように蠢き、みるみるうちに形を変えていった。

 

 

次の瞬間、黒い稲妻が走ったかと思うとそこにいたものに、私は目を剥いた。

 

龍のような顔、金色の鱗に覆われた体は美しくもどこか禍々しく、額から生えた角は鈍く銀に光りあらゆるものを貫く破壊力をそれだけで雄弁に語っていた。

 

 

完全に復活したためか、記憶にあるよりかなり巨大化していたが、あの日以来一瞬たりとも忘れたこともないあいつだった。

 

大神獣「我こそは大神獣。この世界を恨み憎むもの、唯一にして絶対のものなり」

 

 

 

インフェルノ「…大神獣…!!」

 

 

その姿を目に捉えるや否や、私の頭の中は凄まじい怒りでいっぱいになった。

 

私の家族を、日常を奪った存在。

 

八つ裂きにしても飽き足らないほど憎んだ仇。

 

 

次の瞬間、私は声にならない雄叫びとともに炎を纏った拳で殴りかかっていた。

 

 

 

そして私の繰り出したパンチは大神獣にヒットした。

 

 

 

大神獣「ふむ、さすがはプリキュアというところか。だがな!!」

 

 

全くダメージになってないというわけではなかったようだが、大きく払った爪に私はダメージとともに吹き飛ばされた。

 

 

 

インフェルノ「く、くそ…」

 

 

そんな私に向けて大神獣は鋭い牙の生えた口をカッと開くと、どす黒い火炎の塊を吐き出してきた。

 

思わず私は目をつぶったが、火炎の塊は狙いを大きく外したところに着弾した。

 

 

疑問に思い目を恐る恐る開けると、大神獣の首には氷のロープが巻きついており、そのせいで狙いが外れたらしかった。

 

 

コキュートス「インフェルノはやらせないわ、絶対に!!」

 

 

 

そう叫びコキュートスは右手のロープを思い切り引っ張ったようだが、大神獣と力の差は如何ともし難く、逆に引きずられる形となり大きく投げ飛ばされた。

 

コキュートス「くっ、うわーっ!!」

 

 

 

しかし一瞬の隙ができたことを確認した私は、大きく両腕を振りかぶった。

 

インフェルノ「プリキュア・インフェルノ・バースト!!」

 

そう叫ぶと炎の塊を、すべての怒りを叩きつけるように投げつけた。

 

 

私の必殺技の直撃を受け、大神獣は火だるまになった。

 

 

ざまあみろと私は勝ち誇ったが、それも一瞬だった。

 

火だるまになった大神獣はそのまま私に向かって突撃してきた。

 

 

インフェルノ「えっ? キャアアアア!!」

 

その突撃をまともに受けた私もまた、大きく吹き飛ばされた。

 

 

 

大神獣「フッ、プリキュアの力は未だ健在だな。哀れな奴らよ、無意味な力を振りかざすとはな」

 

 

インフェルノ「なんですって?」

 

私は瓦礫の中から立ち上がると、怒りを込めて大神獣を睨みつけた。

 

 

コキュートス「無意味なんかであってたまるものですか!!」

 

 

 

大神獣「いや無意味だ。この力は何も生み出すことのできない力なのだからな」

 

 

 

メル「そんなはずはないメル!! プリキュアは昔お前を封印した力メル!!」

 

ミプ「大切なものを守る希望の力、それがこの力ミプ!!」

 

 

大神獣の言葉に私達の腰のスマホケース共が、全力で反論していた。

 

 

 

 

大神獣「そうだ。我もかつてはそう信じ、妖精の力を得た」

 

 

 

インフェルノ「えっ?」

 

大神獣の言葉に私は思わずそう聞き返した。

 

 

コキュートス「どういうことよ? あなたはまさか?」

 

 

 

 

 

私達の疑問に大神獣はどこか遠い目とともに話を始めた。

 

 

大神獣「かつて、我は巨大な力を求めた。大切な家族や仲間達を災厄から守り、より豊かに繁栄していくために。そのため我は人であることさえも捨て、妖精の力を借りこの力を得た」

 

 

インフェルノ「なっ!!」

 

 

大神獣「我はこの力で弱者を守り、恵みを与え、多くのものを支え続けた。初めは誰しもが我の力を歓迎し、褒め称えた。しかしやがて強大すぎる我の力を人間や妖精どもは疎んじ、危険視した」

 

大神獣は怒りとともにそう言い放った。

 

 

大神獣「そしてついには我をこれまでの恩も忘れ、殺しにかかった。 初めは我も無抵抗を貫いたが、執拗な攻撃に止むを得ず防戦した。すると人間や妖精どもは我を悪魔と罵り、ついには我と同じように妖精の力を借りて挑むものに我は封じられたのだ」

 

 

 

メル「そんな…」

 

ミプ「初めて聞いたミプ…」

 

 

 

驚いているスマホケースを軽蔑するかのように大神獣は吐き捨てるように続けた。

 

 

大神獣「自分に都合のいいように全てをとらえ、その場その場だけを取り繕う。それがこの世界、そしてそこに生きる者たちの本質だ。このような世界など不要。守ろうなどと一瞬でも考えた我が愚かだったのだ。せめてもの情け、我の手で消滅させてくれる!!」

 

 

 

 

 

 

インフェルノ「…それがどうしたのよ」

 

 

 

 

 

黙って全てを聞いていた私は、低い声でそう呟き大神獣を睨みつけた。

 

 

大神獣「何…?」

 

 

インフェルノ「あんたがどんな奴で、どんな経験をしたかなんて関係ないわよ。あんたが私の家族を殺した。それだけは私にとって絶対に変わらないことよ!!」

 

 

コキュートス「千年以上も前の人間の夢がどんなものだろうと、この力がなんのためのものだろうと今更関係ないわ。何がどうであれ私の戦う理屈に変わりはない!!」

 

 

 

大神獣「ならば来るがよい。その力を貴様らはどう使う?」

 

 

 

インフェルノ・コキュートス「「決まってるわよ!!」」

 

 

そう叫ぶと、私達は怒りのままに大神獣に飛びかかった。

 

 

プリキュアR(リベンジャー)第15話に続く。

 

 

 

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