10年前
オーエエドー市郊外
このオーエエドー市の郊外にある雑木林。
ここで二人の少女が遊んでいたのだが、木の実を拾ったりしているうちにかなり奥の方に来たため道に迷ってしまい、30分近くウロウロしていた。
「ねえ、どっちから来たか覚えてる?」
「もうわかんない、ずっと歩き続けて疲れちゃった」
「そうだね。お腹も空いたし、もうくたくた」
そう言って、二人の少女は座り込んでしまった。
そんな時、彼女たちは林の奥で何が光っているのを見つけた。
「あれ? 何だろう」
「きっと、パパやママが探しに来てくれたんだと思うわ」
薄暗い林の中で、光るものを見つけた二人は嬉しくなりその光の方へ走って行った。
しかしその先では彼女たちが期待したかのような大人たちはおらず、ただ大きな洞のある木があった。
光はその洞から溢れ出すようにしており、暖かくそしてどこか神秘的な輝きを放っていた。
「何だろうこれ」
「きれ〜い」
二人の少女は疲れも時の経つのも忘れ、その光に見入っていた。
やがて、その光の包み込むような暖かさに、疲れ切っていた二人はウトウトと眠り込んでしまい、気がついたときには病院のベッドの上で大人たちが心配そうに覗き込んでいた。
そして時は流れ、今をさかのぼること数ヶ月前…
「美里、今日こそはこの因縁にケリをつけてあげます。あなたを倒すことで私は前に進みます!!」
毅然とした態度で私に宣戦布告してきたのは、私こと渚 美里の親友にして幼馴染の
私と同じ、ネローべ中学校の二年生でクラスメイト。
音楽の世界では天才といわれる父と世界的なヴァイオリニストの母の間に生まれたサラブレッドで本人もピアニスト志望。
もちろん、それにふさわしいだけの実力も兼ね添えている。
しかし、そんな彼女は私のせいで前に進めなくなってしまった。
事実、私を前に完全に戦闘態勢に入ってしまっている。
その姿をみて、私は心が痛かった。
が、逃げるわけには行かない。
彼女を巻き込んだ張本人として、何よりも私自身の為にも。
美里「わかってる。私は逃げない。でも手加減はしない。全力で相手をする。それが、あなたに対する償いでもあるから」
私も堂々たる態度でそう返し、臨戦態勢に入った私は、ポケットからコインを取り出し機械にセットした。
『Are you Ready? Battle Start!!』
特徴的な電子音が鳴り響くとともに、私と雪菜の戦いが始まった。
雪菜「このこのこの!!」
雪菜の戦い方は、トリッキーな小手先の技を駆使してテクニックを重視するタイプである。
小さな攻撃でこちらを怯ませ、私の行動のテンポを崩していく。
初めての頃ならまだしも、今となってはおそらく生半可な腕では相手にもならないだろう。
しかし、彼女の戦い方には一つ欠点がある。
一発一発の攻撃が軽いのだ。
事実、何発かクリーンヒットを食らってはいるが、私の体力にはまだまだ余裕があった。
とはいえ、チリも積もれば山となる。
こちらも隙を見て何発か攻撃を当てているが、だんだん限界に近づいてきた。
美里「くううう」
私はこんな中でも、少しずつ力を溜めていた。
そして雪菜の攻撃が一瞬途切れた隙を狙って必殺の大技を浴びせた。
私の戦い方は、一撃の威力の大きい技を利用するタイプ。
小回りが効かず使い勝手はあまり良くないが、一撃の威力で押し切るタイプだ。
美里「やああああ!!」
私の一撃が決まり、雪菜は大ダメージを受けて大きく吹き飛び、気絶状態になり目を回した。
そこを狙って私は怒涛のラッシュを浴びせ、ついには必殺の一撃を食らわせ、とうとう雪菜をノックアウトした。
『You Win!!』
美里「よっしゃー!!」
その表示が私の目の前の画面に出ると、私は雄叫びと共に思わずガッツポーズをしていた。
雪菜「くやしーい!! また負けたー!!」
台の向こうでは、雪菜が本気で悔しがっていた。
説明が不十分だったが、ここはオーエエドー市内のとあるゲームセンターである。
今私達がやっていたのは、人気の格闘ゲーム「バーチャルストリートIX」である。
私達はこのゲームにはまっており、ランキングでもかなり上位につけている。
雪菜もはじめは興味がなかったが、私がなんとなしに対戦を勧めた結果、何度やっても私に勝てないという悔しさから、私以上にはまってしまった。
最近ではピアノの練習そっちのけの時もあるぐらいである。
美里「へっへっへっー。悔しがることないって、雪菜だって十分強いよ。ただ私の方が強かっただけ」
雪菜「見てなさい、次こそ絶対勝つんだから!!」
そんな経緯だからして、私としては挑戦を受けないわけにはいかないし、手加減して負けるといった失礼なこともできない。
というのが現状である。
とまあ、そういったやり取りの後、ゲーセンを出て別れた私達は各々の帰路に着いた。
美里「う〜ん今日も平和に一日が終わった。明日も天気にな〜れ」
のんきにそんなことを言いながら、背伸びをしつつ私は帰り道を歩いていた。
すると
美里「ん? なんだろあれ」
自宅のマンションのゴミ捨て場に何か捨ててあるのが目に入った。
美里「今日はゴミの日じゃないし。なんだろ」
家のゴミ出し係は私なので、今日がゴミの日でないことはよく知っている。
おかしいなと思いつつ近づいてみると、そのゴミの正体がわかった。
美里「なんだぬいぐるみか。誰か遊んでて忘れて行ったのかな」
そう、そこにあったのは薄汚れたぬいぐるみだった。
アニメか何かのキャラクターらしく、どんな動物にも当てはまらない愛嬌のある姿をしていた。
美里「仕方ない、預かっといてあげるか」
そう呟き、私はそのぬいぐるみを持ち帰った。
渚家
美里「たっだいまー」
亮太「あっ、姉ちゃんおかえり」
そう言って私を出迎えたのは、今年小学校に上がったばかりの弟、亮太。
亮太「あれ? なにそのぬいぐるみ。きったねーの。でも姉ちゃんにはお似合いだぜ」
美里「やっかましい、ただの忘れ物よ」
帰宅早々、クソ生意気な憎まれ口を叩いてきた馬鹿の頭にゲンコツを落としながら私は部屋に向かった。
美里「まったく、あの馬鹿。もう少し姉に対する口の聞き方を教育してやらないとダメね」
悪態をつきながら、普段着に着替えると例のぬいぐるみが目に入った。
美里「うーん。でもまあ確かに汚いのは汚いのよね。しょーがない、洗っとくか」
そうして、そのぬいぐるみを持ち上げて洗面所に向かった。
美里「さーて、とりあえず汚れを落とすか」
私はそう呟きながら蛇口をひねり、ぬいぐるみに水をかけた。
「ピギャー、冷たいメル!!」
すると突如ぬいぐるみが悲鳴をあげた。
美里「えっなになに? ぬいぐるみが喋った!?」
私は目の前の出来事に目を丸くしていた。
ぬいぐるみはブルッブルッと身震いして水しぶきを飛ばすと、私に話しかけてきた。
「ぬいぐるみじゃないメル。メルは妖精のメルメル」
美里「えーっと、メルメル言ってんじゃないわよ。混乱するでしょう!!」
亮太「どうしたんだよ姉ちゃん?」
美里母「美里、何騒いでるの?」
騒いでいたのがお母さん達に聞こえたらしく、慌てて駆けつけてきた。
美里「ほら、見てよ!! ぬいぐるみがしゃべってるのよ!!」
美里母「なにが? ただのぬいぐるみじゃない」
するとお母さんが何を当たり前のことを言わんばかりに告げた。
美里「えっ、何言ってんのこんなに動いてるじゃない」
その態度に私も慌てて続けた。
亮太「姉ちゃんこそ何言ってんだよ。ぬいぐるみが動いたりしゃべったりなんて、そんなことあるわけないだろ。何メルヘンちっくな女みたいなこと言ってんだよ」
美里「そ、そうだよね。ちょっとふざけてみただけ」
私は亮太を思いっきり殴ると、そう言ってごまかした。
私は、メルと名乗ったぬいぐるみを連れて部屋に戻り、話を聞いた。
美里「あんた一体なんなの? ただのぬいぐるみじゃなさそうだけど。それに私にしか声が聞こえないみたいだし」
メル「メルも驚いたメル。メルの声が聞こえるメル? メルの声を聞ける人が今の世界にいるとは思わなかったメル」
美里「えっ、どういうことよ」
メル「もう千年以上も前のことメル。その頃人類とメル達妖精の先祖は仲良く暮らしていたメル」
美里「そんなこと聞いたこともないよ」
メル「先祖の妖精たちのことは色々話に残ってるメル。あちこちに妖精の伝承があるはずメル」
美里「確かにいろんな話があるけど…」
私は子供の頃に何度も聞いた、妖精が出てくる色々な話を思い出した。
美里「じゃあなんで今は一緒に暮らしてないのよ」
メル「人と妖精はとても仲良く暮らしてたメル。でもそれを破壊しようとした奴がいたメル。それが大神獣メル」
メルはどこか遠い目をして言った。
メル「そいつは妖精の一人でありながら、生まれながらにとてつもない力を持っていたメル。その力で世界を、すべての人や妖精を支配しようとしたメル。だから、人と妖精は力を合わせて戦って、なんとか大神獣を封じ込めることはできたメル。そして、それ以来妖精たちは責任を感じて人の前から姿を消して封印を守り続けていたメル…」
美里「それなのに、なんでアンタがここにいるのよ?」
メル「大神獣の封印が解けてしまったからメル…」
美里「えっ、なんでよ!?」
私は驚いて尋ねた。
すると、メルは言いにくそうに言った。
メル「…人間が自然を破壊したからメル…」
美里「何ですって!?」
メル「人間の文明が進みすぎて、空気や水を汚したメル…。そのために、妖精たちは生きていけなくなってしまったメル…。元々少なかった仲間もほとんどいなくなって、密かに守り続けていた封印をもう守れなくなってしまったメル。だから、もう一度一緒に戦ってくれそうな人を探しに来たメル」
美里「そんなことが…。じゃあさ、明日警察まで連れてったげるから、そこで話しなよ」
メル「それは…難しいと思うメル」
美里「なんでよ?」
メル「今の人間たちは妖精のことをほとんど知らないメル。そんな人とは会話することもできないメル」
その言葉に疑問が湧いた。
美里「確かにお母さんも亮太も聞こえてなかったみたいだけど…。でも私には聞こえるじゃない」
メル「多分、妖精の光を見たことがあるんだと思うメル。だから、妖精であるメルと話ができるんだメル」
美里「妖精の光…? そんなもの見たことなんて…」
そう言いかけてふと思い出した。
子供の頃森で迷った時に、不思議な光を見たことがあったことを。
美里「まさかあれが…。あれ夢じゃなかったのかな」
メル「やっぱりメル。美里…だっけメル。メルと一緒に戦って欲しいメル」
メルは私に頼んできたが、とんでもない話だった。
美里「冗談言わないでよ!! 私14歳の中学生だよ。戦うなんてできるわけないじゃない!!」
すると、メルは不思議そうに尋ねた。
メル「メル? 14歳なら立派な大人じゃないかメル?」
美里「どういう論理よ、それ」
実は美里もメルも気がついていないが、メルは千年以上前の頃の感覚で話しており、その頃の平均寿命は30代。14、5歳ならば立派な成人なのである。
美里「まあ、とにかく。そんな訳のわかんないやつと戦うなんて私には無理。悪いけど他当たってよ」
その夜
美里父「なんだい、おつまみはイカしかないのか。まあいいか、なんちゃって」
美里「お父さんたら、またくだらないギャグを…」
美里母「あなた、それは私の料理を褒めてるのかしら…」
亮太「恥ずかしいよもう…」
私たち家族は、いつものように父さんのくだらないギャグを交えつつ夕飯を食べ終えるとテレビを見たりして平穏な団欒を楽しんでいた。
美里「ちょっとトイレっと」
私はテレビがコマーシャルになったのを見届けると、トイレに立った。
用足しを終え、洗面所で手を洗っている時だった。
急に電気が消えて真っ暗になってしまった。
美里「あれ? 停電かな。困ったなぁ」
何度かスイッチを入り切りしたが電気がつかず、困ったような声を出すと
メル「み、美里!!」
美里「なによ、あんたまだいたの!? それより、あんまり家の中うろつかないでよ」
足元から急に声をかけてきたメルに私は驚き、嗜めるようにそう言ったが、メルはそんなこと気にも留めないように慌てた声で続けた。
メル「あいつが、あいつがくるメル!!」
美里「あいつって…?」
メル「大神獣メル!!」
その頃ダイニングルームでは急な停電に家族が慌てていた。
美里父「おい、懐中電灯は?」
美里母「待って、確かこの戸棚に…」
亮太「なんかうちだけみたいだよ。ほら、外は電気ついてるし」
そんな中…奇妙な足音が響いた。
美里母「あら、何かしら…あの音は?」
美里父「蹄の音…?」
次の瞬間、突如として窓から槍のようなものが突き出した。
そしてそのまま窓ガラスをぶち破り、伝説の生き物、麒麟を醜悪な外見にしたような怪物が出現した。
この怪物こそが大神獣である。
大神獣「感じるぞ…我を封じ込めた憎いものの気配を…」
美里父「こ、この化け物が!!」
父はとっさに家の中の物を手当たり次第に投げつけるが、まるで通用しなかった。
そのまま大神獣は、父の方を見ると目障りだとでも言うように角で胴体を刺し貫いた。
美里母「あなた!!」
亮太「お父さん!!」
目の前のあまりの光景に二人は絶叫した。
大神獣「ただの人間の分際で…我に逆らうとは、な」
首を振り、父をゴミでも払うように角で投げ飛ばすと、見下したようにそう告げた。
美里父「逃げろ…みんな…」
その言葉を最後に父は息絶えた。
亮太「お父さん!!」
亮太は思わず父親の亡骸に駆け寄ろうとしたが、母がそれを制した。
美里母「ダメ!! 逃げるのよ」
自らもそうしたい感情を必死に抑えて、母は亮太とともに逃げ出そうとしたが、ものすごいスピードで移動してきた大神獣に回り込まれ、退路をふさがれてしまった。
大神獣「我の復讐を阻む可能性は、すべて摘ませてもらう!」
そう告げるとともに、大神獣の爪が母と亮太の体を引き裂いた。
美里母「あぁ…」
亮太「うぁ…」
うめき声とともに、二人は血まみれの肉塊と化した。
美里「あ…あ…」
私は洗面所からこの様子を隠れて見ていたが、あまりの現実感のなさに呆然として、棒立ちになっていた。
メル「や、やっぱり大神獣メル。きっとメルを探して…」
すると大神獣とかいう怪物はこちらに向き直った。
大神獣「そこにいるか、愚かな妖精め」
そのドスの効いた声と立ち込める血の匂いに、私の奥歯はガチガチとなっていた。
メル「こ、こうなったら!!」
そう叫ぶと、メルは私に飛びついてきた。
次の瞬間、私は赤い光に包まれた。
大神獣「むっ、この光まさか!!」
私は突然の光に目がくらみ、よろめきながら廊下に出た。
そこで、例の怪物を間近に見てしまい悲鳴をあげた。
美里「ヒィッ!!」
大神獣「その姿、まさかプリキュアに変身できる人間が未だに存在していようとはな!!」
美里「プリ…キュア…?」
大神獣のその言葉に、私は戸惑いながら自分の姿を見て驚いた。
部屋着だったはずの私の服は、フリルのついた深紅のドレスといった感じの衣装に変わっていた。
美里「な、何これ?」
大神獣「おのれ、死ねプリキュア!!」
その叫びとともに、大神獣は突進攻撃を仕掛けてきた。
美里「う、うわー!!」
私はとっさに両手を前に突き出した。
するとその一撃はカウンターになり、大神獣は大きく吹き飛んだ。
しかし、その吹き飛んだ先を見ると、お父さんたち「だった」ものが目に入った。
事態を把握しきれず混乱した頭で、それを見た私の頭には凄まじい怒りが湧いてきた。
そして怒りのままに大神獣に殴りかかると、私の拳は炎に包まれた。
そうして繰り出した炎のパンチは大神獣に直撃し、ものすごい勢いで窓から飛び出していった。
その勢いのまま地面に激突した大神獣は、真っ赤な炎で全身が燃え上がった。
大神獣「おのれ、封印が解けたばかりではまだ力が不十分か。なんらかの手段で力を集めねば…」
そう言い残すと黒い霧のようになって消滅した。
美里「はあはあ…」
私は肩で息をしながら、床にへたり込んでいた。
しばらくして、呼吸が整うと混乱も収まってきた
とりあえず、目の前にいた怪物は追い払ったのだとようやく理解できた瞬間にはたと気がついた。
美里「父さん!! 母さん!! 亮太!!」
大声で叫んだものの、どこからも返事はなかった…
数日後、家族のお葬式が終わった後、遠くに住んでいた親戚からうちに引っ越して来ないかと私は誘われたが、私はそれを断った。
美里「確かにここに住むのは辛いけど、楽しかった思い出もあるし、友達とも別れたくないから」
その後も何度か説得されたが私は頑としてそれを断り続け、結局定期的な仕送りをしてもらうこと、中学を卒業するまでという条件で私は一人暮らしをすることになった。
私がそこまでしてここに残ることにこだわったのには、もちろん別の理由がある。
あの後、メルにいろいろ事情を聞いたのである。
美里「つまりさ、あんたは人をこんな風に変身させる力があって、それが唯一あの大神獣とかいうのと戦う手段だってこと?」
私の低い声で絞り出すようにいったその言葉にメルは頷いた。
美里「それで、おそらくあいつはまだ生きてるんだよね?」
メル「そ、そうメル…」
美里「じゃあ、力貸してもらうわよ。あいつをぶっ殺してやるためにね!!」
メル「み、美里落ち着くメル」
私の目つきや口調に怯えたようにメルは私を諌めた。
しかし、それは私には逆効果だった。
美里「ふっざけんじゃないわよ!! あんたがいつまでもこんなとこウロウロしてたからあいつが来たんでしょうが!! あんたさえさっさとどこか行っていればこんなことにならなかったのよ!! いい!? 嫌とは言わせないからね」
私はメルを思い切り掴むとそう怒鳴りつけた。
メル「わ、わかったメル…」
その言葉にメルは力なく頷いた。
美里「それでいいのよ。見てなさい大神獣、必ず家族の仇を討ってやる!!」
そして現在
雪菜『美里、いろいろ大変でしょうから困ったことがあったらいつでも言ってね。できる限り協力するから』
美里「雪菜、色々心配してくれてありがとう。じゃあたし洗濯があるから。まったね」
そう言って電話を切ると、私は洗濯かごを抱えてベランダに出た。
私はあれ以来、当たり前だが家事一切をしている。
掃除や洗濯等いろいろお母さんの手伝いはしていたけれど、全部やるとなるとなかなか大変である。
美里「ふう、お母さん毎日こんなことしてたんだ。ありがとう」
私は洗濯物を干し終えると心からお母さんに感謝した。
洗濯物を干し終えて、ひと息つこうと空の洗濯カゴをもってベランダから家に入るとメルの様子がどこかおかしかった。
美里「メールちゃん、どうしたの? なんか様子が変だよ♪」
私はわざとらしく明るい声でそう尋ねた。
メル「美里、な、なんでもないメル」
美里「まーたまた。アイツなんでしょ、ん?」
私はメルの鼻を可愛く突っつききながらそう言った。
するとメルは観念したように頷いた。
それを確認すると、私はメルを睨みつけ、怒鳴りつけた。
美里「ならさっさとする!! ほら行くよ!!」
メル「わかってるメル…」
メルは渋々といった感じにスマホのようなものに変身した。
私はそれをひったくるように掴むと鍵の形のアプリをタッチして起動し叫んだ。
美里「プリキュアマスクチェンジ!!」
次の瞬間、私は赤い光とともに深紅のドレスに身を包んでいた。
そして、赤い仮面を装着して変身を完了した。
オーエードー市内 某所
今この市内では、巨大なネズミのようなロボットがビルをかじったりして暴れていた。
クジャク「しっかしなんでよりによって、こんなネズミをモチーフにするかねぇ」
アカンコウ「ネズミじゃないです。ハムスター型ロボットのスターマンですよ。ほらそれが証拠に顔も肉球も星型です。ゆるキャラみたいでかわいいでしょ」
ゴロリン「そうですな、つい最近までお星さまに飼われてたみたいでまんねん」
クジャク「なんの話をしてんだか。とにかくや〜っておしまい!!」
アカンコウ・ゴロリン「「イエッサー!!」」
そうして、ネズミ型メカもといハムスター型メカはビルや電柱をかじり、街を破壊し始めた。
そんな時、空に光るものが現れた。
クジャク「ん? 空を見ろ!!」
ゴロリン「鳥だ!!」
アカンコウ「飛行機だ!!」
クジャク「ホームランボールだー!!」
アカンコウ・ゴロリン「「ダー!!」」
二人は思いっきりずっこけた。
私は赤い火の玉となりロボットの暴れている所に飛んできた。
そして私は赤い仮面越しに奴らを睨みつけた。
この仮面は、戦うことを決意した時につけることを決めたものだ。
大神獣とその一派と戦う時の顔。
復讐のためにかぶると決めた仮面。
これがあるからこそ、私は全てを押し殺して戦える。
この仮面、そして名前はそのためのもの。
そしてその名を奴らに向けて私は名乗った。
「地獄からの使者 キュア・インフェルノ!!」
プリキュア